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2017年05月05日

【成毛流】『この自伝・評伝がすごい!』成毛 眞


この自伝・評伝がすごい!
この自伝・評伝がすごい!



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった、成毛 眞さんの最新作。

成毛さんと言えば、つい先日グルメ本をレビューしたばかりなのですが、今度は「自伝・評伝本」のブックガイドであります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
今、最強の偉人伝はこれだ!
AI時代のいまこそ、偉人たちの人間力を読み直してみよう。
書評サイトHONZ代表・成毛眞による待望の書き下ろし最新書評集。(中略)
偉人たちの自伝・評伝を、当代一流のキュレーターが選び抜く!
教養を身につけるためにも、日々の実戦にも役に立てるためにも選び抜かれた17人。

なお、お値段あまり変わりませんが、Kindle版のご用意もあります!





Churchill / Mihnea Maftei


【ポイント】

■1.革新力:安藤百福

転んでもただでは起きるな!  - 定本・安藤百福 (中公文庫)
「私はラーメンを売っているのではない、お客様に時間を提供しているのだ」
 これがインスタントラーメンの成功の理由である。安藤は闇市でラーメンの魅力を感じたが、決してラーメン屋はやらなかった。安藤は高度成長期、生活が便利になるにつれて更新されていく需要を的確に把握していた。闇市で感じたラーメンの魅力と時代性を組み合わせて生まれたのが、インスタントラーメンなのだ。


■2.金策力:山中伸弥

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)
 山中の理念を分析すれば「研究をするためには金が必要で、金を集めるためには誰もが納得する目的が必要」という順番になる。この目的として「すべては1日も早い医療応用のために=人の命を救うため」というのはうってつけということなのだ。これには誰も反論できない。先ほど「山中は表面的には、自身の研究が役に立つと言っているのである」と書いたが「表面的には」としたのはこういった事情からである。表面的には「人の命を救うため」としながら、山中の動力はあくまで表面的な目的ではないのだ。


■3.喧嘩力:中村修二

負けてたまるか!  青色発光ダイオード発明者の言い分 (朝日選書)
「負けてたまるか!」。これが中村の原動力であり、本書で私が指摘する中村の才能だ。まず、読者にはくれぐれも「青色LED(青色発光ダイオード)」を発明したことが、中村の特別さではない、ということを認識していただきたい。中村の特別なところは「『研究のためには喧嘩も辞さず』ではなく『喧嘩のためには研究も辞さず』」という基本姿勢にある。あくまで「喧嘩」が先なのだ。


■4.人脈力:田中角栄

天才
 どのようにして田中が人をひきつけ、人脈の山を築いたのか。「天才」という本にはその鉱脈が記されている。本書には「選挙というのはいろいろな人間に出会わせてくれる」という一節がある。表面的にはいろいろなことは言うだろうが、選挙が好きな政治家がいるだろうか。ここで田中に驚愕するのは選挙を人と出会う場と考えているところだ。おそらく政治家が100人いれば、100人が選挙は勝たなければ意味がない、というだろう。ただ田中は違う。勝とうが負けようが、いろいろな人と出会うことができると言っているのだ。つまり選挙を勝ち負けで考えていない。


■5.貴族力:ウィンストン・チャーチル

危機の指導者チャーチル (新潮選書)
 チャーチルは戦時において名声を得たが、この原動力になった才能が庶民の気持ちが分からない貴族力である。例えばチャーチルは、ドイツに暗号解析が成功したことを勘づかれないために、その作戦内容を知りながらロンドンの空襲を眺めていた。逃げ惑う自国民を見殺しにしたのである。つまりチャーチルは、国民を勝たせるために戦争をしたのではなく、国を勝たせるためにその才能を発揮したのだ。これが「人を人と思わない能力」、貴族力だ。チャーチルは何か決断するときに、いろいろな人間の顔が浮かぶタイプではない。国が勝っためなら、国民が死ぬのはかまわないのである。


【感想】

◆冒頭でも申し上げたように、本書は成毛さん選書による「自伝・評伝本」縛りのブックガイドです。

下記目次では長くなるので割愛しましたが、登場する20人(内容紹介では「17人」となっていますが、実際には20人います)は以下のとおり。
●すごいビジネスマン
イーロン・マスク、小倉昌男、安藤百福、土光敏夫、ビル・ゲイツ

