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2018年06月21日

【お金の未来?】『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』佐藤航陽


お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日最終日となる「幻冬舎キャンペーン」からの1冊。

先日発表された「Amazonランキング大賞2018上半期」のKindle本「ビジネス・自己啓発」ジャンルの第1位となっていますから、既にお読みになった方も多いかもしれません。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー、評論経済。「新しい経済」を私たちはどう生きるか。メタップス創業者が明かす、資本主義の先の世界。

なお、本日まででしたら、「50%ポイント還元」によって、送料を加算した中古よりも、Kindle版が500円以上お買い得です!





Fintech, Technology and Finance / cafecredit


【ポイント】

■1.SNSは、よくできた経済システム
「いいね」や「RT」はSNSという経済の中では「金銭」ではなく「承認」という欲求を満たすための装置であり、ユーザー間でやりとりされる「通貨」のような役割を担っています。拡散によって増えていくフォロワーは、貯金のように貯まっていく「資産」に近いです。
 SNSのタイムラインはリアルタイムで内容が変化し、見る度に新しい情報が飛び込んできます。また、自分の投稿次第で何が起こるかは予測が難しいという不確実性があり、批判を浴びたり炎上したりという「リスク」もあります。
「いいね数」「フォロワー数」「視聴者数」など、様々な指標が数字で可視化され他人と比較することができ、業界や趣味ごとのヒエラルキーも明確になっています。もちろん、いつでもユーザー同士が相談しあったり議論したりすることができます。SNSは先ほど紹介した経済システムに必要な5要素を完璧に押さえています。


■2.今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」
 では、お金や経済の世界において最もインパクトのある現象、大きな変化の流れとは何でしょうか? もちろん100年という単位で考えると難しいですが、これから10年という単位で考えれば、それは「分散化」です。
「分散化」とは一部の業界を除いて会話で使われることは滅多にありませんが、これは既存の経済や社会のシステムを根本から覆す概念です。
 なぜなら、既存の経済や社会は、「分散化」の真逆の「中央集権化」によって秩序を保ってきたからです。(中略)
 つまり、この「分散化」という現象は近代までの社会システムの前提を全否定する大きなパラダイムシフトであり、中央集権的な管理者からネットワークを構成する個人への権力の逆流、「下克上」のようなものです。


■3.資産としては認識されないデータの「価値」
 ものを扱わないネット企業で、財務諸表上の価値として認識されていないものの1つが「人材」、もう1つが「データ」です。
 サーバ上に存在するデータは現在の金融的な考えでは存在しない価値のないものとして無視されています。ただ、ネット企業にとってはこのデータこそが価値であり、会員データ・購買データ・広告配信データなどを失った瞬間に廃業しなければなりません。(中略)
 フェイスブックの企業価値が1兆円程度(現在は50兆円)の時にも売上や利益はまだとても小さく、財務諸表から企業の価値を判断する金融の人たちからしたらとんでもない「バブル」だと言われていました。ただ、その頃にすでにフェイスブックのユーザーは世界で数億人に達していて、広告費も投下していないのに勝手に人が人を呼び拡大し続けていました。
 フェイスブックの最大の価値はユーザーのデータであり、これらの価値をお金に換えていないだけでした。 もしこういったユーザーの行動データも資産として企業価値に反映させることができれば、こういった認識のズレも生まれなかったはずです。金融の枠組みはどんどん現実世界の価値を正しく認識できなくなっています。


■4.内面的な価値に着目する
 今の経済の中で、20代や30代が競争していくのは相当「分が悪い」。少なくとも旨味は少ない挑戦と言えます。努力に対して見返りが少ないことは、今働いている人は何となく感じていると思います。 (中略)
 反対に、人間の内面的な価値に関しては、現在の資本主義の枠組みでは上の世代が認識しにくく、ここには大きなチャンスが存在しています。この内面的な価値には、共感・熱狂・信頼・好意・感謝のような種類があり、わかりやすい現物があるわけでもないので非常に曖昧です。ただ、確かに多くの人がそれに価値を感じて、経済を動かす原動力になっています。ゲームに課金したりライブ配信する面白い人にアイテムを投げたりするお金の払い方に、シニア世代は当惑することがあると思います。
 これらは既存の経済で扱ってきた使用価値ではくくれない価値だからです。年配の人ほど、経済的な価値とは製品やサービスの使用価値・利用価値だという考え方を持っています。ここにチャンスがあります。


■5.「お金」は単なる「道具」である
 たくさんのお金を動かしている人ほどお金が好きな拝金主義者や守銭奴のような印象を持っている人がいますが、実際は全くの逆です。よりたくさんのお金や経済を動かしている人ほど、お金を紙やハサミやパソコンと同様に「道具」として見ています。そこに何の感情もくっつけていません。純粋に便利な道具という認識を持っているからこそ、それを扱う時も心は揺れませんし、冷静に判断をし続けることができます。
 一方で、お金がうまく扱えず困っている人ほど、お金に特別な感情を抱いていることが多いです。私もそうでした。それがないことによって起きる困窮や不安から、お金に感情をくっつけてしまい、道具以上の意味を感じてしまいがちです。お金や経済を扱うためには、お金と感情を切り離して1つの「現象」として見つめ直すことが近道です。


【感想】

◆タイトルには「お金」とありますが、それだけに留まらない、広範囲な内容の作品でした。

とはいえ本書の第1章では、まずその「お金」について言及。

俗に「Fintech(フィンテック)」という言葉が使われますが、著者の佐藤さんいわく、これにも「1.0」と「2.0」があるとのこと。

前者は「すでに存在している金融の概念は崩さずに、ITを使ってその業務を限界まで効率化するようなタイプのもの」であり、金融機関等が使うFintechとは、こちらを差すのだそう。

