2013年08月12日
【全51問!】『戦略思考トレーニング2』鈴木貴博
戦略思考トレーニング2 (日経文庫)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも取り上げた1冊。レビューがホッテントリ入りした『戦略思考トレーニング』の、待望の続編です!
アマゾンの内容紹介から一部引用。
クイズを解きながら自分の頭で考える力を鍛える「戦略思考トレーニング」がさらにパワーアップ。経営戦略、マーケティング、ビジネスモデルなど、思わず人に話したくなる「まさか?」「なるほど! 」の事例が満載。
相変わらず、ちょっと考えた位では歯が立たない難問が目白押しでした!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
★「クイズ形式」である本書は、その答えを書いてしまうと完全にネタバレなので、前作に続いて問題のみ引用していきます(スイマセン)。■1.食品に付けるおまけに出されたある指示とは?
小売店で売られる食品におまけが付いていることがよくあります。コンビニではおまけは商品と同梱されているのが普通ですが、スーパーの場合、あのおまけは食品メーカーの販売員がスーパーの店頭でひとつひとつ商品に取り付けることも少なくないそうです。さて、その際に販売員にはある指示が出ているそうです。おまけ付きの商品がよく売れるようにするために、販売員が気をつけるべきある工夫とは一体なんでしょうか?
■2.古着リサイクルに隠されたもう1つの目的とは?
uniqlo-peacoat / doobybrain
地球環境にやさしいリサイクル。ファッション業界ではユニクロもH&Mも洋服の青山も「古着を持ってきてくれたらリサイクルします」と宣伝をしています。この古着リサイクル、地球にやさしいだけではなく、もうひとついいことがあるのですが、それはなんでしょう?
■3.食べたお皿をカウンターに落とすことのメリットとは?
Conveyor Belt Sushi / Dick Thomas Johnson
回転寿司の御三家のひとつ『くら寿司』はIT化が進んだ回転寿司としても知られています。レーンで回っているお皿の鮮度管理や、携帯での事前予約など実用的なシステムに加えて、食べたお皿を数えるための仕組みが子どもの人気になっています。それは食べたお皿をカウンターの穴に落としていくと、5皿で1回ゲームができて、当たりが出るとガシャポンがもらえる仕掛けです。実はこの仕組み、子どもよりも女性客の客単価向上に役立っているのですが、それはなぜでしょう?
■4.子ども番組が4月に番組開始しないワケ
テレビ業界では13週間をワンクールといって、3ヵ月単位で新しい番組編成が行われます。ところがその例外が『仮面ライダー』や『プリキュア』などの子ども番組で、この分野ではおもちやメーカーを巻き込んで1年間かけて番組を盛り上げるビジネスモデルが採用されています。さてこの子ども番組、新番組のスタートは圧倒的に1月、ついで10月が多いそうです。なぜ4月ではなく1月に番組開始するのがよいのでしょうか?
■5.『俺のフレンチ』の高収益の鍵とは?
『俺のフレンチ』は席が立ち席になっているところが特徴で、おかげで顧客の回転率が1日に3.5回転以上という高回転になっていることから薄利多売の利益を上げることが可能になっています。それに加えて私のようなビジネスの専門家の視点で見ると『俺のフレンチ』のビジネスモデルには、普通のフランス料理店がかなわないもうひとつの高収益の鍵があるのですが、それはなんでしょう?
■6.「いらなくても2つ買わせる」食品メーカーの意図とは?
How much is that stuff? / Michael_Lehet
アメリカの食品スーパーではよくバイワン・ゲットワン・フリー(ひとつ買ったらもうひとつが無料)というセールを行っています。マヨネーズやステーキソースの大瓶など「ふたつも必要ないじゃない?」と思うような食品でもよくこういった売り方をしているのですが、それには食品メーカーのある戦略意図があるそうです。その戦略意図とはなんでしょうか?
