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2014年12月22日

【プロインタビュアーの技術】『聞き出す力』吉田 豪


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聞き出す力


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、"プロインタビュアー"吉田 豪さんの「話を聞きだす技術」をまとめた1冊。

阿川佐和子さんの『聞く力』の便乗本と誤解されそうですが、『漫画ゴラク』での連載を新書にまとめたものです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「週刊漫画ゴラク」で絶賛連載中の人気コラムがついに単行本化!
日本随一のプロインタビュアーによる、相手からいかに面白い話を引き出すテクニックや、これまで接したアイドルから政治家まで、各界の著名人との痛快エピソード満載!!
巻末には『聞く力』著者の阿川佐和子さんとの特別対談・人間関係がうまくゆく魔法の潤滑剤"「聞く力」をいまこそ養おう" を収録!

ぶっちゃけ、テクニカルなこともさることながら、エピソードが面白すぎて爆笑しましたw





@JodieEmery and a @vice interviewer at the @cchqstore in #Vancouver #marijuana#weed#cannabis#pot#activism#cdnpoli / Cannabis Culture


【ポイント】

■1.取材相手に嘘をつかない
映画の宣伝の取材であっても、その作品がイマイチだった場合は「面白かったです!」とは絶対に言わない。「あのシーンが良かったです」とかピンポイントで褒めるべきであり、そうすることで「いつも仕事で映画を観るとしんどい思いをすることが多いんですけど、これは本当に面白かったです!」と、たまに言ったとき、そこにリアリティが出るし相手も喜んでくれるわけなのである。


■2.「もっといい話があるでしょ?」と無言で追い込む
 そんなボヤキをボクが某ラジオの近況部分で話していたら、その日のゲストだった品川庄司の品川 祐がこんなことを言い始めたのだ。
「さとう珠緒さんも言ってましたけど、俺やっぱり、あれ吉田豪が悪いと思う。『そんなこと聞いてない」って吉田豪は言うけど、俺もこの人のインタビューを受けてみて、意外とラジオだとこうやってリアクションいいでしょ? でも、インタビューのとき、そんなにリアクションよくなくて淡々としてるんですよ。だから、『あれ? このままじゃつまんなくなっちゃうのかな?』と思って。何か言わなきゃ!って思って、聞かれてなくても自分からしゃべらせるんですよ。だから、さとう珠緒さんと二人で訴えようかと……」


■3.興味を持てない相手には愚痴を聞く
 ボクは「人の話を聞くにはどうすればいいですか?」と質問されると「相手に本気で興味を持つこと」と答えるようにしているんだが、先日、「じゃあ、興味を持てない相手と話すときは?」と聞かれて、こう答えた。
「そんなときは愚痴を聞けば大丈夫!」と。
 ネガティブなことは言わない主義のベッキーみたいな相手でもない限り、人はみんな誰かに愚痴を聞いてほしいもの。たとえその問題は解決しなくても、モヤモヤしていることを口に出すことで少しはスッキリできるはずなのだ。


■4.自分語りをしない
 音楽誌なんかを読んでいてイラッとくるのが、インタビューされる側のミュージシャンよりも、裏方のはずのインタビュアーのほうがたっぷりと自分語りしがちなことである。
 アルバムレビューでも肝心の中身については全然触れず、なぜか自分語りをしていることが多いのは一体何故なのか? 読者が知りたいのはお前のプチ情報とかじゃなくて、そのアルバムやミュージシャンの情報なんだよ!と、言いたくなること多数なので、ボクのインタビューでは極力自分を出さないように心掛けている。


■5.取材相手の下調べをする
 吉田豪さんは取材相手のことを、とことん調べてくる、インタビューのプロなんですよ!
 テレビなりイべントなりに出た際、こんな感じで紹介される機会も多くなってきたが、これは「吉田豪さんは手書きじゃなくてパソコンを使って原稿を書いている、ライターのプロなんですよ!」と言われるぐらい当たり前の話でしかないので、実は非常に居心地の悪い思いをしている。ろくに下調べもせず、アイドルとか相手にタメ口で馴れ馴れしく取材するタイプのライターも確かに多いけど、そっち側を基準にしてどうするって話で。


■6.隠し持った情報を活用する
 インタビューは情報戦なので、闘いは取材を始める前から始まっているし、隠し持った情報をどのタイミングで出すかが非常に重要。要は、ヒクソン・グレイシーが一瞬の隙を突いてタックルを決めるように、相手を驚かせるような情報を出した瞬間、その隙に一気に距離を詰めて自分に有利な流れに持ち込むのが正しい戦術なのである。
 たとえばボクが江頭2:50を取材したときは、関係者からかなりの情報を集めた上で取材に臨んだ。そして、江頭さんがああ見えてスタイルもいいし私服のセンスもいいしで実はモテるらしいという疑惑に踏み込むべく、適度なタイミングで「そういえば江頭さん、とあるグラビアアイドルの女の子と付き合ってたことがあるって聞いたんですけど……」というインサイダー情報をブチ込んでみた。
(詳細は本書を)


