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2016年03月18日

【働き方】『無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える!』加藤 崇


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無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える! (文春新書 1071)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。

著者の加藤 崇さんの作品は、以前起業に特化した内容の『未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ』をレビューしたところ、結構な人気となりました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
日本からジョブズが生まれないのはなぜか?
グーグルに東大発ベンチャーのヒト型ロボットを売った元シャフトCFOが、世界での戦い方を熱く語る。今、君に必要なものは何か?

新書にしては珍しく、紙版と同時にKindle版も発売されておりますので、そちらもご検討下さい!





President Obama Poses for a Photo with SCHAFT Robot Designers / U.S. Embassy Tokyo


【ポイント】

■1.「共感」を中心とした6つの軸
1. Encounter リアルな現場に身をおき、全身でショックを受ける
2. Empathize 真面目な人間に共感し、他人事を我が事にする
3. Dive 怖いと思っても覚悟を決め、ダイブする(飛び込む)
4. Learn 道を走りながら、必要最低限の知識を身につける
5. Encourage 挫けそうになっても、自分を励まし、決して諦めない
6. Celebrate 思っていた以上にうまくいってしまった自分を確かめる

(詳細は本書を)


■2.成果が残せない人たちに足りない「当事者意識」
僕は、何が日本人に足りないのだろうか? という問いを立てて、リアルな経営の現場を渡り歩いてきたが、その過程で、ある重要な事実に気がついた。
 優秀だが、成果が残せない人たちに共通していること、それは彼らのひとり一人に、圧倒的に「当事音意識」が欠落しているということなのだ。仕事をやっていても、彼らはどこか他人事、つまりは「傍観者」なのだ。「当事者意識」が希薄なために、目の前の仕事に強烈な執着心を持つことができない。強烈な執着心が持てないために、もう少しで成功するかもしれないのに、自分からサッと諦めてしまい、結果として成果につながらない。これでは大きな仕事などできるわけがないのだ。


■3.物事が動き出すときの法則
ある大きな変化が起こるとき、そこには強力なリーダーが存在し、目に見えぬ「カリスマ性」なるものによって、物事に全く無関心だった周りの人間が突如として感化され、組織が動いていくと、みんな思っているようだ。映画や漫画、フィクションの世界では、そういうシーンが多いかもしれない。
 ところか、僕がこれまで企業再生やべンチャー創造のリアルな現場をこの目で見てきた経験からいうと、それは幻想だ。どんなに声の大きい人だって、どんなに頭がいい人だって、その発言を適切にキャッチする最初の何人かがいなければ、組織を動かしていくことはできない。リーダーを助ける最初のフォロワー(追従者)たちがいて初めて、リーダーはリーダーシップというものを発揮することができ、リーダーとフォロワーが一丸となって動き始めたとき、少しずつすこしずつ、組織というものに運動量が出てくるのだ。


■4.加藤式ブルドーザー型勉強法
僕は、これまでいくつかの仕事で成果を挙げてきたと思っているが、そのときにとりわけ役に立ったのは、経験のないこと、現時点で何の手がかりもないことを、自分の力で調べて(勉強して)進んでいく力のようなものだった。
 しかしこの手の力は、受験勉強において、塾の先生や家庭教師といった、要領よく知識を詰め込んでくれる人が近くにいると、逆に身につかないのではないかと、最近思う。(中略)
 だが、学校を出て社会に出ると、あまりに状況が複雑なために、正解の確たるパターンがないことが大半だ。ある仕事において、土壇場の状況に追い込まれたとき、最後に頼りになるのは自分自身であり、状況を切り拓く力の中には、誰からも何も教えてもらえずに悩みながら、専門書片手に、そのときそのときで必要な知識をガリガリと吸収していくタイプの力があるように思う。


■5.「キャリアの転機になるような社長のポスト」の真実
 僕はよく「キャリアの転機になるような社長のポストなんて、どうやったらお呼びがかかるんですか?」と質問を受けることがあるが、いつもこう答えている。
「正直、そんな仕事はどこにでも転がってますよ。今も日本には後継者がいない会社がたくさんあるし、倒産目前の企業なんて、それこそたくさんあるんです。状況が悪くなり、社長業から逃げたがっている人もいる。だけどそんな仕事、あと数ヵ月で倒産するかもしれない会社の社長なんて、誰が本当に引き受けたいと思いますか?」


【感想】

◆本書は、あまり見ない構成から成り立っており、まずそこから説明を。

下記目次にもあるように、最初と最後のプロローグとエピローグを除くと、本書の柱となるのは3つのエピソードです。

まず1番目が、加藤さんの名を広く知らしめた、Googleに買収されたロボット会社である「SCHAFT」のお話。

このエントリーで概要をご存知の方も多いと思いますが。

<東大発ベンチャー・シャフト元CFO激白>世界一の国産ロボットはなぜグーグルに買われたのか

続く2番目が、1番目のエピソードより前に、加藤さんがコンサルティング会社のスタッフとして、ある不動産会社の企業再生プロジェクトで清算寸前のところから、M&Aにこぎつけたお話。

