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2018年06月03日

【読書術】『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』西岡壱誠


「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書
「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも、一番人気だった読書術本。

セールが続いていたので後回しになりましたが、当ブログ的には読まないわけにはいかない1冊でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
もともと「できる子」だった東大生たちには「当たり前」の読み方。偏差値35で落ちこぼれた僕がたどり着くまで、2年も浪人しました。でも、だからこそ誰よりも、この読書術の「やり方」と「スゴさ」がわかります。本書ではそれを、あますところなくご紹介します。

なお、版元が東洋経済さんということで、値引やセールには期待せずにKindle版で読みました!





Education concept / charlywkarl


【ポイント】

■1.「読者」ではなく「記者」になって読む「取材読み」
 優れた読み手というのは、「読者」ではなく「記者」になります。 
「読者」はただ文字を見るだけですが、「記者」は相槌を打ちながら、質問を考えながら、時にはメモを取りながら、著者の話に耳を傾けます。
 読書している間に心の中で「相槌」を打ち、著者が目の前にいたら自分がどういう「質問」をするか考えながら読むのです。ただ漫然と読むのではなく、「なるほどな」と心の中で納得したり、「あれ? これってどうなんだろう?」と自分の中で疑問を持ったりしながら読むのです。
 授業を「見ている」だけでは身につかないように、本を「読むだけ」では本の内容は身につきません。きちんと、本を「理解しよう」と思いながら、行動しながら読まなければならないのです。


■2.「追求読み」が「深い知識」につながる
 実は東大の授業でも、まったく同じことをやっています。
「授業の中で疑問を持った部分に関して、自分で調べてレポートを提出しなさい」という学期末レポートを課す授業が東大の中にはかなり多いです。
「この本を読んでレポートを書きなさい」とか「この授業の中で出た問いの答えをまとめなさい」と課したほうが、学生に授業の内容をより「多く」覚えさせる契機になりそうなものですが、しかしテーマを設定せずにあえて「疑問」を学生1人ひとりに考えさせ、調べさせるのです。そのほうが、学生自身がその学問に関しての意見をより深めたり、より深く考える契機になるからだと思います。
 これと同じように、得られる情報量自体は「質問読み」のほうが多いですが、考える力・意見を深める力は「追求読み」のほうがより鍛えられるのです。「自分で勝手に考える」という方式を取ることで、「自分で勝手に考えて、自分なりにテーマに対して向き合う」ということができるようになるのです。


■3.「要約読み」とは何か?
「整理する」というのは、「骨と身を分離させる」ということです。
 魚を食べようと思ったら、骨と身をきちんと分離させて、身の部分を食べ、骨を残しますよね? 同じように、例示や論拠を整理して「身」を食べ、著者が本当に言いたいことである「骨」を綺麗に残す必要があるのです。
 そして、「ちゃんと骨が残っているのかどうか?」を確認するために必要なのが「要約」です。「要するに何?」を短文で示せるか、または著者が「本当に言いたいこと」が現われているのはどの文なのかをチェックしつつ読み進める。
 これができるようになれば、きちんと整理しながら読解することができます。これが整理テクニック1「要約読み」です。


■4.「クロス読み」で「思考力」と「幅広い視点」を身につける
「クロス読み」は「意見と意見が交錯するポイント」を見つける読み方。より具体的に「2つの意見がどう異なっているのか」「議論が分かれる点はどこなのか」を考えて理解するテクニックです。
「え? それって、『パラレル読み』で相違点を探すのとどう違うの?」と思った人もいるかもしれませんが、あちらはあくまでも「相違点」、つまりは互いにどう違ったのかを考えていたのに対して、ここで見つけるのは「交錯ポイント」「どこが議論の分かれる点なのか」「どこが議論の焦点になっているのか」を考えることなんです。
 大雑把に「トランプ大統領について肯定的」「否定的」と相違点を考えるのが「パラレル読み」だったのに対し、具体的に「トランプ大統領について、評価が分かれているのはどういうポイントなのか」を探すのが「クロス読み」です。


■5.「感想」も「議論読み」の1つ
「議論」というと身構える人もいるでしょうが、難しいことは一切ありません。
 たとえば、「本を読んだ後の感想」を言葉にすることも立派な「議論」です。提示された著者の考えに対して、自分の考えを提示するのが「感想」ですから、「感想」は「議論」の一種なのです。
「え? 感想なんかで本当に理解が深まるの?」
 と疑問に思う人もいるでしょうが、これははっきり言えます。感想を言えば、理解が深まります。(中略)
 読んだ内容・鑑賞した内容はまだ「自分の言葉」になっていません。「インプット」だけでは、それは作品や文章を「切り取った」だけなんです。
 切り取っただけでは理解しているとは言えませんし、自分の知識にもならない。でも、「感想」を「アウトプット」しようとする際には、その「切り取った」内容を自分なりに解釈したり、自分なりに言い換えたりする必要があります。「アウトプット」があるからこそ自分の知識にできるのです。


