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2013年08月08日

【交渉術】『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』島田久仁彦


最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術
最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「ハーバード大学交渉プログラム教授」マックス・H・べーザーマン氏が「交渉の達人!」と評する国際ネゴシエーター・島田久仁彦さんの交渉術の本。

冒頭で「推薦の言葉」をソフィアバンクの藤沢久美さんや、ライフネットの岩瀬大輔さんが寄せているという、力作です。

アマゾンの内容紹介から。
国際会議や紛争、企業間の交渉…世界で活躍する著者が実践してきた究極の「戦わない交渉術」

弁護士さんの交渉術の本は結構読んできましたが、それらとはちょっと違ったテイストでした!


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【ポイント】

■1.交渉は72時間(3日)以内でおわらせる
 72時間(3日)かけて合意に至れないことは、2週間かけようが、2力月かけようが、2年かけようが、解決できません。これは、私自身が実際に交渉に臨んで学んだことです。
「交渉期限まで2週間ある」と考えると、「2週間で決める」スケジューリングに入ってしまう。「2ヵ月ある」などと考えたら、その瞬間に2ヵ月モードでだらだらと交渉してしまうのです。


■2.交渉が行き詰ったら、案件を俯瞰する
 交渉時のスタンスで大切なことは「常に客観的な視点を失わない」ということです。「失敗しても、死ぬわけではない」くらいに考えて、物事にあたるほうがうまくいきます。(中略)
 平面的に案件を見ていると、全体像を客観的に見つめるのが困難になることが多いもの。アィデアに詰まったら、リラックスして深呼吸をしたり、一度目を閉じて、自分が問題を上から俯瞰して見ているイメージをします。


■3.相手になったつもりで問題をとらえる
 自分に課せられた目の前の問題を相手になったつもりで考えてみると、新しいことに気づくことが多いのも事実です。
 たとえば「自分が相手企業の責任者なら、どういう行動をとるだろうか?」と想像してみてください。違った観点から物事をとらえることができるはずです。その結果、互いにとっての有効な答えや選択肢が見えてくることがあります。
 この発想は、相手のポジションの理解にもつながると同時に、問題の本質を見極めることにも役立ちます。


■4.迷ったら「人として間違っていないもの」を選ぶ
 仕事をしていて、自分の判断や行動が正しいかどうか不安になることがありませんか? そういうときは何を判断軸にすればよいか?
 それは倫理的に正しいかどうか、つまり人として間違っていないと思えるものを選ぶことです。
 私が教わった方法は、自分が選択したことが新聞紙の一面記事やテレピニュースのトップストーリーになると想像し、そのときに自分自身が心穏やかでいられたら正しい選択だと判断するという方法です。
 逆に、その想像をしたときに不安になったら、その選択は倫理的に問題が生じる可能性があるということです。


■5.交渉の際は窓を背にして座る
 交渉の際には、かならず窓を背にして座ってください。
 仮に初回交渉から相手のテリトリーに赴くことになっても、窓を背に座ることで、自分に有利な状況をつくることができます。(中略)
交渉や打ち合わせは日中に行われることが多いものです。窓を背にして座ることで、窓から差し込む太陽の光のおかげでこちらからは相手の顔の表情などが細部までよく見えます。逆に相手は眩しくて、こちらの表情が見えづらくなるのです。


■6.「沈黙」で圧倒的優位に立つ
 沈黙は、相手から譲歩を引き出すための、とても強い武器に化けることがあります。
 私は交渉においていつもはとてもおしゃべりなのですが、その私が時折、黙り込むことがあります。そのような場合、相手はどう思うでしょうか?
 とくに、理路整然と言葉巧みに交渉するスタイルの人というイメージを相手に与えているのだとしたら、こちらが突然黙り込んたとたん、相手はとても不安な気持ちになるでしょう。


【感想】

◆冒頭で「類書と違う」と申し上げましたが、私たちが実践すべきものとは若干異なるものがちらほら。

例えば初っ端の「72時間」からしてそうで、一般的な民事・刑事絡みの問題や、企業間の価格交渉等に72時間もかけるかというと、それは基本的に「ない」ハズ(実際に交渉したことがないので、実際のところは分かりませんが)。

この辺はひとえに、著者である島田さんの経歴に関係しており、何たって国連の紛争調停官や、日本政府の気候変動交渉官を経て、現在は「国際ネゴシエーター」として、国際会議や紛争、企業間の交渉を行なわれている、というお方です。

……そりゃ世界レベルでの大掛かりな交渉や、政府間の交渉なら、時間がかかっても不思議ではありませぬ。

上記ポイントの4番目の「人として間違っていないもの」も同様で、そもそもどんな選択をしても新聞の一面に載るような交渉など、私たちは関係しないでしょうw


◆一方、上記ポイントの2番目の「案件を俯瞰する」や3番目の「相手になったつもり」というのは、一般的な交渉でも使えるモノ。

「交渉」というと、つい勝ち負けばかりにフォーカスして視野が狭くなりそうですが、あらかじめこうした意識を持っておけば、たとえ行き詰ったとしても打開できそうです。

ただし、5番目の「窓を背にして座る」というのは、理屈としては分かるものの、国際レベルの交渉でも、ホントにそんなことしてるのか、と思いましたが。

なお、「自分が窓際に座れない場合は、相手にも窓際に座らせないようにする」のだそう。

何だか合コンで可愛い子の隣を争っている男子のようなw(違


◆ところで、本書では各章の終わりに「コラム」があるのですが、そこで興味深かったのが、外国人との折衝のお話でした。

とにかく国際間の交渉で大事なのは、相手の信条や文化、宗教、歴史、家族のことなどを否定しないこと!

特に私たち日本人には今ひとつピンときませんが、宗教論争はご法度のようです。

また、相手の家族だけでなく、自分の家族のことを謙遜して悪く言うのもアウト。

国際的には、謙遜ではなくて単なる悪口に過ぎず、発言者自身の評判を一気に落とすことになるようなので、ご注意を。


◆ちなみに島田さんは、はてなの近藤さんらと一緒に、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)2012に選出されています。

はてな、クックパッド社長ら、ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)に選出! - NAVER まとめ

それだけに、駆使されている交渉術もやはり「国際的な案件」の方がしっくり来そうでした。

もっとも、仕事で外国人と交渉されているような方は、本書に書かれた内容は一通り押えておくべきかと。

言語が違えば考え方も異なりますしネ。


「交渉ベタな日本人必読」の1冊

最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術
最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術
CHAPTER 0 交渉の流れ
CHAPTER 1 交渉・商談に臨む前に知っておきたいこと
CHAPTER 2 交渉中のポイント
CHAPTER 3 伝え方の極意
CHAPTER 4 合意に向けた最終段階


【関連記事】

【交渉術】『プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法』石井琢磨(2013年07月29日)

【裏ワザ?】『弁護士に学ぶ!交渉のゴールデンルール』奥山倫行(2013年01月13日)

【反論?】『弁護士が教える絶対負けない反論術』上野 勝(2012年12月26日)

【ウラ技?】『気づかれずに相手を操る交渉の寝技』間川 清(2012年11月25日)

この『最強交渉人が使っている 一瞬で心を動かす技術』がすごい!!(2012年05月15日)


【編集後記】

◆今日の気になる1冊。

知らずにまちがえている敬語 (祥伝社新書329) (祥伝社新書 329)
知らずにまちがえている敬語 (祥伝社新書329) (祥伝社新書 329)

タイトルが秀逸なんで、つい手に取ってしまいました……。


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