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2017年09月18日

【スタンフォード流?】『スタンフォードでいちばん人気の授業』佐藤智恵


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スタンフォードでいちばん人気の授業 (幻冬舎単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのも、昨日同様「幻冬舎 電本フェス」の中でも大人気だった1冊。

発売当時には土井英司さんもメルマガで取り上げていたくらいですから、その人気ぶりも納得です。

アマゾンの内容紹介から。
一生使える“自分を変えるヒント”、ビジネスに役立つ教養としての心理学、脳科学、経済学、豊富な事例や実験結果でわかりやすく解説。世界トップエリートの行動を変える“究極の講義”とは―。

中古はやや値下がり気味とはいえ、送料を考えるとKindle版が500円弱お買い得となります!





Stanford University / Sandip Bhattacharya


【ポイント】

■1.グローバル企業では自分をアピールする
 日本には「出る杭は打たれる」、中国には、「最も声の大きいアヒルから撃たれる」ということわざがある。この2つは、欧米人の間でもよく知られていて、アジア人が損をしている元凶とさえいわれている。フェファー教授は続ける。
 欧米のグローバル企業で、このことわざどおりやっていたら、必ず失敗します。文化の違いを尊重しなくていい、といっているのではありませんよ。私がいいたいのは、成功するためには、他の人との違いや自らの能力を積極的にアピールする必要がある、ということです。そうしなければ、誰の目にもとまらず、組織の中で重用されません。
 授業で私がいいたいことはただ1つ。皆さんが自分をアピールしないと、誰からも注目されず、永遠に出世することはありませんよ、ということです。


■2.今後もつきあいのある人とは「交渉」しない
 交渉術というのは、商取引で使うものです。たとえば、車を買うとき、値段の交渉をする、オプションをつけてもらえるか交渉をする。こういうときは交渉しても構いません。商取引が終わってしまえば、そこで関係は終わりだからです。
 商取引には終わりがありますが、人間関係に終わりはありません。理事長とは今後もつきあっていかなくてはならない。だから、「交渉」をしてはいけないのです。ミーティングの目的は、お互いの誤解をとくことであり、関係を悪化させることではありません。あなたが会長の私になりかわって、スタッフに指示したり、自分のオフィスのように使ったりしているということを問題に思っている、ということを伝えることは必要です。ただし、それは、今後も良好な関係を保っていくことを前提にして、伝えなくてはなりません。

(アーヴィング・グロースベック特任教授)


■3.スタンフォード流交渉術の4つのステップ
 ニール教授がスタンフォードで教えているのは、『ハーバード流交渉術』をさらに進化させた『Getting (More of) What You Want』(想定以上の結果を得られる交渉術)だ。
 ニール教授はスタンフォード流交渉術を成功させるには次の「4つのステップ」を必ず実行する必要があるという。
1 交渉すべきかどうかを算定する(ASSESS)
2 情報を集めて準備する(PREPARE)
3 相手の意見を聞く(ASK)
4 パッケージで提案する(PACKAGE)
(詳細は本書を)


■4.TED式は必ずしも模範にならない
 スタンフォード大学経営大学院のコミュニケーションの授業でもTEDトークを教材として使用することがあるが、その際には注意が必要だとシュラム氏はいう。
 TEDトークがすべてのスピーチやプレゼンの模範になる、というのは間違いだと思います。TED方式は、あくまでも、特別な場で効果を発揮するプレゼン方法なのです。
 TEDトーク方式が効果的なのは、会社の社長やCEOが記者発表会で新製品を発表するようなときです。スティーブ・ジョブズが新しいiPodを発表したときなどは、まさにTEDトークそのものだったでしょう。しかしすべてのスピーチやプレゼンをTED流にする、というのは間違いですよ。
 たとえば、動揺している社員を前に「会社が買収されます」ということを伝える場合、TED方式は有効でしょうか。革新的な製品を発表するときと同じようなスタイルで、買収を発表したら、場違いもはなはだしいですよね。


■5.目を開けたままでできる「マインドフルネス・イン・アクション」
 職場で嫌なことがあって、ストレスを感じたときには、目を開けたままでも、次の4つを実践するとよいという。
1 一回、深呼吸をする
2 ネガティブな感情を客観的に受けとめる
3 嫌なことをいう人たちも自分と同じ心や体をもつ人間だと思い、相手を思いやる
4 小さな喜びを大きくかみしめる
 要はネガティブな感情にとらわれている自分を認識した上で、うまく気分転換することが大切なのだ。ワイス氏によれば、パソコンのログインパスワードを「深呼吸」に変えたりして、怒りなどの嫌な感情を客観的に見るきっかけをつくるのも効果的だという。


