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2017年01月20日

【夢の実現】『夢の叶え方を知っていますか?』森 博嗣


夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書)
夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本の記事」でも人気だった自己啓発書

著者の森博嗣さんは、小説家として「印税10億」を実現された方ですから、夢の実現法にも説得力がありそうですw

アマゾンの内容紹介から。
なぜあなたの夢は、実現しないのか?
人に認められたい、人に褒められたい、人に勝ちたいという気持ちでは、夢は叶わない。
小説家として億単位を稼ぎ、子供のころからの夢の庭園鉄道生活をおくる著者による、願いを現実にするための画期的思考法&シンプルな方法論。

なお、Kindle版は、元々定価に比べて「21%OFF」でしたが、現時点ではさらに「20%ポイント還元」も付いて、ダブルでお得です!





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【ポイント】

■1.職業的な夢と趣味的な夢
 ここで、また夢の定義を繰り返すけれど、大別すれば、職業的なものと、趣味的なものがある。これらをひっくるめて話を進めてきたつもりだが、読んでいる人の多く(特に若い人)は、前者の職業的な夢を思い描いていただろう。「向いているか?」「自分の能力で大丈夫か?」といった迷いは、職業的な目標に対するものだからだ。
 職業でなくても、たとえば、スポーツ関係の夢でも、これに似ている(ただし、もっとシビアだが)。それは、仕事やスポーツが、他者との比較によって成り立っているものだからである。他者との比較とは、別の言葉でいえば競争あるいは勝負である。(中略)
 これに比べて、趣味的な夢であれば、ほとんどそういった競争はない。何故なら、人に勝つ必要がないからだ。自分がやりたいことを実現するだけなので、ほとんど「実行するだけ」とも言えてしまう。ただ、ここでも、ある程度の能力や環境が影響するから、大金持ちに生まれた人の方が、実現しやすい夢もあるだろう。そういう意味では、向き不向きがあることに変わりはない。しかし、人に負けたからすべてご破算になる、というものではない。ここが大きく異なっている。


■2.夢実現の方法論
 大事なことは、「元気」「やる気」のような気持ちではない。この本を読んで、森博嗣の言葉に反応して出たやる気なんて大したものではない。その元気ややる気が今日一日で何を成したのか、ということが重要なのだ。元気もやる気もなくても何を成せるか、を考えた方がずっと良い。
 今日、あなたは夢のために、何をしたか? 明日は何をするのか?
 いつもそれを自分に問うことが、少なくとも僕が言える一番の「夢実現の方法論」である。
 僕は、毎日なにかしている。体調が良いときも悪いときも、一歩でも良いから前進する。何ができるのかを考え、考えたことを順番に実行に移す。
 この方法以外で夢は実現できない、と僕は思っている。逆に言えば、それをしないで訪れる夢なんて、本物ではない。


■3.長いスパンで考える
 もう1つ、気づいたことがある。多くの人が見ている夢は、ある一時のシーンを想定しているものが非常に多い、ということ。  
 たとえば、「結婚」などが好例だ。これを夢見ている人は、結婚式や新婚生活が見えているだけか、せいぜい結婚後数年間の想像しかしていない。結婚したあとの長い人生で何をしていくのか、ということに想像が及んでいない。結婚というのは、結婚すること以上に、結婚した状態の継続なのである。何十年も続くその後の生活をどう見ているのか、が大切だと思う。
 結婚ばかりではない。「店を持ちたい」とは「開店させたい」ではない。その店をどのように存続させ、成長させていくのかが問われる。このような、時間的にある程度長いスパンを持った夢かどうかが、実現性を左右する、と僕は感じている。それは、そういった長期的な展望を語る人は、ほとんどの場合、のちに成功しているからだ。


■4.自分の可能性を確かめる
 こうした夢への階段のどの段階においても、大事なのは、自分を知っていることだと思う。ぼんやりと憧れている間は、自分のことは忘れられる。自分を忘れられるから、この一時の夢が楽しめるともいえる。しかし、これが「実現しない夢」なのである。自分を忘れているとは、つまり現実を忘れていることだからだ。
 夢を実現させるためには、実現できる夢を思い描くことが第一であり、そのためには、自分にどのくらいのことが可能なのかを把握していることが必須である。逆に言えば、「夢の実現」とは、結局は自分を知ること、自分の可能性を確かめることにほかならない。それは、あるときは幻想を打ち砕き、厳しい現実をあなたに突きつけるかもしれない。だが、それは、目を背けてはいけないあなたのリアルなのだ。


■5.周囲に支配されない
 ところが多くの人たちは、とにかく人に褒められたい、認められたい、という欲求が前面に押し出され、ともすれば、それが目標になってしまっている。(中略)
 そんな環境にいるから、ちょっとした思いつき程度でもネットにアップし、みんなから「いいね」がもらいたくなる。その程度の軽い「承認」であっても、ひとまずは安心できる「小粒な自分」になっているのだ。この小粒さはあらゆるものに波及し、夢も人生も、きっと小粒になるだろう。
 その意味では、夢を追う過程において、周囲からの「支配」をいかに断ち切るのか、ということが重要になってくる。おそらく、多くの人は、その「支配」に気づいていない。気づいていないことが支配されている証拠でもある。支配とは、一見面白そうなもの、周囲との関係をつなぎ止めるもの、そして少しずつ搾取をされるものだ。


