スポンサーリンク

2015年08月19日

【仕事術】『GEの口ぐせ』安渕聖司


456982613X
GEの口ぐせ (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、リアル書店でたまたま出くわした仕事術本

著者の安渕聖司さんは、ハーバードビジネススクール卒業後、三菱商事、リップルウッド等を経て、現在GEキャピタルの社長兼CEOを務められている方です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「これまでの私のキャリア・経験から見ても、GEというのは際立った特色のある企業です。120年以上の歴史を持ちながら、今なおアメリカを代表するグローバル企業であり続けているGEという企業の奥深さ、埋め込まれた知恵を、年々、発見し続けています。
そのひとつが、GE社内で口ぐせのように使われる、数多くの社内用語です。略語あり、 社内の造語あり、あまり企業社会では使われない言葉あり。CTQ、CAP、VOC、ワークアウト、セッションC……。
それこそ最初の頃は、何を言っているのか、さっぱりわかりませんでした。ところが次第に、言葉の意味がわかってくると、それらが極めて本質的な意味を持ったものだということがわかってきました」(本書「はじめに」より抜粋)

今まであまり語られてこなかった、GEの強さの秘密がここに!






GE Fridge / Marufish


【ポイント】

■1.ネクストアクションを共有してから会議を終える
 GEに来てびっくりしたのは、例えば30分の会議だと、25分くらいになると「今日はこのあたりで」という声が聞こえてくること。そしてそのときに同時に出てくるのが、「では、ネクストアクションです」という発言です。誰が、いつまでに、何をするのか、会議を受けて、その場で決めるのです。これを決めてから、会議が終わる。
 そして次の会議では、前の会議で決めたネクストアクションのフォローアップから入っていきます。これは確かに効率的で、効果の高い会議だな、ととても感心したのを覚えています。


■2.常に情報を整理し、簡潔に伝えられるようにしておく
 例えば、CEOのジェフ・イメルトにばったり会ったら、「How is Japan?」といった問いかけは自然にやってきます。そのときに、的確かつ簡潔に答えられるか。
 そのためには、日本経済を語る際に何が重要なのか、常に問題意識を持って、自分の中で整理しておかなければなりません。新聞を読んでいて、「お、このデータは大事だな」と思えるものがあれば、それをしっかり自分の中に記憶しておく。スマホで写真をとっておく。コンパクトにアウトプットできる形で情報を整理しておくことが、習慣になるのです。


■3.他社や市場を意識して、高い目標を立てる
 会社というのは、目標を設定してそれを達成していくプロセスを取るわけですが、これを繰り返していくと、目標を保守的に設定してしまう、ということが起こり得ます。
 そこでより高いところ、より難しいところに目標を置くことを、GEでは「ストレッチ」と呼びます。困難な目標を掲げることで、最初に設定した目標以上の結果を生むことが可能になる。それがGEの考え方です。
 ただし、ストレッチは、ただ単に高い目標を作る、ということではありません。実際、GEの場合は、そこにロジックが問われることになります。(中略)
 例えば、ある部門が対前年130%の目標を立てても、その部門が担当するマーケット全体が来年150%伸びそうなら、それを上回る目標を据えないといけないことになります。逆に、マーケット全体が7割程度に縮小してしまう可能性が高い部門であれば、前年並みの目標でも大きなストレッチとみなされるでしょう。


■4.揺るぎないインテグリティを持つ
 インテグリティは直訳すれば「誠実さ」ですが、ビジネスにおける「高潔さ」、「高い企業倫理」を示す言葉です。GEは、社員の仕事の進め方において、この「インテグリティ」を極めて重視しています。(中略)
 コンプライアンスは、一般的に「法令遵守」と訳されます。しかし、企業が何か不祥事を起こし、メディア向けに記者会見を行ったりしたときに、最も失敗するのは「我が社は法律に違反していません」という弁明をすることです。
 これでは、法律に違反しなければ何をしてもいいのか、ということになってしまいます。GEでは、法律が必ずしも最も高い基準ではない、と考えています。「法律を守るのは当たり前、我々はそれ以上に厳しいインテグリティを守る」、というのがGEの考え方なのです。


■5.言ったことは必ずやる
 やると言ったことはやる。GEでは、実行という言葉に大きな重みがあります。どんなにいい計画を立てても、実行がともなわなければ、何もしなかったのと同じ、とみなされます。
 そうしたカルチャーを象徴する言葉が「Say Do Ratio」、直訳すれば、「やると言ったこと(Say) のうち、実際にやり遂けたこと(Do) の比率(Ratio)」という意味です。
 これはあくまで考え方で、実際に数字が出るわけではありません。ただ、口先ばかりで実行がともなわないような人は、この比率が低いとみなされ、上からも下からも評価されません。言いっぱなしは尊敬されないのが、GEなのです。しかも、ポジションが上がれば上がるほど、有言実行がより強く求められます。これが、ひとつの文化になっています。


