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2016年04月17日

【R指定?】『言ってはいけない 残酷すぎる真実』橘 玲


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言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で大人気だった科学ネタ満載本。

当ブログではお馴染みの橘玲さんが、珍しく(?)お金の話ではなく、「遺伝」「見た目」「教育」といったデリケートなテーマに言及されています。

アマゾンの内容紹介から。
きれいごとでは生きられない……。この社会の美言は絵空事だ。往々にして、努力は遺伝に勝てず、美人とブスには残酷な「美貌格差」があり、子育ての苦労はほぼムダになる……。人気作家が明かす、この「不愉快な現実」を直視せよ!

新書ですが、ややお買い得なKindle版が来週発売されますので、こちらもご検討ください!





twins / -Manda


【ポイント】

■知能は遺伝に依存する
「こころは空白の石板(ブランク・スレート)というのがリべラルの立場で、子どもはみな平等に生まれてくるが、環境によって知能の差が生じると考える。日本でも「親が高収入だと子どもの学歴が高い(貧しい家庭の子どもは良い教育を受けることができない)」といわれるが、これが典型的な「環境決定論」だ。
 ところが行動遺伝学の双生児研究などによって、「知能が環境のみによって決まる」という仮説は完膚なきまでに否定されてしまった。言語性知能は家庭環境の影響を強く受けるものの、それを除けば、一般知能の8割、論理的推論能力の7割が遺伝で説明できるなど、認知能力における遺伝の影響はきわめて大きいのだ。


■2.反社会的行動は、幼少時の心拍数に関係する
 幼少時に測定した心拍数が、成人後の反社会的行動に結びつくことを示す経年研究も行なわれている。イギリス、二ュージーランドなどで実施された5件の経年研究によれば、子どもの頃(早くは3歳の時点)の心拍数の低さが後年の非行、暴力、犯罪の予測因子になることが示された。
 もちろん、反社会的な子どものすべてが心拍数が低いわけではない。そこで(神経犯罪学者エイドリアン・)レインは、15歳のときに反社会的な態度をとっていて、29歳までに犯罪者になった者と、成人後に反社会的にも犯罪者にもならなかった者とを比較してみた。その結果、犯罪者にならなかったグループは、犯罪者になったグループに比べて安静時心拍数がかなり高いことが判明した。心拍数の高い子どもは、非行に走ったとしても大人になれば更生するのだ。


■3.「男らしさ」「女らしさ」は生まれつきのもの
 キブツはイスラエルの実験的なコミューン(共同体)で、子どもは幼児期に親から切り離されて寄宿舎で生活し、訓練を受けた保育の専門家が男女をいっさい区別しない教育を行なう。性別や階級の壁がない「ユートピア」で育った子どもたちは、あらゆる職業を半分ずつ担うようになるはずだった。
 だが人類学者が1970年代にキブツで育った3万4000人の生活を調査したところ、意外な事実が明らかになった。男女の役割分担を均等にしようと試みて4世代が経過しても、女性の7〜8割は人間を相手にする仕事、なかでも保育や教育の分野に集まり、男性の大半は農作業や工場、建設、営繕関係の仕事を選んでいたのだ。さらに奇妙なことに、キブツでの生活が長いほど性別役割分業の傾向が強く見られた。


■4.メスの狡猾な性戦略
 メスの直面する問題は、優秀な遺伝子を持つオスにはライバルが多く、独占可能なオスはさはど優秀な遺伝子を持っていないことだった。これは典型的なトレードオフ(あちら立てればこちらが立たぬ)だが、この問題にはきわめて簡単な解決方法がある。優秀な遺伝子を持つオスの子どもを、献身的に子育てするオスに育てさせればいいのだ。(中略)
 イギリスの生物学者ロビン・べイカーは、平均すれば男性の10%は他人の子どもを自分の子どもと誤解して育てているという。だがこの数字は所得によって大きく異なり、最低所得層にかぎれば他人の子どもの比率は30%に跳ね上がり、最高所得層の男性では2%に激減する。


■5.親の役割は子どもの才能の目を摘まない環境を与えること
男女共学の学校に通う女子生徒は、「数学や物理ができる女はかわいくない」という無言の圧力を加えられている。「バカでかわいい女」でなければ友だちグループに加えてもらえないなら、好きな数学の勉強もさっさと止めてしまうだろう。(中略)
 知的能力を伸ばすなら、よい成績を取ることがいじめの理由にならない学校(友だち集団)を選ぶべきだ。女性の政治家や科学者に女子校出身者が多いのは、共学とちがって、学校内で「バカでかわいい女」を演じる必要がないからだ(必要なら、デートのときだけ男の子の前でその振りをすればいい)。同様に芸術的才能を伸ばしたいなら、風変わりでも笑いものにされたり、仲間はずれにされたりしない環境が必要だろう。


【感想】

◆橘玲さんといえば、当ブログ的な表現で言うと「身も蓋もない」(いい意味で)お話が特徴の方。

今までは税制や保険、ビジネス等のテーマが中心だったのですが、本書で取り扱った「遺伝」「見た目」「教育」も、実は「身も蓋もない」点では似たようなものだったりします。

