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2013年07月23日

【交渉術】『ハーバード流「話し方・聞き方」超入門』ジョシュア・N・ワイス


ハーバード流「話し方・聞き方」超入門: 最高の結果を生み出す (一般書)
ハーバード流「話し方・聞き方」超入門: 最高の結果を生み出す (一般書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「ハーバード大学のキーマンが伝授する、弱者からでも逆転できるコミュニケーション術」(本の帯よりw)。

著者のジョシュア・N・ワイス氏の作成する「NegotiationTipoftheWeek」というポッドキャストは、iTunesビジネスポッドキャストでも大人気なのだそう。

アマゾンの内容紹介から。
ビジネスも家庭も、人生は交渉力ですべてうまくいく! 1、妥協点を見つけない。2、聞くことを大切にする。3、合意することだけを目指さない。4、パターンを知る。まずこの4点からはじめます。仕事、家庭、人生という3つの場面で役立つ交渉術をわかりやすく、シンプルにまとめた交渉の超入門書です。心理的要素、感情的要素を排除しない、というハーバード流交渉術を平易に解説。チェックリストで習熟度合いを確認しながら読み進められます。

下記目次にもあるように、多様な状況下での交渉術が学べる1冊です!


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【ポイント】

■1.事実に主観が加わったものは、事実ではなく事実の解釈に過ぎない
 私が、家を購入するために売り手と交渉をしているとします。私は自分で下調べをした結果、この地域の家の売り値の相場がだいたいわかったので、それに従って購入希望価格を提示しました。すると売り手は、自分の販売希望価格より5万ドルも安いと主張しました。全国的に見れば、同じような条件の家がそのぐらいの値段で販売されていると言うのです。この交渉の場合、どちらが主張する事実も妥当なものです。しかし私も売り手も、自分が有利になる事実やデータを選んで自分の希望を主張しています(私は売り家がある地域のデータを、売り手は全国的なデータを利用しています)。その時点ですでにこれらの事実には、私や売り手の目的に沿った意味が付与されているのです。


■2.インターネットツールを使う際には強気になり過ぎない
 パソコンの画面を介して話をしていると、普段よりも強気になり、目の前にいたら話せないようなことも言えるようになります。相手の言いなりになりやすい人には絶好のツールでしょう。しかし、あまり強気になりすぎてはいけません。メールを書く時には、いつも自分にこう尋ねてみてください。「目の前にいてもそう言えるのか?」と。もし言えないのなら、メールを書き直したほうがいいということです。


■3.目に見えない障害を認識する
目に見えない障害とは、話し合いの中に紛れ込んでくる、実際には語られることのない問題を指します。たいていは、「もっと敬意を払え」といったアイデンティティにまつわる心理的な要求となって現れます。アーロンは息子のジョンに、父親をもっと尊敬しろと言いたいだけなのです。アーロンは父親に敬意を抱いていました。だからジョンもそうしろというわけです。しかしジョンにはまったく通じません。アーロン自身どう説明すればいいのかわからず、アーロンが会話の最中にこの問題を持ち出すと、いつも言い争いになってしまいます。こうして2人の関係の根底にある目に見えない障害は、解決されないままになっていたのです。


■4.政治などのデリケートな問題を話題にする場合
まずは、相手の考え方が甘い、ばかげていると思ったとしても、それに反論しようとせず、相手の意見をただ受け入れてください。相手の思惑の逆をつき、聞き役に徹するのです。たとえば、断定的な口調で熱心に自説を主張し、いつも自分と衝突するおじがいたとします。このおじが、何か賛否両論ある話題を持ち出してきたら、おじの目を真っ直ぐに見つめ、こう言ってください。「なかなかおもしろい視点だね。そんなふうに考えたことなかったよ。賛成できるかどうかわからないけど、少し考えてみる」そう言われたおじは、どんな表情をするでしょうか? こちらがいつものように反論してこないので、きっとまごついているはずです。そうなれば、会話の流れはきっと変わるでしょう。


■5.攻撃的な相手を強調的な態度に改めさせようとする場合
攻撃的な相手を協調的な態度に改めさせようとする場合には、まず、自分のこのアプローチが間違っていないか、自分の目的にかなっているかどうかを確認します。協調的なアプローチでは自分の利益にならないこともあるからです(その場かぎりの話し合いなど)。そして、協調的な態度で話し合いに臨むことに決めたら、相手の強硬な態度を変えるためにバトナを利用するのもひとつの手です。相手を説得できるほど立派なバトナがなければ、知恵を絞ってバトナを改善するようにしてください。


■6.高価な買い物をする際のポイント
 第1に、これまでもさんざん述べてきたことですが、高価な買い物をする時には、準備に準備を重ね、十分に下調べをすることです。こうした価格交渉では、情報に精通していることが力になります。(中略)
 第2に、業者がどんな作戦を取っているかを見極め、それに惑わされないようにすることです。逆に、自分のぺースに持っていくことが大切です。たとえば、自分は十分に下調べをしてきたから、○○の理由で△△円以上払うつもりはない、と業者に伝えるのです。(中略)
 第3に、いつも自分にこう問いかけてください。「提示された価格が公平で妥当なものだと何を基準に判断すればいいのか?」と。


