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2014年09月23日

【サッカー】『シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる』ディエゴ・シメオネ


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シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる


【本の概要】

◆今日は祝日ということで、久しぶりにサッカーネタをお送りしようかと。

前々回前回の「未読本」記事でご紹介した、現アトレティコ・マドリー監督のディエゴ・シメオネ氏の処女作です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
シメオネはなぜ、1/4の資金力でレアル・マドリーとバルセロナを倒し、スペイン王者になれたのか?
欧州サッカー界で今最も注目される名将が、自らアトレティコ躍進の秘密を語る!

サッカー関係者のみならず、一般のビジネスパーソンにも参考になるであろう1冊でした!

161011追記:Kindle化されました!






SIMEONE E IL FUTURO ALL’INTER? NON ILLUDIAMOCI !!! / calciostreaming


【ポイント】

■1.短所を直すより、長所を伸ばす
 私は常に選手の長所を伸ばし、短所が出ないようにしたいと思っている。監督の中には欠点を矯正することに練習時間を割く者がいる。だが、私はそんなやり方は好きではない。なぜなら、それでは逆に欠点を目立たせるだけだからだ。
 選手は自分が得意なことをやればいい。そうすれば自分を実際よりもより良い選手だと思い込むことができるだろう。こういう考え方が選手を伸ばし、その結果、グループの利益にもなる。選手たちが強靭で、意識を高く持ち、チームの中での自分の重要性を把握している時、チームは必ず上昇する。


■2.コントロールできないものに時間を費やさない
 審判のミスは損害だとは思う。彼らは人間だからミスをする。ただ、シーズンを通して見ればミスを被るのは全チームだ。だからこそ、あなたがコントロールできないものに時間を費やすのは無駄である。唯一の結果は、より有効な目的に費やされるはずのエネルギーをあなたが失うだけ。
 努力すればするほど、準備とプランが整っていればいるほど、幸運はあなたにより微笑む。


■3.全員でテーブルを囲む
 他のチームでは、好みや国籍や仲良し同士に分かれた4、5人掛けのテーブルを使っていて、食事の時間を他のメンバーと共有することはない。
 私は問題があれば自然な方法で立ち向かいたいし、問題解決を避けていればその後どうなるかはすでに述べたので、あなたにもわかっていると思う。合宿では全員が同じテーブルを囲み、全員が関係し合う。全員がお互いの顔を見る。これが私のメッセージだ。
 だからこそ、チームメイトの視線を避けることなく同じテーブルで食事をさせている我われはチームのメンバーに一緒にいてほしいし、食事が団結力を強めるのならさらにいい。


■4.目標達成後は、常に次の目標を意識する
 監督になってから、選手時代にはなかった興味深いことが起きている。選手時代は、自分のチームがゴールを決めると爆発的な喜びがあった。精一杯祝ったものだ。しかし似たような状況でも、あるいはタイトル獲得を決定づける得点が入った時でさえ、監督としての私の体は機能停止してしまうのだ。感じるのは大きな虚無である。(中略)
選手もファンも歓喜とともにタイトル獲得を祝っていたが、私は感動することなく歩き、祝祭を見ていた。
 その瞬間の私の気持ちは、次に訪れるのがいつかわからない素晴らしい瞬間を逃しているというもの。成功を祝う代わりに考えていたのは、同じ偉業を次に達成することの困難さや、新たな成功に向けて再びしなくてはならない大変な努力のことだった。


■5.目の前の一試合を大切にする
 このクラブでは全員が「一試合、一試合」を口癖としている。私がやって来た時に伝えたこの原則から外れる者は誰もいない。遠くの目標は持ちたくない。目標は常に次の試合なのだ。
 来月の試合や別のコンペティションの決勝のことを考えるべきではない。少しずつ進まなくてはならない。最後にタイトルと成功を手に入れる、これが唯一の方法だ。
 今、この「一試合、一試合」の精神を誰もが守っている。会長から用具係まで、フロントや選手も含めて。グループ全体が忠実に追求し、誰もが同じことを考えている。これをやり遂げただけで成功が手に入るとは限らないが、少なくとも成功への足がかりはできたと言える。


■6.努力を惜しまない
 私の決まり文句の一つに、努力には交渉の余地がない、というのがある。私だってチームが毎週スぺクタクルな試合ができればいいな、とは思う。しかし、それは不可能。ただ、全精力を尽くすことは要求できる。
 もちろん、良いプレーをするだけでなく、そこに心と力を注ぎ込めば、でき上がったものは比べ物にならないほど素晴らしくなる。
 私の元アシスタントコーチ、ネルソン・ビーバスの言葉でいつも頭の中に入れていることがある。
「辞書にだって努力(esfuerzo)は成功(exito)の前にある」


【感想】

◆比較的サッカーに詳しくない方でも、スペインリーグ(リーガ)では、バルセロナとレアル・マドリードの2チームだけはご存知の方が多いのではないでしょうか?

