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2017年02月13日

【わかりやすさ】『教養バカ わかりやすく説明できる人だけが生き残る』竹内 薫


教養バカ わかりやすく説明できる人だけが生き残る (SB新書)
教養バカ わかりやすく説明できる人だけが生き残る (SB新書)



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて意外な人気だった作品。

著者の竹内 薫さんは、NHKの「サイエンスZERO」等でも、「理系の話をわかりやすく伝えてきた」作家さんですから、本書のテーマにはうってつけかと。

アマゾンの内容紹介から。
真の教養人は話し方が違う。教養のある人は、幅広い知識をもっていて、しかも話がおもしろい。しかし、こんな人も存在します。知識だけは豊富。けれど、話におもしろみがない。専門のことしか知らない。コピペでものごとを語る。「なぜ?」と聞かれるとキレる…。彼らは知識をひけらかしているだけの「教養バカ」なのです。では真の教養人に必要なこととは?それは「わかりやすさ」。あなたが誰から見ても教養のある話し方ができる。これが本書の最終目標です。

なお、若干お得なKindle版も配信中です!





Explain / luca.sartoni


【ポイント】

■1.教養人はネタの接着剤が豊富である
 知識を単発で披露するのではなく、話を作り上げるために知識と知識をつなげる、そんな体験に根ざした「接着剤」をたくさん持っている人こそ、教養のある人です。
 彼らは、つねに1つの見方だけでなく、身近な話に置き換えたり、いろいろな角度から話ができるので、話がおもしろくなります。いわゆる、話の引き出しが多いのです。
 もしあなたに、視点が1つしかなく、使える道具も1つだけとなると、相手に伝わらなかった場合はアウト。伝える手段がなくなってしまいます。
 でも、あなたがあらゆるパターンを持っていれば、どんな相手が来ようと、上手に伝えることができるでしょう。


■2.自分と相手の脳内の「絵」を近づける
 言葉というのは便利です。
 現実の海や犬が存在しない場所でも、言葉を使えば、「昨日、海で犬と遊んだ」という思い出話ができます。
 しかし、ここで注意しなければならないのは、あなたが頭の中で描いた犬と、相手の頭の中での犬は、同じとはかぎらないということです。(中略)
 あなたはチワワを描いているのに、相手がブルドッグを描いていたら、通じるわけはありません。
 自分の脳内の「絵」と、相手の「絵」を近づけることこそ、わかりやすさのコツであり、具体的で描きやすい言葉で説明することが大切なのです。


■3.考えていることを書き出す
 人間は、頭の中だけで考えることに限界があります。
 そんなときは頭の中を「外」に出しましょう。考えていることを紙やノートなどに書き出すのです。すると、ビックリするぐらい頭の中が整理されます。
 私はかつてプログラマーでした。コンピューターのプログラミングをするときは、設計図を書きます。「イエ」ならこっち、「ノー」ならこっち、というようにフローチャートで、道筋を図式化していきます。これを紙の上ですることで、全体像が見えてくるのです。
 複雑になればなるほど、頭の中だけで整理することは難しくなります。書き出すことで、何が重要なのか、どの順番がよいのかの構成も楽にできます。


■4.語彙を多くする
 たとえば「客観的」という言葉を知らないと、意図的に「客観的な」視点に立つことができず、客観的な考え方ができないといわれています。ある言葉を知らないと、その言葉が指す考え方ができないなんて、ちょっと衝撃的ではありませんか?
 わかりやすさとは「聞き手の頭の中に絵が浮かびやすい」こととお伝えしてきました。外部からの言葉を理解するときと同じく、自分が考えるときもまた、頭の中の言葉を使って「絵」を描いているのです。
 知っている言葉の数を、色鉛筆の色としましょう。絵を描くとき、手持ちの色鉛筆の種類が多いほうが色あざやかな絵になります。同じように、語彙力が多いほどきめ細やかな表現ができるのです。


■5.ネット検索でバカになる?
 また2011年、コロンビア大学の心理学者べッツィー・スパロウ氏が「グーグルが記憶に及ぼす影響」という論文を発表しました。
 実験内容は、被験者にある文章を読ませ、後でその内容をどれほど覚えているかというテストです。
 被験者を2つのグループに分け、1つのグループには「後でその文章がネットなどで確認できる」と伝え、もう一方には、何も伝えないでテストを開始。「後で確認できる」と知らされたグループは明らかに成績が悪かったそうです。(中略)
 また検索後は、調べたことを記憶するのではなく、「ネットで調べればわかる」ということを記憶してしまうようです。記憶の外付けハードディスクですね。必要なときだけ引っ張り出してくればよいということです。これはこれで1つの手段ですが、会話の相手がいる場合、話の途中で検索ばかりするわけにはいきませんよね。


