スポンサーリンク

       

2014年05月15日

【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ


インサイドボックス 究極の創造的思考法
インサイドボックス 究極の創造的思考法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった1冊。

アイデア本は、個人的に好きなジャンルなのですが、その中でも本書は「目からウロコ」の連続でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
画期的な発想や発明、枠の外(アウトサイド・ボックス)で考えて初めてできる、というのがこれまでのビジネス本や思考法について書かれた本の定説でした。
ところが、コロンビア大学のビジネススクールのジェイコブ・ゴールデンバーグとP&Gなどのメーカーでイノベーションを指導してきたドリュー・ボイドが、実際に歴史上のイノベーションと呼ばれるものを400例以上研究したところ、それはまったく逆だった、ということがわかります。
おおきなブレークスルーは実は「制約の中」(インサイド・ボックス)で考え抜くことで生まれたことを豊富な実例をもとに、立証していきます。

なお、著者の1人であるゴールデンバーグ教授は『ウォールストリート・ジャーナル』紙で世界を変える10人にえらばれたという気鋭の学者さんとのこと。

思わず付箋も貼りまくりです!






【ポイント】

■1.DVDプレーヤーの前面からディスプレーを取り除くには?


Philips DVP2880 / dno1967b

 いま考えれば、当たり前の解決策に思えるかもしれない。しかし、当時は違った。思い込みの影響により、「テレビ画面は映画やテレビ番組を映し出すためのもの」と、誰もが決めてかかっていたからだ。ほかの機器の操作画面としてテレビ画面を活用しようとは、なかなか思いつかなかった。しかし、これでコツをつかんだフィリップスのエンジニアたちは、プレーヤーの前面から取り除いて、リモコンで操作したり、テレビ画面に表示させたりできる要素をさらにいくつも見つけられた。


■2.保険加入申込書の記載モレやミスをなくすには?


apply while we're here / analytik

 長年用いられてきた保険加入申込書の形式を絶対視する思い込みを打ち破ると、アイデアが次々と浮かんできた。たとえば、いくつかの記入事項は、あらかじめ印刷しておけばいいと思いついた。そうすれば時間の節約になるし、なにより誤記入の心配もなくなる。また、メンバーは、それぞれの記入事項を最も正確に記せるのは誰かを考えるべきだと気づいた。さらに考えるとすべての項目を一度に記入する必要もないと思えてきた。このように分割のテクニックを実践し、要素の時間的組み替えをおこなった結果、申込書のそれぞれの箇所を、最適な人物が最適な時期に記入できるようにすれば、記載ミスを減らせるという結論に達した。


■3.ファッション写真家が重宝するカメラ機能とは?


Photographers / schani

 フアッション写真家たちが重宝しているカメラの機能の1つも、掛け算のテクニックを活用したものだ。ファッション写真の撮影現場では、中断なしにモデルを連写したい。フィルム交換のために、使用済みのフィルムを巻き戻す30秒ほどの時間も惜しいくらいだ。そこで、ファッション写真家が用いるカメラには、1度に2コマずつフイルムを送る機能がある。この機能を用いると、フィルムの1コマおきに写真を撮影していき、最後までいくと、今度は逆方向に、1つおきに残っている未使用のコマに撮影していくことになる。これなら、フィルムをすべて使い終わったときに巻き戻さずにすぐ交換できるので、時間の節約になる。


■4.オンラインゲームの「一石二鳥」とは?


google image search on tribes / epredator

 ローが開発したESPゲームは、2人のプレーヤーがぺアを組んでおこなう。2人のそれぞれのコンピュータに、同じ画像が映し出される。表示される画像は無作為に選ばれる。画面上に画像があらわれたら、それを端的に言いあらわすキーワードをおのおのが入力する。(中略)
2人の意見が一致すれば、その回答はデータべースに記録される。そして、同じキーワードで一致したペアの数が一定数以上に達すると、当該画像は、そのキーワードをつけられてインターネット上に投稿される。こうして、その画像が検索で見つかりやすくなる。


■5.「ナイキ+」でナイキが獲得したものとは?

Nike+ SportWatch GPS 【フットセンサー付属】【Nike+とGPS機能を統合したカンタン操作のスポーツウォッチ】並行輸入品 ホワイト/シルバー

 ナイキ+は「モニター」と違い、軽量で小型なうえに、操作も簡単。事前に走行予定距離をiPodに登録しておくと、走っている間、スピード、走行距離、残り距離を音声で教えてくれる。走り終わって「ストップ」を押すと、データがiPodに保存される。そしてその後、iPodを同期させると、ナイキ+のウェブサイトにデータが自動的にアップロードされる仕組みになっている。こうして、ランニングの履歴が蓄積されていく。ナイキにも恩恵がある。ランナーのデータがアップロードされるたびに、同社は新たな市場調査データを獲得できるのだ。


■6.視力によって見える画像が違う絵


Optical Illusion / purpleslog

 たいていの人は、まずアルバート・アインシュタインの顔に気づく。しかし、この画像には、もう1人の有名人の顔が隠れている。(中略)
 これも関数の実例だ。この場合、2つの変数はなんだろう? 言うまでもなく、1つの変数は画像だ。では、もう1つの変数は? そう、見る人の視力だ。十分な視力の持ち主や、眼鏡で視カを矯正している人は、アインシュタインが見える。けれど、眼鏡をはずしたり、本を遠くに離したり、度の合わない眼鏡をかけたりすると、モンローが見えてくる。


【感想】

◆いかがだったでしょうか?

