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2018年03月12日

【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』下園壮太


自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の朝日新聞出版さんのセール記事の中でも、以前から気になっていた1冊。

当ブログでも著作を何冊かご紹介している下園壮太さんの、ロングセラー作品です。

アマゾンの内容紹介から。
自衛隊のメンタルヘルスの教官が、「心のムリ・ムダ・ムラ」を防ぎ、バランスよく生きていく実践的方法を伝授。組織を率いるリーダーにも役立つ内容が満載。

なお、セール期限は本日限りですので、お求めになるなら今日中がお得です!





Hold the line! [Image 5 of 7] / DVIDSHUB


【ポイント】

■1.ストレスには2種類ある
 多くの人は気づいていないが、ストレスには2種類ある。私はそれを「エネルギー苦」と「不快感情の苦」と呼んでいる。
 歳を重ねて経験を積み、感情の処理がうまくなると「不快感情の苦」への対応は上手くなる。これが、ストレスに強くなっているように見える原因だ。
 ところが、歳を取ると「エネルギー苦」には当然弱くなっている。
 あるストレスフルな環境に置かれると、若者は当初はパニックに陥るが、立ち直るのも早い。一方年配の人は、当初は落ち着いているので、大丈夫かと思っていると、しばらくして、体調を崩したりうつになったりすることがある。「エネルギー苦」によるムリに陥ったのだ。
 当然、自分に自信を持っている人、これまでストレスに強かった人ほど、過去の自分との比較の罠に陥りやすい。


■2.組織に小さなムリやムダは当たり前
例えば前から15%ほどの人のレベルに合わせたとしよう。
 すると、それより能力とモチベーションのある人たちは、そのペースでは、実力を100%は発揮できない。つまり、ムダが生じる。
 それ以下の人には、ペースが速すぎて、ムリが生じる。
 組織のペースをどこに設定しても、ムリとムダは生じてしまうのだ。だから、ムリやムダをゼロにしようと思う必要はない。組織が活動すれば、そこには、ムリ・ムダ・ムラが必ず付いてくる。
 リーダーは、その時の組織目標や構成員の状態を把握し、ムリするメリットとデメリット、ムダのメリットとデメリットを総合的に考察し、ペース配分を調整し、こまめなデメリット対策をしていかなければならない。
 この時、ムリを防ぐという観点で注意しなければいけないのは、「小さなムリは当たり前だが、大きなムリはしっかり予防する」という態度だ。


■3.感情疲労を避ける3つのポイント
 ムダな感情疲労を避けるためにはどうしたらいいだろうか。
 大きく3つのポイントがある。
 1つは、感情とのつき合い方の練習。湧き上がった不要な感情をできるだけ早く鎮める手順を練習する。
 もう1つは、過剰に防衛的(被害的)な視点を緩めることだ。そのためには、視点のコントロールを練習しよう。
 3つ目は、自信をつけること。感情をうまくコントロールできるようになると、自然と自信がついてきて、社会が怖くなくなり、過剰に防衛的な視点も薄れていく。その自信を感じられるような工夫を練習しよう。

(詳細は本書を)
 

■4.怒りのダメージコントロールをする(抜粋)
●まず、距離を取る
 怒りの対象の近くにいると、怒りの感情が大きくなり続け、攻撃(口撃)してしまう。
 だから、とにかく対象から離れることが怒りの拡大、放出を防ぐ第1のダメージコントロールになる。
●呼吸、背伸びをする(体の間合いを切る)
 物理的間合いが切れたら、次の手順は、呼吸と背伸びだ。
 怒りは、体を緊張させ、力を入れさせている。その状態でいくら頭だけで冷静になろうとしても、難しい。
 まず、体をほぐすことからはじめよう。私は「体の間合いを切る」と呼んでいる。
 1つ目は、大きく呼吸すること。  できれば腹式呼吸がいい。(中略)
 次に、背伸びをする。体をひねったり、曲げたりしよう。首を回すのも効果的だ。スペースがあるなら、歩いてもいい。
 とにかく体を動かす。これが2つ目の手順だ。


■5.部下の「新型うつ」への対応
 本人は、必死でその状態から抜け出そうとしている。しかし本人がやっている行為、例えば、会社を休んでいるのにゲームセンターで遊んでいる、夜更かしをする、海外旅行に行く、ブログなどで組織の悪口を言う、などは、周囲に受け入れられない。(中略)
 本人は、周囲は自分のことをわかってくれず、自分を陥れよう、あるいは排除しようとしていると感じている。だから、必死で自分を守ろうとして、攻撃的になってしまうのだ。
 そこで、本人に対しては、まず、本人が苦しいこと、本人なりの努力をしていることを認めてあげる必要がある。一度、ゆっくり本人の話を聞いてほしい。先入観なく、「きっと、苦しいんだ」という前提で聞いてみると、本人の行動がある程度は理解できるはずだ。
 それができたら、「だったら、君の行動は君のためにならない。君の行為は、こう見える」と、説明し、「こうすれば、周囲の人の反感を買わず、逆に協力と理解を得られる」と教えてあげればいいのだ。