【感想】

◆ご紹介しておいてナンですが、どうも本書は個人的にタイトルと内容がどうもしっくり結びつかなくて。

まずメインタイトルの「教養バカ」という単語は、著者の竹内さんいわく、「ネット等で調べたことを、さも自分が知っていたかのように語る人」や、「著名人のコメントをそっくりコピペして、自分の考えのように発言する人」とのこと。

そして、そういう「教養バカ」と「教養のある人」との違いとは、ずばり「ストーリーテラーになれるかどうか」なのだそう。
教養人とは相手が興味を持つようにストーリーとして、伝えることができる人です。
そこでサブタイトルにあるように、「分かりやすく説明できる人が生き残る」という結論になるワケです。

……「わかりやすく説明できること」と「ストーリーテラーになれるかどうか」のつながりが、そこまで深いという風には思えないのですが、こまけー話は(AA略


◆とはいえ、「わかりやすく説明する」ことは、ビジネスパーソンの必須のスキルですから、読み進めないわけにはいきませぬ!

さっそく第2章では、「教養人が使っている『わかりやすさ』10の技術」と題して、具体的なTIPSが登場。

上記ポイントの3番目の「頭の外に書きだす」というのも、その中の1つです。

他にも「つなぎ言葉(接続詞)の活用」ですとか、「脳内にハテナを作る」といったTIPSがありますので、気になる方はこの第2章にてご確認を。

当ブログ的にはここが本書のヤマでしたので、テクニック的に既知のものばかり、という方だと、本書の評価はちと微妙になるのかな、と。


◆続く第3章は、逆に「あなたの周りの『教養バカ』7つのタイプ」ということで、気を付けねばならない方のパターンを列挙しています。

確かに「話がつまらない人」というのは結構いるもので、この章を読むと「あるある!」となること必至。

ただし、こうした「反面教師」は、「人の振り見て我が振り直せ」という意味では大事なのですが、むしろその次の第4章で「語彙力」の重要性を認識する方が有益でしょう。

上記ポイントの4番目でも触れていますが、結局「わかりやすさ」とは「相手がわかる言葉を使う」のが鉄則です。

そして「相手に合わせる」ためには、やはり知っている言葉の数がモノをいうのは当然のこと。

ということで、この第4章では「濫読」「類語辞典を使う」といった具体的なTIPSが7つ解説されていますから、こちらもぜひご確認ください。


◆さて、ここまでは「わかりやすさ」至上主義とばかりに話が展開されていましたが、第5章では、逆に「わかりやすさ」の弊害についても言及しています。

章タイトルの冒頭に「脱・思考停止」とあるように、確かになまじわかりやすいと、それ以上深く考えないモノ。

「『途中から始まる棒グラフ』によって、わずかな差を大きく見せる」なんてのは、結構ありがちなお話ですよね。

と言いつつ、「レタス○個分の食物繊維」という表現は、実は「レタスに含まれる食物繊維が少ないから多用されている」、というのは私は知りませんでしたよ(恥)。

……意外と私も色々と騙されていたのかも。


「わかりやすさ」を身につけるために!

教養バカ わかりやすく説明できる人だけが生き残る (SB新書)
教養バカ わかりやすく説明できる人だけが生き残る (SB新書)

第1章 教養人の話し方は、なぜわかりやすいのか
第2章 教養人が使っている「わかりやすさ」10の技術
第3章 あなたの周りの「教養バカ」7つのタイプ
第4章 語彙力こそが「わかりやすさ」である
第5章 【脱・思考停止】「わかりやすさ」にダマされるな
第6章 心に刺さるフレーズのつくり方


【関連記事】

【説明スキル】『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』木暮太一(2011年04月19日)

【説明】『わかりやすく説明する練習をしよう。』リー・ラフィーヴァー(2013年12月03日)

【説明術】『複雑なことでもスッキリ伝わる 〈超入門〉説明術』木山泰嗣(2013年08月22日)

【池上流知的生産術】『<わかりやすさ>の勉強法』池上 彰(2010年11月10日)


【編集後記】

◆昨日記事にした「KADOKAWAフェア」では、多くの方にお求めいただきました(多謝)。

そんな中、1日だけですけど、上位3冊をご紹介しておこうかと。

第3位

先送りせずにすぐやる人に変わる方法<先送りせずにすぐやる人に変わる方法> (中経の文庫)
先送りせずにすぐやる人に変わる方法<先送りせずにすぐやる人に変わる方法> (中経の文庫)



第2位

たった1分ですっきりまとまる コクヨのシンプルノート術
たった1分ですっきりまとまる コクヨのシンプルノート術



第1位

たった10分で身につく きれいな字を速く書く技術 (中経の文庫)
たった10分で身につく きれいな字を速く書く技術 (中経の文庫)



1位の本は結構意外だったのですが、悪筆に悩まれている方は多いのかもしれませんね。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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