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2018年07月30日

【制約?】『逆転の生み出し方』アダム・モーガン,マーク・バーデン


逆転の生み出し方
逆転の生み出し方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日に引き続いて「実用書フェア」の記事の中からの

テーマがツボだったので、読んでみたところ、案の定「星3つ」というレビューはちと辛口すぎると感じたクオリティでした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
アメリカ西海岸で圧倒的な存在感を放つコンサルティング会社が、総力取材! 「逆境がもたらすブレークスルー」を、科学的に分析し、実践的にまとめた1冊。企業、集団、個人がずば抜けるための11のカギ。

なお、中古があまり値崩れしていませんから、Kindle版が600円弱、お買い得です!





Ikea / joo0ey


【ポイント】

■1.サウスウエスト航空の「リソースの制約」
「リソースの制約」の例は、サウスウエスト航空だ。1970年代に所有する4機の航空機のうちの1機を売却しなければならなくなったのだが、一方でそれまでに獲得した航路は手放さないと決めた。航路を維持するため、3機で4航路を運航する方法を編み出す必要があった。ここでまた別の制約が生まれる。「時間の制約」だ。3機で4航路を運航するためには、空港での折り返し準備時間を10分以内にするほかない。到着した乗客と荷物を降ろし、機内を清掃し、新たな乗客と荷物を乗せる。これを10分で行うのだ。当時のアメリカの国内線の平均折り返し準備時間は1時間。短縮をやり遂げる方法(たとえば、座席指定なしという当時としては新しい方法の導入)を編み出した結果、4つの航路を維持できたのに加え、他の航空会社ではよくある滑走路での待機時間がなくなり、これが顧客をなびかせた。


■2.前提を見直す
 当時ナイキの企業責任担当副社長であったハンナ・ジョーンズは、接着剤の蒸気の吸入を抑えるための保護マスクの使用を徹底できないと知った。巨大な工場ネットワーク全体で、コンプライアンスを遵守することは非常に難しかったのだ。そこで、そもそも接着剤の蒸気が有害なのだという当初の前提に取り組む。ナイキのデザイナーに、毒性のない接着剤を作らせたのである。こうして開発した新しい接着剤は、安全なだけでなく機能も上がっていた。
 これが、ジョーンズにとってひらめきの瞬間であり、ナイキにデザイン全体、製造工程、そしてすでにロックインしてしまっている古臭い前提を見直させる多くのきっかけのひとつになった。


■3.リソースに対する考え方を改める
 最初の4年間で、ポーター・ゲイルが率いるヴァージン・アメリカのマーケティング・チームは、自分たちがどのような価値を提供すべきかを考え、会社の所在地こそが資産であることに気づいた。同社は、シリコンバレーに新しく創立されたテクノラティのそばに位置していたのだ。
 新しいソーシャル・メディア・プラットフォームの構築に精を出す人間であれば、ニュースやキャビンの写真をシェアしてくれる。そうすれば、ブランド維持のために十分な話題を生み出せる。また他にも、航空機という密かな資産があった。機体を空中のステージに見立てて、ブランドに魅力を感じる人々を乗せるのだ。
 ヴァージンはアイデアと魅力的なイメージを組み合わせることにした。ヴィクトリアズ・シークレットと提携し、同社のモデルをロサンゼルスのファッション・ショーに運ぶための機内で「初の機内パジャマ・パーティーとファッション・ショー」を開催したのだ。まさに写真に撮ってシェアしたくなる内容だった。


■4.ポジティブ思考とネガティブ思考を行き来する
 エッティンゲンは、望んだ結果に到達する方法を編み出すためのアプローチを、3つに分けている。
 1つ目は「空想にふけること」だ。これは、目標を達成した未来を鮮明にイメージすることによって得られる心理状態である。多くの人は、この状態に容易く入り込む傾向にある。(中略)
 2つ目のアプローチは「想像を巡らすこと」だ。失敗しそうなことを、リアルかつ完璧にイメージする。悲観的な傾向がある人には、魅力的に映る。行動しても無駄なことを確認できるからである。(中略)
 より効果の高い3つ目のアプローチは、「空想にふけること」と「想像を巡らすこと」を能動的に対比するというものだ。両者を行ったり来たりして、将来の夢と現在の制約や脅威の両方を認知する。このように、矛盾するものを同時に抱えた心理状態は、変化を起こすうえでは良い条件となる。葛藤を抱えたまま生きていくのは難しいので、それを解消するために必要な行動を起こしたくなるのだ。