【感想】

◆著者の下園さんの作品は、本書が3冊目なのですが、実はその中では本書が一番先に書かれたもの。

というか、初めてこの本を読んだときに、結構衝撃を受けたのに、それに先立つ数年前に、既に本書が書かれていたのだとは……。

自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事
自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事

参考記事:【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』下園壮太(2017年07月07日)

上記の作品でも登場している「蓄積疲労の3段階モデル」は、本書でも健在(というか、こちらが先)で、当時既に、メンタルが疲労と密接な関係がある、と指摘しています。

そして、その点について特に掘り下げているのが、本書の第1章。

ここでは、「ムリ」をすることが、いかに良くないかを、順を追って解説している次第です。


◆たとえば「ムリを自覚しにくい4つの理由」と題したパートでは、「麻痺のシステム」「疲労の質」「比較によって評価する癖」「疲労による負担感の変化」の4点を列挙。

上記ポイントの1番目は、このうちの3番目の「比較によって評価する癖」からなのですが、もう1つ挙げておきたいのが、2番目の「疲労の質」です。

これは疲労には「肉体的な疲労」と「精神的な疲労」がある、というお話で、前者は分かりやすいものの、後者はだるさや頭の重さ等として「漠然としか」自覚できません。

結果、適切な対応(休息等)が取られないまま、上記の「3段階モデル」の第2段階(「別人化の始まり」)に陥ってしまうことに。

私にも記憶があるのですが、税理士試験の受験生時代に、頭が疲れているのになかなか眠れず、毎日「慢性疲労」のような状態な時期がありました。

他にも、結婚や引っ越し、異動といった「ライフイベント」の疲労も、他の疲労と重なると、心身の不調に陥る可能性がありますから要注意!

実は第3章では「ストレスの見積もり表」をつくるお話があるのですが、当然この「ライフイベント」も踏まえる必要があります。


◆続く第2章では、主に「感情面」のフォローを。

特に問題となるのが、対人関係のコミュニケーション……というわけで、下園さんはこちらの本を昨年出されており、当ブログでもご紹介していました。

自衛隊メンタル教官が教える人間関係の疲れを取る技術 (朝日新書)
自衛隊メンタル教官が教える人間関係の疲れを取る技術 (朝日新書)

参考記事:【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術』下園壮太(2017年09月19日)

この本をお読みの方はご存じだと思うのですが、とにかく「怒り」や「不安」が感情疲労につながってしまいます。

そこで上記ポイントの4番目にある「怒りのダメージコントロール」は、ぜひ身に着けたいところ。

上記では最初の2つしか挙げていませんが、全部で7項目ありますから、詳しくは本書にてご確認ください。


◆最後の第3章は「ムラ」をテーマにしているのですが、ここでは主に、感情面や活動量の安定化を目指しています。

やはり上記で触れたように、疲労の原因となる要素を、年間ベースでならすことができれば負担も減りますから、可能な限りここは意識したいな、と。

ただ、「ムラ」とは直接的に関係ないものの、この章で個人的に気になったのが、いわゆる「新型うつ」のお話です。

上記ポイントの5番目では、部下がそうなった場合の対処法について触れられているので、実際に直面している方にとっては、ご参考まで。

ここまで深刻な症状になっていないとしても、部下の「メンタルマネージメント」も考えた上で、仕事を振ってこその上司でしょう。


健全なメンタルのために読むべし!

自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)
1章 ムリしすぎて潰れないために―早め、早めに疲労をとる技術

2章 感情のムダ遣いを防ぐ―イライラや不安をとる技術

3章 ムラのある人から脱却する―心の振れ幅を小さくする技術


【関連記事】

【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術』下園壮太(2017年09月19日)

【メンタル】『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』下園壮太(2017年07月07日)

【メンタル】『堂々と逃げる技術』中島 輝(2017年05月07日)

【メンタル】『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン 「認知行動療法」入門』中島美鈴(2016年12月23日)


【編集後記】

◆昨日告知した朝日新聞出版さんのセールでは、この4冊が人気でした。

甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体 (朝日新書)
甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体 (朝日新書)

参考記事:【糖質制限】『甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体』宗田哲男(2018年02月01日)


半年だけ働く。
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参考記事:【ワーク・シフト】『半年だけ働く。』村上アシシ(2018年01月09日)


ただのサラリーマンから財布を18個まで増やしたお金のルールチェンジ
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いい空気を一瞬でつくる誰とでも会話がはずむ42の法則
いい空気を一瞬でつくる誰とでも会話がはずむ42の法則

参考記事:【コミュニケーション】『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』秀島史香(2017年03月12日)

このセールもいよいよ本日限りですから、お求めはお早めに!


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