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2017年04月04日

【数学的?】『数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方』深沢真太郎


数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方 (幻冬舎新書)
数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方 (幻冬舎新書)



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた「数字本」。

著者の深沢真太郎さんの作品は、今まで散々Kindleセールで取り上げてきたのですが、実はレビューするのは初めてというw

アマゾンの内容紹介から一部引用。
これからは文系ビジネスパーソンにも、数学的スキルが不可欠だ。といっても、数式の勉強が必要なのではない。大事なのはコミュニケーション、物事を数字で把握し、論理的に伝えられるようになろう。「見積もりは?」と聞かれたら、「〇円くらいです」と概算して即答する。「今後の成長市場はここ」と、販売データを一目瞭然のグラフに加工してプレゼンする。「定義づけ」と「三段論法」で、ムダなく明快に説明してNOと言わせない等々――数字の苦手な人でも飛躍的な成果を上げられるノウハウを開陳!

なお、私はKindle版で読んだので、「電子版特典」である「伝わる文章の書き方」もゲットしました!





testability-bubbles-overview / JAWspeak


【ポイント】

■1.ざっくり概算する
 別のケースで考えてみましょう。あなたがビジネス書の編集者だとします。100万部売れるベストセラーを狙うとしたら、どんなテーマを企画しますか。
 たとえば女性営業職のための自己啓発本を企画したとして、そもそも女性の営業職は日本に何名いるでしょうか。
 ざっくりですが日本の労働人口を人口のおよそ半数である6000万人、そのうち女性は50%、仮にそのうち営業職は10%程度としましょう。日常的にビジネス書を購入する人が(多く見積もって)10%いたとしても、
6,000万人×0.5×0.1×0.1=30万人
です。
 どう考えても、この企画で100万部は厳しい。つまり、あなたは「女性営業職のための自己啓発本」は企画してはいけないということになります。


■2.セミナーの満足度と各要素の相関関係を計算する
 実際にやってみましょう。
 先ほどのアンケート集計結果のデータをそのまま使います。
 まず、「総合的な満足度」と「セミナー内容」の相関係数を計算します。
 エクセルのセルに =CORREL(配列1、配列2)を入力します。配列1は「総合的な満足度」の10個のデータをすべて選択し、配列2は「セミナー内容」の10個のデータをすべて選択してください。すると、エクセルが関数の指示に従って相関係数を数学的に算出してくれます。
0.61
 これが計算結果になります。この数字が教えてくれるのは、「そこそこの相関関係がありますよ」ということです。
 あとは「テキスト」と「講師」についても同様に計算してみましょう。(後略)


■3.適切なグラフで「一目瞭然」の資料をつくる
 お気づきかもしれませんが、実はここまでの内容に「一目瞭然」という言葉が何度も登場しています。
 短い時間で簡潔に伝えることが要求されるビジネスコミュニケーションにおいて、グラフを活用した「一目瞭然」に勝るものはありません。だから、デキる人がつくる資料にはこのようなグラフが上手に活用されているのです。
 本項でご紹介した3つのグラフは、あなたもどこかで目にしたことがあるグラフだったはず。しかし、あなた自身が使ったことがあるかというと意外に……。
・2つのデータの関連性を表現したい → 散布図
・3つのデータの関連性を表現したい → バブルチャート
・長所・短所・バランスを端的に表現したい → レーダーチャート
 いままでは単にデータを並べるだけだった資料が、見違えるほどわかりやすく見やすいものに変身します。せっかく備わっているグラフ機能です。ぜひ今日から活用し、「一目瞭然」の資料をつくりましょう。


■4.プレゼンは最初に「定義」と「ゴール」を示す
(1)いまから何を話すのかを伝えないまま、プレゼンがスタートする。
(2)何をゴールにするのか伝えないまま、プレゼンがスタートする。
 たとえば私が預かる企業研修において、参加者に「何でもいいから3分間プレゼンをしてください」と振ったとします。私が何も言わなくても(1)と(2)いずれもしっかり伝えることができる人は10人のうち1人か2人です。
 いまからするプレゼンを定義せず、ゴールも提示しないことには相手は何を説明されているのかわからないまま話を聞かないといけません。どこに向かっている話なのかもわかりません。結果、この人の話は「わかりにくい」「着地が見えない」になるのです。聞かされるほうは、それは大変でしょう……。
 こんな当たり前のことを忘れてしまうビジネスパーソンを見ていると、"もったいないな"と思います。損をしてしまっているなと。


■5.数学の構造は「文+接続詞+文」
Aは奇数である。さらに、Bも奇数である。ゆえに、(A×B)も奇数である。
 誰でもわかる数学の論理ですが、「さらに」「ゆえに」という接続詞を使ってこれ以上ないほどわかりやすく説明しています。説明の構造も「文+接続詞+文+接続詞+文」になっています。
 なんだか"理屈っぽくてイヤ"と感じるかもしれませんが、ぜひあなたにもこのような数学的な構造を意識してビジネス会話をして欲しいのです。なぜなら、ビジネスでは「わかりにくい説明」「論理的でない説明」はほとんどが悪いと評価されるからです。
 そのためにすることはとても簡単。冒頭でお伝えしたように、接続詞を使うべきときに使う。ただそれだけです。


【感想】

◆いかがだったでしょうか?