【感想】

◆冒頭で「エピソードが面白すぎて爆笑しました」と書いた割には、上記ではほとんど触れることができず、申し訳ございませんでした。

とはいえ、TIPS関係なくエピソードの面白い部分だけ抜き出しちゃうと、基本的に「ビジネス書のレビュー」が中心である当ブログの趣旨に反するかな、と。

ただ、豪さんもあとがきで、「もちろん、これを読んだ人の『人の話を聞くための実用書じゃなくて、インタビュー面白エピソード集じゃん!』という意見も、黒社会テイストで潰していきます! 嘘です! 『聞く力』も面白エピソード集だったから問題ないはずです!」と言われているくらい、ネタだらけw

もっとも版元さんは、連載にあたって大ベストセラーとなった『聞く力』を意識していたようで、それは巻末に阿川佐和子さんとの対談が収録されていることからもわかります。

……と言いつつ、この対談は、雑誌『an・an』に掲載されたモノなんですがw


◆そこで、本書収録の「面白エピソード」のサワリだけいくつかご紹介しておきます。

●対談集で岩下志麻に「その臆病はどこからきてるのか」を問われて、「やはり短小包●からでしょうね」と答えた三國連太郎は、本当に「包●」なのか?

●インタビュー自体NGな明石家さんまの『さんまのまんま』に出演した際、過去のグッズや著作を持参したその結果は?

●国会議員を引退する前日の森元首相にインタビューして、2時間話を聞いた件

●番組で共演した藤井隆が、それをきっかけに音楽活動を再開させた件

●「ラスボス」樹木希林へのインタビューで、いかに苦戦したか?

●玉置浩二と青田典子のベッドイン・インタビューの裏話

●初めは「要注意人物」と思われていた太田光代社長(太田光夫人)に「吉田豪さんと結婚し直したい」とまで言われるようになった件

●長渕剛インタビューには冨永愛が撮影アドバイザーとして同席し、フォトスタジオもトレーニングジムに作り変えられて、志保美悦子が長渕剛より大きな犬を連れて……(詳細略)


……やはり、当ブログで扱うには「危険物」過ぎた悪寒ww

なお、長渕インタビューの話については、こちらのエントリーで詳しいです。

吉田豪 anan 長渕剛インタビューの衝撃を語る


◆それにしても、こうした方々は、何故豪さんに本音を語るのか?

実は豪さんは『情熱大陸』にご出演されていて、そこで結構明かされているんですよね。



これは番組のCMと番組冒頭の道重さゆみさんのインタビュー部分なのですが、これを観るだけでも、インタビューの相手が「心を開いている」のが分かります。

動画の最後に、本書でも触れられていないテクが、チラッと出てますので、よかったらご覧頂きたく(全部で4分弱です)。


◆一方、上記で触れた阿川さんとの対談は、さすがマガジンハウステイスト(?)だけあって、比較的マイルド(多分)。

ただし、阿川さんが、雑誌での対談相手である「Oキャスター」の「アタマの話」に触れた際のエピソードだけは、豪さんテイストでした(本書ではその詳細についても明らかにされていますw)。

……阿川さん、豪さんとは違った意味でチャレンジャーすぐるw

また、TIPSネタで興味深かったのが、阿川さんの「その人の本性を探る定番の質問」で、男性ゲストの際にはよく「ケンカの時にどのポジションにいるか?」を聞くのだそう。

それに対して豪さんは、「女性観を聞く」とのことで、さすが『an・an』読者を意識されてるな、と。


◆本書は雑誌連載だったこともあってか、各回ごとにちゃんと「オチ」なり「ネタ」なりの笑いの要素が詰め込まれており、しっかり笑わされてしまいました。

日頃私は、事務所やお風呂で読書するので問題ないのですが、本書は外出した際に行き帰りの電車の中で読んだため、吹き出すのをこらえるのが大変だったというw

唯一残念だったのが、私がプロレスの知識がまったくないため、そっち方面のネタについて行き損ねたこと。

やってることは芸能人以上にハチャメチャなんで、ウケることはウケたんですが、人となりを知っていたら、もっと面白かっただろうな、と。


豪さん、相変わらずいい仕事しています!

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聞き出す力
第1章 「聞き出す力」の基本テクニック―相手を乗せるための技術
第2章 「聞き出す力」の心構え―インタビューに臨むときのスタンスを固めよ
第3章 危機を回避する「聞き出す力」―不利な状況から面白い話を引き出すには
第4章 「聞き出す力」応用自在―さまざまなケースに学ぶインタビュー術
特別対談 人間関係がうまくゆく魔法の潤滑剤「聞く力」をいまこそ養おう―吉田豪VS阿川佐和子 互いの聞く力に迫る!


【関連記事】

【聞き方】『「聞く力」が面白いほどつく本』櫻井 弘(2014年05月21日)

【56の心得】『会話は「聞く」からはじめなさい』上阪 徹(2012年08月29日)

【オーラル・ヒストリー】『「質問力」の教科書』御厨 貴(2011年03月31日)

【質問力】「脳を丸裸にする質問力」増田剛己(2010年05月12日)

【これは使える!】「“聞き上手”の法則―人間関係を良くする15のコツ」澤村直樹(2010年01月23日)

「絶妙な「聞き方」の技術」宇都出雅巳(2006年11月07日)


【編集後記】

◆そんな豪さんの最新インタビュー集。

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サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ)

テーマ的に当ブログではご紹介しにくい本なのですが、よろしかったら。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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