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2018年06月06日

【GRIT?】『性格スキル――人生を決める5つの能力』鶴光太郎


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性格スキル――人生を決める5つの能力 (祥伝社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、明日終了となる「ノンフィクションフェア」からの自己啓発書。

アンジェラ・ダックワース女史の『やり抜く力』がお好きの方なら、見逃せない1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
最近の研究では、学力や偏差値のような頭の良さ=「認知スキル」だけでなく、むしろテストでは測れない「性格スキル」が人生の成功に影響することがわかっている。成績が悪くても、人生は挽回可能なのだ。「性格スキル」にはビッグ・ファイブと呼ばれる要素がある。「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神的安定性」。中でも「真面目さ」は人生のどの側面にも圧倒的に重要だ。「認知スキル」に比べ、大人になっても伸ばすことができる「性格スキル」をいかにして鍛えたらいいか? 充実した人生を送るための、必読の書

現時点で中古とKindle価格がほぼ同じですから、送料分強、Kindle版がお買い得となっています!





soot, grit and guts / Robert Couse-Baker


【ポイント】

■1.性格スキルと認知スキルの関係
 性格スキルと認知スキルの関係については、ヘックマン氏らは、性格スキルが高ければ認知スキルは伸びやすいが、その逆は必ずしも明らかではないことを強調している。いずれにしても、性格スキルと認知スキルとは、補完的に機能しているといえる。性格スキルはそれ自体重要であることはいうまでもないが、ペーパーテストで測れる成績、すなわち、認知スキルを伸ばすことにもつながるのだ。性格スキルの重要性を更に裏付けるエビデンスといえよう。


■2.仕事の成果に最も関係するのは「真面目さ」
 具体的に、それぞれの因子と仕事の成果との平均的な相関係数をみると、「真面目さ」の0.22 に対し、「外向性」は0.13、「精神的安定性」は0.08、「協調性」は0.07、「開放性」は0.04、となっており、関連の強さではビッグ・ファイブの中で「真面目さ」が一番高いことがわかる。
 また、この研究は、「真面目さ」の重要性は仕事の種類や特徴にはあまり依存せず、広範な職業に影響を与えることも明らかにしている。実際、職種ごとに上記の「真面目さ」と仕事の成果との相関係数を求めているが、職種ごとの違いはほとんどみられない。
 一方、例えば、明るさ、社交性を示す「外向性」と仕事の成果との相関係数はプロフェッショナル(学者、医師、弁護士等) の場合、マイナスであるが、管理職、営業職では0.18、0.15 と業種の中では最も高い数字となっている。やはり、人と相互的な接触、交流、協調がより求められる職種ほど「外向性」が重要になってくるのだ。


■3.「真面目さ」は知性と同じくらい成績に影響する
 次に、学校の成績との関係をみてみよう。これまでの研究をまとめたメタ分析では、やはり、「真面目さ」とGPA(Grade Point Average、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値)の相関が圧倒的に高くなっている。この相関は知性とGPAの相関とほぼ同じ程度であった。つまり、「真面目さ」は知性と同じくらい成績に影響する可能性があるということだ。他のビッグ・ファイブの因子と成績の相関はかなり低いが、その中では「開放性」の相関がやはり比較的高い。
 一方、「真面目さ」はどの教育段階でも成績との相関の強さは変化しておらず、中等、高等教育段階では知性と同じ程度の相関の強さとなっている。他の性格スキルの影響は教育段階が進むにつれて弱くなっている。つまり、「真面目さ」と成績との関係は変わらないが、大きくなるにつれて知性との関係は弱くなるということだ。
 以上から、成績においては、あらゆる教育段階で通用するという意味では、頭の良さよりも「真面目さ」の方が重要であるといえる。


■4.性格スキルと将来の賃金の関係
 スイス・チューリヒ大学のカーミット・セガル氏はアメリカの8年生(中学2年生) で問題行動(不登校、遅刻、宿題未提出など) があった人に着目し、テストの成績を基に学力の影響を除いても、彼らの26〜27歳時の賃金が相対的に低い傾向を指摘した。これは、賃金が低いのは当時のテストの成績以外に性格スキルにも起因することを意味している。
 こうした学校時代の問題行動と将来の賃金との関係は、すべての学歴レベルで同様の傾向があった。つまり、どんなに学校時代の成績が良くても、学校時代に問題行動を起こしていればその分、将来の賃金は低くなるということを意味している。
 一方、8年生の標準テストの成績と賃金の相関は、高等教育以上の学位を持つ者に限られていた。これはこれまでみてきたように性格スキルはどのようなタイプの人にとっても重要であることが再確認されたといえる。


