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2016年02月22日

【科学的?】『おどろきの心理学 人生を成功に導く「無意識を整える」技術』妹尾武治


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おどろきの心理学 人生を成功に導く「無意識を整える」技術 (光文社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた「心理学本」。

著者の妹尾武治さんは、前作となる『脳がシビれる心理学』も当ブログにてご紹介済みです。

アマゾンの内容紹介から。
科学としての心理学が明らかにした、おどろきの研究結果。プロレス好きの気鋭の心理学者が、徹底的に面白く、わかりやすく解説!

心理学の最新の情報が、分かりやすく解説されていて、個人的にはたまりませんでした!






Vanabbe Museum - Museumnacht / Cea.


【ポイント】

■1.「赤でモテる」の本当の意味
 では、心理学的に「赤でモテる」を正しく応用すると、どうなるだろうか?
 それは、ある女性が100回合コンやお見合いパーティーに参加して、毎回何十人もの男性と交流する際に、100回毎回赤い服を着て参加する場合と、同じく毎回青い服を着て参加する場合とでは、相手に言い寄られる回数のトータルが、赤い服を着た場合の方が、青い服を着た場合よりも確実に多くなるという事例である。100回という繰り返しかつ不特定多数の男性に対しては、赤は確実に効果を発揮する。
 つまり、心理学では「あの人にモテるための戦略」は立てられない一方、「人間一般、男性一般によリモテるための戦略」であれば立てることができるのだ。しかし、そこで「モテた」として、その言い寄ってきた男性の中にA子さんの好みの基準をクリアする相手が何人いるのかは、心理学では全く考慮に入っていない。ここに大きな問題がある。


■2.人に好かれたいなら「上っ面だけでも」行動する
 自分は好かれない、自分は人気がないとすねていたら、いつまで経っても人気は得られない。自分から相手に対してポジティブに接していく。その積み重ねが人気者への最短の近道なのだ。
「ポジティブに接するといわれても、具体的にどうすればよいのだ!?」とおっしゃる皆さん。本章の冒頭の話を思い出してほしい。機械的にポジティブな態度を取る方法をすでに紹介したはずだ。
 相手に正対する、目を見る、可能な限り体に触れる、手と足を組まない、相手の行動をまねる――これらが答えだ。心がこもっている必要はない。上っ面だけでも、これらの行動には効果がある。皆さんにはすでに答えが提示されているのだ。


■3.特定の条件下ではサブリミナル効果は存在する
 まず、実験開始前に自由に飲食ができて、特に喉が渇いていなかった被験者群では、サブリミナルカットで「乾き」を示唆された場合と「無関係な語(海賊)」を提示された場合とで、飲料品を飲んだ量は全く変わらなかった。一方、実験開始前に3時間飲食を禁止された群では、「乾き」をサブリミナル提示されることで、飲料品を飲む量が1.5倍以上にグンと増えたのである。
 つまり、喉が渇いている、何か飲みたい、という欲求があるときに限って、その欲求に合致するサブリミナルカットの効果があったというわけだ。まさに、コロンボに描かれていたケースとドンピシャで同じことが科学的に証明された。キャビアで喉が渇いているときには、「水を飲め」というサブリミナルカットが有効だと、この論文は証明してしまった。ヴィカリーの話を「嘘から出たまこと」にしてしまったのである。なんと驚くべき実験だろうか。


■4.冤罪事件の75%は、目撃証言が原因
 もう1つ「目撃証言の証拠」というタイトルで、2006年に「サイコロジカル・サイエンス」という一流学術誌に、ウェルズらによって掲載された論文を紀介しよう。
 この論文は、DNA解析によって後に冤罪であることが100バーセント確定した事件を精査した。その結果、冤罪事件の約75%で、間違った目撃証言、虚偽の目撃証言が冤罪の大きな原因になっていることがわかった。
 人間の曖昧な記憶に基づいた証拠、目撃証言は非常に危ないのだ。それこそ目撃証言が冤罪を生むといってしまっても構わないだろう。


■5.太陽が眩しいと人は攻撃的になる
 太陽が眩しいとき、我々はどんな顔をするだろうか。ちょっと想像してみてほしい。おそらく目を細め、眉をしかめ、頬をあげるような顔になるのではないだろうか。
 実は、その表情は、人が怒っているときの表情と非常に似通っている。そのため、眩しい表情を持続していると、脳が勘違いして「今、自分は怒っている」という判断を下してしまう。眩しいために作られた表情という「身体反応」は、本来は太陽の光という物理的な要因に求められるべきだが、日夜錯覚ばかり起こしている我々の脳は「今、僕は怒っているに違いない!」と間違った判断をしてしまうのである。そのため、眩しいときは怒りやすく、攻撃的になるのだ。


【感想】

◆本書は「心理学ネタ」のうち、科学的にその効果等が証明された(もしくはされなかった)もののうち、私たちが普通に楽しめるモノばかりを選んでいます。

たとえば、上記ポイントの1番目では「赤い服を着るとモテる」というお話が俎上に。

これについては、以前こちらの本でもご紹介しておりますが。

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赤を身につけるとなぜもてるのか?

