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2017年07月28日

【読書術】『死ぬほど読書』丹羽宇一郎


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死ぬほど読書 (幻冬舎新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で一番人気だった読書術本。

丹羽宇一郎さんの著作は、過去当ブログでも仕事術本を取り上げてまいりましたが、それら同様、今回の読書術本も骨太な内容でした。

アマゾンの内容紹介から。
もし、あなたがよりよく生きたいと望むなら、「世の中には知らないことが無数にある」と自覚することだ。すると知的好奇心が芽生え、人生は俄然、面白くなる。自分の無知に気づくには、本がうってつけだ。ただし、読み方にはコツがある。「これは重要だ」と思った箇所は、線を引くなり付箋を貼るなりして、最後にノートに書き写す。ここまで実践して、はじめて本が自分の血肉となる。伊藤忠商事前会長、元中国大使でビジネス界きっての読書家が、本の選び方、読み方、活かし方、楽しみ方を縦横無尽に語り尽くす。

なお、新書の発売は今日7月28日からなのですが、Kindle版は昨日から配信が開始されていたため、本日レビューできた次第です!





Reading / GoonSquadSarah


【ポイント】

■1.本を買う決め手は目次
 私が本を買う決め手とするのは、目次です。書店で本を手にしたときは、まず目次をじっくり読みます。目次を見れば、どういう内容なのか、どういう構成で展開しようとしているのかがほぼわかる。作者がどういう意図をもって、何を読者に伝えたいのか、作者の論理的思考がだいたい見える。そうやって大枠を押さえておくと、理解も早く、読むスピードも上がります。
 ですから目次は、私にとってはかなり重要です。まえがきに目を走らせることもありますが、あまり買う買わないを左右されることはない。やはり目次が決定的な材料です。


■2.本に即効性を求めない
 本を読んだときはすっきりしなかったけど、あるときストンと腑に落ちるかのごとく理解できることもあります。民主主義を理解するためにさまざまな本を読んでも、すぐにすべてが理解できるわけではありません。 (中略)
 ものごとは即効性を求めていいものと、求めても仕方のないものがあります。
 読書は、即効性を求めても意味のないものが多いのです。即効性がなく、自分なりの答えを考えて探すというところに、読書本来の醍醐味があるのだと思います。


■3.座右の書はない
 取材でたまに、「座右の書はありますか?」ということを聞かれます。しかし、私には座右の書はありません。そう答えると、あれだけ本好きを公言されているんだから、それに近いもの、たとえばとっておきの1冊みたいなものはあるでしょう、と畳み掛けられたりもするのですが、本当にないのです。
 面白い本はいくらでもあるので、もう一度読み返すことはあっても、5回も6回も繰り返し読むなどということはありません。
 面白いと感じたり、心を打たれる本でも、そのときどきで変わってきます。年齢や立場が変われば、それは当然でしょう。ですから、「座右の書」のように一生を通じて影響を受け続ける本というのは私にはないのです。


■4.不足している感情を本で補う
 人にはさまざまな感情があります。最近、私はある感情が自分に不足していることに気づきました。それは笑うことです。このところ、何かに笑うことがめっきり少なくなってしまったのです。日本の現状を見ていると、政治にしろ経済にしろ、文句をいいたくなるようなことばかり。
 文句をいいたくなるテーマは目白押しですが、笑うテーマはまったくありません。だからこそ、たまにはゲラゲラ笑いたくなるテーマが欲しい。
 読書もそれと同じで、もしあなたが真剣に姿勢を正して向き合うような堅い本ばかり読んでいるなら、ときにはリラックスして感情を解き放てるような本を読むことも大切です。
 感情はいろいろな形で発散させたほうがいい。理性ばかりを働かせていたらバランスが崩れるので、感情も動かす必要があるのです。だから、脳みそを使う読書ばかりしているようなら、ときおりリラックスさせてくれるような本を読むのはいいと思います。


■5.1つでも心に刻まれる言葉があれば、儲けもの
 本を読んでいて、あまり期待していたほどではない内容だなと思っても、1つでも、2つでも心に刻まれる言葉があれば、儲けものと思ったほうがいい。
 私の場合、そういう言葉は後でノートに書き写すのですが、それが自分の血や肉になるには時間がかかります。
 とくに人間への洞察や生き方に影響を与える言葉というものは、それを記憶しても、すぐに生かせるものではありません。
 仕事や人との付き合いのなかで体験したことが、記憶にある言葉と結びつき、初めて「こういうことなのか」と腑に落ちることもあります。それまでは単なる知識にすぎなかった言葉はそこで知恵に変わり、心のシワになるのです。


