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2016年12月13日

【生産性】『大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法』カル・ニューポート


大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法
大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった1冊。

テーマは、ついこの間のちきりんさんの本に続いて「生産性」なのですが、特にネット中毒の方なら要チェックな内容です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「ディープ・ワーク」とは、自らが本当にやりたい意味あることに集中できる環境を作り、それに没頭すること。これにより、著者自身も家族と過ごす時間を犠牲にせずに研究業績を上げ、ベストセラー書籍を著してきたという。
本書は、「ディープ・ワーク」とは何か、なぜ現代社会で希少であるがゆえに身に付ければ強力な武器となるかを説明すると同時に、「ディープ・ワーク」を中心に据えた生活にシフトする方法を、数々の実例と根拠を挙げながらアドバイスする。
ネットに常につながり、大事なことに集中して取り組めない現代ビジネスパーソン必読の書。

なお、お買い得なKindle版のご用意もありますので、ご安心を!





Hard work / tinekoldgundersen


【ポイント】

■1.マルチタスクは生産性を落とす
 例えば、10分ごとにメールの受信トレイをちらっと見るくらいは問題ないと思うかもしれない。でも、ちょっとチェックするだけでも注意はそれる。もっと悪いことに、すぐに対処できないメッセージを目にした場合、未処理の仕事をかかえて主業務に戻ることになる。切り替わらないままの"注意残余"のせいで、仕事の生産性は低下する。
 あなたが最高の生産性を発揮するには、長期間、気を散らすことなく、1つの仕事に全面的に集中する必要がある。言い換えれば、成果を最大にする働き方こそ、ディープ・ワークなのだ。あなたの才能とスキルがライバルたちより決定的に勝っているのでなければ、ディープ・ワークを実践する人が生産性であなたを凌ぐだろう。


■2.生産性の代用として多忙を利用しない
 知的労働者は目に見えて多忙になっているが、それは自分の価値をうまく示すことができないからだ。この傾向に名をつけるとこうなる。
生産性の代用としての多忙:仕事において生産力や価値があるとはどういうことかを示す、明確な指標がなければ、多くの知的労働者は工業における生産性の指標に戻っていく。つまり、目に見える形で多くのことをなすことである。
 この考え方から、多くのディープ・ワークを損なう行動が一般的になっている理由がわかる。もし四六時中メールをやりとりし、たえず会議を計画し出席し、誰かから新たな質問が出たらすぐさまインスタント・メッセージで返し、あるいはオープンオフィスを歩き回って会う人ごとにアイデアをぶつけあっていたら――あなたは多忙に見える。もし生産性の代用として多忙を利用していたら、あなた自身にも他人にも、あなたはうまく仕事をこなしていると確信させてしまうだろう。


■3.ディープワークに取りかかる時と場合を決める
 (ジェリー・)サインフェルドのアドバイスはこうだ。「より優れたコメディアンになるには、より優れたジョークをつくり出すことだ」。それから、そのためには毎日、ジョークを書くことだと言い、その習慣を身につけるための手法も明かした。壁にカレンダーを貼り、ジョークを書いた日に、大きな赤いバツ印をつける。「数日でチェーンができる。それをつづければ、チェーンは日々長くなっていく。(中略)」
 この"チェーン方式"は、まもなく物書きやフィットネスマニア――困難なことをやりつづけることに生き甲斐を持つ人々――に盛んに使われるようになった。そして私たちにとっては、ディープ・ワークを生活に組み込む方法の一例になる。つまり、"リズミックな考え方"である。ディープ・ワークに取りかかる最もたやすい方法は、それを単純な一定の習慣にすることだ。言い換えれば、ディープ・ワークに取りかかる時と場合を決めることに、"リズム"をつくり出すことだ。チェーン方式は、その好例になる。


■4.ネットの使用を最小限にする
ネットを使うときを前もって予定に入れ、それ以外では使わない。コンピュータのそぱにメモ用紙を置いておくといい。それに"次に"ネットを使う時間を書いておき、それまでは絶対に使わない。
 メールなど気を散らすサービスを利用するだけでは、集中力をそぐことはない。集中力をそぐのは、低刺激/高価値の行動から、高刺激/低価値の行動へとたえず"行き来する"ことである――少しでも退屈や困難を感じると、新奇さがないことに我慢できなくなって。このようにたえず行き来することは、あなたの注意を得ようと張り合う多くの資源をまとめる役目の心の筋肉を弱めることである。ネットの使用をやめて、気を散らすものに費やす時間を最小限にすれば、心の筋肉を強化することができる。


■5.メールに返信しない
 私はMITの大学院生のころ、有名な学者たちと交流する機会があった。その中で、多くがメールに対して興味深い、ちょっと珍しい方法を取っていることに気づいた。彼らがメールを受け取ったときの標準的な行動は、返信"しない"である。(中略)
学者的なメールの仕分け方:次のうち1つでも当てはまったら、返信しないでいい。
・内容があいまいか、または妥当な返事をすることが難しい。
・あなたの興味を引く質問または提案ではない。
・あなたが返事をしても本当によいことが何も起こらず、返事をしなくても本当に悪いことが何も起こらない。