■7.アメリカの社会人が高い歯磨き粉を買うワケ
365 day 28 - Catalyst of morning conflict / lisaclarke
歯磨き粉にはいろいろな価格の商品がありますよね。日本でも似た傾向がありますが、特にアメリカでは学生や独身の頃は安い歯磨き粉を使っている消費者が、社会人になって年齢が上がり、家庭を持つようになると高い歯磨き粉を買う傾向が強まります。なぜアメリカでは社会人には高い歯磨き粉が売れるのでしょうか?
【感想】
◆本書の前作が出たのは、今年の4月。確かに当ブログのみならず、世間的にもヒットした(らしい)とはいえ、前作からわずか4か月弱での出版とは、尋常ではありません。
しかも「おわりに」によれば、本書が出たのは8月ですが、著者の鈴木さんが原稿を書き上げたのは、何と6月だったとか。
普通であれば、中身が薄まる等のクオリティの劣化は避けられないところです。
◆しかしそこは、「30年近い経営コンサルタント人生」を誇る鈴木さんですから、「山ほど在庫が準備されている」のだそう(すげーw)。
本書収録の51問も、前作に負けず劣らず秀逸なモノばかりでした。
というか、自分で解けたのは、割愛した「テレ朝大躍進の最大の要因」(知ってます?)他4問ほど。
確かに、この記事を書くため、必要以上に熟考しなかったことはありますが、それにしても毎日読書している割には不甲斐ない結果です。
◆もっとも、本書の目指すところは「知識として知っておく」ことではなく、「戦略思考力を鍛える」こと。
例えば、上記のテレ朝の問題は、私は答えを「知っていた」のですが、それは戦略思考力でも何でもありません。
ならば、どのように戦略思考力を鍛えるのかと言うと、本書によれば、まずは各問に対して「最低でも3つの可能性を考えよ」とのこと。
その上で解答を見ることによって、目からウロコが落ち、事例が自分の知識の一部となる――これを繰り返すことがトレーニングとなるそうです。
◆というワケで、一応私も今回は、ひと通り答えを考えてみました。
必ずしも3つも思いつくことはできませんでしたが、上記ポイントの各問についても、もちろん検討済み(&不正解w)。
2番目のリサイクルは「マーケティング的調査や耐久性を調べるため?」⇒ハズレ
4番目の子ども番組は「クリスマスや入学時におもちゃを買ってもらうため?」⇒ハズレ
6番目の2つ買わせるセールは「近所に配って口コミを広げるため?」⇒ハズレ
当たらない……(´;ω;`)ブワッ
◆なお本書は、前作同様、同じパターンで問題を出すのではなく、海外や過去の事例にもしっかり手を広げています。
また、第3章は著名経営者の経営判断の問題で、GEのジャック・ウェルチや、IBMのルイス・ガースナー、お馴染みカルロス・ゴーンも登場。
この辺の問題は、事例として既にご存知の可能性もありますが、多少はひっかかる部分がないと、私のように惨敗を喫するかもしれませぬ。
そして、1度読んで答えを知ってしまうと、再度読み返すよりも「次の問題!」となってしまうのが、この手の本の難しいところ。
私は、1作目を読んで「もっと……」となっていたため、本書を買う事に何の迷いもありませんでしたが、読者であるアナタは果たして!?
各問キチンと考えることが、本当の読み方です!
戦略思考トレーニング2 (日経文庫)
1 なぜだろうから考えてみようの章
2 ビジネスモデルの秘密の章
3 あの経営者の経営判断の章
4 何を狙っているのだろうの章
5 昔はそんな時代もあったのだの章
6 売るための工夫! マーケティング力の章
7 グローバルなビジネスには違いがあるの章
8 経営理論は難しいか?の章
9 難問に挑戦してみようの章
おわりに
【関連記事】
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【編集後記】
◆今回のエントリーで本書に興味を持たれた方には、併せて前作であるこちらもオススメ。戦略思考トレーニング (日経文庫) (日経文庫 I 49)
レビューは上記関連記事にてご確認を。
ご声援ありがとうございました!
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