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2014年11月20日

【本質主義】『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』グレッグ・マキューン


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エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

Kindle版アリ

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本の記事」でも人気だった1冊。

著者のグレッグ・マキューンは、ハーバード・ビジネス・レビューおよびリンクトイン・インフルエンサーの人気ブロガーであり、 スタンフォード大学でDesigning Life, Essentiallyクラスを開講している方です。

アマゾンの内容紹介から。
エッセンシャル思考は、単なるタイムマネジメントやライフハックの技術ではない。本当に重要なことを見極め、それを確実に実行するための、システマティックな方法論だ。エッセンシャル思考が目指す生き方は、「より少なく、しかしより良く」。時代はすでにその方向へ動きだそうとしている。99%の無駄を捨て1%に集中する方法!

ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』著者)、クリス・ギレボー(『1万円起業』著者)、アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者)という面子が絶賛するだけあって、思わず付箋を貼りまくりました!







Ideas / h.koppdelaney


【ポイント】

■1.トレードオフで考える
 トレードオフを考えたくない気持ちはよくわかる。そもそもトレードオフが起こるのは、どちらも捨てがたいような状況だ。高い給料か、長い休暇か。急ぎのメールに返信するか、大事な会議に出席するか。より速くか、それともより良くか。どちらも望むことなのだから、どちらにも「イエス」と言いたくなる。しかし、それは不可能だ。
 非エッセンシャル思考の人は、トレードオフが必要な状況で「どうすれば両方できるか?」と考える。だがエッセンシャル思考の人は、「どの問題を引き受けるか?」と考える。これはタフな問いであると同時に、より大きな自由につながる問いだ。


■2.十分に睡眠をとる
 マルコム・グラッドウェルが提唱した「1万時間の法則」をご存知だろうか。心理学者のK・アンダース・エリクソンがおこなった調査で、一流のバイオリニストは普通の生徒よりも練習時間が格段に多いという事実が明らかになった。(中略)
 あまり注目されていないが、この調査ではもうひとつの重要な事実が明らかになっている。一流のバイオリニストはよく練習するだけでなく、よく眠るという事実だ。
 エリクソンの調査によると、一流のバイオリニストは、1日平均8.6時間の睡眠をとっている。アメリカの平均より1時間長い数字だ。さらに、彼らは週に平均で2.8時問の昼寝をしている。これはアメリカの平均より2時間長い。エリクソンらはこの事実から、睡眠が一流パフォーマーたちの並外れた集中力を支えているのだと結論した。ただ長時間練習しているのではない。たっぷり休養することで、1時間あたりの練習効果を最大限に高めているのだ。


■3.90点ルールを取り入れる
最重要基準をひとつ用意し、その基準に従って選択肢を100点満点で評価する。ただし90点未満の点数は、すべて0点と同じ。不合格だ。こうすれば、60〜70点くらいの中途半端な選択肢に悩まされずにすむ。
 テストで65点をとったときの気分を思い出してほしい。そんなぱっとしない気分のものを、わざわざ選ぶ必要があるだろうか?
 90点ルールは、トレードオフを強く意識させるやり方だ。厳しい基準を設ければ、必然的に、大多数の選択肢を容赦なく却下することになる。完壁な選択肢が現れることを信じて、かなり良い選択肢を切り捨てるのだ。


■4.本質目標を決める

 右べージの図の左上にあるのは、ビジョンやミッションステートメント。「世界を変えたい」というような、魅力的だが具体性に乏しいものだ。
 左下は、価値観。「イノベーション」「リーダーシップ」「チームワーク」など、企業が重視している価値の表明だ。これらはありふれたものであることが多く、あまりインスピレーションをかき立てない。
 右下は、四半期などの短期的な目標。「昨年比5パーセントの増益」といったようなものだ。非常に具体的だが、魅力的であるとは言いがたい。
 そして右上に位置するのが、本質目標である。これは具体的で、かつ魅力的。大きな意味があり、しかも測定可能だ。
 本質目標を正しく決めれば、その後の無数の決断が不要になる。


■5.まだ持っていないと考える
 心理学者のトム・スタッフォードは、授かり効果に対する強力な対抗策を紹介している。「どれくらいの価値があるか?」と考えるかわりに、「まだこれを持っていないとしたら、手に入れるのにいくら払うか?」と考えるのだ。
 仕事やその他の活動でも、同じテクニックが使える。たとえば思わぬチャンスが舞い込んできたとき、「このチャンスを逃したらどう感じるか?」と考えるかわりに、「もしもまだこのチャンスが手に入っていなかったら、手に入れるためにどれだけのコストを払うか?」と考えるのだ。あるいは長期化している仕事のプロジェクトに対して、「もしもまだこのプロジェクトに参加していなかったら、参加するためにどんな犠牲を払うか?」と考えるのだ。


■6.バッファを用意しておく
 非エッセンシャル思考の人は、条件に恵まれたケースを前提として予定を立てようとする。希望的観測に従って生きているのだ。「5分もあれば着くだろう」「この作業なら金曜までに行けるんじゃないかな」「本気を出せば半年で完成するさ」
 だが、ものごとはけっして思うように進まない。思わぬ卜ラブルに見舞われたり、予定より作業範囲が広かったり、そもそも見積もりが甘すぎたり。あわてて対応するが、スケジュールはどんどん遅れていく。結局、徹夜したあげくに完成度の低いものを提出するか、あるいは締切に遅れるか、それとも誰かに後始末を押しつけるか。いずれにしても、思ったような結果は出せない。
 だが、エッセンシャル思考の人は違う。思わぬことは起こるものだと知っているから、あらかじめ何かが起こることを想定して予定を立てる。万が一に備えてバッファをとり、予定外のことがあってもぺースを取り戻せるようにしておくのだ。


