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2015年11月15日

【戦略!】『間違いだらけのビジネス戦略』山田 修


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間違いだらけのビジネス戦略


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、前作『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』が個人的にツボだった山田 修さんの最新作。

ヤフーニュースでもしばしば取り上げられたという、「ビジネスジャーナル」での連載を抜粋し、まとめたものになります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、今年話題になったビジネスシーンにおける様々な事象を、「戦略的観点」から分析し、その戦略への提言をまとめたものです。
ビジネスシーンのリアルな出来事から失敗や成功の要因を探ることで、戦略的視点を磨かれ、あなたの会社のビジネスに活きてくるでしょう。

今年話題になったさまざまな経済ネタが登場していますよ!






relax chair / hirotomo


【ポイント】

■1.大塚家具が抱える「会社の再ポジショニング」という難題
経営権を再び握った久美子氏が対峙しているのは、販売方法の模索ではなく、それを超えた「会社の再ポジショニング」という難題だ。
 経営学者マイケル・ボーター氏の「競争の3大戦略」に当てはめて分析すると、「コストリーダーシップ戦略」を取っているのはニトリとイケアであり、「差別化戦略」はカッシーナ・イクスシーだろう。久美子氏が描く大塚家具の戦略というと、焦点を絞り切れていない。(中略)
「競争の3大戦略」における3番目の戦略は「選択戦略」といい、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略のどちらかに絞るべきとしている。久美子氏のように全部をやろうとするのは駄目であり、どこかに自社をボジショニングしなさいと演繹できる。


■2.「マック絶不調、モス好調」は正しくない
 マック離れをした消費者たちは、それではどこに向かってしまったのか。モスなどの同業態には行かず、他の業態に流れてしまったとみられる。私の見立てではコンビニエンスストアだ。コンビニ弁当を買ってくる、または「イート・イン」コーナーで手早くランチを済ませる。予算としてはワンコイン、つまり1食500円程度だろう。
 そのような状況で、モスはどのように状況を打開していけばよいのか。5月から値上げをしたが、小手先の営業利益改善に終わるだろう。業績の本格的な反転攻勢は現経営陣で可能なのだろうか。


■3.ショールーミングをあえて取り込むヨドバシ
 小売業界で忌避されている「ショールーミング」とは、顧客が店頭で商品を検討して、購入自体は楽天やアマゾンなどの通販サイトで行うことだが、ヨドバシの場合は、顧客の購入をヨドバシ・comに誘導する仕組みを構築した。
 かつて、レンタルビデオ最大手のTSUTAYAが「クリック・モルタル」というマーケティング手法で一世を風靡した。消費者はネットで検索して実店舗に足を運び、購買につなげるという方法。ヨドバシの場合、「逆クリック・モルタル」といえるかもしれない。つまり、店頭で見て(あるいはネットで広範に情報を集めて)ヨドバシ・comで購買させるというやり方だ。セブン&アイHDが推進するオムニチャネルとも考え方が違う。


■4.ソニーの歴代社長の罪
 アップルがソニーを凌駕してきたものは何か。iPodで音楽の楽しみ方を提案し、iPhoneでスマートフォンの世界を切り開いた。しかし、アップルは既存技術とコンテンツ、その提供方法を組み合わせて、新しいビジネスモデルとしてプロモートしたにすぎない。個々の技術分野で新たに開発をしたわけではない。ソニーは、これらの新世代的な製品について、構成要素としてはすべて保有していたし、それぞれの分野では凌駕していた。拱手傍観していた出井伸之氏以降の歴代社長の罪は重い。
 主要部門がエレキであり、そこへの回帰が王道だと考えられている間は、ソニーの本格的な復活はない。新しいビジネスモデルをひっさげ、「新生ソニー」として再登場する必要がある。


■5.アジア進出に際しての注意点
 現在、日本メーカーの製造拠点国内回帰の動きが広まっているが、海外生産から撤退する企業は注意が必要だ。例えば、1989年にファッション品メーカーのスワニー(香川県)が韓国工場を閉鎖した際、現地従業員が同社の香川にある本社まで抗議に押しかけたトラブルが発生したが、そんな悪夢が再現されてしまう恐れもある。
 アジアへの生産拠点進出を検討している企業に対し、筆者は韓国とフィリピンは避けるように助言している。前者には対日感情、後者には治安の問題があるからだ。
「往きは良い、帰りは怖い」ということを、海外進出、特に設備投資額が大きくなる生産拠点進出の際には肝に銘じる必要がある。


