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2018年02月05日

【生産性?】『あなたの生産性を上げる8つのアイディア』チャールズ・デュヒッグ


あなたの生産性を上げる8つのアイディア
あなたの生産性を上げる8つのアイディア


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「講談社の書籍・雑誌・写真集 50%ポイント還元キャンペーン」の中でも個人的に読みたかった1冊。

著者は『習慣の力』が当ブログでも人気だったチャールズ・デュヒッグです。

アマゾンの内容紹介から。
本書は、生産性の秘密に関する私の調査の報告であり、どうして群を抜いて生産性の高い人や企業と、生産性の低い人や企業があるのか、両者の違いは何か、という問いに対する答えである。(「はじめに」より)本書で述べたアイディアを実践すれば、チームが、組織が、そして私たちの誰もがより生産的になれる。『習慣の力』の著者が解き明かす、生産性を上げるシンプルで奥深い秘密!

現時点で中古が1100円以上しますから、セール期間内であればこのKindle版が500円以上お買い得です!





Stress vs Productivity / GDS Infographics


【ポイント】

■1.やる気を出すには、まず選択する
 これは自分から、あるいは誰かから、やる気を引き出そうとしている人にとっては有益な教訓だ。行動しようという意志の引き金を引く簡単な方法を示唆しているからだ。その方法とは、とにかくなんでもいいから選択することだ。それによって「自分をコントロールしている」という確信が得られる。大量の退屈なメールに返信しなくてはならないときは、メールボックスのちょうど真ん中のメールに返信することにすればいい。課題を与えられたときは、最初に結論を書く、あるいはまずグラフを描く。とにかくいちばん楽そうなことから始めようと決断すればいい。不愉快な部下に話をしなくてはならないときは、話をする場所をまず選ぶ。セールスの電話をかけるときは、最初に何を質問するかをまず決める。
 やる気を引き出すには、まず選択することだ。それによって、自分で自分をコントロールしているという感覚が生まれる。この自己決定感に比べたら、どんな選択をするかは大した問題ではない。私たちを駆り立てるのはこの自己決定感なのだ。


■2.頭の中に台本をつくる
 仕事上のちょっとした細部に対してもっと敏感になりたければ、会社に着いたら自分が何を見るか、何をするかについて、できるだけ具体的に想像する習慣を身につけることだ。そうすれば、現実が頭の中の物語とちょっとでも食い違うと、気がつくようになる。子どもの話をもっと上手に聞けるようになりたかったら、昨日の夕食時に子どもたちが言ったことについて、自分なりの物語を作ることだ。自分の生活を物語にすることで、さまざまな経験をより深く脳に刻むことができるようになる。集中力を高め、気が散らないようになりたければ、自分がこれから何をしようとしているかについて、頭の中でできるだけ詳細に思い描くことだ。頭の中に練り上げられた台本があれば、何が自分を待ち受けているかを知るのはそれほど難しいことではない。


■3.ストレッチゴールとスマートゴールの両方を設定する
 要するに、ストレッチゴールとスマートゴールの両方が必要なのだ。そういう名称で呼ぶ必要はないし、近いほうのゴールがスマートゴールの基準すべてを満たしているかどうかは問題ではない。大事なのは壮大な計画を立てることと、それを現実的・具体的な計画に変換するためのシステムを構築することだ。そうすれば、小さな計画が次々にToDoリストから消されていくにしたがって、どんどん課題の核心に近づいていく。何が「賢い」かを忘れずに済む。


■4.良い選択のために失敗例を知る
 良い選択ができるかどうかは、未来を予測できるかどうかにかかっている。正確な予測ができるためには、成功例と同じだけの失敗例を知らなくてはならない。(中略)
 だから、もし今度友人が出世の機会を逃したら、その理由を聞くべきだ。取引がうまくいかなかったら相手の会社に連絡して、何が悪かったのかを指摘してもらうべきだ。いやな一日を過ごし、奥さんに八つ当たりしてしまったときは、明日はすべてうまくいくさと自分に言い聞かせるだけでなく、何があったのかを徹底的に考えなくてはいけない。
 そのうえで、いちばん可能性の高い未来を予測する洞察力を用い、さまざまなことが起きる確率をできるだけたくさん思い浮かべるのだ。さまざまな未来を思い描こうとつとめ、自分のどの前提知識が確実で、どれが間違っていたのかが見えてくると、次回、より良い決断ができる確率がそれだけ高くなるのである。


■5.情報を非流暢性にする
 2014年に発表された論文で、プリンストン大学とUCLAの研究者たちは、大学の講義中に手書きでノートをとる学生と、ノートパソコンでノートをとる学生の差に着目して、学習と非流暢性の関係を研究した。手でノートをとるのは、キーボードを打つより大変で、効率も低い。長時間にわたって字を書いていると、指が痛くなってくる。書くのはタイプするよりも遅いから、そんなにたくさん記録できない。それに対してノートパソコンを使っている学生は実際に手を動かしている時間が少ないが、手書きの学生の約2倍のノートがとれる。いいかえると、手書きはタイプよりも非流暢的だ。より多くの労力を必要とし、記録できる量はより少ない。
 ところが講義の内容を覚えているかどうかのテストをしたところ、手書きの学生の成績はノートパソコンの学生の約2倍だった。


【感想】

◆前作となる『習慣の力』同様、事例として収録されたお話が、どれも魅力的な作品でした。

タイプ的にはマルコム・グラッドウェルに近い感じ。

1つのテーマに、複数のエピソードが同時に展開し、それらは一見関係なさそうなのに、結論に向けて収斂していき、最後に「なるほど」と思わせてくれる仕様です。

ただ、上記のように「ポイント」として抜き出す場合、バランス的に1つの章で2つのエピソードは扱えませんし、そもそも1つのエピソードだけでも、前後関係が分かるように抜き出したら結構な量にならざるを得ず。

