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2014年11月29日

【知的生産】『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』印南敦史


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プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「ライフハッカー[日本版]」で週末を除く毎日書評を書かれている、印南敦史さんの文章術本。

「プロ書評家」ではないものの、似たようなブログを運営している私としては、スルーするわけには参りませぬ!

アマゾンの内容紹介から。
誰にでもできて、稼げる文章力がすぐ身につく!ビジネスパーソンのためのNo.1ブログメディアライフハッカー「日本版」の書評家が「まとめ」「書き」「伝える」テクニックを大公開!

で、でもウチから印南さんの方に乗り換えないで下さいね(懇願)!





LifeHacker.com Uses My Photo! / TheBusyBrain


【ポイント】

■1.「まえがき」と「目次」で判断する
 本好きには、似たようなことをしている方が多いと思いますが、新しい本を手にしたとき、最初にすることが私には3つあります。それは、
(1)奥付(末尾の、著作者、発行者、発行年月日などが記載されたところ)のチェック
(2)「まえがき」「はじめに(序文)」を読む
(3)目次を見る
ということです。

◆まずは、「読書の技術」について。

(1)の「奥付」のところは、印南さんは「ライフハッカー」に掲載すべきかを考える際の参考のため、と言われています(なるべく3ヵ月以内に発行された書籍を対象にしているため)が、私たちにとっても有益なことが1つあります。

それは「第何刷」か、ということ。

出たばかりの本の場合は別として、そうでない本の場合、基本的にこれが大きい方が、重版の回数の目安となるので、売れてる本かどうかの目安にはなります。

もちろん、わざと細かく重版かける版元さんもいますので、100%鵜呑みにするのもリスキーですが、チェックしておいて損はないでしょう。


■2.必要な情報が「向こうから飛ぴ込んでくる」ように意識を集中させる
 たとえば仕事で、3Dプリンターについて調べたいとします。しかし、時間は限られている。そんなときは,「3Dプリンター」という単語に意識を集中させながら、本のぺージをラフにめくっていく。それだけでも「3Dプリンター」は、どんどん視界に飛び込んでくるはずです。そうしたら、そのたびに付箋をつけたりぺージの角を折ったりして、あとから見てわかるようにしておく。たったそれだけのことで、膨大な文字量のなかから3Dプリンターに関する記述を短時間で抽出できるわけです。

◆印南さんは、このスキルを「効果的な斜め読み」とご自分で言われていますが、速読法で言うところの「スキャニング」に近いような。

「スキャニング」に関しては、Wikipediaで見つからなかったので、この本の記事(のポイントの4番目)をご覧下さい。

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世界一たのしい「超!速読」勉強法

参考記事:【速読】『世界一たのしい「超!速読」勉強法: 「読書」「仕事」「資格試験」…人生に奇跡を起こすトレーニング!』斉藤英治(2013年02月02日)

印南さんは「飛び込んでくる」という表現を使われているので、こちらから意識して探していく「スキャニング」とは若干違うかもしれませんが。


■3.興味を持ってもらうように、タイトルに「フック」を用意する
 なにより重要なのは「刺さる」なにか、つまり「フック」を用意することです。
 そこでまず考えられるのは、「タイトル」です。ウェブメディアの場合、最初の数十文字で惹きつけないかぎり読者は逃げていってしまうという話を聞いたことがありますが、そこまで極端でなかったとしても、「逃がさない」タイトルをつけることはとても重要です。

◆本書では具体例として、この記事を例に挙げられています。

孫正義が実践してきた「4つの仕事術」に学ぶ | ライフハッカー[日本版]

書評した本は『孫正義 「リスク」を「成功」に変える28のルール』で、そこから「4つを厳選した」というフックし、さらに第2のフックがある、という仕様(詳細は本書を)。

この「●つの〜術」というのは、まぁお約束と言えばお約束で、私自身は下記記事で、「『アリストテレスの説得の3要素』のロゴスではないか」、と考えたわけですがw

参考記事:そろそろ「ホッテントリメーカー」について、ひとこと言っておくか(2011年06月17日)

また、当ブログの場合は、基本的に書名をそのまま記事タイトルに含ませるようにしていて、それはSEO対策だったりするのですが、現在のようにGoogleから低評価されていると、説得力が皆無ですね(涙目)。


■4.リズムを意識する
 文章を書くとき、私が常に意識しているのが「リズム」です。
 リズム感のある文章を書きたいという気持ちが強いからで、本音をいえばリズム感のない文章には魅力を感じません。
 なぜそこまでリズムに執着するかといえば、リズム惑のある文章は、すらすらと読みやすいから。そしてもっと極端で勝手な解釈をさせていただくなら、適切なことばを選ぶことによって、テンとマルをうまく使いこなすことによって、少しばかり韻を意識することによって、文章は「音楽的」になるということ。
 違う表現を用いるなら、音楽でいう"グルーヴ感"が生まれるということ。異論もあるとは思いますが、私はそう考えています。

