スポンサーリンク

       

2016年05月05日

【潜在意識?】『相手を変える習慣力』三浦 将


4844374737
相手を変える習慣力 (ビジネスライフ)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だったコミュニケーション本

ただし、著者の三浦 将さんが「コーチングのプロ」だけあって、本書のベースとなるのはコーチングのテクニックでした。

アマゾンの内容紹介から。
自分の習慣を変えたら、関係がうまくいかなかった人へのイライラやモヤモヤが消えてなくなった。
部下や上司、同僚、取引先、妻、夫、子供など、まわりの人たちに対し、なぜかイライラしてしまう。
「なぜこうしないのか?」「なぜそんなこともできないのか?」「相手を変えたい」「変わってほしい」。
人の行動を変えるのは大変です。本書では、メンタルコーチングのメカニズムやアドラー心理学、そして著者の数々の経験をもとに「相手を変える」秘訣を紹介します。

なお、上記未読本記事の際には用意のなかったKindle版も、現在は配信されていますので、そちらもご検討ください!





Coaching demos / Tatiana12


【ポイント】

■1.人と人は「ヨコの関係」
 人と人は、基本として「ヨコの関係」です。上下関係があるのは、上司・部下の関係などの会社の仕組みの中や、先輩・後輩などの学校や部活の仕組みの中、子弟などの学びの仕組みの中など、あくまで仕組みの中のことです。
 この人間の基本的なことを勘違いする人がいます。
 驚くことに、かなり頭の良い人でもこの勘違いをしている人はたくさんいます。一方、私は仕事柄、会社の社長さんやエグゼクティブの人たちとお話する機会が多いですが、本質的に優れた、そして安定した経営をされている人には、この平等な感覚を持ち、品性の高い方が実に多いことに気付きます。


■2.相手を変える際には、変えようとはしないこと
 相手を変えようとする気持ちは、相手にダメ出しをする気持ちです。「あなたは変わるべき」というメッセージは、相手にとってはあなたはダメだから、変わる必要がある!」というメッセージになります。仮にダメ出しをしている気持ちはなくとも、相手の潜在意識は、ダメ出しだと受け止めて、メッセージの送り手を「ダメ出しする人」と受け止めてしまう可能性があります。
 だから、逆説的で、ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、
 相手を変えたいのであれば、変えようとしないこと
 このことが、この上なく重要なのです。
「そんなこと言われても、変えようとしなければ、相手は変わらないじゃないか」と思う気持ちもあるかもしれません。
 では、どうしたらいいのか?
 まず、相手を承認するのです。相手を変えようと必死になる前に、相手の存在そのもの、そして可能性を承認する。ここが何よりも大事です。


■3.自分自身を承認できる人ほど、相手を変えることができる
 ここで、「相手を変える」ということについて、大事なことをお話します。
 あなたの自己肯定感、つまり、あなたが自分自身を承認している度合い、これこそがあなたが他の人たちを承認できる度合いに等しいということです。
 これは、先程付けた自己肯定感の点数が、あなたが目の前の人を承認できる現在の能力に等しいということ。つまり、自分自身を承認できる人ほど、相手を承認できるのです。そして、自分自身を変えることができる人ほど、相手を変えることかできるのです。
 だから、相手を変えることができる土台をつくるためにまずやることは、あなた自身の自己肯定感を上げていくことなのです。


■4.反省は態度や行動に対して行い、可能性や存在自体には行わない
「あなたはどうしてそんなにだらしないの!」
 と言われるのと、
「あなたのやったことは、本当にだらしない!」
 と言われるのとは、受け取るニュアンスがちょっと違うのではないでしょうか。
 1つ目は、「あなた=だらしない人」と断定されています。レッテルが貼られている状態です。2つ目は、「あなたがした行為=だらしない行為」という指摘で、これに対して反省を促す言葉です。この裏に「あなたは本来きちんとできる存在なはず」という承認があり、レッテルが貼られていない状態であれば、反省を促す厳しい言葉があっても、次に向かう勇気は出てくるのです。


■5.自己開示をする
 世の中のリーダーが意外に出来ていないことが、「自分をさらけ出すこと」。弱い人間と見られたくないがために、強いリーダーでなければいけないという使命感から、なかなかこれができないことが実際です。一方、相手の潜在意識は、目の前の人に、弱い部分や情けない部分、汚い部分をさらけ出すことによって、安心した状態となります。人は、わからないものには不安や恐怖を感じます。情けなかろうが汚かろうが、それを出されることによって、相手の潜在意識は安心するのです。そして、これがやがて相手を変えていくきっかけとなります。
 大きな目的のために、そして自分との関係性のために、思い切って自分をさらけ出す人を、人は馬鹿にしたりはしません。むしろ、その人を「勇気ある人」とみなすでしょう。


