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2016年04月24日

【思考術】『アウトプットの精度を爆発的に高める「思考の整理」全技術』生方正也


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アウトプットの精度を爆発的に高める「思考の整理」全技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった思考術本。

著者の生方正也さんは、以前当ブログでは『アウトプットの質を高める仮説検証力』という本をレビューしており、そちらが良かったため本書も注目しておりました。

アマゾンの内容紹介から。
「考えて仕事をする」とはどういうことなのか? 2万人のビジネスパーソンを変えた「頭の使い方」の教科書。

ロジカルシンキング好きの方なら、要チェックです!






Thinking / Creative Ignition


【ポイント】

■1.「全体像」をとらえるコツ
(1)大くくりにする(3〜5つ程度でまとめる)
(2)俯瞰する
(3)絵にしてみる
(4)繰り返しながら枠組みとしての精度を高めていく
(5)フレームワークを利用する

(詳細は本書を)


■2.情報を分解する
たとえば、「A社の利益が倍増」という記事があった場合、その記事には「海外での売上増が貢献」や「コスト削減プロジェクトが奏功」などのサブの見出しが必ずと言っていいほどつけられています。これは、暗黙のうちに利益を「売上−費用」という引き算で分解しているのです。同様に、かけ算と割り算といった形での分解もすることができます。
 このような観点での分け方を、この本では「因数分解」と呼びます。因数分解ができるようになると、表面には浮かんでこない要素で分けることができるようになります。そうすると、「確かにこういう見方もできるな」という幅を広げることができるようになります。
<因数分解のパターン>
[足し算] 顧客=新規顧客+既存顧客
[引き算] 利益=売上−費用
[かけ算] 売上高=数量×単価
[割り算] リピート率=リピート客÷総顧客


■3.ゴールから考える(逆算思考)
「部下への指示なんて、指示内容をまとめて、それを部下に伝えれば、あとはやってくれるだろう」。確かにできのいい部下ならこれで丸く収まりそうです。でも、必ずしもいつもそういうわけにはいきません。
 では、ゴールから逆算して考えていくとどうなるでしょう。
「部下が自分の指示を実行できるようにするためには、指示をちゃんとわからせなければならない。そのためには、指示内容をわかりやすくするのと同時に、部下がどの程度の力量なのかも知っておかないといけなそうだ。それから、指示内容がわかってもそれをできないこともある。たとえば部下にやる気がなかったりしたら大変だ。それだけでなく、時間がなかったり指示を実行するのに必要な資源が足りなかったら多分指示をこなせないだろう。そのあたりも確認して、必要なら手配するように言っておかなければ」。


■4.目的に沿った成果物を考える
 たとえば、お客様と初めての打ち合わせをしたときの成果物には、どんなものがあるでしょうか。
 目に見えるものなら、「お客様の名刺」という成果物があります。それから、「お客様の状況やニーズを理解した自分」という成果物もあるでしょう。さらに「自社の提供できるサービスを理解したお客様」という成果物も考えられます。
 この中でどれをプロセスの中に組み入れるかは、その商談の目的、つまり商談の状況と商談後にどのような展開を想定しているかによって変わってきます。(中略)
 これが、お客様に自社についての関心を持ってもらいたいのに、「成果物はお客様のニーズを理解した自分だ」と思い込んで商談を進めていたら、あまり実のある商談にはならないでしょう。
 このように、自分の活動によって「これだ」というひとつの成果物が決まるわけではありません。結局その活動の目的から成果物を考えていくことが必要です。


■5.見方を変える3つの方法
(1)視座を高める
 たとえば、現場の目線と経営者の目線では、同じ状況も違って見えるはずです。このような目線の高さの違いを「視座」と呼びます。
 この視座をさまざまに変えてみると、状況は驚くほど違って見えてきます。
(2)視野を広める
 2つ目は、状況を見る範囲をどれだけ広くとるかということです。
 自分の取り組んでいることに関しては、視野が狭くなりがちです。そうなると、独りよがりな発想につながっていきます。広い視野を持って状況を見てみる、ということは常に意識しなければなりません。
(3)視点を変える
 視座や視野と違ったものとして、「視点」があります。物事を見る角度のようなものです。


