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2016年04月05日

【記憶術】『記憶力日本一が教える"ライバルに勝つ"記憶術 仕事も勉強も面白いほど成果が出る!』池田義博


記憶力日本一が教える`ライバルに勝つ'記憶術 仕事も勉強も面白いほど成果が出る!
記憶力日本一が教える`ライバルに勝つ'記憶術 仕事も勉強も面白いほど成果が出る!


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した勉強本

本書の著者である池田義博さんは、「記憶力日本選手権大会」に初参加で優勝し、そのまま3連覇を果たしたという方です。

アマゾンの内容紹介から。
3年連続記憶力日本一、記憶のグランドマスター・池田義博さんの記憶術を公開します。
脳の性質を利用した、確実に成果の出る記憶テクニックは、どなたでもすぐに実践できる実用性に満ちています。
英単語、人の顔や名前、1000ケタの数字までも覚えられる池田式・最強の暗記術を、練習問題付きで紹介。
受験や仕事に、すぐに役立つ1冊です。

最近当ブログでは「脳科学ネタ」が多かったのですが、久々に「記憶アスリート系」のスキルを学びます!





The world memory championship 2012 / LondonPictureCapital


【ポイント】

■1.脳を鍛えるには体を動かす
 脳が学習するためには、ニューロン同士の結びつきが不可欠です。それにより脳の能力も高まっていきます。先にも書いたように、有酸素運動が特に有効とのことでした。
 さらに本書の中にはドイツの研究者グループが行った研究で、運動後の方が何もしない時に比べ20%も早く記憶することができた事例や、35分間ランニングマシンで走ることにより、質問に対する回答の反応速度や、情報に対する認識の柔軟性が向上した事例などが載っていました。
 著者は本の中で元来人間は体を動かすようにできていて、そうすることによって脳も動かしている、つまり学習と記憶の能力は、祖先たちが食料を見つけるときに頼った運動機能とともに進化したので、学習のために効率よく脳を働かせるためには、やはり体を動かす必要があるのだと述べています。

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脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方


■2.感情が動くようなイメージをする
 例えば浮かべるイメージにいきいきした色をつけてみたり、実際は小さいものを巨大化させてみたり、またはその反対で大きいものを小さくしてみたり、数を増やしてみたり。
 なかでも記憶術で一番使うかもしれないイメージ化のコツは、人間ではないものに手や足を生やして擬人化する手法です。例えばパソコンと地球儀に相撲を取らせたりするといったことです。
 このように、記憶術とは実はかなり想像力が必要な技術なのです。
 そのためには大人としての常識は邪魔になります。現実的には起こりえないことでも、頭の中のイメージの世界では現実なのです。記憶のためには、インパクトのあるイメージの方が有利なのです。


■3.形のない言葉は象徴するものを考えてイメージする
 例えば「平和」という言葉をイメージに変えるとします。
 まずは乎和を象徴するものを考えます。乎和ということであれば、象徴するものがすぐに思い当たるのではないですか。
 そうです鳩ですね、特に白い鳩。平和の象徴としてはほぼ、これで納得していただけるものと思います。
 それでは「自由」と言われたらどうでしょう。
 いくつか考えられるかもしれませんが、例えばアメリカの「自由の女神」なんてどうでしょうか。


■4.人の名前は「背景」をイメージする
 まずは相手の顔の印象、これは雰囲気でも特徴でも構いません。これを心の中で言語化するのです。
 例えば「上品そうな人だ」「怒ると怖そう」「芸能人の○○さんに似ている」「色が白い」「眉がりりしい」「鼻がとても大きい」これらのようなものでOKです。言語化することで、何らかの感情が発生し顔の印象がより記憶に残りやすくなります。
 次に先ほどのべイカーべイカーパラドクスを参考にして、名前からその人の背景を「勝手に」イメージするのです。
 例えば「山本」さんだったら、「この人はものすごい読書家で部屋に天井まで届くぐらい『山』のように『本』が積まれている」と勝手に決め付けて、その時に頭の中で山本さんが本の山に寄りかかって読書しているところをイメージするのです。
 その人が有名人と同じ名前であれば、それを利用するのもアリです。例えばその人が「松下」さんならば、実はこの人は松下幸之助さんのお孫さんなのだと想像するのも良い方法です。


■5.イメージを組み合わせる「イメージリンクメソッド」
 まずは1番目の単語のイメージと2番目の単語のイメージを合わせて、なるべく面白いイメージを作り上げます。
 今回の10個の単語の例でいえば最初の単語は「サンタクロース」、2番目は「パソコン」です。そこでこの2つを組み合わせて1枚の面白い絵を作ります。
 例えば、
「サンタクロースがパソコンをいじっている」
 この様子を1枚の絵(イメージ)にして頭の中に思い浮かべます。
 その次がこの方法がリンクメソッドと名づけられているゆえんで、今度は先ほどの2つの単語のうち、あとの方の単語「パソコン」と3番目の単語「ハンマー」で1枚のイメージにするのです。
「パソコンの画面がハンマーで割られている」
 こうすることによって、最初に作ったイメージと次に作ったイメージの中にどちらも「パソコン」のイメージが入っているため、この「パソコン」が2つのイメージをリンクさせることになるのです。


