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2013年09月24日

【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン


やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~
やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、既に土井英司さんのメルマガで取り上げられていた自己啓発本

タイトルからは分かりにくいのですが、「目標を達成する」ための具体的な方策が数多く列挙されており、土井さんが「これはひさびさに『買い』の一冊です」というのもうなずけました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「やるべきことをわかっていても、行動できないのはなぜか?」「自分のモチベーションを上げるには、どうすればいいか?」という問題に明快な答えを出し、「行動」を起こすためのありとあらゆる「戦略」を提示する。(中略)
読者がこれまで自分という人間に対して抱いてきた「常識」の多くが、次々とひっくり返り、痛快に驚かされること請け合いの一冊だ。

毎度のことですが、付箋も貼りまくりましたw




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【ポイント】

■1.自制心は鍛えることができる
 前述したように、自制心は「生まれつきのものであり、努力しても高められない」と誤解されています。しかし、自制心は筋肉と同じように鍛えられます(逆に、鍛えなければ弱まります)。最新の研究では、日常的な鍛錬(「エクササイズをする」「家計簿をつける」「食事の内容を記録する」など)によって、自制心が総合的に強化されることがわかっています。2週間、毎日エクササイズをした被験者が、健康面での向上だけでなく、「流しに食器を溜めない」「衝動的な買いものをしない」などの他の面での自制心の向上を示したのです。


■2.具体的で難易度の高い目標を設定する
 現実には、「べストを尽くせ」と言われて、「よし、限界ぎりぎりまで全力で仕事に取り組むぞ」と思う人はまずいません。(中略)
「べストを尽くせ」よりはるかに有効なのが、「具体的で難易度が高い目標」の設定です。組織心理学者のエドウイン・ロックとゲイリー・レイサムが、このタイプの目標の驚くべき効果を明らかにしています。2人は、「具体的で難易度が高い目標」が、「曖昧で難易度が低い目標」に比べ、はるかに高いパフォーマンスを生み出すことを発見しました。これは「自分で設定した目標」「他者が設定した目標」「他者と共に設定した目標」のすべてに当てはまります。


■3.「得られるもの」と「障害の大きさ」を比較する
「まず達成によって得られるものを想像し、次に進路を阻む障害物を熟考する」というこの目標設定時の思考を、エッティンゲンは目標の「長短比較」と呼んでいます。
 希望する企業に就職したいのなら、内定をもらったときのことを想像し、次に、その障壁となるもの(たとえば、ライバルである優秀な学生)を考えるのです。そうすれば、なぜ自分がその会社に就職したいのか、そしてそのためにはどのような行動が不可欠なのかがわかります。
 目標が実現した状況を想像するのは、とても楽しいことです。しかし、想像するだけでは実現はできません。実現後に得られるものと、立ちはだかる障壁を比較すると、取るべき行動が明確になります。願望や空想が、現実的な目標に変わるのです。


■4.選択の感覚を与える
 実験の結果、字宙船の名前やアイコンを選択できた生徒のほうが、ゲームを楽しみ、休み時間にもプレーを続ける傾向を示しました。さらに、その後の算数のテストでも、成績を向上させました。選択対象が学習内容とは無関係であったにもかかわらず、です。子どもたちは学習した内容をよく理解できたと答え、より難易度の高いゲームをしたいとも述べました。選択の感覚を与えるだけで、自律性の欲求が満たされ、内発的動機付けが高まり、大きな成果に結びつくことがあるのです。


■5.目標別達成法(抜粋)
・簡単なことを達成したければ、結果を意識する

・意欲が湧かないときは、理由を意識する

・難しいことをするときは、小さなステップを意識する

・スピードが必要なときは、得られるものを意識する

・正確さが求められるときは、失敗の結果を意識する


(詳細は本書を)


■6.「シンプルな計画」を立てる
 クリスマスから数日後、ゴルヴィツァーらのもとにエッセイが届き始めました。エッセイを書く場所と時間を決めなかった学生、つまり、計画を作成しなかった学生で実際にエッセイを送ってきたのは、わずか32%でした。一方、書く時間と場所を決めるという、ごくシンプルな計画を作成した学生は71%もエッセイを送付してきました。計画をつくらなかった学生たちの2倍以上の数値です。わたしは腰が抜けるほど驚きました。簡単な計画をつくるという単純な介入によって、被験者の目標達成率が2倍になったのです。


■7.成功そのものではなく、プロセスをイメージする
自己啓発書の多くは、強く思い描くだけで望みが実現すると謳っていますが、科学的にはその正しさを示す十分な証拠は得られていません。
 科学が注目しているのは、成功そのものをイメージするのではなく、「成功のためのステップ」をイメージすることです。単に望ましい結果を期待するのではなく、目標達成の細かいプロセスを頭に描くことで、ポジティブ思考が強化されると共に、目標に即した計画と準備を行いやすくなります。必要な行動を実践している自分の姿を思い描くことで、自信が深まります。このときに得られる感覚こそが、"正しい"ポジティブな感覚です。


【感想】

◆ここ数年、いわゆる「自己啓発本」で王道とも言える「教え」について、科学的実験等による新たな見解が示される事が多いです。

上記の土井さんのメルマガでは、『スタンフォードの自分を変える教室』を挙げてらっしゃいましたが、先日ご紹介したこの本でも「自制心」について本書と同様の見解が述べられていました。

習慣の力 The Power of Habit
習慣の力 The Power of Habit

参考記事:【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)