【感想】

◆「人を動かす」というと、どうしても『影響力の武器』にあるようなテクニックを想像してしまう私ですが、本書の内容はまったく違いました。

たとえば本書のプロローグには、著者の三浦さんがクライアント先の男性にアドバイスしているシーンがあり、実はこれが本書の内容を象徴したかのようでして。

何でも、その男性は自分のある部下に対して不満があるのだとか。

そこで三浦さんは、椅子を1つ用意して男性のとなりに設置し、その椅子に部下が座っているつもりで会話を再現してもらいます。

すると、怒りや苛立ちが再現されるとのこと。

次にその椅子に座り変えて、今度は部下になったつもりで、元の席の男性に話しかけてもらいます。

今度はそうすることで、部下の気持ちが分かると同時に、問題点に気が付いたのだそう。


◆たとえばそれは、上記ポイントの1番目の「ヨコの関係」だったりします。

上司としての威厳を見せつけて、上から押さえつけようとしても、相手は変わりません。

さらには、上記ポイントの2番目にあるように、無理やり変えようとしている点も、相手の潜在意識からしたら、まさに「ダメ出しする人」そのもの。

こういう人は「安心安全を脅かす人」と潜在意識は判断し、扉を固く閉ざしてしまいます。

逆にこの男性に必要だったのは、まず「部下を承認すること」。

そうすることで、部下の潜在意識は変化することを許し、本当の意味で男性の言葉を受け入れるようになるワケです。


◆では、どうやって承認をするか、ということに関しては、本書の第3章にてご確認を。

中でも付箋を貼りまくったのが、「褒めるに潜む危険性」というお話でした。

もちろん、けなすよりも褒める方がいいのですが、注意点が4つほど。

個人的に注意したいのが「褒めてもらうことが目的になると、褒めてもらえない状態の場合、自己否定が始まる」という指摘で、これはまさに子育てでよくあるお話です。

ありがちなのが、親自身の自己肯定感を高めるために子どもを良い学校に行かせようとすると、子どもが親のための道具と化してしまうという状態。

こうなった場合、子どもがテストでいい点をとれないと、子どもたちは自己否定に陥ってしまうこと必至です。

……そうならぬよう、今一度本書を読み返さねば。


◆さらには、上記ポイントの3番目にあるように、自分自身を承認できなければ、相手のことも承認できないとのこと。

そこで本書の第4章では、自分自身を承認できるようになるためのTIPSがいくつか紹介されており、ここにも付箋をもれなく貼りました。

・自分へのダメ出しは「なぜ(Why)」を「どうしたら(How)」に変える

・「心の中で思う」ことよりも、「実際に口に出す」

・ネガティブ度が強いときは、第三者からの言葉のように自分を応援する


1つひとつが結構深いお話なのですが、ボリュームの関係で割愛せざるを得ず(すいません)。


◆ただ、これらや上記の椅子を使ったワーク(「ポジションチェンジ」と言うのだそう)は、類書で目にしたことがあったような。

……などと思っていたら、本書の第5章では「『知っている』と『やっている』とは雲泥の差がある」、とバッサリ指摘されていました。

本書ではスノボやスキーを例に挙げていますが、本で学んだとしてもそれは「知っている」のレベルであり、現地でレッスンを受けて、やっと「できる」のレベルである、と。

「やっている」のレベルは、それこそ無意識で滑る段階ですから、次元が違います。

本書で言う「承認」も、目指すはこの「やっている」レベルですから、日々これ精進しなくては。

本書では「毎日1%の改善を」提言していますので、部下やパートナー、お子さんを「変えたい」方なら、ぜひお試しアレ。


内面から相手を変えるために!

4844374737
相手を変える習慣力 (ビジネスライフ)
Prologue 相手を変える習慣力
Chapter1 相手を変える力についての思い込み
Chapter2 相手の潜在意識に働きかける
Chapter3 大事なことはスキルではなく承認すること
Chapter4 相手を変えることができる人
Chapter5 習慣化の技術
Chapter6 “できる"から“やっている"に変える対話術


【関連記事】

【心理】『影響力の心理』ヘンリック・フェキセウス(2016年02月19日)

【55のメソッド】『教える技術』石田 淳(2011年06月22日)

【オススメ!】「できる新人指導者の躾けるチカラ」落合文四郎(2009年02月03日)

【Amazonキャンペーン有】『部下の「やる気」を育てる!』小林英二(2008年09月24日)


【編集後記】

◆どこかのセールなのかもしれませんが、こちらの本がお安くなっていたのでご紹介。



「40%OFF」の時点でもセール並みなのに、さらに「20%ポイント還元」まで付いて、中古よりお買い得となっております。

……この本私も、華麗に「電子積読」中なんですがw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ

この記事のカテゴリー:「コ−チング」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。