スポンサーリンク

       

2015年08月02日

【スキルアップ】『すべての「学び」の前に鍛えるべきは、「教わる力」である。』牧田幸裕


4799317237
すべての「学び」の前に鍛えるべきは、「教わる力」である。


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、最も注目を集めていた1冊。

「京大卒」「ハーバードMBA」「外資系コンサルタント」と輝かしい経歴を持つ牧田幸裕さんが、お受験ママからビジネスパーソン、さらにはアマチュアゴルファーまで役に立つ「学びのコツ」を指南してくれています。

アマゾンの内容紹介から。
「教わる力」を鍛えると、「もったいない人」から、「成果と結果を出せる人」になる。ビジネス、勉強、スポーツ…すべてに共通する“最強スキル”の磨き方。プロが教える一生モノのビジネス基礎力。

なお、上記エントリーの際には表示されていなかったのですが、お買い得なKindle版も既に出ております!





individual golf lesson / Companygolflessons


【ポイント】

■1.「教わる力」とは、ナビゲーションを設定できることである
 クルマのナビゲーションシステムで考えてみよう。目的地へドライブする際にやることは、以下の5つである。
(1)現在地の確認
(2)目的地の設定
(3)ルート候補の設定
(4)ルート候補の選択
(5)ルートの決定
 これらのプロセスを経てドライブが始まる。途中、交通状況の変化によりルートが変更されることもあるが、基本的に最短距離、最短時間で目的地に到着できる。
「教わるカ」を鍛えるとは、じつは、この5つのプロセスをきちんと行いましょうということに過ぎない。こう言うと拍子抜けするかもしれない。しかし、実に多くの人たちが、このプロセスをできていないのだ。


■2.「教わる力」を鍛えた人の読書法
「教わるカ」を鍛えた人は、著者の結論をまず探す。そして、その結論が得られるまでに、著者がどういうロジックで考えてきたのかを、目次の小見出しから読み取っていく。そして、そのときの自分に必要な、自分が読むべきところを吟味する。そして、その部分に付箋を貼ったり、サインぺンやボールぺンで印をつけたりする。その後、その部分だけを読んでいくのだ。(中略)
「1冊目の本は、この問題に対しAという見解だったが、2冊目の本は、同じ問題に対しBという見解だ」
 このような比較対象ができれば、彼ら自身の見解や立場を決めることができるようになる。こうなると強い。自分の見解や立場ができたうえで、3冊目の本を読めるからだ。自分の見解を補強する部分、自分の見解とは違う立場の部分だけを読んで、そのあとは、自分の見解の妥当性を考えることに時間を豊富に使うことができる。


■3.目標を実現するための3要素
 ビジネススキルの習得、受験勉強、ゴルフの100切りに共通することがある。それは、以下の3要素を満たせば、目標を実現できるということだ。
「正しい努力の方向性の発見」×「事前の練習量の確保」×「場数を踏むこと」
「教わるカ」を鍛えた人は、スキル習得だけでなく、「どうやってスキルを習得するか」という方法の確立にこそ、力を注ぐ。スキルを最短距離で、労力をかけず習得したいからだ。そのために、正しい努力の方向性の発見にカを注ぐ。


■4.まずは量を盗む
 プロゴルファーで『風の大地』原作者の坂田信弘氏は、フマチュアゴルファーの練習について、こう言っています。
まず、練習の量を盗むことだ。量、要するにどれだけの練習なされているかを知るが大事。次に練習の質を盗んで行けばよい。プロの領域、アマの領域、成功する人は最初に量を盗む。量を盗み取り、己のものにした後、質の盗みへと入る。成功しない人は最初に質の盗みに入る


■5.「信じる道」を探し出すために、信じられる人を探し出す
 何が正しい道なのか、何が正しい判断なのか、「目的地」へ向かって邁進している途中段階では、確信を持てない。また、「目的地」に到着していないからだ。だから、すでに「目的地」に到着している成功者やキュレーターの判断軸を借りて利用することで、合理的なナビゲーションのルート設定をできるようにする。
 しかし、自分が判断軸を借りている成功者の判断軸や、キュレーターの判断軸は、自分にとってベストの判断軸なのだろうか。自分が信頼して、頼って良い判断軸なのだろうか。自分が借りている判断軸がべストの判断軸なのかどうかは、比較することでしか判断できない。そして、比較対象が増えるほど、自分にとってべストかどうかの判断ができるようになる。


【感想】

◆実は本書を読む前、タイトルから想像したのは「授業を受ける態度」ですとか、「傾聴の仕方」のようなものでした。

ところが実際は、そうした「形式的なお話」は一切ナシ。

「教わる力」が足りないがために「残念な人」になっている人と、そうでない人の事例を豊富に収録して、その違いを明らかにしていくという仕様でした。

そして、その事例も「ビジネスパーソン」や「受験生」「アマチュアゴルファー」と多種多様。

最初の2つはいいのですが、なぜにゴルフと思いきや、牧田さん、実は『ゴルフデータ革命』という本の解説を書いたり、「週刊ゴルフダイジェスト」の特集記事に登場されるほどのゴルフマニアなのだそう。

