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2013年04月22日

【書評ゲーム?】『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』谷口忠大


ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム (文春新書 901)
ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム (文春新書 901)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「本の紹介ゲーム」とも言うべき「ビブリオバトル」について、その考案者である谷口忠大さんが論じた1冊。

私は、「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」のDainさんがブログで取り上げたことで、昨年あたりから「ビブリオバトル」の存在を知ったのですが、実は2007年には誕生していたそうです。

アマゾンの内容紹介から。
おすすめの一冊を持ち合い、本の魅力を紹介しあう「ビブリオバトル」。ゲーム感覚を取り入れた、新しい”書評”のかたちが今注目を集めている。シンプルなルール、そして「人を通して本を知る。本を通して人を知る」ことができるのが魅力のビブリオバトルとは何なのか? 京都大学の研究室で生まれ、今や全国大会も催されることになったビブリオバトルの誕生秘話から遊び方まで、その全貌を描いた入門的一冊。書評は読むだけのものではなく、参加するもの。読書嫌いも本好きになること請け合いだ。情報が多いネット時代だからこその、新しい本との出会いを提案する。

「ビブリオバトル童貞」の私ではありますが、「勝つためにはどうすればいいのか」も考えてみました。


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【ポイント】

■1.ビブリオバトルの公式ルール
1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。

2.順番に1人5分間で本を紹介する。

3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分行う。

4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。


■2.「テーマ」や「シバリ」を設けるのもアリ
 開催時には「テーマ」や「シバリ」を設定するビブリオバトルもある。たとえば、テーマとして「恋愛」「海の日」「本の未来」など抽象的なキーワードを設定し、このテーマをお題として、発表者は本を選んでくることがある。これを巷ではテーマビブリオバトルという。また、シバリを入れるビブリオバトルでは、たとえば「漫画シバリ」「新書シバリ」といった書籍の形態によって、あるいは「夏目漱石シバリ」といった著者名によって紹介できる本を限定するのだ。つまり「漫画シバリ」の日のビブリオバトルには、参加者みんなが漫画を片手に集まることになる。


■3.発表時間が5分である理由
大体、初めてやってみる人は3分くらい話して2分ほど時間を余らせる傾向があるので、一度やってみた後に、
「3分くらいがいいんじゃないの? 5分長いよ〜!」
 と言われることがとてもよくある。そういう時、僕は決まって、
「とりあえず、3回やってみてくださいね!」
 と答えている。3分で終わってしまう発表の多くは、ほとんど「あらすじ」だけである場合が多く、本の紹介として聴衆の聞きたい気持ちを十分に満たせていないことが多い。
ビブリオバトルを大体3回くらい経験した後では、多くの人が、楽しく5分を使い切れるようになる。5分という時問があることで、発表者はあらすじだけでなく、自分の感じたことや、その本を読んだ理由など、ちょっとした自分史を語るようになるのだ。


■4.ビブリオバトルの必勝法とは?
 たとえば、僕が研究室のビブリオバトルでロボットエ学の専門書で圧勝し、その本がチャンプ本になったとする。意気揚々と週末の一般のテニスサークルのビブリオバトルで同じ本を同じ話し方で紹介しても、まず勝てない。ポカーンとされるのがオチだ。
 もし、それでも「必勝法」を教えてほしいとせがまれたら、こう言うしかないだろう。「そこに集まってくる人の興味に思いを馳せながら、それでも自分が心から好きで、本当に読んでほしいと思える本を持っていって、誠実に紹介することです」と。これはコミュニケーションの基本だ。


■5.チャンプ本を決める理由
チャンプ本を決めない書評会などの場合、得てして、自分の好きな本を持ってきた人が「自分はこの本が好き!」というだけの、一方向的なトークに陥りがちになってしまうように思うが、チャンプ本を決めるとなると、発表者は聞き手に一生懸命伝える努力をしなければならなくなる。一生懸命語る努力をして、目の前の人にわかってもらおうとするため、発表者は聴講者に対して誠実に語るようになり、良い緊張感が生まれやすくなるのだ。


■6.ビブリオバトルの4つの機能(抜粋)
1.「参加者で本の内容を共有できる」(書籍情報共有機能)

2.「スピーチの訓練になる」(スピーチ能力向上機能)

3.「いい本が見つかる」(良書探索機能)

4.「お互いの理解が深まる」(コミュニティ開発機能)

(詳細は本書を)


■7.ビブリオバトルの書籍推薦メカニズムの性質
 最近の僕たちのチームの研究でもビブリオバトルによる推薦は、「意外な本」だけど「読みたくなる本」を推薦する機能に秀でていることがわかってきている。僕たちは被験者実験を通して、ビブリオバトルにおける推薦と、前述のキーワード検索、内容べース推薦、協調フィルタリングを比較した。ビブリオバトルの推薦多様性は内容べース推薦、協調フィルタリングより有意に高く、また、本の推薦についての総合満足度の平均値も4つの手法のうちで一番高かった。実は情報推薦の分野でも、この、「意外な本」だけど「読みたくなる本」を推薦するというタスクは難問とされている。これを実現するビブリオバトルの書籍推薦メカニズムの性質は学術的にも興味深いと言えるだろう。


【感想】

◆冒頭でご紹介した、『スゴ本』のDainさんですが、このビブリオバトルに何度か参戦なさっているよう。

個人的によく覚えているのが、昨年6月の紀伊国屋書店南口店でのバトル

ビブリオバトル勝利宣言: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

Dainさん、「勝利宣言」した上で臨むものの、結果的には惜しくもチャンプならず……。

ビブリオバトルに持ちこんだ最強の一冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

そのバトルにおけるチャンプ本の発表がこちら。

Dainさん曰く「本の魅力もさることながら、おぎじゅんさんのトークは面白く、わたしも読みたい!という気にさせられた」とのこと。



犬から見た世界―その目で耳で鼻で感じていること
犬から見た世界―その目で耳で鼻で感じていること

あの『スゴ本』ブログの中の人であるDainさんですらなかなか勝てないというビブリオバトル、恐るべし!