本書ではこうした「枠の中(=インサイドボックス)で考える」ことによって、解決策がみつかる、と主張しています。

具体的なテクニックは次の5つ。
●引き算
●分割
●掛け算
●一石二鳥
●関数
最初の3つを見て、「あれ?足し算は?」と思われるのも当然かと。

しかし本書曰く「足し算」は本書の5つのテクニックには含まれていない、とのこと。

なぜなら「単に要素をつけ加えるだけでは、すべての総和以上の効果を生み出せない」から。

なるほど、言われてみたら、そうかもしれません。


◆さて、いくつかの引用文の中で触れているように。上記ポイントは、それぞれ、このテクニックの中から順番に抜き出しています。

引用する数の関係で唯一「2つ」選んだのが、「一石二鳥」で、上記ポイントの4,5番目がそれに該当。

実際、この「一石二鳥」テクニックは割愛した中にも、面白いものが目白押しでした。

一番ツボだったのは、ソウルのホテルのフロントで「またお越し頂きありがとうございます」と言われたニューヨークの名門ホテルのCEOが、自分のホテルでも同じサービスを提供しようとしたお話。

(フロントで書類を記入してからなら、履歴検索で分かって当然ですけど、どうもその前の段階で分かっていたようです)

専門家に相談したところ「顔認識ソフトウエアを搭載したカメラを設置したら?」とのことでしたが、お値段250万ドル以上ということで断念。

しかしあきらめきれないそのCEOは、同じホテルに宿泊した際、どうやって過去に宿泊経験のある客を見わけているのか、ぎこちなくフロントで尋ねてみます。

そこで明らかになった、驚愕の事実とは!?(ネタバレ自重)w


◆また、興味深かったのが、ボイド氏たちが、企業でこの発想法を参加者たちに実際にやらせるシーン。

何回かその模様が描写されているのですが、どの会社の参加者も、最初は疑心暗鬼どころか、自社の製品を否定させてなるものか、という結構反抗的な態度なワケです。

ところが実際に、本書の内容に従ったワークショップ形式で考えてみると、あれほど「完璧」と思われた製品にも改良点が出てくるもの。

例えば大手医療機器メーカーでは、麻酔機器から予備バッテリーを取り除こうとして、ある社員から「そんな製品を売り出すのは、法律違反です」と言われたものの、他の社員が意外な解決方法を発見します。

それをきっかけに、絶対に必要だと思われていたモニターまで除去(詳細は本書にて)。

実際、この時の発想に順じた麻酔システムは、ヨーロッパの多くの医療機関で使われているのだそう。


◆なお、本書はこうした事例の紹介だけにとどまらず、各テクニックごとに「テクニックの進め方」として、ステップが解説されています。

さらには留意点として「正しくテクニックを使うために注意すべきこと」が箇条書きに。

そして各章の最後では「まとめ」として、章の内容が図解されているというのも有り難いところ。

今までアイデア本は何冊も読んできましたが、取り組みやすさや、汎用性から考えると、この本はベストの中の1冊だと思います。


これはオススメせざるを得ません!

インサイドボックス 究極の創造的思考法
インサイドボックス 究極の創造的思考法
序章 創造性は誰もが習得できる技能だ
第1章 イノベーションは制約の中にこそ潜んでいる
第2章 引き算のテクニック
第3章 分割のテクニック
第4章 掛け算のテクニック
第5章 一石二鳥のテクニック
第6章 関数のテクニック
第7章 矛盾を見いだせ
第8章 人類の思考パターンを活用して変革を起こせ


【関連記事】

【ラテラル?】『ずるさで勝る水平思考トレーニング』木村尚義(2014年03月16日)

【アイデア】『ものづくりのイノベーション「枯れた技術の水平思考」とは何か?』横井軍平(2012年10月09日)

【7つのコツ】『未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II』ティナ・シーリグ(2012年05月31日)

【スゴ本】『あなたを天才にするスマートノート』岡田斗司夫(2011年02月27日)

【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)


【編集後記】

◆デザイン好き、アップル好きの方なら見逃せない1冊。

アップルのデザイン戦略 カリスマなき後も「愛される理由」
アップルのデザイン戦略 カリスマなき後も「愛される理由」

リアル書店でチラ見したんですが、カラー満載ですし、これはファンならたまらないんじゃないか、と。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「アイデア・発想・創造」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。