スポンサーリンク

2017年05月01日

【教養】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』佐藤 優


牙を研げ 会社を生き抜くための教養 (講談社現代新書)
牙を研げ 会社を生き抜くための教養 (講談社現代新書)



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて大人気だった1冊。

おなじみ佐藤 優さんが、「『直接に』役立つ教養本」と銘打って書かれた作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
胃袋がちぎれるような毎日を送る企業人必読!
〈知の巨人〉が、ビジネスパーソンに送る、知力と人間力を高める驚きの講義!

なお、新書とあまりお値段変わりませんが、Kindle版のご用意もあります!





Startup, Group, Meeting - Credits to https://costculator.com/ / FootMassagez


【ポイント】

■1.上司の心を忖度する
 命令を出した上司が想定していなかったようなことは、現代の企業のなかにおいても起きます。上司に指示を仰いでいる時間はないし、連絡の方法もない。そうしたら、上司は何を考えているかを忖度して、その上司の考えに反さない範囲において、指示されたことではなくて現状に応じて与えられた任務を遂行する。状況によっては命令と違うことをやるけれども、大枠では上司だったらこの変化にどう対応するかを自分で判断してやればいい。これが独断専行であって、下克上とは違います。
 だから、独断専行というのは組織にとって命ともいうべきものです。中間管理職でも、もし上司になったらどういう行動を取るかという発想をつねに持ってやれるかというのはとても重要です。独断専行ができないようなら、指示待ち人間とみなされます。ただ、上司の考えに反することをしたらいけない。そこで「うまくやる」ということが重要になってきます。


■2.一握りの成功者しか子どもを大学に入れられない
 アメリカは少子高齢化と関係ないように見えるかもしれませんが、子どもをたくさん産んでいるのはアメリカの貧困層です。高等教育を受けている、特に中産階級上層部の若者はいま、子どもをつくることを断念しています。
 子どもを食べさせることはできる。高校まで進学させることはできる。しかしその先、大学に上げられないのがはっきりしている。アメリカの場合は受けてきた教育と収入がそのまま比例します。そうすると、子どもをつくっても、アメリカ社会の最底辺部で自分の子どもが生きていくことになるのではないかと恐れます。
 しかし、アメリカの大学はそれでも困りません。世界中のお金を持っている連中が自分の子どもをどんどんアメリカに送ってくるからです。現在のその代表が中国です。
 日本は現在、このアメリカ型のモデルを踏襲しています。日本でも、アメリカほど劇的ではないにしても、同じようなことが起きつつあるのです。


■3.外交は力と力の均衡線で決まる
 結局、外交というのは力と力の均衡線で決まります。その力と力の変動が起きるとどうなるか。これは物理の法則です。境界線の引き直しがおこなわれる。だからどちらかの国の力が強くなってきたという背景がないと、領土国境紛争は起きません。
 竹島問題が深刻になっているのは、日韓基本条約を1965年に結んだ時点とくらべると韓国の国力が圧倒的について、日本の国力が相対的に弱くなっているからです。
 尖閣諸島問題で中国があれだけの挑発活動をできるようになったのは、国交正常化をし、日中平和友好条約を締結した1970年代とくらべて中国の国力が圧倒的について、日本が相対的に弱くなっているからです。絶対的には日本も強くなっていますし、絶対的な国力はまだ日本のほうがある。しかし、相対的な力関係が変わってきたということです。


■4.教養や趣味では語学は身につかない
 最近、イスラムに注目が集まっているから、アラビア語を勉強しよう。だから教養としてアラビア語を知りたいというケースもあります。しかし、これはまずうまくいきません。教養を身につけるといった程度の弱い動機では、アラビア語のような複雑な言葉をものにできるはずがありません。これは天井がない。つまり、きわめて弱い動機で天井がないものというのは、身にならないのです。(中略)
 例えば仕事で、ある言語をやらなければならないとします。そうしたら、英検に相当するような試験があるかどうか探して、自分にあった級をめざす、つまり天井があるところに押し込んでいったほうがいい。その天井をクリアしたところで、天井がない方向に移行させていくという、たぶんこういう考え方になるでしょうね。
 このことからもわかるように、教養のための語学や、趣味の語学はやめたほうがいいです。語学はそう簡単に身につきません。語学の勉強は身につかなければ、単なる時間の無駄です。


