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2014年03月24日

【オススメ!】『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』アカッシュ・カリア


TED 世界を魅了するプレゼンの極意  How to Deliver a Great TED Talk : Presentation Secret of the World's Best Speakers
TED 世界を魅了するプレゼンの極意 How to Deliver a Great TED Talk : Presentation Secret of the World's Best Speakers


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、数千人を指導してきたパブリックスピーキングコーチであるアカッシュ・カリア氏のプレゼンテーション本

特に本書は、実際にTEDで人気のあったプレゼンを徹底分析して、そのエッセンスを抽出している点が大きな特長と言えます。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
プレゼンコーチの専門家として知られる著者が名プレゼンを徹底分析し、世界で通用するテクニックを解き明かした本書。
ネットを通じた配信で人気上位にランクインした200ものTEDトークを、「内容構成」「伝え方」など6つの観点から一行ずつ徹底分析し、優れたスピーチの共通性とスピーチの極意を明らかにする。

しかも本書は、あの名著の原則に基づいていたのだとは!





TED-talks-Somerville-2012-0860 / tedxsomerville


【ポイント】

■1.効果的な導入部を作る5つの手法
 TEDトークで行なわれた200以上のプレゼンテーションを研究した結果、冒頭から聴衆の気持ちをつかむには5つの手法があるのがわかった。
1 ストーリーで始める
2 質問によって知識の隙間を作る
3 引用する
4 興味深い話や衝撃的な事実で始める
5 コールバック(プレゼンテーションをしているイベントの前やイベントの間に起った出来事を振り返るテクニック)をする
(詳細は本書を)


■2.損失や痛みがあることを強調する
聞き手が先を知りたくなるように、大きな約束をした後で、聞き手が現在失っているものを説明しよう。たとえば、次のように述べてはどうだろうか。
 これから15分間で、未開拓の市場を開拓して収入を500パーセント増やす方法を説明します。この市場を無視すれば、年間4億ドルの売上げをみすみす逃すことになります。


■3.聞き手の記憶に残すための10のアンカー
1 ストーリー(逸話)
2 頭字語(アクロニム)
3 参加体験型学習(アクティビティ)
4 例え、直喩、隠喩
5 統計値
6 学術研究
7 事例研究
8 実演
9 お客様の声
10 引用

(詳細は本書を)


■4.聞き手に関連付ける
 あなたが平均的給与を稼ぐ平均的人間だとしよう。そして、週末に連れ合いと映画を観に行ったとする。列に並んでいると、ビル・ゲイツと妻のメリンダがチケット代を払っているのを見かけた。観るのはあなたと同じ映画だ。違いは所得に対するチケット代の割合である。あなたと同じ割合でビル・ゲイツが払うとなるヒ、チケット代は1900万ドルになる。
 この数字が効果的なのは、あなた自身に関連付けているからである。記事はあなたを比較の対象として書かれている。ビル・ゲイツの資産400億ドルは巨額なので、何かと関連付けて示すのは難しい。そこで、読者の世界に合わせた話に変換した。それにより、数字が興味深い、刺激的なものになったのだ。


■5.詳細を語る
 具体性のあるプレゼンテーションをするには、まず、細部を伝えるのがコツだ。聞き手が情景をはっきりと想像できるような言葉を使おう。詳細な描写は記憶の定着を助ける。曖昧な概念は簡単に忘れられてしまうが、細部を伴う具体的なアイデアは心に残るのだ。プレゼンテーションやスピーチでは、具体的な表現を使おう。「数年前に……」と言うのではなく「3年前に……」「2010年に……」と言うべきだ。


■6.感覚情報を伝える
 聞き手がストーリーを脳内で映像化できるようにするには、たくさんの感覚情報を伝える必要がある。視覚(Visual)、聴覚(Auditory)、身体感覚(Kinesthetic)、臭覚(Smell)の4つの感覚(VAKS)を伝えよう。(中略)
 場面を語るときは、VAKSを必ず伝えるようにしよう。そうすれば、聞き手はストーリーを脳内で映像化できる。この例が示すように、4つの感覚情報すべてが必要なわけではない。しかし、聴覚、身体感覚、臭覚については十分に伝えるべきだろう。


■7.修辞疑問を活用する
 たとえば、集中力に関するスピーチをするときは、次のように問いかける。「想像してみてください。やるべきことに100パーセント集中することができたら、あなたの人生はどう変わりますか? どれほど多くのことを達成できますか? どのような目標に到達することができるでしょうか?」。(中略)
 単に「やるべきことに100パーセント集中することができたら、一生のうちにもっと多くを達成できます」と述べるよりも、修辞疑問のほうが大きな刺激を与えられる。ただ意見を述べても右の耳から左の耳へと通り抜けていってしまうが、修辞疑問によって聞き手に自分のことを考えさせると、感情的な反応が生まれるのだ。


【感想】

◆冒頭で「あの名著」ともったいぶったのは、実はこちらの作品でした。

アイデアのちから
アイデアのちから

参考記事:【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)

