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2015年04月10日

【ビジネス書を斬る?】『読書で賢く生きる。』中川淳一郎,漆原直行,山本一郎


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読書で賢く生きる。 (ベスト新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。

さっそく著者の1人である山本一郎さんがエントリーを書かれていますね。

「いい歳なんだから本ぐらい読もう」と考えた人のために: やまもといちろうBLOG(ブログ)

アマゾンの内容紹介から。
ビジネス書を読んでも年収は上がらない!!阿佐ヶ谷ロフトAの過激人気イベント「ビジネス書ぶった斬りナイト」の3人組が“読書を武器に”生き残る知恵を伝授!

お三方1人1人の本を当ブログでご紹介しているのに、その3人が「ビジネス書の読書」をテーマに書かれた本なんですから、読まない訳にはいきませぬ!





READ / brewbooks


【ポイント】

■1.自分にとっての最良のビジネス書(中川淳一郎)
 だから、私としては最良のビジネス書とは、ロールモデルとして崇める人の著書にあると考えている。椎名(誠)氏、東海林(さだお)氏、吉田(豪)氏のようになりたいと考える自分がいる。だったら「師匠」である彼らの人生を、著書を通じて学ぶことこそもっとも役に立つのである。まったく別分野の偉人の話を読んでもおそらくそれほどは役に立たないだろう。
 ジョブズがガレージでマッキントッシュを作った――だからどうした。お前も家にガレージを作ろうとするのか?
 ファーブルは昆虫の生態を解き明かした――お前は一日中フンコロガシの観察をしたいのか! ただの変人だろ!


■2.冊数を競い、本読みアピールをして何になる?(漆原直行)
 読んだ冊数を競い合うように披瀝したり、「いろいろな本を読んじゃっているアタクシ、スゴイでしょ。知的な読書家に見えるでしょ」てなイメージをSNSなどで醸して、セルフブランディングに繋げたりするような本との付き合い方――こうした姿勢は実に無粋ですし、本末転倒です傲岸不遜な、鼻持ちならない本読みほどはたから見て食えないものはありません。
 もっとも重視したいのは、読書を"特別な営み"に据えてしまわないこと。飲食、睡眠、排便、読書……これくらい日常的な営みとして、生活の一部に組み込んでいく姿勢が、とても大切だと考えています。


■3.本の背景・コンテクストを理解する(山本一郎)
 評判の良い1冊にまず眼を通すのは時間を有効に使う方法のひとつですが、その世界の事情を知りたいと思う場合には、必ず類書を複数読み、前後関係も含めて比較対象となる知識がない限り、絶対に物事を立体的に把握することはできないでしょう。それこそ、GPSが正確な地点を示すには、あるいは測量技法を用いて特定の場所を確認するには、複数の点から対象を見つめなければならないのと同様です。その分野の専門家である複数の著者を通じて、同じ問題を解説したときにどこがコモンセンスとして受け入れるべき点であり、どこが意見の異なる部分であるのか、価値観としてどのような違いがあると考えるべきなのかを意識しながら考察し続けないと、なかなか知の体系を自分の中に構築して、世界観を作り上げることができません。


【読むべきビジネス書(各人1冊ずつ)】

■4.『ソーシャルもうええねん』村上福之

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ソーシャルもうええねん (Nanaブックス)
中川 絶対これはいい本です。著者の村上福之さんのことを紹介すると、例えばツィッターでフォロー数が1万でフォロワー数が1万だったら超格好悪いとか、インターネットに関しては超現実的で、前半は本当にSNSの身も蓋もないことばかりが書かれていて、後半はフリーで生きていくためには、どうすればいいのか?ということが書かれています。
参考記事:【オススメ!】『ソーシャルもうええねん』村上福之(2012年10月28日)


■5.『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』橘 玲

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残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 (幻冬舎文庫)
漆原 あーでも、この『残酷な〜』はとってもあられもないことを言っているじゃないですか。人間というのは能力差があるから、ダメな奴はどんなに努力してもダメなんだということを、すごくロジカルに美しい文章で綴る作家さんなんですけれど。
 言っていることは、元も子もないことを言っているので、僕はあえてコレを推しました。橘玲さんは、なかなかおすすめの作家さんです。
参考記事:【問題作?!】『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』橘 玲(2010年10月01日)


■6.『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史

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僕は君たちに武器を配りたい
山本 瀧本哲史の『僕は君たちに武器を配りたい』はヒントになるかなと。海千山千の我々のようなクソみたいな人間とどのように対峙して、どう生き抜いていけばいいか、ということが書いてあるので、若い人が読めば参考になると思う。その一方で、負けていないポジションにいる人間がどういう挑戦を受けるのかということも分かる。(中略)
「若い世代は上の世代から何を得ていくのか?」という問題意識を持ちつつ、足を引っ張る、引っ張っられるの食物連鎖があって、いま自分がどのポジションにいるのかを考える。こういう本を読んでおくと、自分の立ち位置も含めて立体的に見えるんですよ。これはいい。
参考記事:【オススメ!】『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史(2011年09月23日)


