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2015年08月24日

【統計リテラシー】『ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方』カイザー・ファング


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ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、『ヤバい統計学』の著者であるカイザー・ファングの、現時点における最新作。

ずい分前に買ったものの、ご紹介しそこなっていたので、今さらながらレビューしてみた次第です。

アマゾンの内容紹介から。
レストランの集客にクーポンは役立つ?失業率の増減を実感できないのはなぜ?ダイエットできるかどうかは統計次第?世の中おかしな分析だらけ。その統計を信じるな!

なお、中古が値崩れしていないため、Kindle版がかなりお買い得です!






Groupon / JeepersMedia


【ポイント】

■1.ナンバーセンスとは何か?
 問題のあるデータやアナリストを見たときに、何かが違うと感じる。それがナンバーセンスだ。ナンバーセンスは、真実に近づきたいという欲望と粘り強さでもある。自分の分析がどこから生まれ、どこに向かうのかを理解する。手がかりを集め、罠を見抜く。どこで引き返し、どこで突き進めばいいかを見きわめる知恵であり、立ち止まる分別だ。ナンバーセンスがある人は、曲がり角を間違える回数を最小限にしてゴールにたどり着く。ナンバーセンスがない人は迷路で途方に暮れ、永遠にゴールを見つけられないだろう。
 私がデータ分析の専門家に求める第一の資質は、ナンバーセンスだ。ナンバーセンスがあるかないかで、単に優秀なアナリストか、それとも真の才能あるアナリストなのかが決まる。


■2.ロースクールの就職率が高い秘密
コロラド大学ボルダー校のポール・カンポス法律学教授のブログ「ロースクール悪徳商法の裏側」によると、回答なしの欠損値として扱われている卒業生の1割がトーマス・M・クーリー・ロースクール(USニューズ・ランキングの第4グループ)の出身だという。同校のサイトを見ると、法曹協会が雇用統計のでっち上げを容認していることが浮き彫りになる。ロースクールはすべての卒業生について、長期の正規雇用に就いていないと証明されないかぎり、長期の正規雇用としてカウントできるのだ。
 ニューヨーク大学スクール・オブ・ローのリチャード・マタサー学部長は、大学の格付けゲームの「伝説」や「駆け引き」をいくつか紹介している。たとえば、「卒業生に電話をかけ、かけ直さなければ就職していると見なすというメッセージを留守番サービスに残す」。また、クーリー・ロースクールは、法律職の派遣会社の紹介で働く人を長期の正規雇用と見なしている。


■3.店を満員にしても倒産させるグルーポン
 グルーボンの「公式説明」は、店が実際に手にした金額(19ドル50セント)を実際のデータとして計算しているのだから、問題はないと思うかもしれない。しかし、単純な計算の裏に大胆な前提が隠れているとしたらどうだろう。すなわち、クーポンを利用する人は、クーポンがあるという理由だけでセビシェを訪れるという前提だ。ある夜に50人がクーポンを使って食事をした場合、クーポンが存在しなかったら50人分は空席のままだったという。これはありえないだろう。(中略)
 クーポンの常連客は47ドル50セントの損失を店に与えるが、新規の客の増分利益(この場、クーポンによって増えた利益)19ドル50セントで埋め合わせることができる。クーポンの効果で常連客1人につき新規の客が最低2.5人来店すると、収支が釣り合う。言い換えれば、クーポン利用者の70%が新規の客でないと採算は取れない(大変なことではないか!)。


■4.プライミング効果を受けやすい私たちの判断
たとえば、経営学教授のチェン・ボ・チョンとケイティ・リルイェンキストは、被験者にあるストーリーを筆写させる実験を行った。ひとつのグループは同僚の邪魔をするストーリーを、もうひとつのグループは同僚の手助けをするストーリーをそれぞれ書き写した。その後、全員がさまざまな家庭用品について、どのくらい欲しいかを評価した。退屈な筆写は買い物という行為とは無関係なので、どちらのグループも似たような評価をするはずだ。
 はたして、驚きの結果になった。ポストイットの付箋やエナジャイザーの電池など、一部の商品の評価はほぼ同じだった。一方で、洗浄剤には特徴的な傾向が見られた。クレストの歯磨き粉やタイドの洗剤などは、同僚の邪魔をするストーリーを筆写したグループが、同僚を助けるストーリーを筆写したグループよりはるかに強く欲しがったのだ。


■5.価格設定と店の収入の関係を考える
牛乳1パックの目標価格を4週間で3ドル50セントとする。4週間ずっと3ドル50セントに固定してもいいが、顧客の大多数はクーポンや割引が大好きだ。そこで、通常価格を3ドル60セントにして、4週間のあいだに1日だけ破格の1ドル50セントで売る。あるいは、通常価格が3ドル60セントのところ、1週間だけ3ドルの特別価格にする。3つの価格戦略はいずれも、4週間の平均価格は3ドル50セントになる。では、店の収入が最も多い戦略はどれか。その答えは、割引に顧客がどのように反応するかによって決まる。つまり、顧客が価格をどのような基準で判断するかだ。