【感想】

◆本書はまず前半部分で、脳や記憶の仕組みについて言及しています。

「記憶の定着には復習が必要」ですとか、「まとめてやるより分散して学習する方がいい」といったこと等々、この辺はある程度は類書でも見かけるお話なので、割愛しました。

同じく割愛したのですが、「ルーティーン」も記憶のために有効な手段なのだそう(詳細は本書を)。

ただ、著者の池田さんが特に推してらしたのが、上記ポイントの1番目の「運動」です。

上記でも掲載していますが、再度大き目の書影でw

4140813539
脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

この本を読まれてから、池田さんは記憶競技の練習の一環として、生活の中にジョギングを取り入れることにしたのだそうです。


◆一方、後半部分の多くを占めるのが、記憶法の数々。

そして冒頭で触れたように池田さんが3連覇された「記憶力日本選手権大会」や、国際大会である「世界記憶力選手権」でも、ほぼすべての参加者が用いているのが「イメージで記憶する」やり方です。

「場所法」「物語法」といったお馴染みのやり方(ただし本書内では、アレンジされて別の名前が付いています)のほか、上記ポイントの5番目で挙げた「イメージリンクメソッド」や、何番目にあったかまで思い出せる「イメージペグメソッド」など、いかにも「記憶力の大会」で好成績を収めた選手らしいお話が多々。

また、コラム欄で詳しく紹介されていた「記憶競技最強のテクニック『PAOシステム』」というTIPSも、上記ポイントで取り上げたかったのですが、いかんせん「トランプの順番を記憶するテクニック」であり、汎用性が微妙なのでパスしました。

この「PAOシステム」、一応Wikipediaでも、「人-行動-対象システム」として、紹介されていましたので、ご参考まで。

人-行動-対象システム - Wikipedia


◆また、本書のタイトルに含まれている「仕事」という面で見逃せないのが、上記ポイントの4番目の「人の名前の記憶」でしょう。

よくある「その人の名前から連想するイメージを、その人の顔に貼り付けて覚える」という覚え方は、池田さんも試してみたのですが、あまりうまくいかなかったのだそう。

それに対し、ここで触れられている「べイカーべイカーパラドクス」というのは、リンク先にもあるように、「名前」よりも、その人の「背景」の方が記憶に残りやすい、という心理現象であり、これを利用するわけです。

実際に池田さんがテレビ出演した際の動画がありましたので、そちらをご覧ください。



ちなみに、この動画の最後の方でカンガルーの顔と名前を覚える、という荒業も披露しているのですが、実際にはかなり苦戦したそうで、本書のコラムでは「もう動物の顔と名前はこりごりです」と言われているというw


◆ところで私自身は、勉強法や記憶術、脳の仕組み等には非常に興味があるものの、こと「イメージで覚える」やり方には、正直なところ、未だに抵抗があります。

ですから、勉強本でも「場所法」や「物語法」をメインにした作品は、極力避けてきました。

とは言え、実際の記憶力の大会では、こうしたやり方が王道であり、かつ、本書の著者の池田さんは、日本選手権を3連覇(2013〜2015)している方である以上、その著作である本書は説得力大!

しかも池田さん、「平凡な塾教師」(本人談)だったのが、40代になってから独学で10ヶ月練習しただけで、日本一になったそうですから、私たちにも望みがありそうな!?


イメージを活用して記憶したい方ならマストな1冊!

記憶力日本一が教える`ライバルに勝つ'記憶術 仕事も勉強も面白いほど成果が出る!
記憶力日本一が教える`ライバルに勝つ'記憶術 仕事も勉強も面白いほど成果が出る!
はじめに 平凡な塾教師だった私が記憶力日本一に
第1章 海馬について知ろう 記憶のメカニズム
第2章 無駄な努力はやめよう 脳の性質を利用した勉強法
第3章 脳のモードを記憶脳に
第4章 究極のイメージング あなたの天才を呼び起こせ
第5章 究極のイメージ記憶テクニック
第6章 めざせ究極のワーキングメモリー


【関連記事】

【記憶術】『世界一の記憶術』に学ぶ達人のワザ7選(2012年02月26日)

【記憶術】『記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法』グンター・カールステン(2010年10月05日)

【記憶術】『ぶっちぎり世界記録保持者の記憶術』に学ぶ「語呂合わせ」の5つのコツ(2010年08月16日)

【語呂合わせ】『マンガでかんたん!暗記丼』が、結構キテる件(2011年12月02日)


【編集後記】

◆同じく「世界記憶力選手権」における記憶メソッドが詳しく触れられているのがこちら。

4140815302
世界一の記憶術

レビューは上記関連記事にて。


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