……5年以上前の本なのに、中古価格が値崩れしてないのがスゴイですねw

さて、この本では、ハース兄弟が「記憶に残るメッセージを作るための6つの原則」を紹介しており、本書ではそれを「説得力のある力強いメッセージを作るための原則」に転用。

実際、下記目次の大見出し(各部ごとの)は、そのままハース兄弟の6つの原則と同じになっています。

当ブログとしても、記事の見出しに「オススメ」と付けたように、かなりこの本はプッシュしておりますので、未読の方はこの機会にぜひ(中古より安いKindle版も出てますしw)。


◆一方本書の方も、個人的にはかなり「ツボ」でした。

というのも、とにかくテクニカルな記述が多いこと。

割愛した部分からで恐縮なのですが、例えばChapter2にある「パワーフレーズ」を作るためのテクニックとして、「対比」「交差対句法」「押韻」「頭韻法」といった技法が紹介されていました。

このうち知らなかったのが「交差対句法」で、これは「関連する2つの節の構造を反転させる修辞技法」のこと。

有名なところでは、ジョン・F・ケネディの「国があなたのために何ができるかを問うのではなく、あなたが国のために何ができるかを問うのです」などが該当するのですが、確かにこれは記憶に残ります。

また連続する単語の始まりの音を揃える「頭韻法」が、あのマーティン・ルーサー・キングの「私には夢がある」のスピーチの中に使われていたとは気が付きませんでした(詳細は本書を)


◆これまた割愛したところからなのですが、「聞き手をじらす」という手法も大事なようです。

たとえば「生産性を伸ばす3つの方法」についてプレゼンする場合、普通の話者ならば「その方法は3つあります。まず〜、次に〜、最後に〜」と結論部分を述べ、それから個々の方法について解説していくことが多いはず。

もちろんこれでも間違いではないのですが、聞き手の興味を引くことは難しいかと。

代わりに本書で推奨されているのが、まず、「すべての解決策を一度に見せない」こと(だから視覚資料では箇条書きを避けるか、動画を使って1つひとつを話しながら見せる)。

次に、「情報を伝える前に聞き手をじらす」こと(本書に登場する例では、「得られるメリット」を先に告げてじらしていました)。

最後に、「ストーリーを語り始め、聞き手がそこから答えを見つけ出せるようにしている」……って、これはなかなかハードル高いですわw


◆なお、本書内で「引用&紹介」されているスピーチのほぼすべてにURL(Bitlyで短縮してあります)が付されており、YouTube等で動画を観ることが可能。

1つ2つしかなければ観ても良かったのですが、あまりに多くて逆に視聴するのをあきらめましたw

この辺は、できれば、動画の英語名でのタイトル等も明記するか、巻末に一覧を付けて欲しかったところ。

もしくは、対象動画を1つのページに全部集めて、そのページのURLだけ本書内に載せても良かったのではないでしょうか?
140331追記

版元さんで、掲載動画のリンク一覧をまとめて頂きました!

SBクリエイティブ:『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』掲載動画のリンク一覧

ありがとうございました!
……とわがままを言ってはみたものの、たとえそれを差し引いても本書のコンテンツが秀逸であることには変わりはなく。

初心者から中級以上の方まで、実践すれば効果の望めるテクニックが詰まっていると思います。


これはオススメせざるを得ません!

TED 世界を魅了するプレゼンの極意  How to Deliver a Great TED Talk : Presentation Secret of the World's Best Speakers
TED 世界を魅了するプレゼンの極意 How to Deliver a Great TED Talk : Presentation Secret of the World's Best Speakers
序 TEDトークで成功するための原則

第1部 シンプルであること
Chapter1 TEDトークで成功するための法則
Chapter2 パワーフレーズを繰り返す
Chapter3 プレゼンテーションのABC‐C
Chapter4 聞き手の心をつかむ導入部
Chapter5 展開部を作り上げる
Chapter6 説得力のある結論部

第2部 意外性
Chapter7 統計値を用いて聞き手の関心をつかむ
Chapter8 聞き手に新しいものを提供する
Chapter9 あっと驚かせる瞬間を作りだす

第3部 具体性
Chapter10 詳細を語る
Chapter11 登場人物を印象的に語る
Chapter12 ストーリーをメンタルムービーに変換する
Chapter13 例え、直喩、隠喩を使う

第4部 信頼性
Chapter14 紹介時に信頼を築く
Chapter15 メッセージに無意識の信頼を加える

第5部 感情
Chapter16 聞き手と感情の絆を結ぶ
Chapter17 説得力のある視覚資料を活用する
Chapter18 聞き手の興味をかき立てる
Chapter19 ユーモアを交える
Chapter20 修辞疑問を活用する

第6部 ストーリー
Chapter21 サブウェイが売上げを2割伸ばした手法
Chapter22 すぐれたストーリーを作る5つのC
Chapter23 ストーリーをダイナミックに語るテクニック
Chapter24 TEDトークに備える8つの方法
Chapter25 TEDトークで最高のプレゼンテーションをするには


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【スゴ本】『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』カーマイン・ガロ(2010年07月11日)


【編集後記】

◆プレゼン本と言えば、こちらも。

パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術
パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術

結構評判が良さそうなので、出遅れましたがチェックしなくては……。


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