【感想】

◆本書の内容をざっくり言うなら、アマゾンの内容紹介にある、この2点に集約されます。
・どのような頭の使い方があって、どこで使うとよいのかを整理する(思考の「選択肢」)
・うまく頭を使えないときの対処法を理解する(思考の「修正法」)
そして、実際に頭の使い方の段階としては、下記目次の見出しにある次の4つが挙げられるかと。
(1)思考のピントを合わせる
(2)情報を理解する
(3)頭の中を整理する 
(4)アウトプットの幹をつくる
さらにそれぞれの段階における「8つの頭の使い方」については、同じく下記目次の11章までの各章をご覧ください。

「8つ」なのに11章までなのは、第3章が「頭の使い方」ではないので除かれており、また、第8章と第9章はどちらも「比べる」なのでまとめているからなのですが。


◆ちなみに本書は、これらの「頭の使い方」に関する各章(計9個)については、すべて同じ構成になっています。

それぞれのテーマに対して
・その頭の使い方に関連する困った場面
・困った場面に対する基本的な対処法
・紹介する頭の使い方に関する概念的な説明
・うまくいかないパターン
・その技術を使いこなすコツと注意点
・発展的なテーマ
という形で、それぞれまとめられているという。

それゆえ、自分の悩みの段階に応じて、適した箇所だけ読んでみると、ヒントを見つけやすくなるかもしれないワケです。

本書のようにある程度章分けが細かくて、それぞれについて、ここまで分類している本は、あまり記憶にないような?


◆内容的には、ある程度「ロジカルシンキング」関係の書籍をお読みの方なら、既知のものも散見されると思います。

上記ポイントの2番目の「因数分解」や3番目の「逆算思考」、5番目の「視座、視野、視点」と言ったお話は、当ブログでもご紹介したことがありますし。

なお「逆算思考」については、冒頭でも触れたように、生方さんの前作のテーマでもありますので、詳しくはこの本をお読み頂ければ、と。

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アウトプットの質を高める 仮説検証力

参考記事:【仮説検証】『アウトプットの質を高める 仮説検証力』生方正也(2015年07月23日)

また、上記ポイントの1番目に関しても、「俯瞰する」「絵にしてみる」「フレームワークを利用する」といった手法自体は、お馴染みだと思います。


◆それに対して、私自身は初めて目にしたのが、上記ポイントの4番目の「目的に沿った成果物を考える」という手法でした。

そもそもこのお話は全体の中で言うと、第7章の「プロセスでつなげる」というパートで、「必然性のあるプロセスを描くには、どうすればいいか」というテーマに対する回答の1つです。

つまり業務において私たちの活動(どこが何をするか)を考える際に、いきなり活動から考えずに、成果物から考えよ、ということ。

ここは慣れないとピンとこない(私も最初違和感がありました)のですが、成果物が見えにくい場合、「その活動の前後で何が変わっているかに着目する」と見えやすくなるのだそう。

たとえば、後輩に指導した場合の成果物は、「指導内容を理解した後輩」になるという。

そして実は、この「成果物ベースの思考」は、上記ポイントの3番目の「逆算思考」と同時に行うことが大切……なのですが、詳細は本書にてご確認を。


「頭の使い方」が整理できる1冊!

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アウトプットの精度を爆発的に高める「思考の整理」全技術
PROLOGUE 思考を整理するとはどういうことか

PART1 思考のピントを合わせる
 CHAPTER1 目的を明確にする
 CHAPTER2 全体像をとらえる

PART2 情報をインプットする
 CHAPTER3 情報のインプット

PART3 情報を理解する
 CHAPTER4 切り分ける
 CHAPTER5 バラす

PART4 頭の中を整理する
 CHAPTER6 因果関係でつなげる
 CHAPTER7 プロセスでつなげる

PART5 アウトプットの幹をつくる
 CHAPTER8 善し悪しを判断するために比べる
 CHAPTER9 共通点・相違点を発見するために比べる
 CHAPTER10 見方を変える
 CHAPTER11 意味を読み取る

PART6 アウトプットする
 CHAPTER12 アウトプット


【関連記事】

【仮説検証】『アウトプットの質を高める 仮説検証力』生方正也(2015年07月23日)

【コンサル流】『本質思考: MIT式課題設定&問題解決』平井孝志(2015年01月26日)

【問題解決】『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』大嶋祥誉(2013年04月30日)

【これは分かりやすい!】『コクヨの5ステップかんたんロジカルシンキング』下地寛也(2013年02月13日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」はこちら。

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会社四季報 業界地図 2016年版

投資をなさる方だけでなく、昨日の大前先生の本ではないですが、問題解決するために「情報を収集」したい方にも有益な1冊だと思います。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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