【感想】

◆本書はさまざまな題材から、ナンバーセンスについて言及しているのですが、個人的にもっとも刺さったのが第2部の「マーケティングデータ」の章でした。

ここでは主に、上記ポイントの3番目のグルーポンのビジネスモデルについて分析。

グルーポン - Wikipedia

日本でも、一時期話題になったものの、おせち事件があったりして、最近話を聞かないな……と思ってたら、しっかりやってるようですね。

【グルーポン-GROUPON】世界最大級のクーポンサイト

こんな記事も、今年の2月にありましたが。

いろいろあったグルーポンが消滅せずに生き残れている理由とは? - GIGAZINE


◆さて、このグルーポン、新規客に店を知らしめる、という意味では確かに効果があります。

ただ逆に、常連客にクーポンを使われてしまうと、本来得られるハズの利益まで、失ってしまうことに。

そもそも常連客は「常連」になるくらいですから、その店のサービスには満足しているワケで、皮肉なことに「常連客の方がクーポンを愛用する」のだとか。

そう考えると、グルーポンを利用してメリットがあるのは、常連客がまだいない(もしくは少ない)新規店ということになります。

ただ、そうして新規の客を開拓したとしても、彼らが後に、クーポンなしの通常料金で来てくれないことには意味がありません。

ところが、クーポンで開拓した客ほど、クーポンなしでは来店しないというジレンマ……。

結局、1回きりの客からも利益を上げるのが一番なのですが、その方法(ヒント?)については、本書にてご確認を。


◆また、第1章の「なぜロースクールの学長はジャンクメールを送り合うのか?」も、興味深いお話でした。

アメリカにはロースクールのランキング(USニューズ・ランキング)があるらしいのですが、この順位を少しでも上げようと各校が「工作」しているとのこと。

その中の1つが、上記ポイントの2番目にある「就職率の操作」です。

これだけでなく、他にも色々やっているのですが、細かい話はやはり本書にて。

ちなみに、ランキングの要素には「他校からの評価」というものもあり、関係者は「最大のライバル校には最低の評価をつける」のだとか。

トップでしかるべき、ハーバード大学やエール大学のロースクールでさえ、5点満点で平均4.84であり、これは回答者の少なくとも16%が、この2校を全米トップ40校の圏外と評価したことを意味しています。

これとは逆に、密約を交わした相手とはお互いに満点をつけあい、あと少しで上位校の仲間入りができそうな学校は、交渉相手にうってつけという……。


◆なお、第4部のスポーツデータでは、主に「ファンタジー・フットボール」のお話が展開されています。

ファンタジー・フットボールを通じてファンとの関係をさらに強化するNFL(ナショナル・フットボール・リーグ) | SAPジャパン ブログ
ひとことで言うと、NFLの全30チームから自分の好きな選手を選んで”仮想チーム”を編成しておくと、その選手たちの実際の試合でのプレーひとつひとつに応じて自分の仮想チームにポイントが加算されていき、成績・勝敗が決まる。いわばリアルにバーチャルが連動するスポーツゲームだ。
このパートは、アメリカンフットボールのルールと同時に、この「ファンタジー・フットボール」の仕組みを知らないと、ちょっと分かりにくいかも。

また、「欠損値」「中央値」「標準誤差」といった統計学的なフレーズや、図、グラフがバンバン出てくるので、キチンと読むと、結構骨が折れると思います。

結果、テーマは重くないのに、なかなか読み終えられなかった次第。


その分、数学好き、統計好きな方なら要チェックです!

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ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方
第1部 ソーシャルデータ 
 1 なぜロースクールの学長はジャンクメールを送り合うのか?
 2 違う統計を使えばあなたの体重は減るだろうか?
第2部 マーケティングデータ
 3 客が入りすぎて倒産するレストランはあるか?
 4 クーポンのパーソナライズは店舗や消費者の役に立つか?
 5 なぜマーケターは矛盾したメッセージを送るのか?
第3部 エコノミックデータ
 6 失業率の増減をあなたが実感できないのはなぜか?
 7 誰がどうやって物価の変動を見極めているのか?
第4部 スポーツデータ 
 8 コーチとGMどちらが勝敗のカギを握るか?
エピローグ


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【オススメ!】『オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く』トビアス・J・モスコウィッツ,L・ジョン・ワーサイム(2012年07月03日)


【編集後記】

◆本書に関連して、リアル書店で見かけた1冊。

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データを正しく見るための数学的思考

結構分厚いので、Kindle版がオススメかと。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 09:00
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ビッグデータはなんのため?:ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方【本読みの記録】at 2015年11月19日 23:36