■5.上司とは正論でぶつからない
 組織で生き残るコツは、中間管理職だったら、上司については、絶対に逆らってはいけないということです。コンプライアンス上でよほどひどいことがあって上司に逆らったとして、一度はそこで勝つけれども、組織というのは上の味方です。遠からず人事異動でひどいところに飛ばされているのは、例外なくそうです。
 しかし、上司は選べません。では、パワハラ上司、セクハラ上司がいたらどうするか。それは、斜め上に友達をつくっておくといい。自分のラインのところじゃなくて、ほかの部署など、あるいは、ほかの会社でもいいですが、かつて一緒に仕事をして、個人的に信頼していて、偉くなっている人間と関係を築いておくといい。
 そういった、斜め上の関係にある人に、こういう深刻な問題があると相談すればいい。そうしたら、あなたに迷惑をかけない、あなたには災いが及ばないかたちで解決してくれる可能性が出てくる。


【感想】

◆本書はアマゾンの内容紹介等でもまったく触れられていないのですが、どうも実際に行われた講座を収録した形式となっています。

謝辞のところで唯一「本書の基となった講談社の早朝講座を熱心に聴講してくださった受講生のみなさんにも深く感謝します。とあって、やっとこの講座らしいことが分かったという。

佐藤優「社会人のための使える教養」講談社早朝講座 | Peatix

もっとも、対話形式の部分はほとんどなく、その辺はあまり気にしなくても良さげ。

むしろ、関係書籍からの引用が結構多用されており、それらの本のブックガイド的な要素も含まれています。

たとえば上記ポイントの1番目の「独断専行」のお話は、この本からでした。

作戦要務令
作戦要務令


……高すぎて、とても手が出ないんですが(Kindle化熱望!)。


◆ただし、タイトルには「社会人のための使える教養」とありますが、当ブログで今まで取り扱ってきた「実用書」の「使える」とは、少々色合いが異なります。

というか、「ビジネススキル本」「仕事術本」の「使える」を期待されると、ちと困るというか。

佐藤さんは従来「間接に」役立つテーマとして「哲学、神学、マルクス経済学、歴史学」等の本を出されてきましたから、それらと比べたら、上記の「独断専行」は十分使えますが、第2章では丸々1つの章を費やして「宗教」を解説。

また第4章は「地政学」ですし、第6章は「日本近現代史」となっています。

もちろん、こういう「教養」があるのとないのとでは、ビジネスにおいても打つ手が変わってくるのかもしれませんが、とりあえず明日明後日に役立つお話ではありませんでした。


◆そこで「渡りに船」的に頼りにしてしまったのが、「おわりに」である「体験的読書術」のパート。

実は上記ポイントの4番目と5番目はここからになります。

特に4番目の方の語学のお話は、改めて私が英語を勉強してもムダらしいことが理解できました。

ちなみに、ここで言っている「天井」とは、「ここまでやれば十分だといえる基準」のこと。

この「おわりに」では、ほかにも電子書籍との付き合い方や、読書のアウトプットの方法等にも触れられていますから、立ち読みされる際には、後ろからがよろしいと思います。


◆ただ、そういうお話が中心なら、以前ご紹介したこの本の方がテーマに沿っていると思うワタクシ。

僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意
僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意


参考記事:【オススメ!】『僕らが毎日やっている最強の読み方』池上 彰,佐藤 優(2016年12月16日)

この本に比べると本書は、政治面やら宗教面が表に出ており、それはそれで本来の「佐藤さんらしさ」とも言えるのですが、その分ちとクセがある感じです。

ゆえに本書は、目先のリターンにこだわらず、じっくり「教養」を身につけようと思われている方にオススメしたく。


会社生活を充実させるために!

牙を研げ 会社を生き抜くための教養 (講談社現代新書)
牙を研げ 会社を生き抜くための教養 (講談社現代新書)

第1章 中間管理職のための仕事術―独断専行の研究
第2章 ビジネスパーソンのための宗教入門―国際社会を動かす論理を体得する
第3章 論理力を鍛える―論理的思考法の身につけ方
第4章 教養としての地政学―国際ニュースの読み方
第5章 貧困と資本主義―商品社会のカラクリ
第6章 ビジネスパーソンのための日本近現代史―なぜ学び直さなくてはならないのか
第7章 武器としての数学―組織力を高めるために
おわりに 体験的読書術


【関連記事】

【オススメ!】『僕らが毎日やっている最強の読み方』池上 彰,佐藤 優(2016年12月16日)

【知的生産】『人たらしの流儀』佐藤 優(2011年06月28日)

【教養】『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』出口治明(2014年06月06日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術
すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術


こちらはまさに当ブログ向きの1冊。

かなり値崩れしていて中古の方がお買い得なのですが、「67%OFF」という激安設定のおかげで、ワンコイン以下でお求めいただけます!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:00
TrackBack(0)ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/52252970