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2017年03月17日

【「黄金の90分」とは?】『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治


スタンフォード式 最高の睡眠
スタンフォード式 最高の睡眠



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、2月末の「未読本・気になる本」の記事にて人気だった1冊。

著者の西野精治さんは、「スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長」という肩書をお持ちの医学博士であり、まさにこの分野の最先端にいらっしゃる方です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
☆世界的権威の日本人睡眠研究者、初著書!
☆「睡眠研究のメッカ」スタンフォードの英知を凝縮した、史上最高のスリーピング・プログラム!
☆スタンフォードだから知り得た、世界最新の睡眠データ満載! 科学的エビデンスに基づいた、超実践的メソッド!
☆「レムとノンレムは90分周期じゃなかった! ?」など、眠りの新情報も大公開!

なお、上記未読本記事の時点ではなかったKindle版なら、実質「29%OFF」とかなりお買い得となるのでオススメです!





Sleeping / andrewr


【ポイント】

■1.普通の人はショートスリーパーにはなれない
 ショートスリーパーについての研究で、何十年も6時間未満睡眠なのに健康なアメリカ人親子を調べたことがある。
 彼らの遺伝子のうち、生体リズム(ヒトの体に備わったリズム)に関係する「時計遺伝子」に変異があることがわかった。そこで、この親子と同じ時計遺伝子をもつマウスをつくって睡眠パターンを観察すると、やはり睡眠時間が短かった。(中略)
 ほとんどの人は短眠の遺伝子をもっていない。そんな人がショートスリーパーを目指すのは、まったくの間違いだ。巷では「短時間睡眠法」などというメソッドも提唱されているが、科学的な根拠がないうえに、健康を害したり、パフォーマンスが低下したりと、デメリットが大きすぎる。
 人間のなかには、ウサイン・ボルトのように100メートルを9秒58で疾走する人もいる。だからといって、私が「同じ人間だから、10秒を切るのも夢じゃない」と思い込むのはあまりにも無謀だ。睡眠も同じで、例外的な遺伝子をもつ人のまねをしても意味がない。


■2.最初の90分が「眠りのゴールデンタイム」
 睡眠メンテナンスで意識したいのが、「最初のノンレム睡眠」をいかに深くするかということ。
 ここで深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、翌日のパフォーマンスも上がる。
 つまり、入眠直後のもっとも深い眠りの90分が、最高の睡眠の鍵を握っているのだ。(中略)
 黄金の90分の質を高めれば、すっきりした朝を迎えられる。昼間の眠気も消える。
 さらに、「しっかり寝たはずなのに、疲れがとれない」こともなくなる。
 詳しくは2章で述べるが、仮に4時間しか眠れなくても最初の90分の質が良ければ、その4時間の質を最大限に高めることができるだろう。
 逆にいうと、「寝る時間がない」なら、絶対に90分の質を下げてはならない。


■3.深夜まで作業するときの睡眠のとり方
「もう、午前0時。でも、どうしても資料を作らなければならない」といった夜が、あなたにもきっとあるはずだ。そんな夜でも、徹夜だけは避けてほしい。
 私がおすすめするのは、眠気があるならまず寝てしまい、黄金の90分が終了した最初のレム睡眠のタイミングに起きて、資料作りにとりかかるという作戦だ。最初のレム睡眠も入れてわずか100分ほどしか寝ていないとはいえ、深く眠れていれば質は確保される。
 また、最初にレム睡眠がやってくるタイミングは人によって多少違ってくるので、アラームをセットするならば「90分後」と「100分後」(ないし「110分後」)の2つをおすすめする。
 この場合、睡眠量は明らかに不十分。しかし、質の面では「最低条件下の最大限のメリット」を得られることになる。
 眠った時間の「100分」は、その後の効率アップで確実に元がとれるだろう。


■4.いつも寝る時間より早くは寝付けない
 このように、入眠の直前には脳が眠りを拒否する「フォビドンゾーン(進入禁止域Forbidden Zone)」というものがある。いわば「睡眠禁止ゾーン」だ。 (中略)
 この実験から、脳のスイッチを早く切ろうとすると眠りづらくなることがわかる。
「今日は1時間早く寝よう」というのは、よくあることだ。「明日は朝早く出かける」「出張だ」というときは早めに寝たい。また、「積み残した仕事を早起きしてやりたい」ときもあるだろう。
 だが、「1時間早く寝る」というのは睡眠禁止ゾーンへの侵入だから、かなり難しい。逆に、フォビドンゾーン現象を理解しているのであれば、「いつもどおり寝て、睡眠時間を1時間削る」ほうが、すんなり眠れて質が確保できる可能性が高い。
 時間を固定した睡眠パターンは有効だが、睡眠禁止ゾーンの影響もあって、前にずらすのには時間がかかる。
「後ろにずらすのは簡単、前にずらすのは困難」、これが睡眠の性格なのだ。


