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2017年11月04日

【投資家必読!】『生涯投資家』村上世彰


生涯投資家 (文春e-book)
生涯投資家 (文春e-book)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「秋の文春祭り」でも大人気の1冊。

あの「村上ファンド」で知られる村上世彰さんが、自らの「投資家人生」について初めて語った作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、株の世界に復帰し動向が注目されている村上氏の、最初にして最後の著書で、半生記であり、投資理念の解説書でもある。灘高―東大法―通産省を歩んだエリートがなぜ投資の世界に飛び込み、いったい何を試みたのか。投資哲学、日本企業、日本の経営者たちへの見方とは。

なお、Kindle版はもともと「24%OFF」のところに、「50%ポイント還元」が加味されますから、セール期間中であれば、Kindle版が実質900円弱お買い得となります!





The Co-operative Group votes overwhelmingly for adoption of radical new governance structure / The Co-op Group


【ポイント】

■1.投資スタイルは徹底したバリュー投資
 村上ファンドを立ち上げて、私は有名なファンドマネージャーになった。一方で私は、時代遅れの投資家なのだということもひしひしと感じる。2000年代に入ってからITブームが来て、有形資産をもたないIT企業の株価が「成長性」をもとに高く評価されているが、私には理解できない世界だ。「売上が毎年倍になっていって」とか、「今は赤字だけど、10年後には1千億円の利益を出します」という事業計画を、精査するスキルが私にはない。だから、IT企業への投資を躊躇してきた。
 私の投資は徹底したバリュー投資であり、保有している資産に比して時価総額が低い企業に投資する、という極めてシンプルなものだ。このような会社は、経営に問題を抱えていることが多々ある。その問題を株主の立場から働きかけて改善しようとすると、「ハゲタカファンド」と批判されてしまう。


■2.投資家であって経営者ではない
 投資家として、投資先の企業と株主価値向上策を議論していると、「私たちの会社の取締役になってくれないか」というオファーをいただくことが何度かあった。私が提唱する株主価値向上策に賛同してくれたということだから、嬉しい申し出だ。しかし私は、日々の事業運営について付加価値をつけられる自信はない。「株主として会社の資本政策やガバナンスについて様々な選択肢をご提案申し上げることで、一緒に企業価値向上を目指していきたい」と想いを伝え、基本的にはお断りさせていただいた。
 私は投資家であって、経営者ではない。投資家と経営者では、必要な能力や資質が全く違うと思っている。投資家は、リスクとリターンに応じて資金を出し、会社が機能しているかを外部から監視する。経営者は、投資家に対して事業計画を説明し、社内の人材や取引先などをマネジメントして最大限のリターンを出す。


■3.投資は「期待値」で判断する
 私の投資スタイルは、割安に評価されていて、リスク度合いに比して高い利益が見込めるもの、すなわち投資の「期待値」が高いものに投資をすることだ。投資判断の基本はすべて「期待値」にある。いろいろな投資案件において、きわめて冷静に分析や研究をして、自分独自の「期待値」を割り出している。たとえば、100円を投資する場合の「期待値」の計算方法は、次のようになる。
・0円になる可能性が20%、200円になる可能性が80%であれば、期待値は1.6(0×20%+2×80%=1.6)。
・0円になる可能性が50%、200円になる可能性が50%であれば、期待値は1.0。(中略)
 期待値1.0を超えないと、金銭的には投資する意味がない。この「期待値」を的確に判断できることが、投資家に重要な資質だと私は考えている。


■4.東京スタイルにおける敗因
 採決したものの、今度は集計に時間がかかり、ようやく結果が出たのは夕方の5時40分だった。その結果は、私には信じられないものだった。全ての議案で、私の提案は否決されたのだ。(中略)
 茫然とする気持ちで会場を後にし、マスコミに囲まれて取材に応じた。マスコミは日本で初めてプロキシーファイトを掲げて戦ったこと、僅差になるまで善戦したことに賛辞を送ってくれた。だが私にとってみれば、勝たなくては全く意味がない。悔しくてたまらなかった。
 負けるはずなどなかったのに、なぜ負けたのか。原因はわからなかった。2002年8月、東京スタイルの中間決算時点の株主名簿を取得してみたとき、ようやくその理由を知った。なんと、頼りにしていた外国人株主の割合が、40%から20%後半まで大幅に減っていたのだ。彼らは、プロキシーファイトが始まって東京スタイルの株価が高くなったのを見て、ここぞとばかりに株を売り払っていたらしい。私は、自分の読みの甘さを悔やむほかなかった。


■5.ニッポン放送とフジテレビのいびつな資本関係
 ニッポン放送について、本書で語らないわけにはいかない。私や、あるいはライブドアの堀江貴文氏が、いろいろな面で世間を騒がせたからではない。ニッポン放送が、上場企業としてあるべき姿とは大きく離れたところにあり、コーポレート・ガバナンスの不在が顕著な銘柄の代表格だったからだ。
 2001年当時のフジサンケイグループは、ラジオ局のニッポン放送が、グループ内で圧倒的な存在感を放つフジテレビの親会社であり、筆頭株主として3割を超える株式を保有していた。規模の小さな親会社の時価総額が保有資産を常に下回る、いびつな状況だった。簡単に言ってしまうと、現金1万円の入ったお財布を、7千円の値段で売っているようなものだ。
 上場企業が複数存在したフジサンケイグループの「おかしさ」は、子会社であるフジテレビの株式を公開するに際し、「親会社が上場していなくてはならない」という条件を満たすために、親会社のニッポン放送が自ら上場した時点で始まっていた。