◆……というワケで(?)、「ビブリオバトル童貞」(シツコイ)のワタクシが、ビブリオバトル攻略法について少々考えてみます。


(1)ストックを多めに持って行く

●上記ポイントの2番目のように「テーマ」や「シバリ」があるならまだしも、まったくのフリーダムで参戦するのであれば、審査をする観客の趣向に合わせるのが一番でしょう。

と言っても、当日会場に行くまで、どんな客層になるかは分からないハズ。

そこで私だったら、現場で決められるよう、3冊はストックを持って行きます。

つまりリハーサルの段階から、「3冊15分」のつもりでやっておくということ。

順番次第でもありますが、出来る限り自分より前の人のプレゼン反応を見て、どの本で行くか考えたいところです。


(2)観客に働きかける

●上記の動画のおぎじゅんさんが、観客に質問して挙手させていたように、こういうちょっとしたアイスブレイク的なモノは入れておいた方が良さげ。

もちろん、ドッカンドッカン笑いが取れればその必要もないのでしょうが、自分の発表内容に早めに観客を引き込んでおくのが、キモかな、と。


(3)感情を揺り動かす

●上記(2)とも若干かぶりますが、短時間で他人の意志をコントロールしようと思ったら、何らかの形で感情を揺り動かすのが確実でしょう。

その1つが「笑い」。

上記のおぎじゅんさんもですし、本書収録のビブリオバトルのレポートによれば、チャンプ本に選ばれた発表者の何人かも笑いを取っていました。

他にも「泣き」「怒り」といった感情も効果はあるのでしょうけど、いかんせん時間が短い気が。

まーでも、かよわい女性が「動物」との「死別」の本とか推薦してきた日には(しかもそのコが泣きながら発表したら)、投票せざるをえないでしょうねぇ(違


◆なお、上記ポイントは、主に本書の第1章「ビブリオバトルの遊び方」から抜粋しています。

今回は割愛しまくりましたが、表面的な話だけでなく、ビブリオバトルの生い立ちや機能性等までお知りになりたい方は、第2&3章をご覧頂きたく。

そして第4章では、メディア等に取り上げられながら、ビブリオバトルが普及していく過程が描かれています。

大学の研究室から始まったビブリオバトルが、書店等のオープンな場に出て行き、ついには2010年からは、大規模(観客400名以上!)な「ビブリオバトル首都決戦」まで開催されているとは知りませんでした。

また、京都の立命館小学校では、小学4年生の「読書の時間」にビブリオバトルが行われた、とのことですから、オジサンも負けてはいられませぬ。

まだ未体験の方の方が多いでしょうから、まずはYouTubeの動画や公式サイトにて、ビブリオバトルに接してみて下さい。

……もちろん、本書を買って下さってもいいんですよ!←アサマシw


読書好きならマストな1冊!

ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム (文春新書 901)
ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム (文春新書 901)
はじめに ビブリオバトルって何?
プロローグ そんな日常の「ビブリオバトル」
第1章 ビブリオバトルの遊び方
第2章 ビブリオバトルはどうして生まれたのか?
第3章 本と出会い人を知るためのテクノロジー
第4章 広がるビブリオバトル
エピローグ いつか会えたら「ビブリオバトル」の話をしよう
あとがき


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【編集後記】

◆Dainさんがビブリオバトルに持参した自信作。

シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)
シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)

「徹夜保証本」だそうです!


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この記事へのコメント
               
おぎじゅんのトークは絶品ですよ〜思わず釣り込まれてしまいます。
それと、「ストック多めに」はできないです。申込時に予め、どの一冊にするかを決めておく必要があるのです。
習うより慣れるほうがいいですぞ、ぜひ参戦ドゾ!

Posted by Dain at 2013年04月22日 13:24
               
>Dainさん

わざわざコメントありがとうございます!
お名前、頭文字が小文字で書いていたのを訂正いたしました(失礼しました)。

おぎじゅんさん、お上手ですよね。しかもTwitterで拝見するところによると、6戦6勝なのだとか(スゲー)。

ストック多めはダメなんですか。
(´・ω・`)ショボーン

となると、同じ本で客層に合わせてどこを紹介するか等を変えねばなりませんね。
予め、オサーンが多いとか、女子半分とか、恋愛ネタ好きとか客層が分かればいいのですが……。

その辺から分かっていない私としては、まず「参戦」の前に「観戦」する必要がありそうです(汗)。

なお、dainさんの動画も拝見したのですが、今まで顔出し等されてないので、今回は割愛しております。
そうそう、私は完全に顔出し不可なんで、やはり観戦しかできそうもありませぬ〜。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年04月23日 01:56