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2018年01月04日

【日本語ラップ】『MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門』DARTHREIDER


MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門
MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日最終日となるカドカワさんの「冬のビジネス実用書フェア」の前日ランキングで、あわやTOP10入りしかかった音楽本。

昨今の「フリースタイルダンジョン」ブームのおかげか、まさかの人気ぶりに、思わず私も乗ってしまいましたw

アマゾンの内容紹介から。
乗り遅れることは許されない、日本語ラップを理解したい人のための決定版!
リズムと音に乗りながら、まるで歌詞のような即興で言葉を繰り出し韻を踏む人たち。なぜ我々は魅せられるのか? そこに秘められた歴史とは? 日本語ラップを読み解く決定版の一冊!

中古に送料を足すとほぼ定価という人気ぶりですから、今日中であればこのKindle版が600円以上お買い得となります!





NYC: Freestyle Rap Battle / eliduke


【ポイント】

◆以下、登場するアーチストが多いので敬称略で参ります

■1.シーンを席巻したKREVAスタイル
 まずは本家であるKREVAの即興ラップを見ていきましょう。彼が群を抜いていたのは「即興性のアピール」です。まず、ひとつひとつの韻を日本語として正しく発音することで聴衆に確実に言葉を届けます。さらに、たとえば相手の服装、その日の会場、天候などといった、聴衆が「いま」を共有できる情報で韻を踏んでいきます。このふたつをていねいにやることで、聴衆に「これは即興のラップである」ということがはっきりと伝わります。聴衆には審査員も含まれます。MCバトルそのものが誕生したばかりだったので、即興であることを聴衆にわからせることがそのまま勝因となったのです。


■2.ブームに流されなかった漢や般若
 漢はすでに内容を意識したリリカルなラップをしています。「ジェラシー」「ギャラリー」から「ジュラシック」と韻への意識もしっかりあるのですが、同時にかなり言葉を詰め込んでいます。ここには明らかにクレバ・スタイルと異なるラップへのアプローチが現れていて、実際のところ、ここで漢がやっているスタイルこそがいまのフリースタイルでは普通になっています。しかしこの時点では漢は敗退してしまいます。(中略)
 ともあれ、般若や漢のラップは当時まだかなりアンダーグラウンドなもので、「単に喋ってるだけじゃん」との批判もありました。実際には韻を踏んでいても聴衆がそこにまだ気づけなかっただけだったのです。般若が所属していた妄走族も、勢いまかせな見た目や態度が目立ちますが、実際には相当テクニカルなラッパーのグループでした。


■3.乖離した日本語ラップシーンとバトルシーン
 般若、鎮座DOPENESSという「既に確立された」アーティストによる優勝が続いたことによる影響の大きさは見逃せません。彼らにとってのUMB優勝は、もちろんプラスの出来事ですが、キャリアを転換させるほどの事件ではありませんでした。もともと音源にもライブにもファンがついている彼らが、特別に「バトルの王者」という冠をかぶる必要はありませんでした。
 確認になりますが、それ以前のFORKもGOCCIも「バトルの王者」としてのソロ音源をリリースしていません。結果、「バトルの王者」であることとアーティストとしての音源制作やライブは別物というイメージが強くなりました。それによって、アーティスト活動の主たる場としての日本語ラップシーンとバトルシーンの乖離が始まったのではないか? そういう意味で2009年がひとつの分岐点になったのではないでしょうか。


■4.拡大する高校生RAP選手権
 高校生RAP選手権は、その高校生の大会であるという定義上、選手が卒業していきます。これによってT-Pablowを筆頭に活躍したラッパーが選手権から去っていきました。一方で選手権自体の規模はどんどん大きくなり、恵比寿LIQUIDROOM(第3回)、赤坂BLITZ(第4回)、新木場STUDIO COAST(第5回)、ディファ有明(第6回)、東京ドームシティホール(第7回)と、どんどん大きな箱へと会場を移していきました。大阪大会となった堂島リバーフォーラム(第8回)、大阪南港ATC HALL(第9回)を経て、第10回はとうとう日本武道館へと至ります。
 この結果、最初は80人くらいだったオーディションが、最終的に800人まで膨れ上がりました。それと同時に、高校生RAP選手権を見てラップを始めたという参加者も増えてきました。そうなると、UMBのような大人のフリースタイルシーンと離れていたがゆえに免れていた問題が目につくようになります。

(詳細は本書を)


■5.異世代のヒップホップが激突するとき
 2016年度のKOKのために各地で予選が行われました。なかでも8月に渋谷HARLEMで行われた東日本予選のISSUGIとT-Pablowのバトルは、KOK予選のなかでのベストバウトであるのみならず、バトルシーン全体でも特筆に値する名バトルとなりました。ここではそれについて解説してみますが、興味がある方はYouTubeにバトルの様子をアップしているので、ぜひ検索してみてください。



