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2015年06月10日

『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい』のあまりの凄さに戸惑いを隠せない


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成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、当たり前のように受け入れられている「ポジティブ思考」に「まった!」をかけた1冊。

よくある、単に注目を集めるためだけの「逆張り本」なのかと思いきや、エビデンスもしっかりした「ガチ」な内容でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
目標を達成するには、ひたすらポジティブに夢見るよりも、理想と現実のギャップに注目し、対策を立てたほうが効果的なのだ。困難も障害もない世界が存在するのは、ポジティブ本のなかだけなのだから。
本書では巷にはびこる安易な「ポジティブシンキング肯定論」に警鐘を鳴らし、科学的かつ実践的な「目標を達成する4つの方法」を提唱する。

なお、タイトルは久し振りに「ホッテントリメーカー」のお世話になりましたが、確かにそのくらいインパクトがありましたよ!





Start diet today / Alan Cleaver


【ポイント】

■1.ポジティブな夢が将来をダメにする
 私は20年にわたってドイツとアメリカの両方で、さまざまな年齢の人々をさまざまな状況で観察した。反論を予測し、研究手法をあれこれ変えてみた。多様な研究で同様の結果を出すことができれば、自分が取り組んでいるのは実体のある心理現象なのだと、自信がもてると思ったのだ。そしてそのとおりになった。
 自分でも最初はかなり驚いたのだが、同じ結果が繰り返し出た。過去の経験とかけ離れたポジティブな空想や願い、そして夢は、充実した人生に向けて行動するモチべーションには変換されなかった。正反対のものへと変わったのだ。


■2.過酷な現実にはポジティブな夢が必要
 つまり、ポジティブな空想にはいいところがたくさんある。ただ、状況次第なのだ。ダイエットや禁煙や就職には役に立たないかもしれないが、砂漠で生きながらえるとか、政治的弾圧の下で生き延びるとか、マリファナの売人をしたボーイフレンドに裁判官が刑を宣告するのを待つのには、たしかに役立つ。とにかく大切なのは、空想にできる以上のことを求めないことだ。その力と限界を理解しているかぎり、ポジティブな空想は束縛ではなく協力者として働いてくれる。


■3.ポジティブな空想が能力を低下させるワケ
 ここまでの話から、「夢を実現したい!」とどんなに熱意を抱いていても、ポジティブな空想はしばしば人の気をゆるませ、能力を低下させる理由が見えてくる。
「願いがかなった」というイメージは、自分自身に「やせるために運動したり食事を改善したりする必要はないよ」とささやくのだ。(中略)
なぜなら、心はすでに最終的な成功と達成の状態に先回りしているからだ。自分がつくり出した成功イメージにだまされた心は気を抜いて、達成の状態を楽しむ――たとえ現実ではまだ何も行なわれていなくても。
 こうして人は知らないうちに、実際に成功するために必要なただひとつのこと、すなわち行動を起こすことに対して、まったく準備ができていない状態になる。


■4.メンタル・コントラスティングで成績を上げる
 やる気満々の子どもたちめいめいにノートを配った。最初に、キャンディーをもらう自信がどれくらいあるか、どれくらいほしいと望んでいるかを答えてもらう。そのあと生徒の半数は、キャンディーを勝ち取った場合に起こる「1番いいこと」と「2番目にいいこと」をノートに書く。残りの生徒はメンタル・コントラスティングを行なったうえで「1番いいこと」を書くが、続けて「2番目にいいこと」を書くのではなく、キャンディーをもらうのを邪魔する行動はどんなことかを思い描く。(中略)
 2週間後、生徒たちはクイズに挑み、全員がキャンディーをもらった。
 課題は生徒全員にとって達成可能であり、それまでに成功の予想をしたことがないような新しいものだ。そして私たちの予想どおり、メンタル・コントラスティングをした生徒のほうが、「1番いいこと」と「2番目にいいこと」という成功を思い描いただけの生徒よりも、クイズでいい成績をとった。


■5.WOOPの法則
*WOOPの「W」はあなたの頭にある願い(Wish)や心配ごとだ。

*最初の「O」は結果(Outcome)だ。結果について考えよう。

*2番目の「O」は障害(Obstacle)だ。集中して考えよう。

*WOOPの「P」は計画(Plan)だ。

(詳細は本書を)


【感想】

◆冒頭の内容紹介には「巷にはびこる安易な『ポジティブシンキング肯定論』に警鐘を鳴らし」とありますが、安易もなにも、本書は基本的に「ポジティブ思考」については、ネガティブなスタンスです。