■5.制約を大切にする文化を持つイケア
 少ない元手で大きな成果を生み出すにはどうすればいいのか。カンプラードが、投げかけ続けてきた問いだ。20代で製材所を訪問したときには、最も多く出る端材の形をつぶさに観察し、その端材で何を作って売れるかと考えた。それから50年を経た70代のときは、北京の市場に捨てられている鶏の羽根に目を付け、廃棄物を手頃な価格の羽毛布団へと変えてみせた。「高価なものを作るのは簡単だ。安くかつ機能が優れていて長く使えるものを作る。それこそが真の挑戦だ」とカンプラードは繰り返し社員に言い聞かせてきた。デザインの優れた住居は、住む人の人生を変える。彼らの生活を支えるために、イケアは挑戦し続けるのである。


【感想】

◆やたらと事例だけ集めてしまいましたが、本書はさすがコンサル会社の人間が執筆しただけあって、「方法論」についても充実していました。

そして本書に一貫して通じるテーマが、「制約」です。

本書曰く、制約には4つのグループがあるとのこと。
・基礎の制約
・リソースの制約
・時間の制約
・方法の制約
このうち「基礎の制約」だけ分かりにくかったのですが、具体的には「オンラインストアであるため、試し履きができない靴屋」等が該当します。

なお、上記ポイントの1番目のサウスウエスト航空のお話は、ここでいう「リソースの節約」に該当。

いや、サウスウエスト航空というと、よく紙ナプキンに書いた路線図のお話が有名ですけど、そんな事情で簡易なサービスにしていたのだとは。


◆ただ、これらの制約をクリアすべく問題解決をする際に、新しい方法を考えようとしても、どうしても過去のやり方にはひきずられるもの。

本書の第2章ではこれを「ロックイン」と呼び、多くの事例を基に、その解決法を指南しています。

その1つが上記ポイントの2番目のナイキの例。

もともとは「接着剤の蒸気の吸入を抑えるための保護マスクの使用を徹底する」方法を検討していたのですが、そうではなく「毒性のない接着剤を作る」という「逆転の発想」で解決しました。

でも、こういう「思い込み」は私たちの身の回りにも普通にあるもの。

余談なので割愛しましたが、スペースシャトルの固体燃料エンジンの幅は、鉄道レールの幅に合わされており、それはすなわち、大昔にローマ人の施設した道の幅に由来している、という話を聞くと、さもありなん、と思った次第です。


◆一方、上記ポイントの3番目のヴァージン・アメリカのケースは、周囲にあるリソースを見つけ出すというお話。

他社に比べて広告予算が限られていた彼らは、その顧客の特質を見抜き、SNSで拡散しやすいプロモーションを考えだしました。

これはもちろん、相手企業にとってもメリットがあることで、他にも彼らはGoogleと提携して、新しく開発したクロームブックを機内で貸し出したりもしています。

こうしたリソースに関して、本書では4つの領域に分け、マッピングしているのですが、画像は引用できないため、詳細は本書にて。

この辺のまとめ方は、きわめてコンサル会社らしいアプローチだな、思いました(プレゼン資料的、という意味で)。


◆なお、事例だらけの引用の中、唯一異なるのが上記ポイントの4番目。

特にその中の最後のアプローチ法は、はニューヨーク大学のモチベーション研究室長を務める、ガブリエレ・エッティンゲン教授が「メンタル・コントラスティング」と呼ぶものです。

本書の著者陣いわく、インタビュー対象者のほとんどが、このメンタル・コントラスティングを取り入れており、「成功の可能性をイメージしながら、失敗や最悪の事態につながるイメージをたえず克服していた」のだそう。

結局、多くの成功者がどちらかに偏るのではなく、両者の間で強い葛藤を抱え続け、それを利用して行動を促していたワケです。

ちなみにこの「メンタル・コントラスティング」は、ダイエットや依存症の克服、学業成績の向上を目指す場合にも効果的だそうなので、当ブログの読者さんにも有益ではないか、と。


「目からウロコ」の問題解決をしたい方なら要チェックです!

逆転の生み出し方
逆転の生み出し方
まえがき 制約をチャンスに変える――逆転の発想が大切なわけ

《第1部 制約をチャンスに変えるプロセス》

 第1章 制約に直面した時にまずすること
 第2章 これまでのやり方にとらわれない
 第3章 背中を押してくれる問いかけ
 第4章 「~ならばできる」という考え方
 第5章 潤沢な状態を創り出す
 第6章 意欲を引き起こす感情

《第2部 コンセプトの実践――今なぜそれが大切なのか》 

 第7章 豊かさを秘めた無【ゼロ】
 第8章 制約によって駆り立てられる文化
 第9章 欠乏と潤沢
 第10章 制約をチャンスに変える
 第11章 リーダーシップと制約の未来


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【編集後記】

◆そういえば、こんなフェアが明日まで行われているのでした。



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以前はギフトカードの期限が1年で、頂いたカードが期限切れになったことがある自分としては、自分用には相変わらず使ってないのですが、今は期限が10年なんですね(知らなんだ)。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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