上記ポイントを読んで「なるほど」と思っていただけたなら、私の選んだ部分が妥当だったということかと。

たとえば上記ポイントの1番目に関しては、出版社の編集者さんだったら、どなたもある程度考えてらっしゃることだと思います。

一方で、著者さんはそこまで考えてらっしゃるかどうか……。

以前、当ブログで恋愛本が大人気だった頃、「●万部を目指します」という恋愛本の著者さんとメールのやり取りをしたことがあるのですが、正直、男性向けのモテ本で大ヒットを出すのは市場の大きさ的に難しかったりします。

なぜならリアル書店で棚の大きさを見て分かるとおり、モテ本は圧倒的に女性読者の方が多いから。

ただし、切実なことは男性も変わりませんから、むしろ本はフロント商品で名刺代わりに出して、高額なセミナーや情報商材に導く……って話はむしろ「マーケティング」ですかw


◆また、上記ポイントの2番目に出てくるExcel関数「CORREL」は、以前も何度かご紹介済みでした。

ただ、本書の場合「手取り足取り」だったこともあって、実際に私も初めてやってみましたよ。



一応申し上げておくと、数値は必ず「-1」から「1」の間となり、「-1」に近いほど負の相関、「1」に近いほど正の相関になります。

四捨五入や切り捨ての処理をしていないので、桁がデカくなってしまいましたが、確かに「内容」は「0.61」ですから、そこそこの相関関係である、と。

逆に「テキスト」は「-0.17」ですから、ほとんどセミナーの満足度とは関係ないことが分かります。

そして「講師」は「0.91」ということで、かなり強い相関関係と言えるかと。

つまり、受講者に満足してもらうには、講師の質を高めればよいことが分かるわけですね。


◆一方、第2章のテーマは「グラフ」。

グラフを分かりやすく見せるテクニック等々は、類書や資料本でも言及されていましたが、そもそもどのグラフを選ぶべきか、というハナシが先に立つべきです。

「比較なら棒グラフ」「推移なら折れ線グラフ」「割合なら円グラフ」くらいなら、私も感覚的に理解できるものの、それ以上については今ひとつピンときていませんでした。

そこで活用すべきなのが、上記ポイントの3番目にある3つのグラフです。

私自身、確かに3つとも見たことはあって、言いたいことは理解できていましたが、いざ自分でどういうときに使えばよいかはわかっていませんでした。

その点、本書では実例と実際のグラフももちろん収録していますから、ご安心を。

ちなみに上記の画像は、このうちの「レーダーチャート」(をflickrから拾ってきたもの)なのですが、本書の例ですと、「某人気俳優5人組」のそれぞれの「CM出演本数」「主演ドラマ本数」「主演ドラマの平均視聴率」をグラフ化しており、非常に腑に落ちました(詳細は本書を)。


◆……と、ここまでは、いわゆる「数字×ビジネス」の本として妥当な内容と言えると思います。

それが少々変わってくるのが第3章以降。

まず第3章は「プレゼンの準備」についてで、この辺は「数字」というより「論理的か否か」の話がメインです。

実際、タイトルも「論理的なシナリオのつくり方」ですしw

同じく第4章の「数学的な話し方」も、やや数学にこじつけている感は否めませんでしたが、「数学的」であることを意識していれば、「非論理的」にはならないワケですから、これはこれでテクニックとしては「アリ」だな、と。

個人的には前半の「数字ネタ」で押し切ってもらってもよかったものの、過去の著作や類書との兼ね合いから、違うテイストを織り込まれたのかもしれませんね(あくまで憶測)。


数字に強いビジネスパーソンになるために!

数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方 (幻冬舎新書)
数学的コミュニケーション入門 「なるほど」と言わせる数字・論理・話し方 (幻冬舎新書)

第1章 数字のつくり方―「なるほど」と言わせる「定量化」の技術
第2章 グラフの使い方―資料を「一目瞭然」にする技術
第3章 論理的なシナリオのつくり方―成功するプレゼンの準備術
第4章 数学的な話し方―わかりやすく説明する技術


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【数字】『数字で考える力』佐々木裕子(2014年08月26日)


【編集後記】

◆本書のKindle版の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」にあった中の1冊がこちら。

仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?
仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?


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参考記事:【ミス撲滅】『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』飯野謙次(2017年02月05日)


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