【感想】

◆上記ポイントで何度も出てくるように、本書の目指すところは「ディープ・ワーク」に注力すること。

その対義語として本書で登場する(ただし上記ポイントでは割愛している)のが、「シャロー・ワーク」です。
シャロー・ワーク:あまり知的思考を必要としない、補助的な仕事で、注意散漫な状態でなされることが多い。こうした作業はあまり新しい価値を生み出さず、誰にでも容易に再現することができる。
具体的にはネットを用いた作業全般かと。

本書では「ディープ・ワーク」の1つの事例として、プログラミングを学ぶために「コンピュータのない部屋に、プログラミングのテキストとメモカード、マーカーだけを持って閉じこもった」コンサルタントが登場するのですが、これはちょっと極端でしょう。

とはいえ、本書の主張としては、ネット全般を制限することが、「ディープ・ワーク」への近道であることは間違いなさそうです。

……当ブログのように、ネットあってこそのミニメディアは立つ瀬がないのですがw


◆本書の第1章では、「極度に集中する」ための方策として「意図的な練習」なるものが登場します。

提唱者はK・アンダース・エリクソン。

当ブログでも、今年8月にこの本をご紹介しております。

超一流になるのは才能か努力か?
超一流になるのは才能か努力か?

参考記事:【「1万時間の法則」の真実】『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン,ロバート・プール(2016年08月05日)

つまり、何かを身につける過程においては、「ディープ・ワーク」を実践できるということ。

逆に、「ディープ・ワーク」ではない練習や学習をしても、スキルが身につかない、という考えも、非常に腑に落ちます。


◆さて本書では、第3章までの第1部で「ディープ・ワーク」についての概要や、その重要性について解説し、第2部からは、具体的な実践方法を展開。

上記ポイントの3番目もその「戦略」の1つです。

他にも「どこかに"缶詰め"になる」という戦略は、効果がありそうな。

J・K・ローリングがハリポタシリーズの完結編(『ハリー・ポッターと死の秘宝』)を五つ星ホテルで書き上げたのは、その典型です。

また、起業家でソーシャル・メディアのパイオニアであるピーター・シャンクマンのお話は、さらに極端でした。

彼は2週間で著書を書き上げる契約を結ぶと、東京までの往復便のチケットを予約し、日本への飛行中、ずっと原稿を執筆。

到着すると空港ラウンジでエスプレッソを飲み、それから引き返して再び飛行中に原稿を書き、ついには完成させたのだとか。


◆ただ、私たちにとってより有益なのは、「シャロー・ワーク」を減らす方の戦略でしょう。

特にSNSにハマっている方は、本書の第6章「ソーシャル・メディアから離れる」をご覧アレ。

私は、FacebookもTwitterも、基本的にはブログ告知のためにしか利用していませんから問題ないものの、そうでない方は多そうな(もちろんSNSのメリットも理解していますが)。

もっとも私の場合は、単にブログ執筆にかなり時間がかかるため、SNSをやりたくでもできないのですけどね……。

ただ、朝早起きして書いているのでメールも来ず、結果的に「ディープ・ワーク」状態にはなっていますがw


◆なお、本書の「ディープ・ワーク」の具体例や典型例として挙げられているものの多くが、著者を含めて「本を書くこと」や「論文を書くこと」だったりします。

つまり、ある意味「極端な例」と言えないこともなく。

ただそれとは真逆で、「四六時中、TwitterやFacebookでレスポンスし続けなければならない」人もそれほどいないハズ。

結局、自分の置かれたポジションにおいて、どれだけ「シャロー・ワーク」を減らし、「ディープ・ワーク」を究めるかが大事なのであり、本書はその手助けをしてくれることは間違いありません。


生産性を高めたい方は、要チェックです!

大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法
大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法
序章――偉大な仕事を成し遂げた人たちが知っていたこと

第1部 「ディープ・ワーク」という考え方
 第1章 生産性を劇的に上げるために必要なこと
 第2章 注意力を奪う「シャロー・ワーク」という存在
 第3章 ディープ・ワークの三つの利点

第2部 「ディープ・ワーク」を実践するために
 第4章 集中して取り組むための戦略
 第5章 雑念を取り払うトレーニング
 第6章 ソーシャル・メディアから離れる
 第7章 シャロー・ワークを減らす

おわりに


【関連記事】

【「1万時間の法則」の真実】『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン,ロバート・プール(2016年08月05日)

【生産性向上】『自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』ちきりん(2016年11月30日)

【仕事術】『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島 聡(2016年06月06日)

【仕事術】『速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術』赤羽雄二(2015年01月24日)

【仕事術】『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』山梨広一(2016年07月25日)


【編集後記】

◆たまたま見つけたのですが、この本は何のKindleセールなのやら……。

書かずに文章がうまくなるトレーニング
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