【感想】

◆以上、「分かる人には分かる」ものの「知らない人には何のことやら」的なまとめでした。

本書は日本語ラップの中でも、特にMCバトル(フリースタイルバトル)にフォーカスした作品ですから、扱っている対象は「HipHop」の中のごく一部分にすぎません。

ただし、冒頭でも触れた「フリースタイルダンジョン(以下「FSD」)」ブームのおかげで、今の日本では、そのシーンこそが一番メジャーであるという状態。

この番組に登場したモンスターや挑戦者たちを知っていると、彼らの「フリースタイルダンジョン前」について、本書ではひととおり知ることができる仕様になっています(全員ではないですが)。


◆上記ポイントの1番目では、かつて「B BOY PARK(以下「BBP」)」のMCバトルで一世を風靡した、KREVAのスタイルについて言及。

私も話としては知っていましたが、当時の動画を見ると、今行われているバトルほど言葉が詰め込まれておらず、観客が理解しやすいようになっているのが分かります。



KREVAが1999〜2001に三連覇を果たしたことから、「このスタイルが正しい(強い)んだ」と、スタイルのフォロワーが激増。

上記ポイントの2番目にあるように、「FSD」でおなじみの般若や漢は、それに抗って自分のスタイルを貫くものの、敗れ去ることになります。

しかし、KREVAが出場しなかったBBP2002では、この両者で決勝が行われ、漢が優勝したのでした。




◆BBPでのMCバトルは、その翌年に判定を巡る事件が起こり、開催中止に。

代わりに始まったのが、上記ポイントの3番目にある「UMB(ULTIMATE MC BATTLE)」でした。

ULTIMATE MC BATTLE - Wikipedia

その歴代優勝者を見ると、今でも現役バリバリのラッパーが多々。

FSDでおなじみの晋平太(2010&2011二連覇)や、R-指定(2012〜2014三連覇)、さらにはCHICO CARLITOやDOTAMAの名前も見受けられます。

ただし、そこで優勝してもメジャーデビューはおろか、音源すら作られないようになった点を、著者であるDARTHREIDERは問題視。

結果、自分の存在感を発揮するためには、また別のバトルで勝つしかなく、結果的に「バトル(だけ)に特化」したMCが増えていくことにつながっていきます。


◆その代表格とも言えるのが、上記ポイントの4番目の「高校生RAP選手権」の第10回大会で優勝したじょうでしょうか。

彼は、上記ポイントの5番目にも登場するT-Pablow(第1回大会優勝者)と決勝を争い、見事勝利をおさめます。



確かにおちょくるというか、返しの上手いMCではあるものの、だからと言って音源を作ったからといって、その質が高いか否かは分からないかと。

逆に、ここで敗れたT-PablowはFSDの元モンスターとしても有名ですし、グループや客演でも作品を発表しています。



要はMCバトルは「きっかけ」であるものの、その後のアーチスト活動もしっかり行っているワケですね。


◆……と長々と書いてきましたが、私自身はどちらかというと、MCバトルよりはその裏で流れるトラックの方が好きなタイプでして(今さらw)。

もちろん、好きなラッパーもいますが、むしろトラックメイカー(プロデューサー)の方に注目してしまいます。

たとえば、今現在は売れっ子プロデューサーのBACHLOGICがBLと言う名前でトラック作りをしたこのアルバムが、私の「初めて買った日本語ラップ」だったというw

DOBERMANN
DOBERMANN

アルバム1曲目がこの曲なんですけど、15年前にこの曲聴いたときは、トラックだけなら、USメイドと遜色ないと思いましたもん(フロウは別としてw)。



MCバトルと関係ないので、この辺にしときますが、本書を読んで一番驚いたのは、同じようにトラックメイカーとしても知られるPUNPEEが、かつてバトルもやっていたと知ったことでしたw

今、ライブで場馴れしているのも、バトルで鍛えていたのなら当然かな、と思った次第です。


フリースタイルダンジョンのファンなら必読の1冊!

MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門
MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門
ダースレイダーが定義する本書のキーワード
第1章 1998‐2004
第2章 2005‐2007
第3章 2008‐2009
第4章 2010‐2015
第5章 2012‐2016
第6章 2015‐2017
あとがき
巻末注


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本原則
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読む人を選びそうですが、ネット販売をしている方なら、要チェックな1冊かと。

昨年9月に出たばかりの作品が「51%OFF」ということで、送料を加算した中古よりは、700円以上お得となっています。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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