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2014年08月30日

【イノベーション?】『レッド・オーシャンで儲ける7つの法則』高橋正明


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レッド・オーシャンで儲ける7つの法則 (マイナビ新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目されていた1冊。

挑発的な帯は、リアル書店でも、かなり目立ちまくっていましたw

アマゾンの内容紹介から。
レッド・オーシャンとは、競争相手がひしめき、価格競争に陥った、まるで「血の海に染まった」ような成熟市場を意味します。いまやレッド・オーシャンしかないと言っていい閉塞感が漂う日本において、人々が求めているのは、まさにこのレッド・オーシャンからブルー・オーシャンを探す戦略でしょう。ブルー・オーシャンとは、競争相手のいない、「青々と広がる」ような未開拓の市場を意味します。本書では、レッド・オーシャンを脱出して儲ける戦略を「7つの法則」にまとめて解説します。絶望的な市場でもこれで稼げます!

タイトルには「レッド・オーシャンで儲ける」とありますが、実際には「レッド・オーシャンから脱出する」と読み替えた方がしっくりくる内容です!





Walkmans / Marcin Wichary


【ポイント】

■1.QBハウスが失速した理由
外食産業にたとえると、QBハウスは「それまではコース料理を出す高級店だけの外食市場に新規参入した、ファストフード店」のようなものです。外食と理髪の違いは、外食では価格が下がれば消費者の利用回数が増えることが期待できるのに対して、理髪では期待できないことです(髪が伸びる速さは一定のため)。
 つまり、外食では価格低下が業界全体での数量増をもたらすのに対して、理髪では数量増効果がほとんど見込めないため、金額的縮小が避けられないのです。QBハウスは、価格破壊によって業界全体を縮小させてきたので、成長の余地が早々と失われてしまったわけです。


■2.個々の要素を「遺伝子」レベルまで分解する
 ウォークマンの類似商品が存在しなかった大きな理由は、録音機能が必須のものという「常識」が存在したことです。録音機能を搭載すると、当時の技術水準ではサイズで妥協するか(据え置き型)、音質で妥協するか(モノラル)しかなかったのです。このことは、当時の電機メーカーに、録音機能という要素あるいは「遺伝子」について、オン/オフするという発想がなかったことを示唆しています。(中略)
 要するに、既存の製品・サービスに慣れてしまうと、それらをある程度の「固まり」として認識してしまうようになり、それらを構成する個々の要素を見分けられなくなってしまうということです。ウォークマンでも、録音機能がポータブル再生機に「埋め込まれて取り出せない」もののように錯覚してしまっていたわけです。このような錯覚がイノべーションの大敵です。


■3.取り換えるだけでもイノベーション
 最近の面白い例としては、群馬県前橋市にある「相模屋食料」の「ザクとうふ」が挙げられます。
『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツのザクの頭部を豆腐で作ったものですが、これは樹脂を豆腐に置き換えたものと言えます。豆腐は液体の豆乳ににがりを入れて固形化するものですが、これは溶けた樹脂を熱成形する工程とほぼ同じです。「ガンプラ」を樹脂ではなく、豆腐(豆乳)で作ったものがザクとうふということです。


■4.「足す/引く」で生まれるイノベーション
「足す/引く」によって既存の製品・サービスに新たな息を吹き込んで新たな顧客を開拓する手法には、イノべーションの定石と言ってもよいほど豊富な事例があります。
 その一例が、喫茶店やレストラン等の「禁煙化」です。禁煙を足し、喫煙を引くことで、客層と店のカラーが大きく変わります。20世紀には禁煙化した喫茶店が客離れのために閉店に追い込まれることもありましたが、喫煙率が低下した近年では、少数の喫煙者のために多数の非喫煙者を失うことのデメリットに気付いた店や企業が増えています。一般論ですが、非喫煙者は喫煙者に比べて所得水準が高いため、客単価の上昇が見込めることも利点です。


■5.一つ一つの試行を「小さく」する
時間と資金の制約と、「多数の試行錯誤」の両立こそ、イノべーション成功の鍵となります。その答えは簡単で、一つ一つの試行を「小さく」することです。資産運用にたとえるなら、
(1)不測の事態に備えて安全資産を確保する
(2)残った資産を高リスク投資に回す
(3)高リスク投資は一点集中ではなく、多数に分散する
というものです。
 仮にイノべーション促進費用として年間1億円を用意できるのであれば、1プロジェクトに1億円を投入するよりも1000万円ずつを10プロジェクト、さらには100万円ずつを100プロジェクトに投入するほうが、大ヒットのきっかけを引っ掛けられる確率が高まります(ただし、プロジェクトを遂行するための最低限の額は必要です)。