【感想】

◆それにしても中身が濃い本でした。

第1,3,5章が、お三方の「読書論」で、第2,4,6章は、冒頭でも触れた「ビジネス書ぶった斬りナイト」のプレイバックという仕様。

私は未だ「ビジネス書ぶった斬りナイト」にはお邪魔したことがないのですが、この調子なら、ビジネス書好きなら楽しめることウケアイでしょう。

なお今回は、上記ポイントの1〜3番目が各人の読書論からの抜粋で、残りの4〜6番目が第2章「捨てるべきビジネス書、読むべきビジネス書」の中から、「読むべきビジネス書」を1冊ずつ、それも当ブログでご紹介済みのモノだけ選んだという……。

ですから、私自身が読んでいない本は割愛しており、「本当のオススメ本」とも言えるものは、これら以外にありました。

まぁ、その辺は読んでからのお楽しみ、ということでw


◆逆に「捨てるべきビジネス書」の方は、当ブログの性質上(?)当然割愛しているのですが、この第2章では書籍のみならず、一部版元さんや、書評ブロガー等にも苦言が呈せられています。

いや、私が「ビジネス書ぶった斬りナイト」に行ってたら、冷や汗ものだったかと。

それは第4章の「ビジネス書業界の呆れた舞台裏」も同様で、ここでは特に「セルフブランディング」や「Win-Win」といったキーワードごとに、ビジネス書界隈を「ぶった斬って」います。

どんな方々が斬られているか、だいたい想像がつくと思いますけど(?)、もちろんここではオフレコでw

ただ、個人的には、この第4章では「2014年のヒット作の分析」や「2015年の展望」の方が勉強になりました。

この辺りは、編集者さん含め、業界関係者は要チェックかと。


◆なにやら、「ぶった斬りナイト」のプレイバック部分ばかり取り上げてしまいましたが、お三方の「読書論」パートも、もちろん読み応えアリ!

たとえば第1章での中川さんによる「アマゾンの星分布」の話に、深く納得したりw

いや、ホントそういう傾向ってあるんですよね。

信者やアンチや版元さんや(以下自粛。

一方、第3章の漆原さんのパートは、ご自身のこの本にも通じるのですが。

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ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)

参考記事:【警鐘?】『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』漆原直行(2012年02月25日)

本書と併せて読んで頂くと、より理解が深まると思います。


◆そして、第5章の山本さんは、冒頭のエントリーにあるように、ずい分苦しんで書かれた模様。

ここを読んでビックリしたのが、山本さんは子どもの頃から「失読傾向」あることで、今でも疲れていて集中できないときに本を読むと、「文字が反対に見えたり揺れたりする」のだとか。

それでこの文章力ですから、私自身の才能のなさを恥じる次第です(マジで)。

なお、この章では山本さんの「本を集中して読むメソッド」が紹介されているのですが、これまた「フォトリーディング」も顔負けのスタイル(「まず、膝を90度に曲げた状態にして……」から始まります)なので、こちらもお見逃しなく。


ビジネス書好きなら、刺さること必至の1冊

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読書で賢く生きる。 (ベスト新書)
第1章  ネット時代こそ本を読むとトクをする。 中川淳一郎 
第2章  捨てるべきビジネス書、読むべきビジネス書 中川淳一郎/漆原直行/山本一郎
第3章  駄本を見極め、古典を読破する技術 漆原直行
第4章  ビジネス書業界の呆れた舞台裏 中川淳一郎/漆原直行/山本一郎
第5章  人生に役立てるコンテクスト読書法 山本一郎
第6章  そもそも人はなぜ本を読むのか? 中川淳一郎/漆原直行/山本一郎


【関連記事】

【警鐘?】『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』漆原直行(2012年02月25日)

【Amazonキャンペーン有】『ビジネス本作家の値打ち』水野俊哉(2010年06月18日)

【ハックルさん激白!?】『『もしドラ』はなぜ売れたのか? 』岩崎夏海(2014年12月12日)

【読書】成毛眞さんのセミナー「遠くを見すえるための非ビジネス読書術」に潜入してきました(2011年05月11日)


【編集後記】

◆山本さんオススメのビジネス書から1冊。

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パラダイムの魔力

私は内田和成先生のブログで読んで即買いしたのですが、やはり名著だと思います。

参考記事:【名著】『パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法』ジョエル・バーカー(2012年02月20日)


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