そして、上記参考記事にもあった、この本にも似たようなお話がちらほら。

ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣
ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣

参考記事:【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

こういった本を読んでいると、今まで「常識」と思っていたことが、どうも違うらしいことが、ひしひしと感じられるワケでして。


◆たとえば本書においても、上記ポイントの2番目では「『ベストを尽くせ』は無意味」とバッサリw

加えて、ポイントの7番目でも「成功(そのもの)を思い描くだけではダメ」と看破しています。

ただ、本書の一番特徴的な点は、人や考え方をいくつかのタイプに当てはめて言及してることかと。

たとえば、「証明型」の人は、知能や能力を示したり、他者より良い成績を上げることを重視するのに対し、「習得型」の人は、技能や能力を高め、より良い存在になることを重視します。

また、「獲得型」のフォーカスでは「手に入れたいもの、達成したいこと」に注目するのに対し、「防御型」のフォーカスでは、「守るべきもの、しなければならないこと」に注目するという……。

これらについて分かりやすく引用しようとすると、ボリュームが半端ないので上記ポイントでは割愛しましたが、ぶっちゃけ本書のキモの1つでしょう(詳細は第3章並びに第4章をお読み頂きたく)。


◆一方、この部分に関連して上記ポイントの5番目も、小見出しのみ列挙しましたが、目標達成における、かなり大事なことが述べられています。

たとえば、達成したいと強く願っているのに意欲が湧かない場合は、「何」ではなく「なぜ」を考えよ、と。

というのも、目標を目指す理由を考えることで、目の前の小さな行動を大きな絵の中で捉えられるようになり、その重要性を意識しやすくなるから。

これを資格試験に当てはめて考えると、やる気が出ないときは、具体的な課題のこと(「毎日4ページ問題を解く」等)を考えるのではなく、なぜその資格を取るのか、について考える、ということでしょうか。


◆なお、この「なぜ」と「何」のトレードオフについては、第1章にて掘り下げられています。

いわく、人は、遠い将来について考えるときは「なぜ」の視点に傾きがちで、メリットに気を取られる反面、現実的な側面にはあまり注意を向けません。

それに対し、近い将来の行動では、たとえメリットが得られそうな話であっても、実行するのは面倒だと考えてしまい、折角のチャンスを逃がしてしまう、と。

言われてみれば私も、大昔に雑誌の連載の話が初めて寄せられたときに、第1回目の締め切りが数日内に迫っていたため、辞退したいと強く感じました。

その後のブログの展開の事を考えたら、断るべきではないのに、一瞬でもそう思ったことを思いだすと、深く納得した次第。


◆ちなみに、本書の著者であるハイディ・グラント・ハルバートン女史は、社会心理学者で、コロンビア大学で社会心理学の博士号を取っているというお方。

「モチベーションと目標達成の分野の第一人者」というだけあって、本書も日常生活のみならず、ビジネス面においても役立ちそうなエッセンスが満載でした。

ただ、実験結果が多々載っている割にはエビデンスが収録されてないのは、ちょっとどうなのかな……と思ったところで、ふと気が付いたんですが、同じようにエビデンスのない『スタンフォードの自分を変える教室』も本書と同じ大和書房さんでしたよw

あちらはビジネス書としては大ヒットしましたし、そういう「こまけーこたー(AA略」誰も気にしないのかも(原書がどうなのかは未確認ですし)?

もう1つ細かいことと言えば、ページ数の割にはお値段も高値キープなのもアレなんですけど、中身の濃さを考えたら、土井さん同様、私も「買い」だと思います。


何か目標を立てるなら、本書を読んでからにすることを激オススメ!

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~
やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~
Introduction 成し遂げるための科学
第1章 ゴールをかためる:目的地は定まっているか?
第2章 なぜそこを目指す?:目標はこうして決める
第3章 おのれを知る:自分の中をのぞきこむ
第4章 楽観するか、悲観するか?:勝ちパターンをつかむには
第5章 ただ成功してもうれしくない:満足をもたらす三つの要素
第6章 欲しいものと邪魔なもの:どんな目標も攻略できる
第7章 背中を押す:人を動かす科学
第8章 地道に壁を越える:さまざまな障害物を知る
第9章 シンプルな計画をつくる:意志力にエネルギーを使わせない
第10章 自制心を日増しに伸ばす:自分をコントロールする力
第11章 現実を見よ:現実的なオプチミストになる
第12章 あきらめるとき、粘るとき:「そんな目標」にこだわるな
第13章 フィードバックの魔法:指針がなければ進めない


【関連記事】

【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)

【オススメ!】『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル(2012年11月02日)

【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

【目標達成!】『絶対に達成する技術』永谷研一(2013年07月28日)

ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『「先延ばし」にしない技術』の真実(2012年01月09日)


【編集後記】

◆タイミングを逸して、まだ読んでいないのですが。

WILLPOWER 意志力の科学
WILLPOWER 意志力の科学

今日の本と、かなりテーマ的にも近そうですね。


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この記事へのコメント
               
初めてコメントさせてもらいます。
やってのけるための自己啓発本、付箋の数がすごいですね(*´∀`)
いつか読んでみたいと思います

Posted by ドラねこ at 2013年09月25日 08:44
               
>ドラねこさん

初めまして!
コメントありがとうございます。
この本、なかなかすごいと思いますので、宜しかったら是非☆

ドラねこさんのブログも素敵ですね♪

今後ともよろしくお願い申し上げます!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年09月25日 13:42