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2015年01月12日

【科学的自己啓発書?】『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』エリザベス・ダン,ロバート・ビスワス=ディーナー


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「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、リアル書店で発見した自己啓発書

装丁の感じからして、スピリチュアル系の本かと今までスルーしていたのですが、良く見たらNHKの「『幸福学』白熱教室」の内容を再構成したものとのことで、実際「ガチ」な研究の成果でした。

アマゾンの内容紹介から。
人気番組NHK「幸福学」白熱教室を完全書籍化。「幸福」は心の問題ではない。「コーヒーの買い方」といったちょっとした習慣を変えれば誰でも幸せになれる。そんなレッスンを2人の研究者が科学的に解き明かす。

今回は本書の中から、「幸せになるためのTIPS」を6つ選んでみました。

なお、新刊であるにもかかわらず、既にお買い得なKindle版が出ているのも、ポイント高いです!





Happiness! / zipckr


【幸せになるための6つのTIPS】

■1.他者と良好な関係を築く
それぞれのタイプは違いますが、上位10%の人たちに共通していたのはたった1つ、社会との結びつきが強いことでした。幸せな人たちはみな、友人や家族と良好な関係を築いています。
 実際、彼らは全員「人との結びつきが強い」と報告されていました。とはいえ、良好な人間関係さえあれば幸せになれる、というわけではありません。
 上位10%でなくても、他者や社会との結びつきが強い人はたくさんいました。「人との交わり」は、決して魔法の切符ではありません。でも他者と良好な関係を築くことは、確実に「幸せになるための必須条件」なのです。


■2.感謝を表現する
 あるグループには、週に1日、10週間、ごく普通に日記を書いてもらいました。また別のグループには、どんな小さなことでもいいので感謝の気持ちをつづる「感謝日記」をお願いしました。10週間後、両者を比較してみました。
「感謝日記」には、素晴らしい両親のことや、今日も朝を迎えられたこと、好きなロックバンドについてなど、いろんな感謝が書かれていました。
 しかし重要なのは内容ではありません。感謝を表現した人たちはみな、ただ日記をつけていたグループよりも、驚くほど幸福感が増していたのです。


■3.モノよりも「経験」を買う
 対照的に、物質は購入して後悔することが多くなっています。パソコンはすぐダメになり、携帯電話は機能が多くて不便。しかも物質は簡単に比較できます。他人のパソコンのバッテリーのほうが長時間持続するとわかったら、自分が使っている機種を選んだことを後悔するでしょう。
 一方、「経験」は比較できるものではありません。自分がバリ島で楽しんだサーフィンと、他の人のアフリカ旅行は、比べようがありませんよね。これが「つい他人と比較して、後悔してしまう」という心理を予防しているといえます。(中略)
 実際、ある調査によれぱ、人は買ったモノについて話すことよりも、お金を使った経験について話すほうを好むという結果も出ているのです。
 こうした社会的な経験こそ、物質よりもはるかに心に大きな価値を生み出す要因です。


■4.他人への投資をする
 私たち研究チームは、この大学のキャンパスである実験をしました。学生に5ドル、または20ドルの現金を渡し、今日中に使って欲しいと頼んだのです。
 グループAには「自分のために使うこと」、グループBには「人のために使うこと」と条件をつけました。(中略)
 自分のために使う「個人消費」を指示された学生は、化粧品やアクセサリー、食べ物などをたくさん買い込みました。
 これに対して、人のために使うことを指示された学生は、友人のために食べ物などを買いました。お金を寄付したり、幼い兄弟にオモチャを買ってあげた人もいました。
 さてこの日、幸福を感じたのはどちらのグループだったでしょうか? 再び集まってもらったところ、自分のために使った学生よりも、人のためにお金を使った学生のほうが、幸福度がはるかに高くなっていることがわかったのです。


■5.誰かにした親切を数える
今日1日、自分がした親切を書き留めたり、日記や手帳に印をつけましょう。
 ドアを押さえてあげるとか、コーヒーを1杯おごるとか、高速道路で車を前に入れてあげるとか、小さなことでかまいません。ささやかな無償の親切です。
 相手だけでなく、あなた自身もいい気持ちになります。おそらく、この仕組みが私たちを互いに結びつけているのです。
 そのつながりの中で、私たちは「世界がょりよくなった」と感じることができます。ぜひどこかに出かけて、1日の終わりに「今日はどんな親切をした?」と自分に尋ね、日記に印をつけたり、短い文章を書いたりしてみてください。


■6.過去の楽しい記憶を思い出す
 多くの人が、将来の幸せのために今の人生を変えようと努力しています。いい人と出会って、いい仕事を見つけて、いい収入を得て……。それが幸せにつながるだろうと考えているのです。私たちは常にこれから起きることを見ているわけですが、実はすでに幸せがたくさん詰まった過去があることを忘れがちです。
 自分の過去から楽しい記憶を引き出せば、確実に幸せな気分に浸れます。反対に、将来に起こることについては、それらが自分を幸せにしてくれるはわかりません。
 ですから、悲しいときや孤独を感じたときには、楽しかったことを思い出すといいでしょう。ボジティブな回想をすれば、前向きな気持ちになります。


