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2015年10月26日

【オススメ!】『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』ケリー・マクゴニガル


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スタンフォードのストレスを力に変える教科書


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて初っ端に取り上げた1冊。

前作『スタンフォードの自分を変える教室』が大ヒットした、ケリー・マクゴニガル女史の待望の続編がいよいよ登場です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
不安、プレッシャー、過去のつらい経験はエネルギーの源。
私たちは、「ストレスは悪いもの」と思っている。
しかし、その思い込みこそが有害だとしたら――?
本書では最新の科学的実験と実際のストーリーをもとに、「困難を乗り越えて強くなる方法」を解き明かしていく。

前作同様、思わず付箋を貼りまくりました!







【ポイント】

■1.「ストレスは健康に悪い」と思うと死亡リスクが高まる
1998年に、アメリカで3万人の成人を対象に行われた調査で、参加者に対してつぎのふたつの質問が行われました。
「この1年間でどれくらいのストレスを感じましたか?」
「ストレスは健康に悪いと思いますか?」
 8年後の追跡調査では3万人の参加者のうち誰が亡くなったかを、住民情報等によって調査しました。
 まずは悪いニュースからお伝えしましょう。調査の結果、強度のストレスがある場合には、死亡リスクが43%も高まっていたことがわかりました。
 ただし、死亡リスクが高まったのは、強度のストレスを受けていた参加者のなかでも、「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけだったのです。わたしはまさにこの点に注目しました。強度のストレスを受けていた参加者のなかでも、「ストレスは健康に悪い」と思っていなかった人たちには、死亡リスクの上昇は見られませんでした。それどころかこのグループは、参加者中でもっとも死亡リスクが低かったのです。


■2.「チャレンジ反応」は最高のパフォーマンスを引き起こす
 ストレスはあってもそれほど危険でない場合には、脳と体は「チャレンジ反応」という別の状態に切り替わります。「闘争・逃走反応」と同様に、「チャレンジ反応」が起こると力が湧いてきて、プレッシャーのかかる状況でもやるべきことをやれるようになります。(中略)
 いわゆる「フロー」の状態(自分のやっていることに完全に没頭している望ましい状態)にある人には、「チャレンジ反応」の特徴が明確に表れます。アーティスト、アスリート、外科医、ゲーマー、ミュージシャンなどが、一心不乱にパフォーマンスや仕事に取り組んでいるときには、ストレス反応のなかでも「チャレンジ反応」が表れます。


■3.ストレスは「避けない」
 じつは、わたしたちがストレスの悪影響だと思っていることの多くは、ストレスを避けようとするせいで起こることなのです。心理学者たちは、ストレスを避けようとすると、充実感や、人生に対する満足度や、幸福感が、著しく低下してしまうことを突きとめました。(中略)
 さらに、ストレスを避けようとしていると、心身の疲労困憊につながる可能性があります。たとえばスイスのチューリッヒ大学の研究では、まず学生たちの目標に関するアンケート調査を行い、その後1ヵ月間のようすを調べました。期末試験期間と冬休みという、1年のなかでもとくにストレスの多い時期が過ぎたあとで、学生たちのようすを調べてみると、集中力や、体力や、自制心の低下がもっとも著しかったのは、「ストレスを避けたい」という願望がもっとも強かった学生たちでした。


■4.自分の個人的な強みを認識する
 多くの研究が示しているとおり、自分の持っている力や手段をしっかりと意識すると、「チャレンジ反応」が起こりやすくなります。そのためにもっとも効果的な方法は、自分の個人的な強みを認識することです。たとえば、挑戦に向けて自分がどれだけ準備を重ねてきたかを考えたり、過去に同じような問題を乗り越えた経験を思い出したり、自分を支えてくれる大切な人たちや、自分のために祈っていてくれる人たちのことを考えたりします。そうすると考え方がすばやく転換し、脅威がチャレンジに変わるのです。
 ですから、あなたもプレッシャーのかかる状況で実力を発揮したいと思ったら、ぜひこの方法を試してみるとよいでしょう。


■5.ストレスを「受け入れる」
「体に起こるストレス反応は、いざというときに役立つ」と思うのが効果的なのは、「自分にはできる」という自信が生まれるからです。そのような自信を持つことは、通常のストレスに対処するうえでも重要ですが、とくに苛酷なストレスを受けている場合には、きわめて重要です。「自分には人生の困難な問題に対処できる力がある」という自信を持っているかどうかで、希望を持てるか、絶望するか、粘り強くがんばれるか、挫折してしまうかが、決まってしまうからです。
 試験に対する不安、離婚問題、がん治療の化学療法など、どんな問題で悩んでいるとしても、自信を持てるかどうかは、体に起こるストレス反応をどう受けとめるかで決まってしまうことが、研究によって明らかになっています。