結果、結論部分が中心にならざるを得ず……というか、上記では1つもエピソードが登場していませんね(ダメじゃん)。


◆具体的にどんなお話が登場するか、というと、冒頭のアマゾンのKindle版のページではなく、単行本のページにいくつか紹介されています(なぜ違うものを載せているのか疑問なのですが)。
1. 新兵の「やる気」を引き出した、ブートキャンプの改革とは?
2. グーグルが見つけた、成功するチームの「規範」とは?
3. 墜落した飛行機のコックピットで、操縦士はなぜ「注意力」を失ったのか?
4. GE社員を変えた、「ToDoリスト」の作り方とは?
5. GMの工場を効率アップさせた、「トヨタ生産方式」とは?
6. ポーカーの賞金王は、「確率論的思考」と「決断力」をどう磨いたか?
7. 「イノベーション」を加速させた『アナと雪の女王』はなぜ大ヒットしたのか?
8. 落ちこぼれ公立校を救った、「データ」の使い方とは?
これらはそれぞれ、本書の各章に対応しており、本書のタイトルにもある「8つのアイデア」を構成している次第。

どれも興味深いものでしたが、特に7番目(第7章)の『アナと雪の女王』完成の裏側には、こんな試行錯誤があったとは知りませんでした。

アナと雪の女王 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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ストーリー展開はおろか、結末がコロコロ変わっていたなんて……。


◆エピソードのお話でもう1つ言うと、上記の3番目(第3章)に登場する「エールフランス447便墜落事故」は、緊急時における対応について考えさせられました。

エールフランス447便墜落事故 - Wikipedia

もちろん、私たちが飛行機を操縦することはありえませんが、会議やプレゼン中に、想定外のこと(質問やトラブル)が起こってパニくることも考えられるワケで。

なお本書では、これに対比させる形で、「カンタス航空32便」の事故も紹介しています。

カンタス航空32便エンジン爆発事故 - Wikipedia

こちらは逆に、機長の機転によって無事着陸を果たし、「緊急事態においていかに注意力を維持するか」の模範事例として、操縦士訓練所や心理学の教室で、教材として用いられているのだとか。

その結論だけを抜き出すと、上記ポイントの2番目になるのですが、どこでどうつながるのかは、本書にてご確認を。


◆さて、こうした「8つのアイデア」が、いかに生産性を高めるか、について実践しているのが、本書の巻末にある「付録」。

ここでは著者のデュヒッグが、実際にこの「8つのアイデア」を使って、本書の執筆を行っていったかが明かされています。

たとえば、論文を読む作業に関しても
航空機に関する論文を読む作業に取りかかるとき、私は各論文の冒頭に「なぜこの論文を読まなくてはならないのか」と書きつけた。すると、バッグから論文を引っ張り出すたびに、読み始めるのが楽になった。読まなくてはならない理由をひとつふたつ書きつけるだけで、読む作業がぐんと楽になった。
とあって、実際に「読む理由がメモ書きされた論文の画像(下に和訳アリ)」が付されているという。

ぶっちゃけ、単純に本書のTIPSが知りたかったら、この付録部分だけを読むだけも良いかもしれません(ヲイ)。


◆もっとも、それでは本書の魅力が半分も味わえませんから、時間をかけてでもエピソードから読み解くのがオススメ。

単行本で354ページありますから、結構読みごたえがあります。

ちなみに、本書は注釈が一切ないのですが、実は版元さんの意向なのか、すべてWebに掲載されているんですよね……。

これがなんと84ページもあるので、普通だったら430ページ超の分厚さになっていたところ。

ただ、本書で少々残念だったのが、目次から各ページに飛べない(リンクになっていない)ことで、これはひと手間かけてでも何とかして欲しかったな、と(前から普通によむだけならいいんですが)。

いずれにせよ、「生産性向上」はビジネスパーソンにとって必須のテーマですから、気になる方はこのセール期間中にご検討いただければ、と。


より賢く、より速く、より良くなるために読むべし!

あなたの生産性を上げる8つのアイディア
あなたの生産性を上げる8つのアイディア
はじめに
第1章 やる気を引き出す
 ―ブートキャンプ改革、老人ホームの反乱と指令中枢
第2章 チームワークを築く
 ―グーグル社の心理的安全と「サタデー・ナイト・ライブ」
第3章 集中力を上げる
 ―認知のトンネル化、墜落したエールフランス機とメンタルモデルの力
第4章 目標を設定する
 ―スマートゴール、ストレッチゴールと第4次中東戦争
第5章 人を動かす
 ―リーン・アジャイル思考が解決した誘拐事件と信頼の文化
第6章 決断力を磨く
 ―ベイズの定理で未来を予測(して、ポーカーに勝つ方法)
第7章 イノベーションを加速させる
 ―アイディア・ブローカーと『アナと雪の女王』を救った創造的絶望
第8章 データを使えるようにする
 ―情報を知識に変える、市立学校の挑戦
付録―本書で述べたアイディアを実践するためのガイド


【関連記事】

【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)

【時短】『時短術大全』生産性改善会議(2017年09月08日)

【生産性】『大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法』カル・ニューポート(2016年12月13日)

【生産性向上】『自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』ちきりん(2016年11月30日)


【編集後記】

◆冒頭でもご紹介した、この『習慣の力』ですが。

習慣の力 The Power of Habit
習慣の力 The Power of Habit

版元が講談社さんということで、同じく「50%ポイント還元」となっております。

レビューが上記関連記事にもありますので、お求めの際は上記レビューをご参考ください。


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