【感想】

◆本書はタイトルに「5つのこと」とありますが、私が読んだ限りでは、具体的に「これ!」という形では列挙していません。

代わりに、帯に「あなたの行動を変える5つの授業」とあるように、本書では2人の博士が計5回の講義を行い、その様子が収録されていますので、そこから「5つ」という数字を持ってきたのかも。

それらが下記目次の第1章から第5章までで、続く第6章は、2人の博士にNHK側から「現代の日本社会に密接に関連したテーマ」についての質問となっています。

なお、第4章は「挫折や逆境から立ち直るためには」であり、今回のエントリーのテーマである「幸せ」とは若干異なるため、付箋を貼りつつも割愛しました。

挫折や逆境を乗り越えるためのTIPSを、具体的に1つ挙げると「困難を受け入れること」なのだそうですが、詳細は本書にて。

この部分は、本書内で解説を担当されている、前野隆司・慶應大学大学院教授の「メタ認知」というお話で腑に落ちました。


◆このように本書では、2人の博士のお話だけでなく、前野教授やNHKサイドでの解説があるので、より分かりやすく、そしてより「日本にアジャストした」内容になっています。

驚いたのが、本書内で「既婚未婚に関わらず、40代では皆、幸福度が下がっていくものの、50代に向かうにつれ、回復するのは、高齢者の方が『受容度』が高いから」という結論になっているものが、日本では異なっていること。

こちらの第1-3-5図(61ページ)をご覧頂きたいのですが。

(2)日本人の幸福度に関する分析 - 内閣府(PDF)

上記PDF内でも指摘されているように、「我が国は特異」なのだそうで、幸福度が下がったまま、高齢になっても回復しません。

本書では別の内閣府の資料を基に解説しているのですが、どうも日本の高齢者が「人との結びつきが薄い」ことがその原因のようです。

たとえば、「別居している子どもと週1回以上会う」という項目が、アメリカやスウェーデンでは約8割なのに、日本では5割ほど。

私自身、月1程度で母に会う事はあるものの、週1と言われると、さすがにちょっと……(反省)。


◆また、割愛した中で、当ブログの読者さんにも関係しそうな「幸せになるためのTIPS」を1つ挙げると、「スマホの使用をやめること」

というのも、内容にかかわらず、目の前のことに集中しているほうが、物思いにふけるよりも幸福を感じるから。

実際、ダン博士は「注意力散漫が幸福感に与える影響」を調べたところ、「メールのチェックを1日3回だけにして、1週間過ごした被験者は、1日に何度もチェックする人よりも、ストレスが少ない」という結果が出たのだそう。

メールにかかわらず、家族と一緒にいるときにTwitterやLINEを使うことにより「目の前のこと」に集中していないのは、問題なようです。


◆もう1つ割愛したお話の中で、「恋愛」に関わる研究を、ご紹介しておきたいのですが、タイトルは「物事がうまくいったとき、あなたはそばにいてくれますか?」というもの。

普通、いい恋人とは「物事がうまくいかないときこそ、そばにいる人」だと思いがちですが、実はそうではないようです。

むしろ「物事がうまくいったとき」に、その嬉しい出来事を恋人と共有し、成功を喜び合いたいと思ったときに、相手が関心を示さなかったカップルこそ、別れていたのだそう。

もちろん、うまくいかないときに支えるのは当然なのですが、「うまくいったときこそ、一緒に喜んで、最高に嬉しがらせよ」というのが、ディーナー博士からのアドバイスでした。

……奥さんが「今日こんなことがあってね〜♪」と嬉々として話しているのに、テレビを観ていて上の空の旦那さんは要注意かも!?


◆本書は、基本的にNHKの放送内容を収録したものなので、ビジネス書によくある「太字でポイントを列挙」してはいません。

今回は特に、上記で6つ選びましたが、実際にはもっと数多くの「幸せになるためのTIPS」を収録。

それらがすべて、研究や実験の結果によるもので、その点では「科学的」と言えると思います。

ちょっと残念だったのが、脚注なり参考文献が巻末になかったことで、個々の研究について深掘りしたい方には物足りない可能性が。

まぁ、私のように「実践できるものだけしていけばいい」というスタンスなら、何の問題もないのですがw


今年こそ幸せになりたい方なら、必読です!

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「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室
第1章 幸福を見つける鍵
第2章 お金はあなたを幸せにしますか?
第3章 あなたの仕事と幸せの関係
第4章 挫折や逆境から立ち直るためには
第5章 幸せを導く人間関係とは
第6章 幸福になるための12の質問


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【幸せ】『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』本田直之(2012年06月15日)

意外と知られていない『自信がつく方法』のテクニック10選(2012年06月08日)

【ネバリズム】『たった1つの言葉が人生を大きく変える』マーディ・グロース(2012年04月04日)


【編集後記】

◆本書の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」にあった1冊。

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リュボミアスキー教授の 人生を「幸せ」に変える10の科学的な方法

前作となる『幸せがずっと続く12の行動習慣 』が評判だったので、こちらも併せてどうぞ。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室作者: NHK「幸福学」白熱教室制作班出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版発売日: 2014/12/20メディア: 単行本 幸福に関する学術研究の最先端を、端的かつわかりやすい形でまとめた一冊。 分量が少ない割には
幸せに手がとどくのは結構難しい:「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室【本読みの記録】at 2015年05月13日 22:56