【感想】

◆徹頭徹尾、「読書」にフォーカスした作品でした。

スペースの関係で、上記ポイントは通常通りに挙げていますが、本来であれば、この倍くらい抜き出してもいいくらい。

たとえば上記ポイントの1番目は第2章の「どんな本を読めばいいのか」からなのですが、この章は当ブログの読者さんなら見逃せないお話が多々ありました。

ほかにも丹羽さんは、新聞等の「書評」はあまりあてにされていませんし、いわゆる「ベストセラー本」も「ベストセラーになっているから」という理由だけでは読まれないのだそう。

ただし芥川賞の受賞作だけは毎回読むようにしているのだとか(と言いつつ、「お笑い芸人が書いた小説や、コンビニを題材として芥川賞をとった小説」は「正直、面白いとは感じませんでした」と、具体的にdisっているのですがw)。


◆かといって、高尚な本や仕事の本だけ読めばいいのかというと、むしろ逆。

「自分で面白そうなものを見つけて読む」のが「読書の基本」とも言われてらっしゃいます。

実際、今回当然のように(?)割愛しましたが、丹羽さんは「好色本」を中学の頃から嫌というほど読まれていて、「いま、官能小説を書けといわれたら、書けるくらい」なのだとか(一応、元伊藤忠商事社長・会長ですw)。

マンガにも理解がおありで、若い頃、漫画雑誌「ガロ」を電車のなかで読んでいたら、年配の男性に「最近の若いのは漫画ばかり読んで……」と言われたこともあるのだそう。

要は、「傍から見れば雑草のような本でも、興味があればどんどん読んでいけばいい」というスタンスであり、「そんな姿勢がある限り、必ず何かを得られるはず」とのことです。


◆ただし、ただ楽しむだけの読書のみを薦めているのではなく、仕事にも活用するのは当然のこと。

たとえば問題解決するのには、論理的に考える力が必要であり、そのためには読書が「この上なく効果的」であると指摘されています。

なお、論理的と言っても、これは何も哲学書での読書を指しているのではなく、たとえ小説でも「なぜこの主人公はこういう行動を取ったのか?」「作者はこうした物語を書くことで何を伝えたかったのか?」等を考えることで、思考力は養われるはず。

さらに歴史書からも、「人間の本質」を学ぶことができる、と丹羽さんは言われています。

ちなみに、仕事ではないのですが、丹羽さんは「ほぼ理論書だけ」で、ゴルフのシングルプレーヤーになられたそうなので、伸び悩んでる方はご参考まで。


◆また第4章では、丹羽さんの「読書スタイル」についても言及されています。

まず、「本を読んでいて心に引っかかってくる箇所」については、「線を引いたり、付箋を貼ったり、余白にメモをとったり」するとのこと。

そして、そのなかから「これは重要だ」「覚えておかなくては」と思ったものは、ノートに書き写されてらっしゃいます(本書に画像アリ)。

どうも、この「手で書き写す」行為が、「頭に残る」という意味では大事なようで、Kindleのハイライト機能に全面的に頼っている私としては、耳イタイところ。

さらに「多読」と「精読」については、読み方やどんな本かによっても変わってくるので、「バランスよく読書することがいい」という言い方をされていました。


◆一方、本書を読んで少々意外だったのが、ブックガイド的な部分がなかったこと。

よくこの手の「読書術本」には、「オススメ本リスト」のようなものが、章末や巻末に掲載されていたりするものですが、本書にはありませんでした。

この辺は、上記ポイントの3番目で「座右の書はない」と、言い切ってらっしゃるくらいですから、「人それぞれ」というお考えなのかもしれません。

また、本書に限ったことではないものの、相変わらずKindleのような電子書籍についての言及もなかったので、その点も一応ご留意を。


読書好き、本好きの方なら、参考になることウケアイです!

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死ぬほど読書 (幻冬舎新書)
第1章 本に代わるものはない
第2章 どんな本を読めばいいのか
第3章 頭を使う読書の効用
第4章 本を読まない日はない
第5章 読書の真価は生き方に表れる
第6章 本の底力


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【編集後記】

◆本日からこんなセールが始まっている模様!



Amazon.co.jp: 【50%OFF】 ゴマブックス上半期感謝セール (8/10まで): Kindleストア

期限は8月10日までと、まだ余裕はあるんですけど、Kindle Unlimitedがかなり多いので、記事にすべきか迷うところです。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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