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2017年07月21日

【サッカー×数学?】『サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」〜』デイヴィッド・サンプター


サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」〜
サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」〜


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「光文社セール」の中でも、個人的に気になっていた1冊。

もともと先月の未読本記事の時点で注目していたくらいなので、セール対象と知り、当然ゲットいたしました。

アマゾンの内容紹介から。
バルセロナのフォーメーションはなぜ数学的に美しいのか。イブラヒモビッチのオーバーヘッドは何が凄い?勝ち点はどうして3なのか?数学者はブックメーカー(賭け屋)に勝てるか?etc.サッカーのあらゆる「数学的パターン」を発見・分析し、プレイと観戦に新たな視点を与える話題作。香川、岡崎の動きを分析した日本版特別序文も収録!

なお、中古にはプレミアが付いているのに、Kindle版は「20%OFF」&「50%ポイント還元」のコンボですから、1100円以上お得な計算です!





Barca 6 - PSG 1; Miercoles 8 de marzo de 2017 / Hugo Perez Marsol


【ポイント】

■1.サッカーと数学の関係
 数学はサッカーのさまざまな疑問に答えられる。チャンピオンズリーグ決勝の終了間際に2ゴールが決まる確率は? マンチェスター・ユナイテッドのファンがどう言おうと、これは純粋なランダム性の問題だ。なぜバルセロナの「ティキ・タカ」パスはあれほど効果的なのか? それは幾何学や動力学の問題だ。なぜリーグ戦の勝ち点は3なのか? それはゲーム理論やインセンティブの問題だ。メッシとロナウド、どちらのほうが名選手か? それは巨大な統計的偏差の問題だ。ヒートマップやパス・データは試合の何を物語るのか? それはビッグデータやネットワーク化されたシステムの問題だ。なぜブックメーカー(賭け屋)はあれほど魅力的なオッズを提示できるのか? それは確率と心理学の組み合わせの問題だ。そして、なぜギャンブルで勝つのは難しいのか? それは集合知と平均の問題だ。


■2.バルセロナのフォーメーションの「三角形分割」
 バルセロナの4 - 3 - 3のゾーン・マップとパス・ネットワークが、似たような美しい対称性を持つのは偶然ではない。数学的な必然なのだ。チームが大きな角度を持つ三角形のネットワークをつくると、各選手ごとに十分なプレイ・スペースを持つゾーンへと分割される。同じように、各選手が明確に定められたスペースを占めれば、大きな角度を持つ三角形のネットワークが形成される。この点はきわめて重要だ。一方の問題を解決できれば、もう一方の問題も自然と解決されるからだ。チームが十分なスペースをカバーすれば、選手のパスのチャンスは増えることになるし、選手がパスを受け取ろうと動けば、スペースを生み出すことになる。つまり、選手はチームメイトとの角度をちくいち計算する必要などない。ボールを受けてパスを出すのに十分なスペースをつくることだけに専念すればいいのだ。


■3.サッカーを面白くした勝ち点3の魔法
 勝ち点2の場合、あなたのチームは常に守備的戦略を選ぶほうが得策だ。アーセナルが攻撃に回った場合、あなたのチームは守備的戦略を選ぶと期待値が0.84から0.92に上昇する。ベンゲルが守備的戦略を選ぶと、あなたのチームの期待値は0.96と最高になる。しかし、ベンゲルのような戦術家がこういう初歩的ミスを犯すことはまずありえない。(中略)
 勝ち点3になると状況は変わる。表6.3は戦略別の期待値を示したもので、今回は勝つ確率に3を掛けてある。こんどは、攻撃すれば1.16点の勝ち点が期待でき、守備のときの108点よりも大きくなる。ベンゲルの戦略は変更なしだ。アーセナルのほうが強いとわかっていても、守りに回ってはいけない。長い目で見れば負ける試合は増えるが、勝つ試合も増え、全体的な獲得点も増える。勝ち点3の制度によって期待される勝ち点のパイが大きくなり、より攻撃的なサッカーが繰り広げられるようになるのだ。


