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2017年02月22日

【アドラー流?】『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』岸見一郎


子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気 (幻冬舎単行本)
子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気 (幻冬舎単行本)



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日告知した幻冬舎さんの「電本フェア」からの1冊。

お馴染み「アドラー本」の大家である岸見先生が、子育て(特に「勉強」)をテーマに「アドラーの教え」を指南して下さいます。

アマゾンの内容紹介から。
叱ってはいけない、ほめてもいけない。「勉強しないわが子」親はどうすべき?ミリオンセラー『嫌われる勇気』の著者による、ありのままを受け入れる、親の強い心とは。

なお、セール期限内の明日までであれば、中古にプレミアが付いた本書のKindle版が「60%OFF」の500円弱でお求めいただけますので、お子さんのいらっしゃる方は、ぜひご検討を!





Distracted Child Studying / amenclinics_photos


【ポイント】

■1.ほめてはいけない
 ほめることには次の問題があります。1つは、ほめられないと適切な行動をしなくなることです。廊下にゴミが落ちているのを見つけた時、拾おうかどうしようか、まわりにほめてくれる人がいることを確かめるようになります。ほめる人がいなければ拾わないというのは問題でしょう。ほめられない子どもはたちまち適切な行動をやめてしまいます。
 もう1つは、ほめられても嬉しくはないということです。電車の中で騒がずおとなしくすわっているからといって、妻が夫をほめるはずはありません。そんなことはできて当たり前であり、「えらいね」などといわれたら、夫はきっとばかにされたと思うでしょう。それでは、なぜ子どもをほめてしまうのでしょう。それは、子どもを大人と対等であるとは見ていないからです。


■2.叱ってはいけない
 問題は、大人までもが言葉ではなく、感情を使うことです。大人は子どもを叱ります。叱るのと怒るのとは違う、怒ってはいけないが、叱ることは躾のために必要という人がいますが本当ではありません。アドラーはこんなことをいっています。
「体罰は怒りの感情を伴ってなされる。そこに正義など何もない。復讐のために体罰が加えられるのである」  
 たとえ手を上げなくても、叱ることは体罰と同じです。躾のためというのは自分の怒りを正当化するために持ち出される理由でしかありません。  
 即効性を求めて大人は怒りの感情を使うのですが、たとえ時間がかかっても言葉を尽くして問題を解決していくことを子どもには学んでほしいのです。


■3.子どもが自力で解決できると信じて見守る
 子どもが勉強するという時に、その言葉を素直に信じられますか? ここで私が信頼という言葉を使うのは、条件付きの信用と区別して、条件をつけないで信じる、あるいは、信じる根拠がない時にこそ信じるということをこの言葉で表したいからです。明日からダイエットを始めると家族にいった時に、そんな言葉は聞き飽きたと家族や友人からいわれたら嫌な気がするのではありませんか? 実際には自分でも決心が十分固まっているわけではなく、今度もまた数日で挫折するかもしれないという予感があったとしてもです。
 そんな時に、無条件に信じてくれる人がいれば、その人のことを好ましく思うでしょう。子どもも同じようなことを勉強のことで感じているのです。そして、子どもたちも自分を信頼する人の信頼を裏切ることが難しいことを知っています。


■4.受験生だからといって家族の中で特別視しない
 私はもちろん、勉強しないでいいといっているのではありません。むしろ、家庭で受験生だからといって、特別視されるのではなく、親や他のきょうだいと良好な関係を持ち、家庭内で家族の一員として協力できるようになって初めて、勉強も進捗する、といいたいのです。なぜなら、協力することで、自分が他の人に役立てると思えた子どもだけが、自分のことを好きになり、勉強も含め、自分の課題を解決できる自信を持てるようになるからです。
 しかし、もしも自信を持てなければ、子どもが直面する受験にも最初から挑戦しようとしなくなるかもしれません。そのようなことがないように、親としては何としても子どもが自信を育む援助をしたいところですが、そのためには叱咤激励すればいいというような簡単な話ではありません。
 不用意な親の言葉が、子どもの自信と勇気を容易に挫いてしまうのです。そうならないために、具体的に子どもにどんなふうに声をかけていけばいいかを学ぶ必要があります。それを学ぶことは、子どもに勉強できる環境を整えることと同じくらい、あるいは、それ以上に大切なことといえます。