■5.長時間労働と性格スキル養成との関係
 官民通じて働き方改革が大きな盛り上がりをみせている。その中でも目玉は長時間労働の抑制である。政府もこれまで及び腰であった罰則付きの時間外労働の上限規制を導入する予定だ。これ自体、歴史的な改革ではあるが、企業の50代以上の人事担当者と話をすると複雑な心境もあるようだ。
 それは、長時間労働が若手を鍛えるという側面もあったからだ。精神的・肉体的にぎりぎりのところに追い込まれる中で責任を持ってやりとげることがやはり、性格スキルの「真面目さ」の範疇に入る力を伸ばし、自分自身も「一皮むける」経験をしてきたという自負もあるのであろう。したがって、現在の企業の幹部には自分の過去の成功体験から「長時間労働は必ずしも悪でない」と考える人も少なくないと思われる。


【感想】

◆ボリュームの関係で、そもそも「性格スキル」とはなんぞや、という部分について説明していなかったので、まずはそちらから。

人間にはさまざまな能力があるうち、学力テストで測れる能力を「認知スキル」、そうでない能力を「非認知スキル」と呼んでいます。

このうち「非認知スキル」とは、個人的形質(個人的な性格の特徴)と関係しており、上記ポイントの1番目にも登場している、米シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授(2000年ノーベル経済学賞受賞)が、最近この「非認知スキル」のことを「性格スキル」と呼んでいるのだそう。

そして、この「性格スキル」と「認知スキル」の関係は、このポイントの1番目にあるとおりです。

なお「性格スキル」とは、「性格の特徴」ですから、もちろん親からの遺伝によるものもありますが、後になって習得することも可能とのこと。


◆では、「性格スキル」にはどんなものがあるかというと、過去色々なアプローチがされてきたなか、「ビッグ・ファイブ」という分類体系が、最も広く受け入れられているのだそうです。

具体的には上記ポイントの2番目にも登場していますが、「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神的安定性」の5つ。

そして、そのポイントの2番目にもあるように、仕事の成果に最も関係するのは「真面目さ」になります。

そのポイントの2番目の後半では、職種によって一部違いがあることについて言及されていますが、やはり最も関係性が強いのは「真面目さ」とのこと。


◆ちなみに本書では、この「ビッグファイブ」に関して均等に触れているかというと、実はそうではなくて、ほぼ8割がたが「真面目さ」について。

確かにポイントの2番目のように「仕事の成果」はもちろんのこと、上記ポイントの3番目のように学業成績とも相関関係があります。

もっとも、「真面目さ」ゆえにコツコツ勉強した結果、成績がいい、というのは考えてみたらごく自然なことで。

ウチのムスコも、この「真面目さ」ゆえに、何とか大手塾の授業についていってると思うと、ひらめき的な頭のキレがなくとも、「真面目さ」さえあれば、それなりのレベルには達することができても不思議ではありません。


◆ただし、その「真面目さ」を考える上で問題なのが、上記ポイントの5番目の「長時間労働」です。

実際に職場では、上司が部下に「明日の朝までにこの仕事を仕上げてくれ」と命令するケースも過去には多々あったでしょう。

それは「いじめ」とは違う、「若手を鍛える 常套手段」であり、「急に言われても動揺せず、徹夜をしてもあきらめず、やり遂げられる力を養う」という意味合いがありました。

ただ、これまでそのやり方で何とかなってしまったが故に、「時間をかければいい」となり、結果的に「生産性の低さ」につながったことも否めないわけで。

ちなみに私が過去、もっとも長時間労働したのは、元号改訂&消費税導入の時だったので、今度の元号改訂時には、多くの職場でかなりの負荷がかかるのではないか、と……。


◆本書では、第4章までを費やして、この「性格スキル」(特に「真面目さ」)に関して論じているのですが、最後の第5章は、著者である鶴さんのゼミのお話についてのもの。

ここでは学生さんたちの成長ぶりと、「性格スキル」を結びつけてはいるものの、巻末の「おわりに」で鶴さんご自身が「あまりのギャップの大きさに戸惑われた読者も多いのではないかと思う」と言われているように、やや違和感がありました。

……実際の就活面接での受け答えとその結果等、就活本として見た場合には、面白い部分も結構あるんですけどねw

ただ、各章のおわりに、びっしり「注」が列挙されていたり(Kindleだと読みながらすぐ飛べるので便利です)、巻末にも大量に参考文献が収録されている等、新書とは思えないエビデンスベースの作品なので、「科学的自己啓発書」好きの方なら、一読の価値はあるかと。


人生に「成功」を導くために読むべし!

B079VHMTWW
性格スキル――人生を決める5つの能力 (祥伝社新書)
第1章 性格スキルは学歴や職業人生を左右する
第2章 ビッグ・ファイブが人生を決める―5つの能力の影響
第3章 性格スキルを伸ばす家庭環境と教育
第4章 性格スキルを鍛える職場と就業支援
第5章 性格スキル向上への挑戦―少人数大学教育(ゼミ)の現場から


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【編集後記】

◆ご紹介はしていなかったものの、明日で終了するKindleセールにはこのようなものもあります。



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13000冊以上という大ボリュームですから、興味のある方はぜひ!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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