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2017年10月29日

【PRとは?】『戦略PR 社会を動かす新しい6つのルール』本田哲也


戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則
戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の対象作品となる1冊。

そろそろ月末ということで、あやうくレビューし損ねるところでした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
○なぜ、インドで洗濯洗剤「アリエール」が広まったのか?
○なぜ、「片づけの魔法」は米国でベストセラーになったのか?
○インスタグラマーは、どれだけの影響力を持っているのか?
「商品力」や「宣伝力」だけでは、もはや人は動かない。
5万部ベストセラー『戦略PR』著者の最新作!

中古があまり値下がりしていませんから、送料を加味すればKindle版が600円以上お買い得です!





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【ポイント】

■1.属性順位を転換する
 自動車の例はわかりやすいが、明らかに、「いいクルマ」に対する「社会的合意」は、10年周期ぐらいで移り変わっている。これは言葉を変えれば、「いい○○」の再定義が繰り返されているということだ。
 これを、P&Gでアリエールの除菌導入を指揮し、現在は資生堂ジャパン執行役員の音部大輔氏は、「属性順位転換」と呼んでいる。氏の言葉を借りよう。(中略)
「定義には2種類あります。まず消費者ニーズという大きな括り。これを『ドライブに行きたい!』だとしましょう。この大きな括りに対して、『では、ハイパワーで見栄えのいいクーペを!』なのか、『では、子どもたちが楽しめる広い車内空間を!』なのか、『では、家計や環境への低負荷を!』なのか。これが具体的な属性です。大きな括りを変えるのは難しいですが、この属性は変えることができる。それが、属性順位を転換するということです」


■2.規制緩和と生産性向上を目指したコンカー
 この事例は、政府を動かして規制緩和に導いた手腕も素晴らしいが、注目すべきはスマホで経費精算という新しい働き方と新市場をつくりだし、たった2年で数倍の事業規模となり、きちんと自社の成果に結びつけている点だろう。それを社員数名の小さな会社でやってのけた
 コンカーは、「年間1兆円のムダ」というわかりやすいデータを用意し、日本CFO協会などの第三者と組むことで、まずは社会問題として「いかに日本の経費精算が遅れているか」というパブリシティを最大化させた。
 さらにその露出が、経費精算に対するパーセプションを変化させる。「習慣化している事務処理のささいな話」が、「企業の生産性向上への近道」や「規制緩和の優先課題」へと変わっていった。
 その結果、ビヘイビアチェンジが起こる。政府は規制緩和に動き、企業はコンカーのシステム導入に動いたのだ。


■3.インド中の父親を動かしたP&Gの戦略PR
 これは社会的問題を取り上げることでPRにつなげる、非常にわかりやすい例だ。 「家事をしないインドのお父さん」にスポットを当てたP&Gの洗濯洗剤「Ariel (アリエール)」の 「Share The Load (シェア・ザ・ロード)」というキャンペーン。いわば、洗濯(家事負担)を夫婦でシェアしましょう、という意味である。(中略)
 この施策は、まず「インドのお父さんは家事をしない」という"おおやけ"の問題を提起しつつ、服つながりでアパレルメーカーも巻き込み、お父さんたちの意識改革を進めるとともに、女性側も「いいこと言ってくれるわ、アリエール」とブランドの好感度も上がる、という非常に良くできた王道のPRであることに注目したい。マーケティング的に見ても、この一連のキャンペーンで洗濯に目覚めたお父さんが洗濯洗剤を選ぶ際、アリエールを選びやすくなるという効果も期待できる。


■4.「事実のおすみつき」と「共感のおすみつき」
「事実のおすみつき」とは、主に専門分野の実証や実行であることが多い。事実系インフルエンサーは主に特定領域の専門家やエキスパート。サムスンの事例における自閉症の専門家がまさにこれにあたる。平たくいえば、「あの人がやるのだから間違いがない」というおすみつきだ。
 一方の「共感のおすみつき」は、心理的なフォロー効果を狙うものだ。「あの人が言うから心を動かされる」というおすみつきで、共感系インフルエンサーとしてはセレブリティやユーチューバー、最近ではインスタグラマーが相当するだろう。
 このように、どちらかといえば、PRにおける事実系インフルエンサーは発信するコンテンツの信憑性を高め、共感系インフルエンサーは発信力そのものを高める。


■5.『片づけの魔法』の米国ヒットの秘密
『片づけの魔法』のキモは、「モノを捨てる」「収納場所を決める」の2点。モノを捨てる際の判断が、必要か不必要かではなく、モノに「ときめく=スパークジョイ」か否かという基準が大人気になったという。そして「片づけをすることでマインドがリセットされて人生が変わる」という著者の信念。米国ではこれが非常にクールな新しい片づけ方として認識された。
 加えて「日本」というブランドから漂うスピリチュアル、オリエンタリズムの匂い。著者がかつて神社で巫女をしていたというエピソードと相まって、米国や英国のメディアからの取材で必ずあった質問が、神道と「片づけ」の関係についてだそうだ。モノに魂が宿っているという感覚、モノに対して「いままでありがとう」と感謝してから捨てるという、欧米人が考えたこともなかった感覚が、米国人の心に刺さったのではないか、というのが高橋氏の見立てだ。


【感想】

◆そもそも、タイトルにもある「PR」とは何か?