【感想】

◆アマゾンの内容紹介では、冒頭で引用した部分以外にも色々と書かれており、中でも興味深かったのが、GEが「123年の歴史でCEOはわずか9人」という事実でした。

それがゆえに、CEOの在任期間が極めて長く、先代のジャック・ウェルチが20年、現CEOのジェフ・イメルトも14年目に入っているという。

本書の著者である安渕さんも、GEコマーシャル・ファイナンスに入社したのが2006年ですから、イメルト時代しかご存知ないわけです。

GEというと、どうしてもジャック・ウェルチのイメージが強いですが、現在のイメルトCEOの下でも、売上高や利益は成長中。

ちなみに、私が初めてイメルトCEOのことを意識(?)したのは、当時愛読していた倉本由香利さんのブログの、このエントリーによってでした。

GE ジェフ・イメルト会長に会う (15.398 CEO Perspective) - My Life After MIT Sloan


◆ここでイメルトは、MITの倉本さんたちMBA生に「今後10年の世界では何が重要になると思うか?」と問うているのですが、これは、上記ポイントの2番目と同じだな、と。

「ビジネススクールなんだからそのくらい答えられなきゃダメだろう」と言ってるのは、GEの社員が「何が重要なのか、常に問題意識を持って、自分の中で整理して」いるのですから、イメルトにとっては当然のことなんでしょう。

なお、シニア向けのリーダーシップ研修の中には、イメルト本人が設定したテーマで調査・報告させるものもあり、それらは直接イメルトの経営のための情報になるとのこと。

安渕さんが参加した際のテーマは「韓国」だったのですが、上記のMITで述べた韓国に関する情報も、安渕さんたちが調べ上げたものかもしれません。

さらにその後のテーマとしては、インド、アフリカと医療、エネルギービジネス等が取りあげられたのだとか。

研修を単なる研修に終わらせず、経営に結びつけるための情報を収集し、社員に問題意識を持たせる、というこのGEの仕組みは、素晴らしいと思います。


◆また、割愛した中で、興味深かったのが、「ワークアウト」と呼ばれる問題解決法でした。

これは、問題となるテーマを熟知している人たちが集まり、自分が感じている問題点をそれぞれポストイットに書き出して討論する、というもの。

その際、ポストイットには名前を書かず、あえて太いマジックを用いることによって匿名性を高めているのだそう。

これは「人」ではなく「コト」に意識を集中させる、という意味で極めて重要なこと。

このポストイットをホワイトボードに貼り付けて整理した後に、今度は解決策を、同じようにポストイットに匿名で書かせるのですが、これらは「難易度(簡単にできるか)」と「効果(効果が大きいか)」の2つの軸で分類します。

そして「簡単」で「効果が大きい」アイデアは、その場で採用されるのだとか(詳細は本書を)。


◆一方上記ポイントの4番目は、普通だったらスルーするところ(?)なのですが、丁度東芝の件があったので、抜き出してみた次第です。

なおGE社内では「あなたの仕事が明日、新聞に掲載されるとしたら、すべての人に対して誇りを持って、その記事を見せることができるか」という「ニュースペーパーテスト」なるものがあり、それによって自分の仕事やそのやり方を客観視し、誠実性を確保しているのだそう。

「法律を守るのは当たり前」であり、それを上回る企業倫理を持つ、という姿勢は、日本企業も見習うべきではないか、と。

ただし、上記ポイントの3番目にあるように、高い目標を立てた上で、それを上記ポイントの5番目にあるように、「実際にどれくらいできたのか」で見られるのですから、プレッシャーも相当なものになりそうです。

こういう企業風土で人が育てられるがゆえに、「123年の歴史でわずか9人」のCEOが、いずれも社内の生え抜きなのでしょうね。


GEの強さが身に染みて分かる1冊!

456982613X
GEの口ぐせ (PHPビジネス新書)
第1章◎全社戦略
 〜巨大企業がなぜアグレッシブに動き続けられるのか?
第2章◎仕事のやり方
 〜驚くほどスピーディーな仕事は、なぜ実現できるのか?
第3章◎コミュニケーション
 〜なぜ上司に対してストレスが高まらないのか?
第4章◎リーダー育成
 〜GEはなぜ、次々に優秀な人材を輩出できるのか?
第5章◎評価・マネジメント
 〜誰もが納得できる評価が、なぜできるのか?
第6章◎カルチャー
 〜また戻ってきたくなる風土が、なぜできているのか?


【関連記事】

ジャック・ウェルチの「私なら、こうする!」(2007年05月11日)

【出世の心構え】『元・外資系人事部長が見た 要領よく出世する人』村上賀厚(2015年03月03日)

【仕事術】『外資系エリートが実践する 「すぐ成長する」仕事術』川井隆史(2014年09月13日)

【仕事術】『考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」―』秋山ゆかり(2013年10月20日)

【5つのツボ】「10-10-10人生に迷ったら、3つのスパンで決めなさい! 」スージー・ウェルチ(2010年01月26日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B010CNBOL8
一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?

中古のお値段が下がってきたとはいえ、さすがに日替わりセールの価格には負けますw

読み損ねた方も、この機会にぜひ!

参考記事:【コンディション】『一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?~仕事力を常に120%引き出すカラダ習慣~』上野啓樹,俣野成敏(2014年11月14日)


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 09:00
TrackBack(0)ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。