そして3番目が、2番目のエピソードの後、あるベンチャー企業のやとわれ社長となってV字回復を実現したお話となっています。


◆それぞれのエピソードについては、基本的にノンフィクションとして「事件」の経緯が綴られており、最後にそのエピソードにおける「学び」が整理されているという仕様。

その際、指針となるのが、上記ポイントの1番目の「6つの軸」のです。

これが普通の「ビジネス書」であったなら、この「6つの軸」の方が各章(大見出し)となって、その下にエピソードが並ぶのでしょう。

ただ、むしろエピソードがメインとなる本書の構成の方が、「これからどうなるのだろう」という緊迫感が持続し、読み応えにつながっていると思います。

なにせ、それぞれのエピソードが、目が離せない緊迫した展開ばかりでしたから。


◆ちなみに、1番目の「SCHAFT」のお話は、上記のエントリーや、この本(の第1章)で経緯が触れられていた内容をさらに補足し、掘り下げている感じです。

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情熱の仕事学 成毛眞 早稲田大学ビジネススクール厳選8講

参考記事:【起業】『情熱の仕事学 成毛眞 早稲田大学ビジネススクール厳選8講』成毛 眞(2015年07月20日)

この件の深層を知りたい方は、このエピソード1はまさにうってつけ。

GoogleのM&A担当者が、どのように仕事を進めていくか、なんて初めて知りましたよw

しかし本書のキモは、むしろそれ以外の2つのエピソードにあると思われ。

なんたって、それぞれのタイトルに「起死回生」とか「修羅場」とありますけど、ほんとに「起死回生」だったし「修羅場」でしたから(詳細は本書を)。

実際、革新的な技術の会社をバイアウトする機会よりも、自分の勤めている会社が清算されそうになったり、前の社長の放漫経営で赤字垂れ流し&将来が見えないケースの方が、確率としても高そうですし(どちらも勘弁して欲しいですが……)。


◆また、上記の『情熱の仕事学』では、加藤さんが新卒時に「就職人気ランキング1位」だった東京三菱銀行を辞めて、コンサル会社に就職した経緯について簡単に触れられていたのですが、それが本書のエピソード2では、詳細に描写されています。

『情熱の仕事学』では、「融資を引き上げようとしていたパン屋の奥さんに銀行で泣かれたから」とぶっきらぼうに語られていたものの、本書を読んで、なるほどこういう経緯が前後にあったからか、と納得した次第。

ただし、そんな加藤さん信者(?)の私でも、タイトルの『無敵の仕事術』には、少々首をひねらずを得ませんでした。

そもそも本書は、読者が一般的に考えるようなライフハック的な「仕事術」とはまったく違います。

どちらかというと、まだ「働き方」とした方が、しっくりきそうな気が。

くわえて「無敵の」という表現も、エピソード3のまとめの部分で、ある種の「無敵感」について触れられており、単にそれが理由なのではないか、と。

……アマゾンレビューで荒れるパターンの1つに、タイトルが本の内容と乖離している、というのがあるのですが、本書の場合は内容が濃いだけにそうならないことを祈るばかりです。


「まだまだ自分は生ぬるい」と思わせられた1冊!

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無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える! (文春新書 1071)
プロローグ 日本を覆うモヤモヤとした閉塞感の正体
エピソード1.ヒト型ロボットベンチャー誕生
 ――ロボットで革命を起こすには?
エピソード2.起死回生のM&A
 ――サラリーマンが仕事で奇跡を起こすには?
エピソード3.ベンチャーV字回復の修羅場
 ――自分の中で真のリーダーが目覚めるとき
エピローグ ドラマチックな人生を求めて


【関連記事】

【起業心得】『未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ』加藤 崇(2015年07月22日)

【起業】『情熱の仕事学 成毛眞 早稲田大学ビジネススクール厳選8講』成毛 眞(2015年07月20日)

【世界標準?】『ザ・チェンジ・メイカー ―世界標準のチームリーダーになる49のレッスン』齋藤ウィリアム浩幸(2016年01月31日)

【ハーバード流?】『ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣』ロバート・スティーヴン・カプラン(2015年07月18日)

お前らもっと『ヤバい経営学』の凄さを知るべき(2013年03月03日)


【編集後記】

◆加藤さんのご本としては、こちらもオススメです。

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未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ

(*Kindle版アリ)

なお、レビューは上記関連記事にて。


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