確かにこの本を初めとして、「学び」をテーマにした場合、勉強とスポーツには共通点が多いですし、私はゴルフをやりませんが、参考になるお話は多かったです。

才能を伸ばすシンプルな本
才能を伸ばすシンプルな本

参考記事:【スゴ本!】『才能を伸ばすシンプルな本』ダニエル・コイル(2013年06月08日)


◆ところで、特に本書において「キー」となっているのが、第3章以降のすべて見出しに含まれている「判断軸」という概念かと。

ところが、まだゴールに到達していない人にとっては、持ちようがありません。

そこで利用すべきは「他人の判断軸」。

開成高校や灘高校が、東大合格者を大量に生み出しているのは、先輩たちの判断軸を借りられるから、という指摘はなるほど納得。

もし地方の高校にいて、そのような先輩がいなければ、合格体験記を読めばいい、というお話も、私自身、税理士試験の合格体験記を、毎年マニアックに読んでいたこともあって、腑に落ちました。

合格の秘訣 税理士試験 2014年度 (戦略的学習法と合格体験記集)
合格の秘訣 税理士試験 2014年度 (戦略的学習法と合格体験記集)


◆ちなみに、こうした「判断軸を持つ『他人』」というお話の絡みで、ビジネス書のキュレーターとして、お馴染み土井英司さんと、お恥ずかしながら私、smoothが本書に登場。

アマゾンでの売上における土井さんのインパクトを考えると、同じ紙面でご紹介頂くのは、かなり無理があるのですが、当ブログの場合、「関連記事」として類書のエントリーを挙げていることから、上記ポイントにもある「2冊目」「3冊目」の比較ができる点をご評価いただいたようです(牧田さん、ありがとうございました!)。

なお、「教わる力」を鍛えた人の事例の中に、牧田さんご自身(としか思えない人)を発見!?

アクセンチュア時代にその「彼」の取った方法とは、「花形パートナーを愚直にコピーする」、というものでした。

それも資料作成や、プレゼン方法のみならず、歩き方から食べる順番までコピーしたのだとか。

仕事を覚えるノウハウとして、「出来る人の真似をする」という話は聞いたことはありますが、ここまで完コピすると、確かに自分の次元も違ってきそうです。


◆なお、当ブログ的には、「ゴルフ」や「お受験」よりも、「読書」ネタが気になるところ。

上記ポイントの2番目では、コンサルタントの読書法を一部ご紹介しましたが、本書では「読書会」の活用術にも触れられています。

牧田さんによると、「できる」ようになるための読書会の活用法は、以下の2つとのこと。

 (1)自分なりの判断軸ができてから、読書会に参加する

 (2)自分が講義をする読書会に参加するようにする


(1)については、例として「ロジカルシンキング」についての判断軸の作り方が解説されていますので、詳しくは本書にて。

(2)は、ちょっとハードルが高そうですけど、講師として90分なり120分を仕切れるようになると、読書会を十分に活用しきれているといえるのだそう。


◆本書は勉強法に特化した本ではないため、受験生はなかなか手に取らないと思いますが、特に「我流の勉強法」で成果が出ない方には、是非とも読んで頂きたいところ。

確かに、合格体験記を過去数年分読み込んで、サンプルを大量に集めれば、自分に適した勉強法が見つかってしかるべきです。

なお、「偏差値55未満なら復習より予習」というお話は、私は初めて知りましたが、ご自身はまだしも、お子さんが当てはまる方はいらっしゃりそうな(実はウチのムスメが……)。

もちろん、ゴルフを楽しまれるビジネスパーソンの方なら、公私ともに役立つこと必至ですw


効率よく学ぶために!

4799317237
すべての「学び」の前に鍛えるべきは、「教わる力」である。
第1章 「教わる力」が足りない人は、「残念な人」ではない。 
   せっかくの力を活かしきれない「もったいない人」である

第2章 「教わる力」を鍛えると、「もったいない人」から、
   「成果と結果を出せる人」になる

第3章 「教わる力」とは、自分の判断軸をつくることであり、
   取捨選択をできるようになることである

第4章 自分の判断軸を鍛えるために、「信じる道」を探し出す

第5章 自分の判断軸を完成させるために、「信じる道」を貫き通す

第6章 自分の判断軸を「自分の信じる道」にする。
    そうすれば、「教わる力」が完成する


【関連記事】

【コンサル流?】『得点力を鍛える』牧田幸裕(2012年11月28日)

【オススメ】『ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問』牧田幸裕(2012年06月09日)

すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)

【読書法】『27歳からのMBA グロービス流ビジネス勉強力』に学ぶ5つの読書法(2015年04月27日)

【スゴ本!】『才能を伸ばすシンプルな本』ダニエル・コイル(2013年06月08日)


【編集後記】

◆一昨日の『ナンバーセンス』に続いて、同じ著者のヒット作が「Kindle日替わりセール」に!?

B00F40APV0
ヤバい統計学

中古の半値の「71%OFF」ですので、未読の方は要チェックです!

参考記事:すぐに使える『ヤバい統計学』テクニック7選(2011年03月05日)


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

この記事のカテゴリー:「私と100冊の勉強本」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。