■4.カウンタープレスの「6秒ルール」
カウンタープレスの場合、まず選手は相手チームにボールが渡ってから約2.3秒以内にプレッシャーをかける必要があると判明した。さらに、2人目の選手が5.5秒以内にボールを持つ選手にプレッシャーをかける必要がある。この2人体制のプレッシングをかけられると、ボールを持ったばかりの選手は困惑し、引き返さざるをえなくなる。
 ペップ・グアルディオラ監督はこの原則を6秒ルールと呼んだ。ポール・パワーのデータ分析はそれを裏づけ、いっそう精度を磨いている。話によると、グアルディオラは練習中に時間を計測し、選手が6秒以内にボールを取り返せるかどうかを確かめたという。ポールの研究は、監督が2つの時点でストップウォッチを設定しなければならないことを示唆している。1人目の選手は2秒半以内、2人目の選手は5秒半以内にプレッシングをかける必要があるのだ。


■5.ミドルシュートは確率が低い
 ゴールの発生地点のモデルを作成するのは簡単だ。ピッチをいくつかのゾーンに分割し、各ゾーンからシュートが決まる確率を調べればいい。たとえば、ゴール・エリア、ペナルティ・エリア(ゴール・エリアを除く部分)、ペナルティ・エリア外を3つのゾーンとして定義し、各ゾーンからのシュート数とゴール数を計測することができる。試しに、過去のシーズンのシュート数とゴール数を調べてみると、先ほどの3つのゾーンからシュートが決まる確率は、それぞれ32.2%、12.4%、3.4%だ。
 3つ目の数値には驚かされた。この数値を見る前は、ストライカーがペナルティ・エリア付近まで来るたびに立ち上がり、「シュートしろ!」と叫んでいたが、そんなことはもうやめる。成功率3.4%には興ざめだ。平均すると、ペナルティ・エリア外から打たれたシュートは約30本に1本しか決まらない計算になる。フォワードがあと数メートルだけでも前進できれば、ゴール率は3倍に増えるのだ。


【感想】

◆サッカー好きにとっては、色々と学びの多い1冊でした。

「だいたいどういうことが書いてあるか」については、上記ポイントの1番目にかなりまとめて書いてありますが、結論だけ言われてもよく分からないかと。

それゆえ下記目次にもあるように、第1章から第13章までの各章にて、個々の論点について解説されている次第です。

たとえば上記ポイントの2番目は、第2章の「バルサと粘菌の隠れた共通点」から。

粘菌は「空間を三角形で埋め尽くす」性質があるそうなのですが、これはバルサも同様です。

本書では具体的なフォーメーション図も掲載されていますので、そちらをご覧いただければ、と。

さらに、バルサの実際の試合でのゴールシーンの解説もあったのですが、YouTubeに動画がなかったので、こちらも割愛。


◆なお、本書の13の章は、3つのパートに分かれており、上記のバルサのお話は、文字通りパート1の「ピッチから」。

一方、上記ポイントの3番目の勝ち点のお話は、パート2の「ベンチから」になります。

そもそもサッカーは昔、勝ち点は2で、引き分けだと1点ずつでしたから、各試合ごとの合計は常に2点でした。

しかし、勝ち点を3にすることで、勝つことへのインセンティブが高まり、それは弱小チームでも同様、というお話が、このポイントの3番目で述べられている次第。

一応この前提は、自分のチームが弱小で、強豪であるアーセナルと戦う場合、お互いが攻撃的に振る舞うと、「勝ち:32% 引き分け:20% 負け:48%」となるというものです。

これがどちらかが守備的になると、勝ち負けが半分になり、その分引き分けが増えて「勝ち:16% 引き分け:60% 負け:24%」になると仮定(両方が守備的だと、さらに勝ち負けの確率が半分に)。