たとえば、下記目次にもあるように、第1章のタイトルは「ポジティブ思考は毒になる」。

ここでは、勉強からダイエット、リハビリ、起業の夢まで、ありとあらゆるケースにおける「ポジティブ思考がマイナスに働いた研究結果」が列挙されています。

一方で、第2章では「ポジティブ思考のメリット」と題して、「いやいや、ポジティブ思考だってプラスになることはあるんですよ」と持ち上げているのですが、その具体例というのが、上記ポイントの2番目にもあるように、極めてレアなものばかりという。

これらは、「自分ではどうにもできない過酷な現実」であり、逆に言えば、普通に自己啓発書を読んで「何かしらの行動を起こそう」とする人には無用、ということになります。


◆なんでそこまで「ポジティブ思考」がダメか、という理由については、続く第3章にてご確認を。

具体的には、上記ポイントの3番目の通りであり、「願いがかなった」イメージを持つことにより、気を抜いてしまうのが問題なわけです。

この第3章では、いくつかの実験が提示されており、いずれも「ポジティブな空想」を行った場合に、「行動を起こさない」「血圧が低下する」といった結果が出ていました。

そしてさらには、「できる限りこの状態にいたい」と望んで、「空想を引き延ばしてくれそうな情報に注意を向ける」ため、本来であれば、「難しいと気づけば、違う決心ができる」のに、それをも阻むという二重の問題に。


◆そこで登場するのが、上記ポイントの4番目にある「メンタル・コントラスティング」です。

これは、簡単に言うと「夢を見ること」と「それについての障害をイメージすること」をセットで行うことで、意外な事に「夢→障害」の順番が大事という。

ちなみに逆の順番だと「逆メンタル・コントラスティング」と呼んで比較対象の1つとしているのですが、効果がないことが証明されています。

本書の第4章では、これまたさまざまなケース(対人関係の願いごと、イケメンとのお付き合い、創造性テスト、移民問題等々)における実験結果を列挙。

いずれの場合でも、「メンタル・コントラスティング」に有意な効果があることが証明されています。

ただし、その「願い」は、実現可能である必要があり、何でも夢がかなうわけではないことには、ご注意を(当たり前ですが)。


◆さて、この「メンタル・コントラスティング」を、さらに効果的にする秘訣が「もしこういう状況なら、こう行動する」という文言を添えること。

これは「実行意図」と呼ばれるもので、「メンタル・コントラスティング」と一緒に行うことによって、「心の働きが最大になる」のだそう。

そしてそれをまとめて1つのツールとしたものが、上記ポイントの5番目の「WOOP」(願い「Wish」、結果「Outcome」、障害「Obstacle」、計画「Plan」の頭文字)です。

本書では、「運動習慣」「食生活改善」「リハビリ」「節酒」「恋愛」「勉強」等々について、実際に「WOOP」を設定して、効果を測定。

具体的には本書を確認して頂くとして、明らかに効果が出ているのが分かりました。


◆本書では、このWOOPを簡単に行うための「WOOPカード」を図で解説しており、これがなかなかに使い勝手が良さげ。

今日1日(24時間以内)にやることから、人生の目標まで、さまざまなケースに適用することが可能です。

何でも無料の「スマホアプリ」まであるようで、このアプリを使えば、4つのステップを順番に行い、自分の願いを長期にわたって追跡し、どのくらい成就したかを確認することが可能なのだそう(もちろん英語版でしたが)。

アプリを使うかは別にして、いずれにせよ、ここまでエビデンスがある以上、今まで「ポジティブシンキングで夢がかなわなかった」「目標が達成できなかった」という方は、1度お試し頂きたいと思います。

我が家でも、さっそくムスメの勉強に使ってみようかと。


これはオススメせざるを得ません!

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成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
1.ポジティブ思考は毒になる
2.ポジティブ思考のメリット
3.心は「願い」にだまされる
4.夢をリアルに追及する
5.無意識を利用する
6.WOOPのマジック
7.人生をWOOPで回す
8.ポジティブ思考を「毒」から「薬」へ


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【編集後記】

◆本日のKindle日替わりセールは、当ブログでご紹介済みのこの本です!

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「あるある」で学ぶ 忙しい人のためのExcel仕事術(できるビジネス) (できるビジネスシリーズ)

今年の4月に出たばかりで、中古もバカ高いのに「61%OFF」とは、激お買い得かと。

参考記事:【エクセル】『「あるある」で学ぶ忙しい人のためのExcel仕事術』植山周志(2015年04月14日)


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