【感想】

◆著者の西岡さんは、冒頭の内容紹介にもあるように、高校時代は「落ちこぼれ」だったのだそう。

しかし東大の入試問題を分析することで気が付いたのが、「知識の量を増やしても合格できない問題が出題されている」という事実です。

つまり、「知識の量」ではなく「知識の運用能力」が求められているわけであり、それに気がついた西岡さんは、教科書や参考書を読む際にも「考える力」を鍛えるよう心掛けるようになりました。

具体的には「本と徹底的に議論する」ということ。

受動的に本を読むのではなく、能動的に自分の頭で考えながら「本と会話する」つもりで読むようにしたのだそうです。

結果、みるみるうちに成績が上がり、模試で全国第4位にもなり、東大にも合格したという。


◆そして東大に入った西岡さんが発見したのが、「周りの東大生も皆、同じような読み方をしていた」ということでした。

とにかく東大生は「受動的に本を読むのではなく、本と対話・議論しながら能動的に本を読む」のだとか。

本書はその「東大生の読書のしかた」を、下記目次にもあるように「5つのステップ」で解説してくれています。

……ちなみに章題にいくつか「〜読み」とありますが、上記ポイントの2番目にある「追求読み」や3番目の「要約読み」、4番目の「クロス読み」も登場していないことからもお分かりのように、具体的な読み方自体は、その下のレイヤーとして、多数紹介されている次第。


◆なお、こうした具体的な読み方自体も、本書では詳しく手順が解説されています。

たとえば、上記ポイントの3番目の「要約読み」の小見出しだけ挙げるとこんな感じ。
(1)1節分・1章分を読み、その中から「要約的な1文」を探す
(2)その1文を踏まえて、ノートに30字以内で1節・1章の「まとめ」を書いてみる
(3)「まとめ」を踏まえて、章全体・本全体のまとめを140字以内で作ってみる
もちろん、これら小見出しの下に、しっかり詳しい解説がありますのでご安心を。

ちなみに上記引用部分の(3)にある「140字以内」というのはTwitterの文字制限であり、本書のまとめも「#東大読書」でつぶやくと、西岡さんがチェックしてくださるそうです。

ただ、本の「感想」ではなく「まとめ」を140字以内というのは、かなり難しい気が……!?


◆また上記ポイントの4番目の「クロス読み」、さらにはそこに登場する「パラレル読み」とは、2冊の本を同時に読み進める際に行う読書法です。

ただし当たり前ですけど、その2冊は、まったく関係がない本ではなく「共通する部分が多い『似ている』2冊」。

その辺は、類書でもよくある「読む状況」(「行きの電車と帰りの電車」等)や「目的」によって無関係な本を読む読書法や、以前、小飼 弾さんがなさっていた「二丁拳銃読み」とは違います。

具体的な2冊の選び方は、本書でも挙げられていますが、「ポジティブな目線×ネガティブな目線」「着眼点が違う」「ミクロな視点×マクロな視点」「読者ターゲットが違う」といったところ。

さらには、この「クロス読み」を発展させると、「交錯ポイント」を見つける対象は、何も今読んでいる本に限らず、小説やマンガ、ネットの記事や他人のTwitterでも良い、ということになります。

なるほど「自分と距離が近いものを足がかりにすること」によって、より理解を深めることができるのですね。


◆そして本書の後半では、「PART2 東大流『読むべき本』の探し方」と題して、選書の仕方を指南。

ただし、ページ数的には全体の1/4もないので、ほんの触り程度ですが、こちらも当ブログ的には見逃せない部分です。

さらには、章の終わりごとに、オススメ本も紹介されており、これらも要チェックかと。

何せ現役東大生さんの作品ゆえ、職務経験がない分、仕事への活かし方が述べられない点が残念でしたが、東大生がこんな読み方をしているのか、ということを知りえただけでも、本書を読む価値はありました。


今からでも東大生に追いつくために!

「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書
「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書
はじめに 偏差値35だった僕を変えてくれた「東大読書」

PART1 地頭がよくなる「東大読書」の5ステップ
STEP1 仮説作りで「読み込む力」が劇的に上がる!――東大生は「読み始める前」に考える
STEP2 取材読みで「論理の流れ」がクリアに見える――東大生は「読者」ではなく「記者」になる
STEP3 整理読みで、難しいことも「一言で説明できる」ようになる――東大生は立ち止まりながら読む
STEP4 検証読みで「多面的なものの見方」を身につける――東大生はカバンに「2冊の本」を入れている
STEP5 議論読みで本の内容を「ずっと記憶」しておける――東大生はアウトプットを重視する

PART2 東大流「読むべき本」の探し方
METHOD0 「得るものが多い本」をどう選ぶか
METHOD1 売れている本「ベストセラー」を選ぼう!
METHOD2 信頼できる人のレコメンド
METHOD3 時代を超えて読み継がれている古典
METHOD4 「今年のマイテーマ」を決める
METHOD5 「読まず嫌い」を避ける


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

社長の「まわり」の仕事術 しごとのわ
社長の「まわり」の仕事術 しごとのわ

……つい先日もセール対象となっていたのに、人気にお応えするかのように再登場!

送料を加算した中古よりも、Kindle版が700円強、お買い得となっています。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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