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2015年08月08日

【読書術】『本をサクサク読む技術 - 長編小説から翻訳モノまで』齋藤 孝


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本をサクサク読む技術 - 長編小説から翻訳モノまで (中公新書ラクレ)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、お馴染み齋藤 孝先生の読書術本。

齋藤先生は、多作な方なので、基本はスルー(ヲイw)なんですが、このテーマなら当然「買い」でしょう!

アマゾンの内容紹介から。
「途中で挫折しちゃう」「中身を、すぐ忘れちゃう」 そんな、あなたに贈るテクニック 本の“養分”を瞬時に吸収できるノウハウが満載 途中で挫折しない方法を教えます! 登場人物がややこしい長編小説の読み方、難解 な翻訳書・学術書を読みこなすコツ、本を同時に読み進める「並行読書」、レーベル 別攻略法、1000冊読める大量消化法……目から鱗のメソッドが盛り沢山。オススメ本 も多数掲載で読書案内にも最適。読書の概念を180度変えます! 各章の末尾には、「よろず読書相談室」を設けて、読者の個別・具体的な悩みに答えました。

当ブログをお読みの方なら、試してみたくなるTIPSがきっとあるはずです!





Reading / ThomasLife


【ポイント】

■1.内容を人に話すツモリで読む
 では、何をもって「読んだ」とすればいいのか。その基準点の1つが、「内容を人に話せるか」です。1冊分まるごと話せる人はまずいないし、話せたとしても機会がありません。しかし、1章分を要約したり、1文を引用したりして内容を話せる本が10冊あるとすれば、それだけ多くの内容が身についている証拠です。たいへんな"成果"といえるでしょう。
 逆にいえぱ、人に話す前提で本を読む、と考えるぐらいのほうがいいかもしれません。そうすると、「この章だけ要約してみよう」「この部分を引用しよう」という意識を持つようになる。そういう作業ができれば、その本の"モト"は十分に取ったことになります。


■2.長編小説は人物相関図を書いて読む
昨今は、あらかじめ巻頭に用意された本も少なくありません。たとえば前出の『百年の孤独』もその1つ。物語の中心となるブエンディア家の家系図が掲載されています。それを見れば人間関係がわかりますが、同じ名前が何度も登場していることにも気づきます。この物語がいかに混乱しているかがわかるはずです。
 こういう相関図がなければ、自分で用意すればいい。読みながら、新しい人物が登場するたびに、どんどん書き込んでいくわけです。むしろそのほうが、頭の中を整理しやすいと思います。、
 実際、私の大学の授業では、学生にこれを実践してもらっています。いちいち新しい用紙を使わず、本の表紙裏などに書き込めばOK。ただし名前や関係性だけではなく、どういう人物なのか、何をしたのかも記入する。簡単なメモ程度でいいのですが、こういうものがあると、落ち着いて読めるようになります。久しぶりに聞く名前が登場しても、慌てることはないでしょう。


■3.難解な本は先に解説書に目を通しておく
 いきなり本丸に突き進む前に、解説書に目を通したほうが、理解度はずっと高まるはずです。優れた解説書を読めば、本丸を落とさずして攻略することも可能かもしれません。
 たとえばへーゲルの解説書なら、長谷川宏さんの『新しいへーゲル』(講談社現代新書)のような名著があります。ハイデガーの解説書なら、木田元さんの『ハイデガーの思想」(岩波新書)、『ハイデガー拾い読み』(新潮文庫)などがわかりやすい。同様に、解説書のない古典はまずありません。(中略)
 あるいはニーチェ『ツァラトゥストラ』については、解説書ではなく翻訳書ですが、大学で学生たちと中公文庫版をずっと読んでいます。各章の冒頭に翻訳者の手塚富雄さんによる要約が記されているのですが、それを頭に入れておけば、本文がススッと頭に入る。さながら解説付きの訳本のようなもので、「これほどわかりやすくていいのか」と思うほどです。


■4.古典はまず漫画で読む
 とりあえず接点を求めるなら、まず漫画で読むという手は有効です。文字どおり「まんがで読破」(イースト・プレス)と銘打った文庫のシリーズで、『カラマーゾフの兄弟』をはじめ、『罪と罰』『戦争と平和』(トルストイ)、『ファウスト』(ゲーテ)などもあるようです。
 そもそも文字量が膨大なこれらの古典を、よくぞ漫画にまとめたなというのが私の印象です。それに『カラマーゾフの兄弟』を見るかぎり、たいへんよくできています。もちろん文章が完全に漫画化されているわけではありませんが、なかなか巧みにストーリーの骨格を取り出しています。『戦争論』(クラウゼヴィッツ)もよくまとまっています。
 これを先に読んでおくと、翻訳本も落ち着いて読めるようになります。ある程度ストーリーが頭に入っているし、場面を映像として脳内再生しやすいし、登場人物の相関関係もわかるからです。それだけ読破する可能性が高まるわけです。