そして、リーガでは各クラブが個別にメディアの放映権を販売しているため、この人気の2チームに収入が集中しています。

ちなみに、シメオネ氏のアトレティコはこの2チームの1/4ほど。

バルサとレアルでリーガが破滅する!?「2強18弱」の歪んだ経済バランス。(1/3) [スペインサッカー、美学と不条理] - Number Web - ナンバー

いい選手を獲得するには、それなりの資金が必要な訳ですから、そんなアトレティコが、シメオネ氏が監督就任後「ヨーロッパリーグ制覇」「スペイン国王杯獲得」「スペインリーグ優勝」「欧州チャンピオンズリーグ準優勝」という輝かしい成績を収められたのは、氏の手腕によるところが大きいです。

……実際、大枚はたいて選手を獲得しても、「アレ」なチームもあるみたいですから。

マンU 豪華な補強の裏で守備陣が崩壊、英メディアも非難の嵐 - ライブドアニュース


◆ちなみに上記では、比較的「サッカー以外の分野」(ビジネスシーンを含む)にも通じるところを選んでみました。

確かに「コントロールできないものに時間を費やさない」「努力を惜しまない」あたりは、自己啓発書に書かれていてもおかしくないくらいです。

上記ポイントの3番目は、ちと毛色が違いますが、それでもプロジェクトなりチームを組んで仕事をする際には参考になりそうな。

個々の戦力で劣る分、「チームとしての完成度を高める」方策は、サッカーだけのお話ではないと思います。


◆もちろん、個々の戦力を高める工夫もシメオネ氏はしており、上記ポイントの1番目や6番目がそれに該当するかと。

また、割愛した中で興味深かったのが、「大事な試合の前夜に選手たちと会話する」というものなのですが、これが何と夜の11時過ぎに行われるというw

何でも2時間に渡って、シメオネ氏とテクニカルスタッフが選手たちの部屋を尋ねて行き、一人一人に「何を望んでいるかを伝える」のだそうですが、最後の方の選手は、1時過ぎちゃうじゃないですかww

ただし、これがどうも、あえて「眠る直前に脳に刻み込む」ためにやっているようで、シメオネ氏は「心理学は勉強したことはない」というものの、なかなか理に適っているな、と。


◆なお、本書は本国スペインでは2013年4月に発売され、大きな反響を呼んだものの、実はその後に上記で触れた「スペイン国王杯獲得」「スペインリーグ優勝」「欧州チャンピオンズリーグ準優勝」は、いずれも出版後の成果でした。

そこでなんと、これらのお話を含めた章をシメオネ氏に書き下ろしてもらい、日本語版のみに収録したとのこと(「第6章 成功の日々(2013年5月~2014年5月)」)。

コアなサッカーファンなら、この第6章だけでも読む価値があると思いますし、私自身もチャンピオンズリーグの決勝で、「何で即、交代しなくてはならなかった負傷中のジエゴ・コスタを先発させたのか」という疑問を持っていたのが、本書を読んで納得。

レアルVSアトレティコのチャンピオンズリーグ決勝戦は延長戦の末に、4対1でレアル・マドリードが史上最多10度目の優勝を果たす - GIGAZINE

実際、後半ロスタイムまでは、アトレティコが1点リードしていたのですから、シメオネ氏の作戦通りだったわけですし。

……もっとも、優勝できなかったということは、神様がシメオネ氏に「まだやり残したことがある」と言っているのかもしれませんが。


ヘタな自己啓発書より、よほど濃い1冊!

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シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる
第1章 逆境の乗り越え方
第2章 リーダーの責任と役割
第3章 「勝ち」を続ける
第4章 人生とサッカーと
第5章 私という人間
第6章 成功の日々(2013年5月~2014年5月)


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【意外な良書!?】『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』長谷部 誠(2011年04月06日)

「オシムジャパンよ!」フィリップ・トルシエ(2007年05月17日)


【編集後記】

◆一方こちらは、もうすぐ発売される本。

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アギーレ 言葉の魔術師

日本代表監督アギーレ氏に関する作品は、多分初めてカモ?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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