■5.子どもに「自分に価値がある」と思わせる
 子どもたちが勉強するのも、親の期待を満たすためではありません。誰のためかといえば、基本は自分のためです。いい結果を出せなければ、オリンピック選手も子どももそのことは自分に跳ね返ってきます。ですから、その場合は、すぐに「次」に向けてトレーニングをし、勉強をすればいいのであって、他の人の期待を裏切ったと考えて、落ち込んでいる暇はないのです。
 親は子どもが間違った思い込みをすることがないように気をつけなければなりません。試験でいい成績を取って嬉しそうにしていれば「嬉しそうだね」と声をかけてもいいですが、ほめてはいけません。
 結果がよくなかったら声をかけられなくなりますし、また次に頑張ればいいだけのことなのに、親の期待を裏切ったと思ったり、親が不用意に発する辱めの言葉に子どもが人格までおとしめられたと思い、落胆するかもしれないからです。勉強には真剣に取り組む必要がありますが、深刻になる必要はないことを教えたいのです。


【感想】

◆タイトルや装丁からは、「普通の子育て本」のように見えますが、上記ポイントでもその傾向が出ているように、かなり「勉強寄り」な1冊でした。

実際、事例としては、「勉強以外」のものであったとしても、そのほとんどが最終的には「勉強」に結びつくものばかり。

というのも、本書は元々は、学習塾で配布している「中学受験情報誌」(「ぷろぽ」)にて連載されていたものだからに他なりません。

進学館|難関国私立中学受験指導

……残念ながら、情報誌についての記述が見当たらなかったのですが。

ですから、上記ポイントの1番目と2番目に出てくる「ほめる」や「叱る」も、この情報誌の読者の方にしてみたら、当然「勉強」に結び付けて読んでいるものだと思います。


◆ただし、「ほめる」も「叱る」も、どちらも類書とは大違い。

他の本が「何をほめるか」「どうほめるか」を論じているのに対して、本書では「ほめる」こと自体すら否定しています。

また、「怒る」のはダメでも「叱る」のはいいのかと思っている方も、上記ポイントの2番目で「手を上げなくても、叱ることは体罰と同じ」と言われてしまっては、立つ瀬がありませぬ。

アマゾンレビューで確認したところ、本書の内容の多くが、『嫌われる勇気』を読んでいると既知らしいのですが、読んでいない私にとっては、結構目からウロコ。

今さらですけど、我が家では「叱る」と「ほめる」はどちらも多用していたもので、今後はちょっと考えなくては。


◆もっとも、難しいという点では、上記ポイントの3番目の「信じて見守る」というのも同様です。

確かに自分が「ダイエットを始める」と言って、「そんな言葉は聞き飽きた」と言われたらやる気をなくしますけど、学校の試験にせよ、塾の組み分け試験にせよ、期限があるワケですし……。

一応我が家では、ムスコは小さい頃から「やる」と言ったらほぼすべてやっていましたが、ムスメの方は中学になっても、自分でスケジュールを立てさせても、進捗に応じた見直しができませんし、途中でこちらが尻を叩かないと予定していたものが終わらないという。

ぶっちゃけ、中学受験情報誌に連載中、岸見先生のこのコラムを読まれた親御さんたちの反応が、どうだったのか知りたいところです。

「あの大ベストセラー著者のお言葉」、ということで、皆さん納得して読まれていたのか……?


◆繰り返しになりますが、本書は全般的に「受験に関連したお話」がメインになります。

出典が出典だけに、「子育て本」でありながら、友人関係、特にいじめ等のテーマが一切出てこないのもご了承ください。

むしろ、「受験生の親」が読む「勉強法以外の本」としては、かなり秀逸ではないか、と。

私自身、100%同意できたわけではないのですが、やたらお子さんを叱りまくってる方には、一読の価値があると思います。


セール期限である明日までなら、大変お買い得です!

子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気 (幻冬舎単行本)
子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気 (幻冬舎単行本)

第1章 叱らない、ほめない子育て

第2章 勉強ができる子、できない子

第3章 一生強く生きられる勇気づけ


【関連記事】

【コミュニケーション】『人生を変える勇気 - 踏み出せない時のアドラー心理学』岸見一郎(2016年07月08日)

【コミュニケーション】『アドラー流 たった1分で伝わる言い方』戸田久実(著),岩井俊憲(監修)(2015年03月06日)

【オススメ】『思春期の子に、本当に手を焼いたときの処方箋33』土井高徳(2017年01月23日)

【意志力】『子育ては心理学でラクになる』DaiGo(2016年10月20日)

【勉強法】『「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法』佐藤亮子(2016年12月25日)


【編集後記】

◆もっと勉強法寄りの子育て本としては、当ブログではこちらをご紹介済みです(レビューは上記関連記事に)。

「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法
「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法


現時点で「50%OFF」&「20%ポイント還元」と、こちらも大変お得なんですが、2月16日までだった「KADOKAWAフェア」の延長(?)のようなので、やはりお求めはお早めに!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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