スポンサーリンク

2015年07月23日

【仮説検証】『アウトプットの質を高める 仮説検証力』生方正也


4799104322
アウトプットの質を高める 仮説検証力

Kindle版アリ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも人気だった1冊。

「問題解決」や「仮説思考」に関する類書は色々ありますが、特に、仮説の精度を高める「データ分析」と「仮説検証」にフォーカスしているのが特徴かと。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
仮説を立てて仕事を進めることの重要性については、すでに多くの書籍でも述べられていますが、実際に精度の高い仮説立案するための分析、検証の方法について具体的に述べられているものは少なく、多くの読者が実際に自分の業務に落とし込んで行く際に、戸惑いや試行錯誤を重ねていると推測しています。
そこで、本書では、データ分析、仮説検証において、より精度を高めるためにどのような方法があるか。限られた時間の中でデータ分析をするには何がポイントで、検証可能な範囲はどこで、何が大事なのか、ということについて解説しています。

実際に事例を通して、理解することができる仕様です!





Grace presenting three approaches to testing hypotheses / visualpun.ch


【ポイント】

■1.アウトプットを「木」で捉える
 この木の喩えを、企画書を例にして考えてみます。
「栄養」や「根」は、企画を考えるきっかけとなった出来事や、企画が妥当なことを示すデータなどです。完成した企画書は「枝葉」です。
 では、「幹」は何かと言えば、その企画で最終的に伝えたいことを一言でまとめたものです。
 最後に「果実」は、その企画が通ったかどうか、仮に通ったとすれば企画の結果はどうなったか、ということです。
 成果物をこのように捉えてみると、今、はやりの「外資系コンサルの〜」といったテーマは、「枝葉」に焦点を当てていることこなります。(中略)
 こうした木のモデルの中で、中心となるのが「幹」です。
 中身、つまり「幹」を中心にして、枝葉の修正をしたり、根や栄養などの補給を行う。もちろん幹そのものもしっかりと振り返りを行う。これが理想の流れです。


■2.アウトプットの質を高める2つの条件
●具体的な行動を喚起できるものであること
 例えば「粘り強く交渉を続けなさい」という指示も、指示した本人からすればクリアに感じるかもしれませんが、この指示では「いつまで交渉すればよいのか」「粘り強くとはどの程度か」というようなことがはっきりしません。こういう指示をしてしまうと、自分の想定とは違った形で交渉が終わる可能性は非常に高くなります。その意味で、この指示は励ましの言葉以上ではなく、クリアかどうかという観点で見たら不合格と言わざるを得ません。
●納得できる根拠があること
 例えば、ビジネスの場で、「今年は昨対比120%の売上増が見込めます」というような報告をする場合、「なぜそう言えるのか」ということは必ず問われるでしょう。そこで、納得できる根拠が提示できないと単なる「希望的観測」と捉えられてしまいます。


■3.定量データは比較して意味を持つ
 データを入手したら、分析できると考えてしまいがちですが、データが1つだけあっても分析はできません。
 例えば、「この事業のシェアは15%だ」というデータがあったとします。このデータからどのようなことが言えるでしょうか?
 実は、これだけでは何も言うことができません。なぜなら、他に比較するデータがないからです。比較ができなければ、いくらデータを集めてもそのデータから何も読み取ることはできません。(中略)
 つまり、定量データを分析する場合には、比較対象となるデータが必要になるのです。代表的な比較の形態としては、
・時系列での比較
・自分なりに設定した基準との比較
・外部の比較対象との比較
の3つを挙げることができます。


■4.定性的なデータを読み取る技術
 定性的なデータから意味を読み取る際の基本は、「データ全体をある特性で複数のグループに分割・比較して、グループ内の共通点や特徴を探っていく」ということに尽きます。もちろんここからさらに掘り下げた仮説を立てることはできますが、このレべルまで行けば意味のある仮説になっていることがほとんどです。
(1)全データの共通点から意味を読み取る
(2)一部のデータの共通点から意味を読み取る
(3)"意外な"相違点を捉える
(詳細は本書を)


■5.仮説通りだったら「横展開」する
 仮説通りに物事が進んだ場合に行いたいのが、横展開です。横展開とは、業務上のノウハウや方法論を他の業務に活用できるようにした上で、他の業務へ活用していくこと、そして活用を促進していくことを指します。
 ある営業所で成功した営業手法を別の営業所に活用するといった似た分野での横展開から、開発でのプロジェクト管理の手法を営業担当者の行動管理に応用するような、かなり離れた分野での横展開まで、横展開は幅広く行うことができます。こうした組織を巻き込んだレべルまでいかなくても、自分自身の仕事の進め方や考え方にうまく反映させることができれば、それだけ次の仕事での成功確率も高くなります。