一方、後者は、ビットコインのような仮想通貨を始めたとした「近代に作られた金融の枠組み自体を無視して、全くのゼロベースから再構築するタイプのもの」であり、本書のタイトルにある「2.0」も、ここから取っているのだそうです。

確かに上記ポイントの1番目のSNSも、明らかに「2.0」の領域ですし、「いいね」や「RT」が「通貨」の役割を担っているというのは、上の世代ほど理解しにくいかと。


◆続く第2章では、この「2.0」領域のテクノロジー面にフォーカス。

上記ポイントの2番目では、分散化について触れられていますが、その代表的なサービスが、UBERやAirbnbのようなシェアリングエコノミーでしょう。

具体的にどんなサービスなのかは、皆さんご存じだと思うので割愛。

さらにそのシェアリングエコノミーをさらに推し進めたのが、仮想通貨を代表とするトークンエコノミーです。

そして、そのトークンエコノミーで最も成功しているのが、おなじみビットコインである、と。
ビットコインは、ほぼ完全に分散化が進んだ経済システムとして機能し始めており、まるで自然界の生態系のように有機的であり柔軟なネットワークになりつつあります。今後、シェアリングエコノミーやトークンエコノミーも進化していくと、中央に一切の管理者が不在で自動的に回り、拡大し続ける有機的なシステムとして存在するようになることが予想されます。
さらには、今後のビジネスモデルのキモとなるのが「自律分散」というコンセプトではないか、と佐藤さんは言われているのですが、詳細は本書にて。


◆一方第3章では、「価値主義とは何か?」と題して、既存の資本主義では捉えきれなかった「お金ではないけど価値のあるもの」について論じています。

たとえば上記ポイントの3番目にある「データ」もその1つ。

確かにフェイスブックの上場時に、大変なバブルだと感じた記憶が私にもありましたが、それはあくまで、所有資産(決算書上の)や利益、売上高から判断したものでした。

同様にフェイスブックは、年商20億円しかないワッツアップを2兆円で買収しましたが、これも同じように考えれば至極当然のこと。

このように、「経理的な側面」から考える場合とは異なる「価値」を理解できないと、これからの社会の動きは読めなくなっていくでしょう。

この第3章の最後では、
例えば、先ほどの価値という観点からすると30歳前後の世代は、すでに車や家や時計などのものに対して高いお金を払うという感覚がわからなくなりつつあります。 ものは所有しなくても使う時にだけ借りられます。つまり私たち世代にとってこれらの価値は低いのです。
 一方で、50歳前後の方からすれば、スマホゲームに課金したり、ライブ配信に「投げ銭」を払ったり、ビットコインを買っている人たちの感覚はよくわからないと思います。全く「役に立たない」無価値なものにお金を払っている若者の未来を憂うかもしれません。
と言われており、思わず納得した次第……。


◆本書の第4章では、この「価値」の考え方をさらに掘り下げています。

要は今後資本主義が揺らいでいくにつれて、「価値」に注目せよ、ということ。

上記ポイントの4番目にあるように、こうした「価値の違い」を活かせば、若い世代にも勝算があるわけですね。

そしてこのことを意識すると、働く企業を選ぶ際にも「自分の価値の最大化に繋がる環境を選ぶようにしたほうがいい」と佐藤さんは言われています。

……ちょうど10年くらい前に、本田直之さんが似たようなこと(「その時点での給料や知名度で会社を選ぶな」的なこと)を言われていたと思うのですが、その頃と基準は違えど、「価値の最大化」という意識は持っておくべきかと。


◆……と簡単にまとめてまいりましたが、やはり私は世代的に佐藤さんよりはるかに上であり、こうした「価値主義」に当惑する「シニア世代」ですから、果たしてどこまで理解できたのやら。

仮想通貨に関しても、以前ご紹介した山口揚平さんのこの本同様、私自身はどちらかというとネガティブであり、手を出していませんし(もちろん現時点で税制的に思いっきり不利なのも大きいのですが)。

新しい時代のお金の教科書 (ちくまプリマー新書)
新しい時代のお金の教科書 (ちくまプリマー新書)

参考記事:【お金】『新しい時代のお金の教科書』山口揚平(2017年12月13日)

当ブログの読者さんの多くは、「スマホゲームに課金したり、ライブ配信に『投げ銭』を払ったり、ビットコインを買っている人たちの感覚」に近いと思いますので、私よりはずっと本書の内容が腑に落ちると思われ。

ただ、そういう社会が来つつある、ということは、私自身感じていましたから、おかげさまで本書によって理解が深まりました。


これからの社会を読み取るために読むべし!

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
第1章 お金の正体
第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ
第3章 価値主義とは何か?
第4章 「お金」から解放される生き方
第5章 加速する人類の進化


【関連記事】

【起業】『未来に先回りする思考法』佐藤航陽(2015年09月04日)

【お金】『新しい時代のお金の教科書』山口揚平(2017年12月13日)

【濃厚!】『時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか?』松岡真宏(2014年12月16日)

【オススメ】『評価と贈与の経済学』内田 樹,岡田斗司夫 FREEex(2013年02月28日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

アルコール依存(いぞん)の人はなぜ大事なときに飲んでしまうのか
アルコール依存(いぞん)の人はなぜ大事なときに飲んでしまうのか

私自身はまったく飲みませんし、父も同じくらい弱かったので、アルコールで悩むことはなかったのですが、身内にアルコール依存者がいらっしゃる方は、要チェックで。

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人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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