【感想】

◆本書は単行本だと374ページもあるだけに、お腹いっぱいとなる1冊でした。

ただし、内容が多岐にわたっているため、上記ポイントのように5つだけサラッと抜き出してしまうと、果たして本書の魅力がお伝えできているか、少々不安です。

とにかく下記目次のとおり、全9章、それぞれ違うテーマについて言及。

著者の佐藤さんは、本書執筆のために、スタンフォードの教授・講師12名に研究内容や授業内容を取材したそうです。

そしてそのほとんどが、学内で「最優秀教授賞」を受賞した看板教授とのこと。

和訳された単著を書かれている方もいらっしゃいますから、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれません。


◆たとえば当ブログでご紹介済みの方としては、上記ポイントの1番目に登場するジェフリー・フェファー教授ですとか。

「権力」を握る人の法則
「権力」を握る人の法則

参考記事:本当は残酷な『「権力」を握る人の法則』 の話(2011年07月23日)

なお教授は、第4章で「社内政治の力学」を説いてくださっていて、これがまた結構辛辣で「目からウロコ」。

その中で日本人に「欧米企業で出世するための5つのアドバイス」をしてもらっているんですが、「昇進しなかった善人より昇進した悪人に倣え」とかあるんですよ……。

何かもう「真面目に働いていれば出世できる」みたいな話とは、違う世界のようです。


◆一方、上記ポイントの2番目は、第6章の「スタンフォード流会話術」からのもの。

ここで登場しているアーヴィング・グロースベック特任教授は、学内では「経営者の会話術」なる看板授業を持つ方なのだそうです。

確かに経営者にとっても、会話術は必須のスキル。

このポイントでも触れているように、職場の人とは「交渉」してはいけないんですな(知らなんだ)。

逆に、続くポイントの3番目では、思いっきり「交渉」が登場しており、こちらは本書の第7章「スタンフォード流交渉術」から。

上記ではボリュームの関係でサラッとしか載せていませんが、本書では個々の事例に応じて詳しく解説されています。

ちなみに、個人的に興味深かったのが、そんなに腹が立っていなくとも「戦略的に怒る」というのも、交渉術の1つである、ということ。

日本人は「感情的になったら負け」と思いがちですが、そういう「ポーズ」も含めて「交渉術」なんですね。


◆なお、上記ポイントの4番目と5番目は、それぞれ第8章の「コミュニケーション」と、第9章の「マインドフルネス」から。

ポイントの4番目ではTEDの件に触れていますが、この章自体は、むしろスピーチで使用される「5つのフォーマット」に、主にページを割いています。

……こういうのも1つだけ選ぶわけにもいかず、丸ごと割愛してしまったので、詳しくは本書にて。

同様にポイントの5番目の「マインドフルネス・イン・アクション」も、マインドフルネスのお話の一部にすぎませんから、あくまで私自身がメモしておきたかったことだとお考えください(言い訳)。


◆ところで本書は、各注記が巻末の参考文献にリンクしているのは、まぁ当然として(していないKindleもありますが)、Web上で公開されている記事に関しては、すべてリンクが張られています。

おかげでオンラインでつながっているKindle(やPC、スマホ)なら、そのままシームレスにリンク先に飛べるというありがたさ。

同じく、テレビ番組や動画もサイトやYouTubeに飛べる仕様になっています。

さらには当然(?)とはいえ、登場する企業等のウェブサイトのリンクもあり、この参考文献だけでもかなりのボリュームになっているという……。

スタンフォードの教授陣に取材した以上、いいかげんなものを作りたくなかったのかもしれませんが、ここまで作り込まれているKindleも初めて読みました。

Kindleだとページ数は分からないものの、「最後の15%がまるごと参考文献」と聞くと、そのボリュームもご理解いただけると思います。


スタンフォードの授業を垣間見れる1冊!

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スタンフォードでいちばん人気の授業 (幻冬舎単行本)
I 人間を探究する授業
 序章 自分を変えるために人間を知る
 第1章 ストーリーの力――物語は利益をもたらす
 第2章 マーケティング――人間の脳には限界がある
 第3章 イノベーション――挑戦を阻害するものは何か
 第4章 社内政治の力学――出世競争と人間の本能
 第5章 リーダーシップ――「いい話」は伝染する

II 人間力を鍛える授業
 第6章 スタンフォード流会話術―― 一流は気くばりを忘れない
 第7章 スタンフォード流交渉術――戦わない、妥協しない、損をしない
 第8章 コミュニケーション――伝えるには「戦略」がいる
 第9章 マインドフルネス――何歳になっても脳は鍛えられる


【関連記事】

【仕事術】『世界エリートの「失敗力」』佐藤智恵(2014年01月21日)

本当は残酷な『「権力」を握る人の法則』 の話(2011年07月23日)

【キャリアデザイン】『ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略マップ』ロバート・スティーヴン・ カプラン(2017年04月10日)

【オススメ!】『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル(2012年11月02日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方
アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方

今までも何度かセールで見かけたことはありますが、さすが「日替わりセール」だと「65%OFF」という激安設定。

おかげで中古が値崩れ気味でも、Kindle版が実質500円以上お得な計算です!


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