■5.洋書は翻訳書を併用して読む
 あるいは大学の授業では、映画『スラムドッグ$ミリオネア』の原作を使ったこともあります。これは『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社文庫)というタイトルで翻訳書も出ています。やはり両方を対比させながら読むことを基本としました。
 ただし、単純に読むだけではおもしろくない。そこで、私が翻訳本を朗読し、学生がそれを聞きながら原書を黙読する、というパターンにしてみました。学生にとってみれば、目で追っている英文の訳が耳から入ってくるわけです。これなら、誰でもスラスラと読めるでしょう。(中略)
 同じような授業を、有名な『オリエント急行殺人事件』の原書『Murder on the Orient Express』を使って行ったこともあります。このときは、翻訳本と原書を1章ずつ読み進めるという作業にしました。


【感想】

◆読書術本については、当ブログでも随分とご紹介してきましたし、多読・速読等、されてらっしゃる方も多いと思います。

私自身、ビジネス書や実用書の類については、それなりの速度で読めるので、なんとかブログも毎日更新できているのですが、問題は「それ以外のジャンル」の本。

たとえば長編小説、難解な本、学術書、そして洋書等については、読みたくとも手に負えない可能性が高いため、読む前から尻込みしておりました。

また、たとえ読めたとしても、当ブログでのニーズがあまりないため、結局買ってもいないのですが。


◆そこで本書では、こうした厄介なジャンルについても、章を割いて攻略法を指南。

上記ポイントの2番目の「人物相関図」というのは、複雑な物語等なら、あったらかなり便利です。

ただし、私の場合、裏表紙とはいえ本に書き込むことに抵抗があるため、大き目の付箋でも使ってみようかと。

たとえば、この商品なら「150x100mm」なので、単行本に良さげ。

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ポスト・イット ノート 150x100mm 100枚 イエロー 659RP-Y

新書なら、こっちですかね。

B000UHZFIA
ポスト・イット ノート 75x127mm 100枚 イエロー 655RP-Y

……実は今までは、新しい登場人物が現れると、そのたびに分かる形でいつものミニ付箋を貼っていたのですがw


◆一方、上記ポイントの3番目の「解説書」というアプローチは、特に難解な古典で効きそうです。

たとえば、当ブログでも以前ご紹介したこの本は、かなり分かりやすかったですし。

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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

参考記事:【オススメ】『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』鈴木博毅(2012年04月09日)

本書によると、ピケティの『21世紀の資本』について、「解説書や雑誌記事でおよその内容を理解して臨むと、飛ばし読みをしても相当わかる」と指摘。

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21世紀の資本

まぁ、内容もさることながら、「728ページ」もある時点で、私なんぞはお手上げなんですが(涙目)。


◆さらに、上記ポイントの4番目では、漫画の活用を提唱。

ここでは、海外古典文学がその中心ですが、もちろん、ビジネス書でも最近は漫画形式の作品が増えています。

ただし、私のような書評系ブロガーの場合の問題は、レビューしようとすると、漫画のコマ自体を持ってきたいものの、著作権的に難しいこと。

以前この記事を書いた際には、著者の峰さんがTwitterでツイートもしくは、他者のツイートをリツイートしているものだけを拾ったのですが。

参考記事:【モテ?】『アラサーちゃん 無修正1』に「男女の性差」を学んでみました(2013年05月16日)

特にブログに載せる必要のない方は、まったく関係のない話なので、ガンガン漫画を活用しちゃってくださいw

本書内で齋藤先生も、「『カマラーゾフの兄弟』のような長編古典文学の場合、一生読まない人が圧倒的に多い」「もしくは、読み始めても途中で止めてしまう」「ならばどんな形であれ、最後まで行き着く最善手を考えたほうがいい」と指摘。

確かにこの辺りは、本読みとしてのヘンなプライドを捨てて、挑戦してみるのが良いのかもしれません。


◆なお、齋藤先生は、過去にも「読書」をテーマにした本を書いたり、知的生産術本の中で読書に触れていたりもしてらっしゃいます。

それゆえ、ネタかぶりも多少はあってしかるべきかと。

とはいえ、ブックガイド的な部分では、上記のピケティのように、新しいネタも織り込んでいますし、各章の終わりに付された「よろず読書相談室」も、なかなかに読み応えアリ。

やはり齋藤先生の読書ネタ本は、「ハズレなし」でしたw


新しいジャンルの本にも挑戦したい方に!

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本をサクサク読む技術 - 長編小説から翻訳モノまで (中公新書ラクレ)
はじめに――瞬時に本の“養分”を吸収する方法
1章「読破」するにはコツがある
2章 長編小説を挫折しないで読む方法
3章「ビジネス常識」 としての経済小説、 歴史小説入門
4章 難解な翻訳書・学術書を読みこなすコツ
5章 本を選ぶヒント―王道から邪道まで


【関連記事】

【読書術大全】『大人のための読書の全技術』齋藤 孝(2014年08月07日)

【知的生産】『10分あれば書店に行きなさい』齋藤 孝(2012年10月27日)

齋藤孝の速読塾(2006年11月01日)

【読書術】『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』出口治明(2014年09月12日)

【必読】『土井英司の「超」ビジネス書講義』に学ぶ、本の5つの選び方と2つの読み方(2012年05月30日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

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新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)

活動されている媒体がネットなので、私のようなブロガーにも向いてそうなヨカンが!?

なお、結構お買い得なKindle版も既に発売されているのも、ポイント高いです!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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