■6.試行錯誤を繰り返しながら、徐々に明確にしていく
一般的に、企業戦略においては「目標の明確化」や「リソースの集中的投入」が是とされますが、それはアポロ計画やマンハッタン計画のように目標を明確に定められる場合の話です。明確な目標は、ライバルも認識する可能性が高いため、リソース勝負のレッド・オーシャンになりがちです。
 一方、どこにあるか茫漠としているブルー・オーシャンを探す場合は、試行錯誤を繰り返しながら、目標と戦略を徐々に明確にしていくことが有効です。


【感想】

◆この手のイノベーションのお話に良く登場するのが、上記ポイントの2番目で言及されているソニーのウォークマン。

おそらく、今40代以下の方だと、当時の状況はピンと来ないと思うのですが、私は当時高校生であり(年バレww)、モロに発売時の記憶があります。

第一印象というか、その機能的特徴を知った時に、まず思ったのが「こんなの誰が買うの?」というもの。

なぜなら、録音機能がないテープレコーダーなんて、欠陥商品にしか思えなかったから。

これは私だけの印象ではないであろうことが、そもそも類似商品が生まれなかったことからも分かります。

ただし、実際に「モノラルでない高音質の音楽を出先で聴くことができる」という「体験」を一度でも味わうと、その魅力が理解されるワケで、ご承知の通りウォークマンは大ヒットするのですが。


◆一方、上記ポイントの5番目を読んで、当ブログでもご紹介したこの本を思い浮かべられた方も多いかと。

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小さく賭けろ! 世界を変えた人と組織の成功の秘密

参考記事:【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)

実際本書でも、この本は巻末の参考文献にて取り上げられております。

同様に「小さく儲けろ」的なビジネス展開での成功例として挙げられていたのが、ユニクロのファーストリテイリング。

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一勝九敗 (新潮文庫)

野菜販売から撤退してから、もう10年以上経っているんでしたっけ……。

ユニクロ野菜の失敗: 極東ブログ

そういう「挑戦」の積み重ねによって、今のユニクロがあるという。


◆ただし、やみくもに試行錯誤するのも考えものです。

たとえばiPS細胞で知られる山中伸弥教授とそのグループは、候補遺伝子を24まで絞り込んだものの、そこからさらに絞り込むには、膨大な回数の実験を行う必要があったのだそう。

しかし、それぞれの遺伝子の組み合せを試す「足し算」ではなく、一つ一つの遺伝子を除外する「引き算」なら、実験回数を大幅に減らせることに気づき、iPS細胞の作製に成功しました。

本書曰く「『理論による絞り込み→試行錯誤」をサイクルで回すことが、イノベーションに用いるべき手法」とのことで、なるほど確かにそうだな、と。


◆冒頭で申しあげたように、本書はレッド・オーシャンで「儲ける」本ではなく、そこから「脱出する」本でした。

また、「このように努力せよ」「アプローチせよ」という方法論は述べていますが、具体的な「ネタ」はあくまで読む側が見つけ出すものですので、ご留意を。

とはいえ、『ブルー・オーシャン戦略』が世に出てから10年弱。

この間の世の中の動きにつれて、失速する企業も出てきており、2014年時点での「ブルー・オーシャン戦略」を考える上では、本書を読む価値は十分あると思います。


今だからこそ、読んでおきたい1冊

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レッド・オーシャンで儲ける7つの法則 (マイナビ新書)
第1章 レッド・オーシャンしかない日本市場
第2章 レッド・オーシャンとイノベーション
第3章 【法則1】身近なところから考える
第4章 【法則2】既存の製品・サービスを徹底的に分解する
第5章 【法則3】既にあるコンセプトを別の場所で実現する
第6章 【法則4】足したら引く、引いたら足す
第7章 【法則5】失敗を日常にする
第8章 【法則6】走りながら考えよ
第9章 【法則7】焦るな! スピードよりも持続力
第10章 7つの法則を実践するには


【関連記事】

【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)

【名著】『パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法』ジョエル・バーカー(2012年02月20日)

【イノベーション】『10年後躍進する会社 潰れる会社』鈴木貴博(2014年02月13日)

【アイデア】『ものづくりのイノベーション「枯れた技術の水平思考」とは何か?』横井軍平(2012年10月09日)

【枯れた技術の水平思考】「任天堂 “驚き”を生む方程式」井上 理(2009年05月15日)


【編集後記】

◆こちらは昨日発売された「戦略本」。

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古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室---生き抜くための勝利の全法則

なかなか面白そうですが、果たして!?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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