【感想】

◆冒頭の画像でもお分かりのように、とにかく付箋を貼りまくった1冊でした。

そのそも初っ端のイントロダクションからして、上記ポイントの1番目をはじめとして「目からウロコ」のお話の連続。

「ストレスが健康に悪い」なんて、ある意味「常識」だと思っていたのは、私だけではないはずです。

また「逆効果」と言う意味では、タバコの包装に書かれている警告表示も同様で、特にショッキングな画像(死にかけている肺がん患者の画像など)を見せられたりすると、喫煙者はかえってタバコを吸いたくなるのだとか。

なぜなら喫煙者は、不安な気持ちを落ち着かせるために、タバコが吸いたくなるから。

これなどは、まさに「ストレスから逃げる」行動に他なりません。


◆ところが逆に「ストレスにも良い点がある」と考えると、パフォーマンスの向上や健康、成長等に良い影響があるのだそう。

本書で紹介されている実験では、「面接官が否定的なフィードバックを与える(ストレスを与える)」状況を設定し、参加者は面接の前に2種類のビデオ映像のどちらかを観せられました。

1つは「ストレスには良い効果があることがわかっています」というもので、もう1つは「ストレスは思った以上に心身を消耗させることが明らかになってます」というもの。

面接の前のビデオを観ただけの段階では、どちらも変わりはなかったものの、模擬面接によって、前者は後者に比べてDHEAというホルモンが多く分泌され、「成長指数」が高くなった、とのこと(詳細は本書を)。

つまり、主観的な感じ方や感想ではなく、体の生理反応という違いが明確に出たわけです。


◆なお、一般的に考えられているストレス反応とは、「闘争・逃走反応」でしょう。

これは人間を含め、動物が身の危険を感じるとアドレナリンが分泌され、闘ったり逃げたりする準備を整えるもの。

しかし本書では、それ以外のストレス反応についても言及しており、その1つが上記ポイントの2番目の「チャレンジ反応」です。

上記では「フロー」との関連にも触れられていますが、確かにアーティストはさておき、アスリートや外科医、ゲーマー辺りは、ストレスがあっても不思議ではありません。

そういえば私も学生時代、数学の試験で問題が解けなくて窮地に追い込まれたときに、何度か「フロー」のようになったことがありました。

家で一生懸命考えてもそうなったことがないのに、「時間内に解けないとマズイ」という状況はまさにストレスフルであり、今にして思えば、あれも「チャレンジ反応」だったのかも。


◆そしてもう1つの反応が「思いやり・絆反応」なのですが、こちらは本書の第5章で詳しく解説されています。

もともとは「ストレスは攻撃性につながる」という研究結果に疑問を持った女性研究者が、「つらいときこそ、女性たちは自分の悩みを誰かに打ち明けたい、家族や友人と一緒にいたいはず」と思い、過去の研究事例を調査。

その結果明らかになったのは、「研究事例の90%が、人間・動物ともに雄性を対象にしていた」という事実でした。

そこで、当初女性特有の反応として研究が始まった「思いやり・絆」理論ですが、その後男性も研究対象に追加されます。

男女で多少の違いはあれど、「仲間を守ろう」とする本能は男女ともに持っているわけで、この「思いやり・絆反応」は、特に「幸福感」と強く結びついている印象を私は受けました。


◆本書はこうした理論だけでなく、実際に「ストレスを力に変える」ためのエクササイズを収録。

とくに個人的にやってみたいと思ったのが、「自分にとって大切な価値観を書き出す」というものでした。

本書では「友情」「誠実」「名誉」「愛」「創造性」等々の項目が70個ほど列挙されており、この中から(なければ追加して)3つ選びます。

そしてそのうちの1つについて、「大切だと思う理由」、「その価値観をどのように実践しているか」、「そのために今日はどんなことをしたか」を書くのだそう。

ちなみにこのエクササイズですが、スタンフォード大学の学生を対象にした実験でも素晴らしい成果がでており、私もぜひムスメにやらせてみようかと思ったくらい(詳細は本書を)。

いわゆる「マインドセット」いかんによって、幸せになったり、そうでなかったりするのですから、本書を読んで学ばない手はないでしょう。


今回もオススメせざるを得ません!

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スタンフォードのストレスを力に変える教科書
Introduction 「ストレスを力に変える教科書」へようこそ

Part1 ストレスを見直す
 第1章 すべては思い込み
 第2章 ストレス反応を最大の味方にする
 第3章 ストレスの欠如は人を不幸にする

Part2 ストレスを力に変える
 第4章 向き合う
 第5章 つながる
 第6章 成長する
 第7章 おわりに


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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