【感想】

◆タイトルからは、いわゆる「ハウツー本」のような印象を受けたのですが、それを過度に期待すると、ちょっと肩透かしを食らいそうな内容でした。

そもそも「夢の実現方法」以前に、まず「夢とはなんぞや?」という定義の話がしっかりとw

ただし森先生の「夢」に対する考え方は、かなりユニークです。

その1つが上記ポイントの1番目に挙げた「職業的」「趣味的」という分け方。

ちなみに森先生は小学生の頃から、「自分の庭に小さな鉄道を建設する」という夢をお持ちでしたから、明らかに後者ですか。

そしてそれを実現するために、最終的に大学で助手をするかたわら小説を書き始めるのですが、そこからの成功譚(印税が初年度は1千万、5年後には1億突破)は、皆さんご存知のとおりです。


◆さて、本書を書くにあたり、森先生は「みんなの夢がどんなものなのか、具体的なデータはないのか?」と尋ねたところ、担当編集者が本好きが集まるサイトでアンケート調査を行ったとのこと。

そして700人以上の回答の中で最も多かったのが、「お金持ちになりたい」に類するものだったのだそうです。

なお、そのアンケートでは「その夢に対して現在具体的になにかしていますか?」という第2問があり、「お金持ちになりたい」人の半分近くが「宝くじを買っている」と回答していたのだとか。

当ブログのように「ビジネス書をレビューするサイト」の読者さんは、さすがにそういうことはないと思いますけど、数寄屋橋の宝くじ売り場に、年末、長蛇の列ができるのも、さもありなん、といったところでしょうか。


◆ただ、森先生はこの「お金持ちになりたい」人だけを批判しているのではない……と言いますか、むしろアンケートの回答のほとんどすべてに対して、シニカルな(?)ご意見を述べられています。

それが紹介されているのが本書の第2章で、上記ポイントでは挙げなかったものの、「夢」と森先生のコメントをセットにして列挙。

一応分類として「抽象的な夢」「具体的な夢」「まっとうだが当たり前の夢」「すぐにできるように思える夢」「ちょっとわかりにくい夢」といったカテゴリーに分けられており、それぞれ10〜15個前後掲載されています。

具体的にいくつかご紹介しようと思ったのですが、どれも森先生のコメントに微妙にクセ(?)があるので難しく……。

もし、このアンケートに回答した方が、ここのコメントを見たら、よくある「アドバイス」とは違うだけに、きっと思うところがあるのではないかと(婉曲的に言うと)。

ただ、本書を読む前の私だったら、どれもまったく問題ないと思ったでしょうし、世間一般の「常識」としては、普通にこれが「夢」と言えると思います。

たとえば上記ポイントの3番目にあるように、「結婚したい」「店を持ちたい」といった「夢」をお持ちの方は多いでしょうし、それを森先生も否定しているわけではないのですが、実現性の観点からすると、こういう考え方もできるよ、と言われているわけで。


◆とはいえ、それよりもっとノウハウチックな話を知りたい、という方のために(?)、本書の第4章では、具体的なTIPSが紹介されています。

ただし、「夢を実現する」という行為は、森先生にとっては「プロジェクトの遂行」とあまり変わらないようで、小見出しだけあげていくとこんな感じに。

 ・体調を管理する

 ・余裕のあるスケジュール

 ・コンスタントに進む

 ・進捗を数字で表す

 ・厭きないように工夫する


なお、「悲観的に想定する」というところのお話で、森先生は常に予定を前倒しして原稿を書かれていたことに触れられているのですが、スケジュールが「親が死んで葬式の手配をし、喪主として式を執り行ったりしたときでも、まったく乱れなかった」というのは、常人とは違う気がw


◆ところで、森先生の「自分の庭に小さな鉄道を建設する」という夢は、他にも抱いている方はいらっしゃるでしょうし、似たような「ある程度お金のかかる『趣味的な夢』」だってあるでしょう。

ただし、それを実現する手段として小説を選ぶというのは、方法論としては少々オカシイですし、属人性が強すぎます。

……別に森先生は、「お金持ちになりたい」と言う人に「小説を書け」とは言われていませんが。

ですから、あくまで「自分に合った方法」を選ぶべきですし、そのためには「とにかくやってみる」のがキモな模様(詳細は本書を)。

そういう意味では、本書から学ぶべきなのは、「ノウハウ」よりも、「夢」の定義や考え方なのだと思います。


自分の夢を見つめ直すために!

夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書)
夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書)

第1章 憧れの人生 憧れの生活
第2章 抽象的な夢と具体的な夢
第3章 夢の価値
第4章 夢を実現させるためには
第5章 周囲を気にしない夢
第6章 夢の楽しさを教えよう
第7章 作る夢のすすめ


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【超実践!?】『1年後に夢をかなえる読書術』間川 清(2012年03月25日)


【編集後記】

◆何のセールなのかよく分からないのですが、現在このKindle本がやたらとお買い得となっています。

時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS


参考記事:【成功への近道?】『時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS』シェーン・スノウ(2016年09月02日)

元々Kindle版は「43%OFF」設定でしたが、そこにさらに「30%ポイント還元」まで付いているというありがたさ。

中古にプレミアが付いているので定価と比較すると、1200円弱お得となります。


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