スポンサーリンク

2015年11月16日

【スタッフ部門の生産性向上!】『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』佐々木眞一


4478065683
現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結―――リーダーになる人の仕事の進め方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた仕事術本

「トヨタ」の名前を冠した書籍の多くが製造部門にフォーカスしているの対して、本書は主にオフィスワークでの生産性向上に注力しているのが特長です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「自工程完結」
耳慣れない、いかにも工場の現場で使われる技術用語のような響きですが、この本書のキーワードは、今、トヨタ全社で、工場からオフィスまですべての社員が意識している「仕事を進める際の考え方」を意味しています。
不思議なことに、自工程完結の考え方で仕事に取り組むと、仕事の品質があがるばかりか、仕事へのモチベーションが高まる、結果として生産性が高まるという効果があがっています。自工程完結の考え方を広めることで、トヨタグループ、関係会社を含む日本企業の生産性を高められればというのが本書の出版の狙いです。

ありがたいことにKindle版も用意されていますので、そちらもご検討ください。





gantt-chart / jean-louis zimmermann


【ポイント】

■1.細かい作業1つひとつを精査する
 では、私たちが何をしたのかというと、水漏れにかかわる可能性がある工程をすべて洗い出したのです。部門の協力のもと、それぞれの工程をすべて書き出し、羅列していきました。そして、その工程で、どうすれば絶対に水漏れしないという保証ができるか、現場に行ってヒアリングしたり、作業を見ながら確認したりしていったのです。(中略)
 どの工程でも、もちろん懸命に作っています。聞けば「ちゃんと作っています」という声が返ってくる。しかし、問題はその「ちゃんと」というのが、どういう意味なのか、ということです。
 要するに、この「ちゃんと」を厳密に定義していかなければ、単なる「心がけ」にすぎない、ということなのです。科学的な裏付けに基づいた取り組みにはならない。抜本的な解決にはつながっていかないということなのです。


■2.仕事の手順を明確にするための5つの作業
(1)大まかにやることを洗い出す

(2)関係者を明確にする

(3)仕事の流れを矢印で整理する

(4)納期から逆算して時系列で整理する

(5)特に重要な手順を明確にしたうえで細かく分類する


(詳細は本書を)


■3.「自工程完結」で会議が減る
 会議という名前を付ければ、仕事をやっているような気になりますが、本当にこれは必要なのかと思える会議が、たくさんありました。実際に聞いてみると「調整のために必要だ」と言う。
 こうした会議は、それこそ「自工程完結」の考え方を用いることで一気になくなります。なぜなら、部門内でも部門間でも情報共有が進むからです。「プロセス/手順」が部門間で共有されていれば、それこそ調整会議などいらない。ましてや対策会議なんて、問題が起きる前からやるのはおかしい。そこで、調整会議ゼロ、対策会議ゼロを宣言しました。
 実際にはゼロは難しいと思います。しかし、「自工程完結」の考え方を用いれば、極限まで滅らしていくことができます。


■4.プロセスを正しく認識した上で意思決定する
 例えば材料を決めるとき、どうしてこの材料にしようと思ったか。そこには必ず理由があるはずです。強度だったり、安全性だったり、重さだったり、耐久性だったり。それをぼんやりさせないということです。何を考えて決めたのか。(中略)
 要するに、本当のプロセスを洗い出したときに、実はプロセスが意識されていなかっただけでなく、プロセスにおいて正しい意思決定がなされていなかった、「判断基準」も「必要なもの」もしっかり考えていなかったケースがある、ということがわかっていったのです。(中略)
 これこそが、新しい取り組み「自工程完結」のポイントでした。「プロセス/手順」というものを正しく理解し、きちんと洗い出し、「必要なもの」をきちんと定めたうえで意思決定すれば、必ず正しい結果が出てくるはずなのです。


■5.正しいマニュアルなら、マニュアル人間で十分
 あらためて思ったのは、マニュアル化という言葉に対して、日本人はあまリポジティブではない、ということです。マニュアル人間と言うと、言われたことしかやらない、というイメージもある。
 しかし、それは裏を返せば、マニュアルが不整備だった、ということでもあるわけです。しっかりとしたマニュアルができていれば、マニュアル人間でも十分に通用する。にもかかわらず、肝心なことが書かれていないから、マニュアル人間に不満が出る。
 新しい取り組みで業務手順書を作ったら、どんどんアップデートしていって、優れた業務手順書にすればいいわけです。形式知化すればいいのです。それができていないマニュアルを使っているから、マニュアルが使えないのです。