【感想】

◆本書のテーマである「仮説の検証」。

本書の「はじめに」によると、その「検証」には、実は2つのやり方があるのだそう。

1つは「実際に仮説を試してみて、その結果を振り返る」というもの。

こちらは、比較的腑に落ちるといいますか、セブンイレブンでは日々行なっている、というお話は、この本にもありました。

4569810691
鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか (PHPビジネス新書)

参考記事:【名言集】『鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか』勝見 明(2013年03月04日)

そしてもう1つは、「アウトプットを裏付けるデータや情報が納得できるものかを確認する」というもの。


◆これをPDCAサイクルに当てはめてみると、前者(本書では「実験型」と呼んでいます)は、C(Check)の段階で行われます。

つまり、D(Do)で実行した結果を確認して、ここでの検証結果をもとにA(Action)の段階に移ることに。

一方、後者(本書では「裏付け補強型」と呼んでいます)は、P(Plan)の段階で行われます。

これは一見「検証」とは思いにくいですが、実は私たちの生活でも行われていること。

たとえば、旅行の計画を立てる際に、頭で想像するだけでなく、実際にいろいろなウェブサイトで、旅行先の経路やお店を確認しているようなことが、この「検証」に当たります。


◆本書では、第2章にて「実験型」、第3章にて「裏付け補強型」について言及。

冒頭で触れたように、それぞれについて事例を収録しており、本当ならこちらを引用したかったものの、ボリューム的に無理でした。

そこで、こちらで簡単にご紹介するなら、今まで個人的にピンとこなかった「定性的データ」について解説してくれた、「ヘルシー幕の内弁当」のお話が適切かな、と。

これは、駅弁への進出を目論んで開発された新商品の弁当の試食会を開いて、男女4名から感想を聞き、この駅弁の改善点がどこかの仮説を立てるというもの。

各人について、ボリュームやら味付け、希望点等が挙がったところで、属性ごとに分類していきます。

さらに「性別」「年代」「駅弁購入頻度」あたりで分けていくと、いくつかの共通点が浮かび上がってきたという……(詳細は本書を)。


◆もう1つ、圧倒的だったのが、「定量データ」と「定性的なデータ」を組み合わせた事例です。

これは、「電子部品メーカーX社の南関東支社で、売上高が停滞気味であったため、10店ある代理店にヒアリングを実施した」という前提で、その結果と各代理店ごとのデータを組み合わせて、仮説を立てる、というもの。

ここではまず、代理店を特徴ごとに分類します。

「代理店としての規模」や「全体としての売上成長」、「X社製品の売上成長率」「X社製品の占めるシェアの大きさ」等々。

これらの切り口を組み合わせて、マトリクスにすると、代理店もいくつかのグループに分けられる事が分かります(本書では図解アリ)。

そこで、これらのグループごとにヒアリングの結果を見ていくと、「価格面」や「営業担当者の対応」でこれまた浮かび上がってくる共通点が……(詳細は本書を)。


◆今まで、「仮説を立てる」という意識はあったものの、ここまで手取り足取り指南してくれた本はあまりなかったと思います。

特に、本書の「おわりに」でも触れられているのですが、仮説の「検証」の部分について、具体的にどんな流れで進めていくのかを整理したものは、ほとんどない、とのこと。

実は、私の顧問先でも、数年前に比べると、売上高が急減しているところがあり、その分析をしようとしていたところでした(どこまで経営に口を挟むかは別問題ですが)。

実際、その会社をイメージしながら本書を読んでいたため、「なるほど、こういうデータを集めればいいのか」「こうして掘り下げればいいのか」と、1人で納得していた次第。

それを踏まえて感じたのですが、おそらく本書は、実際に問題を抱えているか、かつて解決しきれなかった問題がある方の方が、腑に落ちるのではないか、と。

リアル書店でチラ見して、ちょっと難しいかな、と思ったのですが読んでみて良かったです。


まさに「『仮説』を成功に導く『検証力』を鍛える1冊!

4799104322
アウトプットの質を高める 仮説検証力
第1章 アウトプットの質を高めるとは

第2章 事実・データから仮説を立てる

第3章 裏付け補強型の検証で仮説を強くする

第4章 実験で仮説の精度を高める


【関連記事】

【オススメ!】『コンサル一年目が学ぶこと』大石哲之(2014年07月30日)

【名言集】『鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか』勝見 明(2013年03月04日)

【ノート思考】『マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか』大嶋祥誉(2015年02月28日)

『デザインコンサルタントの仕事術』が想像以上に凄い件について(2014年11月07日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)


【編集後記】

◆本書の参考文献の初っ端にあがっていたのがこちら。

4492555552
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

まだ中古が値崩れしていないので、Kindle版の方が、若干お安いかと。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

Posted by smoothfoxxx at 09:00
TrackBack(0)ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/52183721