ただし「遺伝」や「見た目」は、税制等に比べたらより一層「どうしようもない」ため、読む人によっては、抵抗がありそうな気が。

たとえば、上記のように抜き出して書くと、誤解がありそうなので割愛したのですが、ある種の精神病は遺伝率が80%を超えるそうです。

同じように、イギリスで行われた「反社会的な傾向の遺伝調査」によると、「冷淡で無感情」といった性格を持つ子どもの遺伝率は30%だったのに対し、「矯正不可能」レベルの反社会性を持つ子どもだと、その遺伝率は81%にものぼるのだそう。

かといって、まだ罪を犯していない人を「犯罪者の子ども」だからといって色メガネで見るのはどうなのか、と……。


◆本書では続く第局瑤砲董△海譴泙拭嵜箸盂犬發覆ぁ彝宛のお話を展開。

ただし、ここで触れられているお話のいくつかは、当ブログでご紹介済みの下記2冊からのものでした。

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美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

参考記事:【美形は得?】『美貌格差: 生まれつき不平等の経済学』ダニエル・S・ハマーメッシュ(2015年03月05日)

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卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学

参考記事:【見た目の科学】『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』マシュー・ハーテンステイン(2014年10月29日)

そもそも第局瑤離織ぅ肇襪法嵌貌格差」とあるくらいですから、ここを読めば上の本はだいたい押えられますw

また下の本からも、レビューで抜き出した「幅の広い顔の男性は嘘をつきやすい」というお話が紹介されているという。


◆とはいえ、この第局瑤蓮後半にかけて段々と「際どい話」に移行していきます。

特に第10章にあった、ヒトは「一夫一妻制」(テナガザル)なのか、「一夫多妻制」(ゴリラ)なのか、「乱婚」(チンパンジー、ボノボ)なのかは、というお話は、非常に興味深いものでした。

ちなみに一般的にヒトは「一夫多妻制に近い一夫一妻制」とされているのですが、本書では「乱婚」を主張する強力な説が紹介されているワケでして。

……いわく、「乱婚のチンパンジーやボノボより長く、太く、先端にエラがついている」男●器の構造こそ、他の男性との「遺伝子競争」に勝つためである、とのこと(詳細は本書を)。

ここを読んだときは、思わず「ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー」と口走ってしまいましたよw

おまけに、このお話のすぐ後に、この章のテーマである「女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?」というお話がありますので、電車等でお読みになる場合には、覗きこまれないようご注意ください(真顔)。


◆そして最後の第敬瑤、「教育」について。

ここでも「遺伝」や「環境」のお話がどっさり出てくるのですが、結論的には上記ポイントの5番目にあるように、「友だち関係」が大きいのだとか。

となると、公立校ならば「住む場所」自体が大事ですし、私立校ならばお受験でも何でもさせて、「良い」と言われる学校に行かせた方が正解なのだと思います。

ただ、そのポイントの5番目にあるように、「共学」だと学校のレベル以前に「男女問題」のおかげで理系の道には進みにくいことに。

さらに女性に女子校を薦めるお話として、「女子校だと望まない妊娠が少ない」という研究結果もありました。

これはデートの機会の差ではなく、共学における社会的関係性によるものなのですが、これまた詳しくは本書をお読み頂きたく。

……ウチのムスメも女子校で良かったのかもw


まさに「不愉快な現実」がここに!?

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言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
I 努力は遺伝に勝てないのか
1.遺伝にまつわる語られざるタブー
2.「頭がよくなる」とはどういうことか――知能のタブー
3.知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人
4.進化がもたらす、残酷なレイプは防げるか
5.反社会的人間はどのように生まれるか

あまりに残酷な「美貌格差」
6.「見た目」で人生は決まる――容貌のタブー
7.あまりに残酷な「美貌格差」
8.男女平等が妨げる「女性の幸福」について
9.結婚相手選びとセックスにおける残酷な現実
10.女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?

子育てや教育は子どもの成長に関係ない
11.わたしはどのように「わたし」になるのか
12.親子の語られざる真実
13.「遺伝子と環境」が引き起こす残酷な真実


【関連記事】

【美形は得?】『美貌格差: 生まれつき不平等の経済学』ダニエル・S・ハマーメッシュ(2015年03月05日)

【見た目の科学】『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』マシュー・ハーテンステイン(2014年10月29日)

東大教授も知らない『セ●クスと恋愛の経済学』の秘密(2014年12月27日)

【子育て】『一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』ムーギー・キム,ミセス・パンプキン(2016年03月10日)

【教育経済学!?】『「学力」の経済学』中室牧子(2015年06月30日)


【編集後記】

◆今週末スタートのKindleセールから。



Amazon.co.jp: 【半額】春のプログラミング入門書フェア(4/28まで): Kindleストア

さすがにテーマ的に、ウチでは記事にできませんので、興味のある方は直接ご覧ください!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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