【感想】

◆ちょっと引用部分が多くなってしまいましたが、なかなか省略できなかったので、お許しを。

なるほど、「Apple、Google、Facebook、Twitterのアドバイザーを務める」というだけあって、著者のグレッグ・マキューンの主張は、シンプルながらも強力です。

とにかく、本書の全体を通して言われているのが、「少数の本質的なことだけを選びとる」ということ。

もっとも、それが簡単にはできないことを理解しているが故に、さまざまなTIPSが紹介されている仕様です。


「エッセンシャル思考の生き方は、ノーを言い続ける生活」ということで、本書の第11章では上手な断り方を列挙。

いいな、と思ったのが「『予定を確認して折り返します』と言う」TIPSで、実際には即答できるものでも「YES」と言わないようにします。

そして、いったん時間をおいて考えると、断ることが容易になる、とのこと。

また、上司からの仕事に対して「『どの仕事を後まわしにしますか?』と言う」TIPSは、以前何かの本で読んだ記憶がありましたが、やみくもに仕事を振ってくる上司には効果がありそうです。

要は、上司にトレードオフを意識させるということかと。


◆一方、ちょっと意外だったのが、上記ポイントの2番目の「睡眠」のお話で、本書では6時間はおろか、7〜8時間睡眠を推奨しています。

著者のマキューン曰く「世の中には短時間睡眠で活動できる人もいるが、そういう人はたいてい疲労に慣れきっているだけだ」とのこと。

私自身、昼休みと夕方に10分ほどの仮眠を取っているものの、夜は4時間半〜5時間睡眠がデフォルトなので、ちと反省いたしました。

確かに、いわゆる「作業」であれば、短時間睡眠でも何とかなりますが、「仕事」、特に考え抜いたり、クリエイティブな発想を必要とする仕事であれば、キチンと睡眠を取らないと難しそうな。

エッセンシャル思考の場合、そもそも「本当に重要な仕事」に絞り込んでいる以上、睡眠が必要なのは、ある意味当然なのかもしれません。


◆また、割愛した中で、サンクコスト(埋没費用)バイアスに関する面白いたとえ話がありました。

ミシガン州へのスキーツアーのチケットを100ドルで購入した後、ウィスコンシン州へのスキーツアーのチケットを50ドルで購入したとします。

スキー場としては、ウィスコンシン州のほうがずっと魅力的なのですが、この2つのツアーの日程が重なっていた場合、どちらを選びますか?

……という問いに対して、約半数の人が、高いお金を払ったミシガンのツアーを選んだのだとか。

ただし、ここで大事なのは、あくまで「ウィスコンシンの方が魅力的」という事実。

それでも、サンクコストに引っ張られて、「高いミシガン」を選んでしまうワケですね。


◆本書は、そのテーマがモロに当ブログ向きなせいか(?)、翻訳作品であるにもかかわらず、非常に読みやすいものでした。

とはいえ、巻末には「原注」もしっかり収録。

ちなみに、アメリカのアマゾンで原書をチェックしてみたところ、結構な高評価な模様。

Essentialism: The Disciplined Pursuit of Less: Greg McKeown: 9780804137386: Amazon.com: Books

結局、言ってる事はもっともであり、それをいかに読者に納得させ、かつ方法論として提示するか、という点において、本書は優れているのではないか、と。


これはオススメせざるを得ません!

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エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
PART1 エッセンシャル思考とは何か
第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考
第2章 選択──選ぶ力を取り戻す
第3章 ノイズ──大多数のものは無価値である
第4章 トレードオフ──何かを選ぶことは、何かを捨てること
PART2 見極める技術
第5章 孤独──考えるためのスペースをつくる
第6章 洞察──情報の本質をつかみとる
第7章 遊び──内なる子供の声を聴く
第8章 睡眠──1時間の眠りが数時間分の成果を生む
第9章 選抜── もっとも厳しい基準で決める
PART3 捨てる技術
第10章 目標──最終形を明確にする
第11章 拒否──断固として上手に断る
第12章 キャンセル──過去の損失を切り捨てる
第13章 編集──余剰を削り、本質を取り出す
第14章 線引き──境界を決めると自由になれる
PART4 しくみ化の技術
第15章 バッファ──最悪の事態を想定する
第16章 削減──仕事を減らし、成果を増やす
第17章 前進──小さな一歩を積み重ねる
第18章 習慣──本質的な行動を無意識化する
第19章 集中──「今、何が重要か」を考える
第20章 未来──エッセンシャル思考を生きる
最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ


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【必読】『1万円起業』緊急レポート(2013年09月11日)

【"かなめ"になる】『「新しい働き方」ができる人の時代』セス・ゴーディン(著)神田昌典(監訳)(2011年07月01日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

えんぴつの約束――一流コンサルタントだったぼくが、世界に200の学校を建てたわけ
えんぴつの約束――一流コンサルタントだったぼくが、世界に200の学校を建てたわけ

ヴァージンのリチャード・ブランソン推薦の1冊です。


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