●すごい学者
S・ラマヌジャン、山中伸弥、中村修二

●すごいアーティスト・スポーツマン
岡崎慎司、桂米朝、十八代目・中村勘三郎、タモリ

●すごい政治家
田中角栄、小泉純一郎、安部晋三、ウィンストン・チャーチル、リチャード・ニクソン、

●すごい歴史上の人物
保科正之、徳川綱吉、横井小楠
これらの人物に関して、本人が書いた「自伝」か、他の人が書いた「評伝」を成毛さんが取り上げ、その本に沿った形で、それぞれの人物を評する、という仕様。

ただ、中には「それ、自伝でも評伝でもなくね?」とツッコミたくなるような、こんな本も含まれているのですが。

成功者の地頭力パズル
成功者の地頭力パズル


ちなみにこの本で成毛さんは、ビル・ゲイツについて言及。

というのも、今まで散々成毛さんはビル・ゲイツについて書いてきており、「読者が想定できるビルの能力についてふれても、今さら意味がない」という理由からこの本を選んだのだそう(詳細は本書を)。


◆また、この20人は目次や上記引用部分にもあるように、5つの分野に分類されています。

本来なら1つの分野から1人ずつ選ぶのがスジかもしれませんが、あえてそれを無視して5人選んだところ、このようなセレクトになった次第。

しかも、人数が少ない「学者」から2人選んでいるにもかかわらず、実は本書を読んで一番「スゲー!」と思ったのは、残り1人であるS・ラマヌジャンでした。

なんでもこの映画が、彼の生涯を描いたものらしく。

奇蹟がくれた数式 [DVD]
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YouTubeに予告編も上がっていますね。



本書では「S・ラマヌジャンの何がどうすごいのか」を成毛さんが解説してくれていますから、ぜひこちらもお読みいただきたく。


◆同様に政治家も2人選んでいますが、残り3人も小泉さん、安倍さん、ニクソン元大統領ですから、「濃い」ことはお墨付き。

小泉さんと安倍さんはさておき、ニクソン元大統領は「任期途中で辞任した唯一の大統領」という認識くらいしか、私も持っていませんでした。

しかし成毛さんは、「手放しで称賛するつもりはない」と前置きしながらも、「ただ、アメリカの大統領の中で誰が一番か、と問われれば、それはニクソンになる、ということだ」と言われています。

ただ、選んだ本がこちらだったので、少々選びにくかったと言いますか……。

大統領でたどるアメリカの歴史 (岩波ジュニア新書)
大統領でたどるアメリカの歴史 (岩波ジュニア新書)


というわけで、成毛さんがどこをどう評価されたかは、本書にてご確認を。


◆逆に丸ごと割愛してしまったのが、「アーティスト・スポーツマン」と「歴史上の人物」です。

後者は「成毛さんらしい」シブい(?)セレクトですし、また徳川綱吉といえば、「生類憐みの令」くらいしか私は知りませんでしたが、より深く人となりを学ぶことができました。

ただ、前者は少々微妙というか、サッカーはあまりお詳しくないのか、岡崎選手の本のパートでは、成毛さんにしては「本の受け売り」感が漂っている気が。

また、タモリさんのパートでは、アマゾンレビューで酷評されている「某作品」を推されているんですよね……。

一応私もこの本を読んでいるのですが、私だったら、ちょっと人には薦められないかな、と。

……もっとも、その辺の「逆張り力」(?)も成毛さんの魅力と言うか、見習いたいところの1つなんですが。


「すごい人」の「すごい本」をまとめて学べる1冊!

この自伝・評伝がすごい!
この自伝・評伝がすごい!

すごいビジネスマン
すごい学者
すごいアーティスト・スポーツマン
すごい政治家
すごい歴史上の人物


【関連記事】

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【ジョブズ論】『成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈』(2012年02月27日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

岡崎慎司 カラダ覚醒メソッド (学研スポーツブックス)
岡崎慎司 カラダ覚醒メソッド (学研スポーツブックス)


なんという偶然か、たまたま本文で触れていた岡崎選手が、こちらにも登場し、しかも「69%OFF」という激安設定でのご提供。

監修が、岡崎選手の走りを変えたと言われている杉本龍勇さん(先日「情熱大陸」にも出られた模様)ですから、ガチな内容だと思います。

ただし、DVD映像はついていないので、こちらで中身を確認して、良かったら書籍版を買うのがよろしいかと。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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