◆「リズム」を意識する、というTIPSは類書でも見たことがありますが、ここまでこだわってらっしゃる方も珍しいような。

特に「韻を意識する」というのは、黒人音楽に造詣の深い印南さんらしい気がします。

また、「テンとマル」の部分についても、本書ではかなりのページを割いているので、こちらも是非ご確認頂きたく。

ちなみに、印南さんがご紹介されているこの本は、既に絶版なので、安くてコンディションの良い本はお早めに(アサマシw)。

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日本語とテンの打ち方


■5.書いてみてから修正する
これは経験的にいえるのですが、無駄な時間をかければかけるほど、その文章からは鮮度が失われていき、表現もお粗末になるものです。だからこそ前項で触れたとおり、まずは勢いで書いてみる。とりあえず、書き上げることだけに神経を集中させる。できあがったら(可能であれば少しだけ時間を置いてから)読んでみて、おかしな部分をひとつずつ修正していく。それがいちばん効率的です。
 最初の段階でパーフェクトを目指すのではなく、書いてみてから修正するほうかいいのです。そしてそれは、無駄な時間を短縮することにもつながっていきます。

◆そもそも印南さんは、1本の記事を仕上げるのに、単純な執筆時間で言うと「30分〜1時間くらい」。

それに読書時間を加えて「2〜3時間」なのだそう。

確かに、執筆時間が「MAX1時間」というのは、私と比較するとかなり短いです。

本書では、実際の作業工程が明かされており、そこを見る限り「執筆は一気に」「推敲はじっくり」というスタイルのよう。

これは、書評のみならず、一般的なビジネスパーソンにとっても、参考になるやり方だと思います。


【感想】

◆いつもの当ブログと構成が違って、戸惑った方もいらっしゃるかもしれませんが、そこはかとなく印南さんの記事の書き方を真似てみましたw

そもそも、印南さんは「引用は全体の3割程度にとどめるべき」と考えてらっしゃるので、その基準で言うなら、ウチの場合は引用が多過ぎ。

ただ、これは個人的な見解なんですが、通常の当ブログのように「引用」と「意見(感想)」は、ハッキリ分けて書いてある方が、読者さんにとっても、使い勝手がいい可能性もあります。

たとえば「本の内容だけ知りたい」という方の場合、ウチのブログであれば、「ポイント」部分だけ読めばOK(今日の記事は違いますが)。

逆に、「買うべきか買わないべきか意見が知りたい」方なら、先に「感想」の方からチェックすれば、プッシュ具合が分かるワケです。

……これで「ポイント」部分しか読んでない人がほとんどだったら、私の存在意義が(ry


◆それはさておき、本書は私にとって、「美味しすぎる」コンテンツでした。

何せ「ネットで書評(私のは書評ではなくて「レビュー」だと思ってますが)」されている方が、その手の内を明かして下さっているのですから、ほぼ全編「使える」内容。

今までも、ブロガーが「読書術」や「文章術」や「ブログ運営術(マーケティング的な)」を語った本はありましたが、本書はそれらを一気にまとめたようなものです。

ただし、一般的なビジネスパーソンにとっても、「読書術」や「文章術」は使えますし、書評をやっていなくても、ブログをされている方なら「ブログ運営術」は実践可能かと。

もちろん、私以上に「味わい尽くす」経沢香保子さん風)ことができる方は少ないと思いますがw


◆ちなみに、本書内で、たびたび音楽的な表現が登場しているのは、やはり印南さんのバックボーンゆえでしょう。

Amazon.co.jp: 印南 敦史: 本

かつて、このジャンルにハマっていた私は、この本のシリーズを、今でも大事に取っておいてあります(アマゾンには画像アリ)。

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80’S R&Bガイド ジューシー (POP 90’s)

とは言え、そのジャンルの音楽を知らないと、本書を読んで意味が分からないのではなくて、あくまで比喩的な表現としてですのでご安心を。

ただ、巻末の米田智彦さん(「ライフハッカー[日本版]」編集長)との対談で、印南さんが「書評は感覚的にDJと同じ」と言われているのを読んで、妙に納得してしまったワタクシ。

やってることは、昔と変わらなかったんだなーと(遠い目)。


個人的な思い入れも含めてますが、オススメ!

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プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術
1.プロ書評家が教える読書術・時間術
2.読み手の視点に立つ
3.大切なのは「伝える」こと
4.「読ませる」文章の書き方
SPECIAL対談 「ライティングで大切なことって何ですか?」
 ライフハッカー[日本版]編集長・米田智彦×印南敦史


【関連記事】

そろそろ「ホッテントリメーカー」について、ひとこと言っておくか(2011年06月17日)

【書評ゲーム?】『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』谷口忠大(2013年04月22日)

【文章術】『150字からはじめる「うまい」と言われる文章の書き方』高橋フミアキ(2011年11月10日)

【文章術】『書くことが思いつかない人のための文章教室』近藤勝重:マインドマップ的読書感想文(2011年10月02日)

【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎(2011年09月09日)


【編集後記】

◆実は本書の中には、印南さんが「ここ数年で文句なしに入り込めた本」が10冊列挙されています。

それがまた、ことごとく当ブログでレビューしてないもので泣けたww

その中から、1冊だけご紹介。

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スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?

スタバ本は、過去何冊か読んだのでスルーしてたんですが、ちょっと気になりますね。


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