■5.アラームは「2つの時間」でセットする
 手順はごくシンプルで、仮に7時には絶対に起きなくてはいけないとしたら、6時40分と7時の2つの時間にアラームをセットする。6時40分から7時までの20分を「起床のウインドウ」とするのだ。
 朝方であれば、レム睡眠の時間は長くなっているし、20分前後で「ノンレム→レム」の切り替えがおこなわれている。このタイミングをねらう作戦だ。
 実行にあたっては、1回目のアラームは「ごく微音で、短く」セットすることを心がけてほしい。
 というのも、レム睡眠時は覚醒しやすいので、小さい物音でも目覚めやすい。小さい音でアラームに気づければ、「レム睡眠で起きられた」ということなので、目覚めは良いはずだ。
 1回目のタイミングで起きることができなくてもかまわない。なぜなら、このとき目覚めなければ「ノンレム睡眠」で深い眠りの真っ最中ということだからだ。仮に音が大きいとノンレム睡眠で起きてしまい、目覚めの悪さにつながってしまう。
 アラームが通りすぎるのは怖いかもしれないが、ご安心を。2回目の7時のアラームでは、無理なく起きられるはずだ。


【感想】

◆上記ポイントだけでは分かりにくいのですが、なかなか従来の「睡眠本」とはひと味違う作品でした。

一番意外だったのが、多くの本で言われている「夜10時から深夜2時までの間にできるだけ多く寝ましょう」というお話が、本書にはありません。

代わりにあくまで言われているのが「寝始めの最初の90分が大事」ということ。

上記ポイントの2番目にもあるように、「たとえ4時間しか眠れなくても」、最初の90分の質さえ良ければ、それなりにカバーできるみたいです。

もっとも「最初の90分」ですと、結果的に「10時〜2時の間」になる可能性は高いのですが、とにかく「最初の90分」である「黄金の90分」というフレーズが、本書にはイヤというくらい登場するのに対して、「10時〜2時」の話は皆無という。

まぁ実際のところ、「10時〜2時」を外して「最初の90分」を寝るとしたら、8時半までか、夜中の2時以降に寝始めなければなりませんから、そういう方はレアだと思いますが……。


◆同じくこの「最初の90分」に関連して、本書では少量であればアルコールの摂取も推奨されていました。

多くの本がアルコールに対しては否定的だったり、少量ならば許容しても、その理由まで触れている作品はなかったと思います。

一方本書では、「度数が低くて」「少量」ならば、飲んですぐに眠ることで、「最初の90分がしっかり深く眠れる」として、アルコールに対してかなりポジティブ。

もちろん、アルコールには利尿作用がありますから、後で目が覚めるリスクはあるのですが、それよりも「最初の90分の眠りの深さ」を評価しています。

あくまで体質等にもよりますが、飲むとすぐ眠れる方なら、検討してもいいかもしれません。


◆また、本書で初めて知ったのが、上記ポイントの4番目の「睡眠を前にずらすのは困難」というお話。

「明日に備えて早く寝よう」というのは、あまり効果がないらしいです。

私自身、確かに「すぐには眠れなくとも、目を閉じているだけで休めるから」と、早めにベッドに入っても、すぐには眠れないことが結構ありました。

……あれはムダだったのか(遠い目)。

もっともこういう場合でも「いつもより早くお風呂に入る」等の、「早く寝つける対策」を取っておけば、「早く寝る」ことも無駄ではないようですが。


◆それよりも個人的に興味深かったのが、上記ポイントの5番目の「アラームのかけ方」。

あくまでも「レム睡眠時」に起床すべく、最初は小さい音で鳴らします。

もしそれで起きられなかったら、それは「ノンレム睡眠」だからなので、起きられなくともOK。

そのタイミングで「ノンレム睡眠」であれば、20分後は「レム睡眠」ですから、目覚めがいいハズ……って最初のアラームのときに、実は「レム睡眠」なのに起きられなかったら最悪ですがw

「それならスヌーズで良くね?」と思ったのですが、スヌーズだと十分な間隔が確保できないからオススメしない、とのことです。

それにスヌーズだと、音量まで変えられないと思いますので、朝の目覚めが悪い方は、とりあえず1度お試しアレ。


◆なお本書は「スタンフォード仕様」なのか、巻末には「主要参考資料」がびっしり収録されています。

全部英語のものなので、論文等は、直接原文に当たってらっしゃる模様。

また、あくまでこれは「主要」なものだけであり、「完全版」はサイトからダウンロードできるそうで、そのURLも記載されています。

……どうせ英語でしょうから、私はダウンロードしませんでしたがw

いずれにせよ、本書を読むと「寝入りばな」が非常に大切なことがよく分かります。

私は日頃、あっという間に寝つける(だから毎日5時間睡眠でも大丈夫?)のですが、この本を読んで意識したせいか(?)、昨夜はなかなか眠れなかったという。

今朝は遅めに起きたので、いつもどおり5時間は寝ているのですが、珍しく頭痛がするのは、やはり「最初の90分」に失敗したからなのかもしれませぬ。


「黄金の90分」を制する者は、睡眠を制す!

スタンフォード式 最高の睡眠
スタンフォード式 最高の睡眠

プロローグ 「ぐっすり」を追究した究極のスタンフォード・メソッド
0章 「よく寝る」だけでパフォーマンスは上がらない
1章 なぜ人は「人生の3分の1」も眠るのか
2章 夜に秘められた「黄金の90分」の法則
3章 スタンフォード式 最高の睡眠法
4章 超究極! 熟眠をもたらすスタンフォード覚醒戦略
5章 「眠気」を制する者が人生を制す
エピローグ 睡眠研究の最前線「スタンフォード」で見つけたこと


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【睡眠】『誰でもできる! 「睡眠の法則」超活用法』菅原洋平(2013年09月13日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

走れば脳は強くなる
走れば脳は強くなる


中古も値崩れしてきましたが、さすがに「63%OFF」ともなると、余裕でKindle版がお得ですね。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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