この設定で、勝ち点2のケースと勝ち点3のケースをそれぞれ試算すると、この上記ポイントの3番目にあるように、「勝ち点3ならば攻撃的に行った方が得」となるワケです。


◆ちなみにこの結果は、自チームとアーセナルとの勝ち負けの確率の設定に左右されるのは当然であり、実は「チームの負ける確率が、勝つ確率の2倍以上」であるなら、守った方が得。

つまりスーパースターを抱えるチームとやるような場合ならば、たとえ勝ち点が3であっても「引き分け狙い」が妥当な戦略となります。

本書はこれをシミュレーション・プログラムで実現。

全20チームに「1〜100の戦力スコア」を割り当て、それぞれに「常に攻撃」、「常に守備」、「相手チームの勝つ確率が高ければ守備、そうでなければ攻撃」、「相手チームの勝つ確率が2倍未満なら攻撃、そうでなければ守備」のいずれかの戦略を与えた上で、2回ずつの総当たり戦を行います。

さらにシーズン終了後、下位6チームを別の6チームに入れ替え、新チームにはシーズンの上位6チームと同じ戦略を与えて、これを20シーズン繰り返すとどうなるか?……については、本書にてご確認を。


◆一方最後のパートでは、「観客席から」と題して、拍手やウェーブの発生についてにも言及。

ただ、それより興味深かったのが、第12章からのサッカー賭博について。

せっかくサッカーを数学的に扱うのですから、そりゃ賭けなきゃイカンでしょう、ということで、著者は自腹(本書の印税の前払い金w)でブックメーカーに挑戦します。

いくつかの選択すべき戦略が提示されており、それぞれ根拠はありそうな?

毎週結果が出て、その途中途中において、パフォーマンスの悪い戦略を除いていきます。

そして最終的に選ばれた戦略とは?(ネタバレ自重)


サッカーを見る目が新しくなることウケアイです!

サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」〜
サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」〜
日本語版に寄せて
キックオフ――数学をサッカーに役立てる
パート1 ピッチから
 第1章 数学でサッカーの試合結果を予測できるか?
 第2章 バルサと粘菌の隠れた共通点
 第3章 パスの「流れ」を科学する
 第4章 統計だけが知っている選手の本当のすごさ
 第5章 イブラヒモビッチのロケット科学
パート2 ベンチから
 第6章 サッカーを劇的に面白くした勝ち点3の魔法
 第7章 戦術マップが暴くチームの個性
 第8章 部分の総和を上回る超チーム力
 第9章 「動き」の世界を数学する
パート3 観客席から
 第10章 君は1人じゃない――群集の科学
 第11章 みんなの意見は本当に正しい?
 第12章 自腹でブックメーカーに挑んでみた
 第13章 挑戦の結果はいかに
終了のホイッスル――人生に数学的思考を


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【オススメ】『競争優位で勝つ統計学---わずかな差を大きな勝利に変える方法』ジェフリー・マー(2012年05月04日)

すぐに使える『ヤバい統計学』テクニック7選(2011年03月05日)


【編集後記】

◆今回の「光文社セール」でのめぼしいサッカー関連本は本書くらいなのですが、カドカワさんのセールでは、こんなものもあります。

指揮官の流儀 直球リーダー論 (角川学芸出版単行本)
指揮官の流儀 直球リーダー論 (角川学芸出版単行本)

アスリートの科学 身体に秘められた能力 (角川ソフィア文庫)
アスリートの科学 身体に秘められた能力 (角川ソフィア文庫)

ワイルド・フットボール サッカー界の暴れん坊たち ワイルドフットボール (中経☆コミックス)
ワイルド・フットボール サッカー界の暴れん坊たち ワイルドフットボール (中経☆コミックス)

最後のはアレですが、いずれも送料を足した中古よりはお得なので、ご検討を!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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