【感想】

◆著者の山田さんは、本書の元となる「ビジネスジャーナル」の記事執筆の際、いくつかの原則を課しているのだとか。

「出来るだけタイムリーに」「出来るだけ正確に」「出来るだけオリジナルに」。

そして「事件」が起きたら速やかに情報収集し、その週のうちに自分の見解を書き込む。

かつ、本書はその出版に当たり、誤字を直す等以外、原記事を訂正していないため、中には豪快に(?)予想を外したものがありました。

それが上記ポイントの1番目でも触れた大塚家具の件で、山田さんは父親である勝久氏の勝利を断言していた(テレビでコメントもしていた)ため、とあるサイトには「山田修、出てこい」と書かれたのだそう。

この大塚家具の動向については、3回に渡って記事が書かれていますので、勝久氏の敗因分析も含めて、本書の第1章にてご確認を。


◆続く第2章では名門企業の「栄枯盛衰」あれこれが。

今年に入ってヤマダ電機が大量店舗閉鎖をしたことは知っていましたが、山田さんはその復活は難しいと分析。

その一方でヨドバシの好調なこと!

昨年度の年間売上高では、ヤマダ、ビックカメラ、エディオンに次ぐ4位ながら、経常利益では大差でトップであり、その売上高経常利益率は同業他社が2%前後のところ、7.8%を誇っているのだそう。

そこだけ見ると、とても同じ家電量販大手とは思えませぬ……。

こうなるとむしろライバルは、上記ランキングに含まれていないアマゾンであり、実際、ヨドバシ.comでカバーしている商品数は300万点を超えているのだとか。


◆一方、第3章で登場するのは「ワースト経営者」候補の皆さん。

上記では割愛しましたが、スカイマークを民事再生手続きにおいやった西久保前社長が、初っ端に登場しています。

高額のエアバス発注が経営破綻のきっかけとは聞いていましたが、「年間売上高の2倍を超える発注行為を役員会の事前承認もなく決行した」というのはあまりにヒドい……。

ただし、西久保氏はスカイマークの最大株主でもあったので、役員会に諮っても同じことでした。

結局西久保氏は、同社への貸付金を含めて、私財50億円ほどを失ったと見られるとのこと。

それに比べ、サラリーマン社長として高給をもらいながら、懐を痛めることなく企業価値を毀損し続けたソニーの歴代社長と、どちらが罪が重いのか、と山田さんは問いています。


◆これとは逆に、第5章に登場しているのが「卓越した戦略経営者」の皆さんで、今回はボリュームの関係でまったく触れられませんでした。

日本電産の永守社長は、お名前はよく耳にしますが、経営手法のどの辺がすごいのかも、本書では明かされています。

また、一般的には知名度のそれほど高くない企業にも、優秀な経営者は当然いらっしゃるわけで。

私自身は会社自体を存じ上げなかった(すみません)「優良企業」も本書にはぞろぞろ登場しており、「目からウロコ」の連続。

高給で有名な(?)キーエンスくらいは私も名前は知っていましたが、30歳平均、40歳平均両方の年収で、上場会社ではキーエンスに次ぐ第2位の「日本M&Aセンター」って、皆さんご存知でした?

M&A仲介の日本M&Aセンター【東証一部上場】:中堅中小企業専門

大手企業同士のM&Aはニュース等で話題になりますけど、実は結構切実なのが中堅・中小企業のM&A。

その背景には、創業者やオーナー経営者の高齢化問題や、後継経営者不足の問題がある、というのは、私も本業を通じて感じていたところでした。

ちなみにこちらの会社、東証一部上場企業の中では突出した収益率を誇り、売上高経常利益率が50%を超えるのだそう(何ぞww)。


◆こうした「時代に流されない」企業のお話は、来年以降読んでも得るものはありますが、本書の基本はやはり「ニュース」的なもの。

今現在、読んで納得していても、後になったら大外れということもありうります(上記の大塚家具のように)。

それでも、何かしら起きた時点で、得られた情報等から「自分だったらこうする」という思考訓練は、ビジネスパーソンとしてはやっておくに越したことはありません。

少なくとも、ニュースを読んで、脊髄反射的に「○○、最低だなー!」とかツイートしたりネットで書き込むよりは、はるかに建設的ではないか、と。

……と自戒を込めて書いてみるテストw


出世する人は「経営者視点」で物事を考えますよ!

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間違いだらけのビジネス戦略
1 戦い終わり日が暮れて
2 戦略を誤ると名門企業も崖っぷち
3 今年のワースト経営者は誰だ?
4 プロ経営者がブーム?企業文化を根こそぎにする猛者たち
5 卓越した戦略経営者に学ぶ
6 吉か凶か、繰り出した戦略大技はどう着地する?
7 変わるビジネス環境、生き残り勝ち上がれ


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【編集後記】

◆完全に出遅れましたが、当ブログで前作『あなたの大嫌いな人が100%考えていること』が好評だったイグゼロさんが、新作を出されていました。

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チャンネル・ゼロ:心の共鳴周波数を変える32の物語

Kindle版だと、かなりお買い得なのが嬉しいですねw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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