参考記事:『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

理屈の上では、確かに「モテ」ますが、「特定の相手」に効果があるかはまた別、というワケですね。


◆では、「『特定の相手』に効果があるものは?」ということで挙げられているのが、上記ポイントの2番目の行動です。

ここでは「上っ面だけでも」一連の「ポジティブな態度」を取ることを推奨。

この「上っ面」で思い出されるのが、この本に収録されていた「うわっつらKINDNESS理論」です。

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LOVE理論

参考記事:【モテ】『LOVE理論』水野敬也(2015年09月15日)

ちなみに、この本は妹尾先生もオススメされていて、先生曰く「心理学者が驚嘆するようなノウハウばかりでとても勉強になった」とのこと。

……おふざけ系のモテ本のようですが、専門家のお墨付きだったとは。

ちなみにこの本、昨日までのセール対象作品でして、今見たところ、まだお買い得状態だったので、お求めはお早めに。


◆一方、上記ポイントの3番目のサブリミナル効果については、世間一般では「効果がある」と思われているのではないか、と。

それに対して、サブリミナル効果の元々の言いだしっぺである「ジェームズ・ヴィカリーという広告業者」が、「顧客を増やしたくて実験をでっちあげた」という事実を明らかにしているのが、こちらの本。

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錯覚の科学 (文春文庫)

参考記事:『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

のちに、ヴィカリー自身が「あれは嘘だった」と告白している(1962年)のにもかかわらず、世間的には話題にならず、実際、サブリミナル効果を重要なトリックにした「刑事コロンボ『意識の下の映像』」という作品まで作られています(1973年)。

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刑事コロンボ傑作選 意識の下の映像/第三の終章 [Blu-ray]

ところが、「デマ」だったはずのサブリミナル効果が、ある一定の条件下では起こりうることが示されたのは、上記ポイントの3番目の通り。

上記の実験は2002年にカナダで行われたものですが、2006年にオランダで「追試」が行われおり、そこでも成功しているので、「被験者の欲求とサブリミナルカットの中身が対応するときには効果がある」と言っても良さそうです(詳細は本書を)。


◆また、上記ポイントの4番目の「目撃証言の信ぴょう性」については、やはり『錯覚の科学』でも触れられていましたが、問題点も多くありそうな。

例えば、犯罪に「凶器」が用いられる場合、凶器に多くの注意が割かれてしまい、犯人の顔の特徴を十分に覚えることができなくなるとのこと。

また、過去に見た人物を言語で表現すると、記憶の定着が下がり、間違った記憶を持ってしまうのだそうです。

そう考えると、犯罪被害者に犯罪者の特徴を聞く、という行為は、問題を含む可能性が否定できません。

なお、被害者の証言が「自信満々」であることと、その証言の正確性には、ほとんど関係がない、ということは前述の『錯覚の科学』でも強調されていましたので、気になる方はぜひそちらでご確認頂きたく。


◆最後のポイントの5番目の「表情が気分を左右する」というお話は、自己啓発本でも見かけるネタですが、まさか実験で証明されていたとは!?

まさに「太陽が眩しかったから人を殺した」という、カミュの『異邦人』を地で行くようなお話ですよね。

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異邦人 (新潮文庫)

このように本書は、世間一般の常識や常識外の事柄を「心理学的にどうか」で斬りまくり。

新書らしく、肩ひじ張らずに面白く読めるのが、魅力の1冊となっています。


心理学ネタがお好きなら、要チェックです!

4334039049
おどろきの心理学 人生を成功に導く「無意識を整える」技術 (光文社新書)
序章 赤い服は本当にモテるのか?―真の心理学の凄みとワンフレーズ心理学
1章 合コン必勝法はなぜ失敗したのか?
2章 かならず相手に好かれる方法
3章 賢くなりたければ、脳を活性化させるな
4章 ポジティブ・シンキングで人生が変わる?
5章 サブリミナル効果はウソ?ホント?
6章 血液型診断という亡霊
7章 スポーツに「流れ」は存在するか?
8章 人の記憶はアテにならない
9章 人は無意識に支配されている
10章 心理学は科学なのか?


【関連記事】

【科学的?】『脳がシビれる心理学』妹尾武治(2014年10月21日)

【スゴ本】『赤を身につけるとなぜもてるのか?』タルマ・ローベル(2015年08月11日)

【モテ】『LOVE理論』水野敬也(2015年09月15日)

『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

【140の戦略?】『説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム』スーザン・ワインチェンク(2014年01月19日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」はこちら!

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コーチングのプロが教える 「ほめる」技術

実はこの作品、現在日実さんの「2015年売上上位20タイトル」セールで、「76%OFF」になっていたんですよね。

今日1日だけはさらにお得な「80%OFF」なので、ご検討ください!


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