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2016年09月13日

【教え方】『教え上手』有田和正


教え上手
教え上手


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日告知した「知識を得る本半額セール」からの1冊。

セールは9月15日までなので、さっそく読んでレビューしてみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
教え方の本質は「いかに教えないか」にある。
50年近く教育の第一線で活躍し、「追及の鬼」を育てる指導で名をはせた教育界のカリスマによる、大人が知っておくべき“教え方のエッセンス”とは?

なお、一応単行本もありますが、やはり「76%OFF」の上記Kindle版がお買い得だと思われ!





Teaching my first weekend MBA class at Haas (back in 2005) / Jose C Silva


【ポイント】

■1.「質問」ではなく「発問」をする
 同じ問いかけでも、発問と質問はどう違うのか。質問は通常、一問一答のかたちをとります。ひとつ聞いたら、ひとつの答えが返ってくる。問いと答えが直線的に結ばれているのが質問で、それによって一個の不明や疑問が解決されます。
 しかし発問は、ひとつ聞いたらいくつもの答えが返ってきます。つまり、問われた側に多様な考え方を広げるきっかけとなるもので、一個の疑問を解決するよりもむしろ、多くの新しい疑問を生み出す効果があるのです。  池に石を投げ込むと四方に波紋が広がりますが、あのように、ひとつの発問を投げ込むことで聞く人の思考にたくさんの波風を立てる。そうした触媒としての力を持った刺激的な問いかけを発問と呼ぶのです。


■2.「待つ」と「押す」を繰り返す
花も水をやりすぎては根腐れしてしまいます。水は足りないくらいのほうが花もよく育つのです。
 けれども、私たちはつい水をやりすぎてしまう。親切で熱心な人ほど、「なぜ、これがわからないんだ」とあれこれ口をはさみ、手を出す過剰な指導をしてしまう。自ら「はてな?」と疑問を抱き、好奇心を働かせるまえに、エサを口に運ぶように教えてしまう。
 そして、その教えすぎが「また、先生が教えてくれるだろう」「いつか上司がいってくれるだろう」という頼る心を植えつけて、生徒や部下の主体性を損ね、依存性を育ててしまうのです。
 相手が考えはじめたら、しばらくだまって見守る。迷路に入ったり、堂々めぐりをはじめたら、少しだけヒントを与えて指で押してやる。ふたたび考え出したら、またしばらく見守る。この「待つ」と「押す」のくり返しが教える技術の肝であり、本当に人を育てることになるのです。


■3.最初から「面白い部分」を持ってくる
 やさしいところから教えて、だんだんむずかしいところへ移っていくのが、教えるときの常道ですが、私の経験からいえば、この方法はあまりうまくいきません。  むずかしいイコールわからないのではないのと同様、「やさしいのがおもしろい」とはかぎらないからです。 (中略)
 わかってもらおうとする意識が強すぎると、逆に関心を失わせてしまうこともあるということです。
 いちばんおもしろい部分から伝えて関心をいっきに集める。あるいは、エッセンスを伝えて内容を想像させる。そうしたおもしろく伝える技術が人を、考える、調べる、わかる楽しさに行き着かせることになるのです。


■4.ノートは「大量に」「早く」書かせる
 文字だけでなくイラストを描いてもいいし、切り抜きや写真を貼ってもいい。「1回の授業で2ページ以上書かないのは勉強したうちに入れないよ」などとハッパをかけて、私は子どもたちに量を書かせるよう指導していました。
 そうやって何でも書いているうちに、やがて量から質が生まれてきます。量が質に転換していくのです。すなわち、雑多にあれこれ書かれたものが思考の足跡となって、そのなかからだんだん考えが育ってくるし、まとまってくるのです。
 もうひとつの方法論は、「早く書け、汚く書け」というものです。
 ノートはあくまで考えを生み出すための手段であって目的ではありません。ですから、きれいに書くことやていねいに書くことは二の次でいい。ノートはきれいに取れと強く指導することは、教わる人をノート嫌いにしてしまう可能性が高い。それよりも、何でも書いているなかから、考えが生まれてくるという体験をさせることが重要なのです。


■5.叱るときの5つのルール
●「強く、短く叱る」

●「相手の身になって叱る」

●「目を見て叱る」

●「他人と比較して叱らない」

●「いまのことを叱る」


(詳細は本書を)


【感想】

◆著者の有田先生は「教育界のカリスマ」として知られる方であり、福岡県内の公立校や、福岡教育大学附属小倉小学校を経て、筑波大学附属小学校でも教えられたという経歴の持ち主です。

そこで必然的に、本書に登場する多くの事例が、先生が小学生を教えられたときのものがほとんどということに。

たとえば、上記ポイントの1番目に「発問」が登場しますが、この「発問」と同様に有田先生が重視しているのが「ネタ」(教材)。

この「ネタ」が「茎が90度に曲がったサトウキビ」だったり、「巨大なフランスパン」だったりするんですから、そりゃ小学生は食いつきます罠。

これをビジネスシーンに応用するなら、「教える」シーンより、プレゼンや講演会で観客を引き込ませる方が良さげです。


◆同様に、上記ポイントの3番目の「やさしい部分より面白い部分」というのも、大人相手では違和感が。

確かに「面白い」方がフックがありますけど、大人は「教わる側」に、たとえ面白くなくとも「学ぼう」という心構えがあってしかるべきです。

ちなみに上記の「茎が90度に曲がったサトウキビ」のネタは、このポイントの3番目の事例。

有田先生が「サトウキビの生育条件」について教えるとき、「沖縄の気候風土はかくかくしかじか」といった一般的な知識からはじめるより、このサトウキビを取り出して、「どうしてこんな風に曲がってるんだろう?」と生徒たちに問いかけるのだとか。

そりゃ、小学生は食いつき(ry ←6行ぶり2回目


◆ただ私たちは、よほどのことがない限り、「複数の子どもたちに何かを教える」経験は普通ないでしょう。

そこで私は、途中から本書を「子育て本」として読み始めました。

たとえば上記ポイントの4番目の「ノートの書かせ方」のお話に関して言うなら、ムスコの塾のノートの字が汚すぎて毎回注意していたのですが、それはほどほどにしよう、とか。

むしろ黒板に書かれた文字しか写していないようなので、考えたことや気が付いたことも自由に書かせたいと思います。

さらに最後のポイントの「叱るときの5つのルール」は、特に意識しておきたいところ。

中でも最後の「いまのことを叱る」というのは、私自身、過去のことを蒸し返して「何度言ってもおんなじだ!」と言ってしまいがちなので、注意しなくては……。


◆もっとも、この「叱り方」というのは、よくよく考えたら、大人というか部下相手でも言えること。

また、上記ポイントの2番目の引用文の中には「生徒や部下」とあるように、ここも大人であっても気を付けるべき事項なのは明らかです。

そういう意味では本書も、必ずしも子ども相手に教えるためだけの本ではないでしょう。

とはいえ、お子さんがいらっしゃる方の方が、本書の教えをより活かすことができるとは思いますし、もし教職に就かれている方がいれば「ドンピシャ」かと。


セール価格は15日までなので、お求めはお早めに!

教え上手
教え上手
第1章 誘導し、ふくらませる技術
第2章 考えさせ、追求させる技術
第3章 引き込み、注目させる技術
第4章 モチベーションを高め、才能を伸ばす技術


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【Kindle】「知識を得る本半額セール」開催中!(2016年09月11日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

日本の論点2016〜17
日本の論点2016〜17

一応大前先生のこのシリーズの最新刊。

1つ前の年度の分は、すでにセールに出ていましたが、本書は初めてのようです。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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