本書を読む前は私も勘違いしていたのですが、「自己PR」の「PR」のように、ある種の「売り込み」なのだと思っていました(具体的には新聞に取り上げてもらったり、プレスリリースを配信する等々)。

これに関して、本書で本田さんはこのように言われています。
PRとは、本来はパブリックリレーションズ(Public Relations)の略で、直訳すれば、「公的な(Public)関係性(Relations)」という意味だ。仮に企業であれば、消費者はもちろん、株主や取引先企業、従業員、メディアや専門家といった周囲の利害関係者たちと良い関係を築き、それを維持するということになる。
なるほど、知らなんだ。


◆では「PR」は具体的に何をするかというと、メディアやインフルエンサーに「情報」を提供すること。

そこから先どうなるかについては、コントロールできない反面、お金を払って宣伝してもらう広告より、信頼性は高くなります。

上記では割愛したのですが、たとえばアップリカとコンビの「2強」で日本の8割を占めるベビーカー市場に参入してきた、ピジョンの「ランフィ」の場合、その特徴は「大きなタイヤ」でした。

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……比較画像がないと分かりにくいのですが、一般的なタイヤは13.8センチのところ、ランフィは16.5センチで、段差を乗り越えやすい仕様になっています。

そこで、東京工業大学や産業技術総合研究所で調査してもらったところ、段差でつまずいたときにベビーカーにかかる衝撃は「自動車の急ブレーキの5倍」であることが判明。

その結果をまとめたところ、産経新聞に取り上げられ、また日経新聞の新製品バトルにも登場したのだそうです。

これこそまさに、上記ポイントの1番目にあるように、「軽い」「デザインがいい」から「タイヤが大きい」へという「属性順位の転換」が行われた例にほかなりませんね。


◆また、CMにおいて「PR」が活かされたのが、上記ポイントの3番目にあるP&Gのアリエールの例。

まず前提として、インドではお父さん連中は一切家事を手伝わない、というのが常識となっています。

そこで放映されたのが、「Share The Load」というキャンペーン。

第1弾では、忙しく働く奥さんに「僕の緑のシャツ、何で洗濯していないの?」と夫が言い、母親たちから顰蹙を買う物語になっています(字幕がないので何言ってるのか分かりませんがw)。



これが話題となり、SNS上でインドのお父さん約150万人が「洗濯します」と宣言したのだとか。

これを受けて、第2弾では年老いた父親が、「まだ遅くない」と自ら洗濯することに。



イメージや機能性をうたうCMとは、明らかにひと味違いますね。


◆また上記ポイントの5番目にある、近藤麻理恵さんの米国でのブレイクのいきさつは、初めて知りました。

The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing
The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing

まず、米国での発売から1週間後に、NYタイムズで1ページほどの著者インタビューが掲載されたのだそう。

これがきっかけとなり、AP通信の記事が世界各国のメディアに配信され、ウォール・ストリート・ジャーナルにも著者インタビューが載ります。

その後アマゾンでは2ヶ月ランキング1位をキープ。

結果、発売からたった5ヶ月で「世界で最も影響力のある100人」に選出されたとのこと(スゲーw)。

本書では、このいきさつを「戦略PRのフレームワーク」に沿って詳しく解説していますので、「2匹目のどじょう」を目指す方(?)は、そちらにてご確認ください。


世間を動かしたいなら要チェックな1冊!

戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則
戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則
序章 社会常識に挑み、「買う理由」をつくる戦略PR
第1章 戦略PRは空気づくり
第2章 人を動かす「社会関心のレシピ」
第3章 これが世界のPRだ
第4章 「おおやけ」の要素‐「社会性」の担保―社会課題解決をめざす「ソーシャルグッド」の潮流
第5章 「ばったり」の要素‐「偶然性」の演出―コンテンツが演出する偶発的な「セレンディピティ」
第6章 「おすみつき」の要素‐「信頼性」の確保―多様化する「インフルエンサー」の影響力
第7章 「そもそも」の要素‐「普遍性」の視座―「よくぞ言ってくれた」を引き出す本質的な価値転換
第8章 「しみじみ」の要素‐「当事者性」の醸成―「自分ゴト化」させ感情に訴えるストーリーテリング
第9章 「かけてとく」の要素‐「機知性」の発揮―PRクリエイティビティの真髄は「とんち」にある
終章 世界を動かすPR


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

べーしっ君 完全版 (立東舎)
べーしっ君 完全版 (立東舎)

私はこの『べーしっ君』というコミック自体全然知らなかったのですが、何でも本書は「過去に4冊のコミックスとして出版されていたものを1冊にまとめ、そこにコミック未収録だった“幻の作品”約100本も追加収録。結果、総数約600本の4コマ作品を収録した内容」とのこと。

中古も高くて、送料を足しても「71%OFF」のKindle版の方が800円弱ですから、当時からお好きだった方は、この機会にぜひ!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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