【感想】

◆実はこの本、土井英司さんがメルマガで、こんな風に絶賛してらっしゃいまして。
著者の与太話を書いて、話題性だけで売れている『多動力』と比べると、100倍価値のある本。
当ブログとしては、その『多動力』もご紹介している以上、「100倍」も価値が違う、というご意見には異論を唱えたいところですが、確かに非常に得るモノがありました。

おかげでハイライトも引きまくり。

特に、ご自分で投資をされている方なら、より一層刺さる部分があったと思います。

なにせ村上さん、お父様の指導の下、投資を始めたのが小学校3年生の頃という早さ。

10年間分のお小遣い100万円を先にもらい、その半分でサッポロビール株の購入したのだそうです。

しかもそれ以降、毎日新聞で株価をチェックし、経済面の記事も読むようになったのだとか。

おまけに高校生の頃には、仕手株にも挑戦したというのですから、まさにその後の歩みも当然かもしれません。


◆ただし、大学卒業後にそのまま投資家の道に進みたかったところ、お父様の「国家というものを勉強するために、官僚になれ」というアドバイスに従い、通産省に入省。

そちらで16年過ごす間に、多くの上場企業の役員と会われたのだそうです。

その過程で分かったのが、ほとんどの人が自社の財務数値や事業計画について、明確な方針やポリシーを持っていなかったということ。

そこで村上さんは、通産省を辞めるまでの最後の3年で、コーポレート・ガバナンスの研究に時間を割きます。

コーポレート・ガバナンス - Wikipedia

ただし、官僚という立場から資本市場を変えることに限界を感じ、オリックスの宮内会長の助言のもと、通算書を辞め、のちに「村上ファンド」となる会社を設立。

その後、実際に多くの投資活動を通して、「物言う株主」という存在を広く知らしめることになります。


◆本書はとにかく、著名財界人が多数登場。

たとえば独立に際して紹介してもらったのが、マクドナルドの藤田田社長、セゾングループの堤清二会長、リクルートの江副浩正氏と、これだけでもおなか一杯なところ、小泉純一郎氏や今話題の小池百合子氏までもが「エジプトの首都カイロで行きつけだった日本食レストランのオーナーの娘さん」として名前がでてきたりします。

また村上さんより若手の経営者として、堀江貴文氏はもちろんのこと、USENの宇野康秀氏や、そのつながりでサイバーエージェントの藤田晋氏等も名を連ねることに。

堀江氏に対しては、初対面から好印象を持っていたそうで、最近の対談でもそのことに触れられてらっしゃいます。

(2ページ目)村上世彰×堀江貴文 初対談 #1「あの一言で僕は堀江を好きになったんだ」 | 文春オンライン

一方、上記でも触れられているように、藤田晋氏に関しては微妙。

「投資を受けた資金が必要な、どのような具体的な計画があるのか」と何度問いただしても、明確な答えが返ってこなかったそうです。

また、同時期にGMOの熊谷正寿氏から会社統合の誘いがあったらしく、藤田氏自身は、この本で明かしていたように、精神的にかなり参っていた模様。

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉
渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉

もっとも、サーバーエージェントの株式売却後、藤田氏が村上さんの自宅の隣に越してきたそうで、「悩み事があると家に遊びに来てワインを飲みながらクダをまいては帰っていく」仲になったとのこと。


◆また本書は、一連の騒動についても、本書は村上さんの立場から経緯を明らかにされています。

上記ポイントの4番目の東京スタイルや、ポイントの5番目のニッポン放送等々。

特に後者は、いわゆる「村上ファンド事件」としてご存知の方も多いと思います。

村上ファンド事件 - Wikipedia

ただ本書に掲載されているのは、あくまで村上さんの立場からのお話なので、ある程度は割り引いて考えた方が良いのかも。

とはいえ、本書では触れられていませんでしたが、上記Wikipediaに
また、当時の検事総長・松尾邦弘の退任の花道として村上を逮捕・起訴したかったという説もある。村上ファンドのあるメンバーは取り調べをした特捜検事から松尾の退任の花道のために捜査していると聞かされ絶句したという。
なんて話もあって、それはあんまりな気が……。


◆なお、本書は最後の方で「第7章 日本の問題点」「第8章 日本への提言」と、建設的なお話が続くのですが、それまでの章の内容が刺激的だった分、個人的にはやや流し気味(スイマセン)。

ただ、村上さんがNPOに注力されていたり、東日本大震災の際には、シンガポールから急遽帰国して、支援していた団体を通じて南三陸町で炊き出しまでされていたとは知りませんでした。
前章で述べた通り、私は、非営利団体への支援も投資だと考えている。リターンとして受け取るものが、金銭なのか、最終受益者の笑顔や「ありがとう」の言葉なのか、または社会環境の改善なのか、という形が異なるだけだ。
村上さんのことを、「金儲けの好きな悪人」的に思っている方も、本書をお読みになれば、違った印象を持つようになるかも。

もちろん、上記でも述べたように、投資をされている方なら、上記ポイントの1番目や3番目のように、参考になるお話も盛りだくさんです。


さすが土井英司さんが激プッシュしただけのことはある1冊!

生涯投資家 (文春e-book)
生涯投資家 (文春e-book)
はじめに――なぜ私は投資家になったか
第1章 何のための上場か
第2章 投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス
第3章 東京スタイルでプロキシーファイトに挑む
第4章 ニッポン放送とフジテレビ
第5章 阪神鉄道大再編計画
第6章 IT企業への投資――ベンチャーの経営者たち
第7章 日本の問題点――投資家の視点から
第8章 日本への提言
第9章 失意からの十年
おわりに


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法
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そもそも著者の前作『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』が10万部を超えていたというのも知りませんでした。

一方本書は、中古が1000円以上しますから、送料を考えると、このKindle版が600円弱お買い得です!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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