【感想】

◆今回も引用量が多くなってしまったのでこの辺で。

本書はタイトルに「超入門」とある割には、冒頭で触れたように様々な状況での交渉について言及されており、むしろ「応用編」のような印象を受けました。

と言うか、そもそも読者はある程度の交渉術の基本は押えている、という前提なのか、バトナ(BATNA)に関する説明も、最初に登場した際に、「(代替案)」とカッコ書きであった以外に特になし。

そういう意味では、下記参考記事にあるような交渉術の類書を先に読んでおいた方がいいと思います(一部読者を選ぶものもありますが)。


◆本書で特徴的なのが、3部構成の第2部を「日常のコミュニケーション」にあてていること。

要は「非ビジネスシーン」での交渉術なのですが、「家庭内においても交渉術を駆使しよう」というのが、アメリカ的と言いますか。

たとえば、子どもとの話し合いで気を付ける点も、「10歳以下」と「11歳以上」とに分けられているという細かさw

ウチは2人とも10歳以下なのですが、実際、気が付かされた点もいくつかありました。

子どもだからといって、頭ごなしに言わないよう気を付けねば……。


◆また、割愛した中で興味深かったのが、「先に提案するべきか、しないべきか」というお話でした。

具体例であったのが、価格交渉をしていて、こちらの説明を長々とした後で、希望の契約額を伝えたところ、相手が10秒ほど考えただけで了解した、というケース。

これはいわゆる「勝者ののろい」にかかっている、と。

では、後だしじゃんけんではないですが、常に後から提案した方がいいかというと、必ずしもそうではありません。

本書では、先に提案した方がいい場合と、控えた方がいい場合、さらには、相手に先に提案されて、話し合いの主導権を握られそうになった場合等の解説がなされていますので、気になる方は要チェックで。


◆なお本書は、冒頭の内容紹介でも触れられていたように、各章ごとに「この章のチェックポイント」なる「まとめ」が収録されています。

さらに「交渉をうまく進めるためのセルフ・チェック」と題された、質問形式の確認項目が、それに続くという仕様。

こうした「至れり尽くせり」(?)の部分をもって「超入門」と言うのであれば、確かにそうかもしれません。

とはいえ、似たようなタイトルの本もだいたいそうなのですが、「ハーバード流」というのは、具体的にはどの辺なのかが良く分からないのがお約束……。


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |   ( ●)(●)  <おっと、それ以上は言うなよ…
. |     (__人__)____
  |     ` ⌒/ ─' 'ー\
.  |       /( ○)  (○)\
.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \
   ヽ   |、    (  ヨ    |   原書の題名になくても、とりあえず
   /    `ー─−  厂   /    ハーバードって付けとけばムググ……
   |   、 _   __,,/     \   



交渉上手になりたい方へ!

ハーバード流「話し方・聞き方」超入門: 最高の結果を生み出す (一般書)
ハーバード流「話し方・聞き方」超入門: 最高の結果を生み出す (一般書)
はじめに……4つの思い込みをなくせばうまくいく
第1部 ビジネスを成功させる話し方・聞き方

第1章 固定観念や思い込みがコミュニケーションの障壁となる
第2章 「内部」と「外部」との話し合いを成功させる
第3章 「事実」という言葉に惑わされてはいけない
第4章 聞きたいことを聞く準備
第5章 立場に差がある場合の交渉を成功させる準備
第6章 インターネットを使った交渉・対話

第2部 日常のコミュニケーション次第で、人生は豊かになる

第7章 家庭での会話に交渉術を生かす
第8章 感情をコントロールする
第9章 相手の価値観を理解する
第10章 男女によるコミュニケーションの違いはあるか
第11章 話し合いをこじらせる見えない壁
第12章 厄介な親戚や友人とのコミュニケーション
第13章 子どもとの話し合いはコミュニケーションを学ぶ絶好の場

第3部 思い通りに希望をかなえる交渉力

第14章 多岐にわたる話し合いや交渉の場面
第15章 相手の態度を対立から協調へ変える方法
第16章 誰にでも希望をかなえる資格がある
第17章 先に提案するのがいいか、相手に任せるのがいいか
第18章 交渉の力点はどこにあるのか考える
第19章 駆け引き型のアプローチで成功するには
第20章 希望をかなえる対話力

終わりに―失敗を恐れず、交渉のテクニックをさらに高める


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【ウラ技?】『気づかれずに相手を操る交渉の寝技』間川 清(2012年11月25日)

【オススメ!】『武器としての交渉思考』瀧本哲史(2012年06月26日)

この『最強交渉人が使っている 一瞬で心を動かす技術』がすごい!!(2012年05月15日)

【交渉】「実践!交渉学」から学ぶ3つのポイント(2010年05月07日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

ワンランク上をめざすビジネスパーソンの独習ガイド
ワンランク上をめざすビジネスパーソンの独習ガイド

アカデミーヒルズ六本木ライブラリー仕様のブックガイドのようです。

著者の名前を見て、同姓同名のタレントさんを思いだした私は、すでにオサーンですが何かw?


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