【感想】

◆本書のテーマである「自工程完結」は、もともとは著者である佐々木さんが、工場で始めたもの。

最初は車の「水漏れ品質保証」対策として行われました。

当時は、でき上がった車に水を激しくかけることで水漏れがないかチェックしており、稀に水漏れがあったとのこと。

ただし、実際位水漏れが見つかった場合、どの工程に原因があったかをチェックするのは大変でした。

そこで、「水漏れを一切起きないようにするにはどうすればいいか」というテーマのもと、上記ポイントの1番目にあるように各工程を精査。

まさに「自分の工程」「仕事を完結させる」というところから、「自工程完結」という言葉が生まれたようです。


◆これは当初は佐々木さんという一部長が采配をふるっていたプロジェクトに過ぎませんでしたが、工場全体を巻き込むものに発展。

やがて他の工場でも「自工程完結」運動は広まり、その後の生産部門の会議では「この工程は、工程内不良がゼロになりました」という発表をするのが、流行のようになったのだそう。

そして当時の張社長から「スタッフ部門でもできるのでは」「どうすればできるか、考えておいてほしい」と言われた佐々木さんは、いったん欧州に赴任します。

そこで佐々木さんが目にしたのは、現地でのスタッフの仕事の生産性の高さでした。

それに衝撃を受け、帰国後会社にスタッフ部門の業務改善を提案し、トヨタは2007年1月からスタッフ部門への「自工程完結」の導入を決定。

この辺の経緯については、本書の第1章にてご確認下さい。


◆ところでスタッフ部門における仕事の「工程」とは何か?

佐々木さんはそれを「意思決定」だと言われています。

そこで本書の第2章では、正しい「意思決定」をするためのポイントについて言及。

上記ポイントの2番目もその中の1つです。

さらにはこのスタッフ版の「自工程完結」によって得られるメリットが、本書では10個ほど挙げられており、その中の1つが上記ポイントの3番目の「会議が減る」。

また、会議だけではなく、「今までそうしてきたから」「それが決まりだったから」と、中身を深く検証していないまま続けていた業務をなくすことができるのも、当然のことでしょう。


◆さて、理屈は分かっても、いざ実際に「自工程完結」をスタッフ部門に導入しようとした場合、どのような留意点があるか?

この辺は第4章、第5章あたりに詳しいです。

面白かったのが、この「自工程完結」の取り組みは、海外の事業体では好意的に受け止められた、という話で、「ようやくトヨタも、ロジカルに仕事をしてくれるようになったのか」と言われたそうです。

ただし、そのプロセスの細かさは日本の方がはるかに上で、彼らもそれには少し苦労したというw

ちなみに上記ポイントの5番目では、マニュアル(ただし完璧なもの)を推奨していますが、この考え方は以前読んだこの本にも通じるような。

4041104998
無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)

参考記事:【超仕組み化?】『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』松井忠三(2013年07月14日)


◆とはいえ「自工程完結」は、単なる「マニュアル仕事術」ではありません。

たとえば上司が部下に仕事を依頼するとき、きちんと「目的・ゴール」を伝えているか?

さらには仕事をやる際、「最終的なアウトプットイメージ」を描いているか?

実際にはマニュアルに基づいて仕事をするにしても、「何も考えずにする」のではないことは、お分かり頂けると思います。

さすが「世界のトヨタ」は、デスクワークでも世界水準を目指しているな、と。


自らの業務内容を精査すべし!

4478065683
現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結―――リーダーになる人の仕事の進め方
序章 トヨタが今、全社で取り組みを進めている「自工程完結」という考え方
第1章 トヨタのリーダーたちに求められる新しい仕事の考え方は、いかにして生まれたのか
第2章 「自工程完結」にすると、どうして成果を出すことができるのか
第3章 新しい考え方のルーツは、かつてのトヨタのリーダーたちにあった
第4章 「自工程完結」をスタッフ部門にも浸透させるために何をしたか
第5章 スタッフ部門では、実際どのように「自工程完結」は活用されたか
第6章 「自工程完結」はトヨタに何をもたらしたのか


【関連記事】

【超仕組み化?】『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』松井忠三(2013年07月14日)

【トヨタ式】『トヨタの段取り』(株)OJTソリューションズ(2015年10月17日)

【紙1枚!?】『トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術』浅田すぐる(2015年02月17日)

【トヨタ流】『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた100の言葉』若松義人(2013年06月22日)

マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)

【効率化】「テンプレート仕事術」信太 明(2010年04月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00S77LZB6
ずるい考え方 〜ゼロから始めるラテラルシンキング入門〜

この本、出た時に未読本記事では取り上げて、そのままになってました。

送料考えると、中古よりもお得ですね。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 09:00
TrackBack(0)ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/52196314